注目の判例

刑事訴訟法

2021.12.21
脅迫被告事件
LEX/DB25571846/最高裁判所第三小法廷 令和 3年12月10日 決定 (上告審)/令和3年(あ)第964号
管轄移転の請求が、訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかである場合には、刑事訴訟規則6条により訴訟手続を停止することを要しないとし、これと同旨の原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2021.10.26
道路交通法違反被告事件
LEX/DB25571763/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 6月28日 決定 (上告審)/令和3年(あ)第424号
道路交通法違反被告事件で、原判決を不服として、被告人が上告した事案において、原審の判決書には裁判長裁判官の押印がなく、これは刑事訴訟規則55条に違反するが、同判決書には同裁判官の署名及び他の裁判官2名の署名押印があり、同判決書は原判決をした裁判官3名により作成されたものと認めることができるとし、原判決の上記法令違反は判決に影響を及ぼすものとは認められないとした上で、本件は、弁護人の上告趣意は量刑不当の主張で、刑事訴訟法405条の上告理由にあたらないとして、本件上告を棄却した事例。
2021.10.12
覚醒剤取締法違反、関税法違反被告事件
LEX/DB25590627/東京高等裁判所 令和 3年 4月26日 判決 (控訴審)/令和2年(う)第1267号
被告人(オランダ国籍)が、氏名不詳者らと共謀の上、営利の目的で、みだりに、スペインのアドルフォ・スアレス・マドリード・バラハス空港において、覚醒剤約997.6gを隠し入れたスーツケース1個を同空港作業員に機内預託手荷物としてドイツのフランクフルト国際空港行きの航空機に積み込ませて同航空機に搭乗し、同空港において、本件スーツケースを同空港作業員に東京国際空港行きの航空機に積み替えさせて同航空機に搭乗し、東京国際空港に到着した同航空機から本件スーツケースを同空港作業員に同航空機の外に搬出させて日本国内に持ち込み、覚醒剤を本邦に輸入するとともに、同空港内の東京税関羽田税関支署旅具検査場において、同支署税関職員の検査を受けた際、覚醒剤を本件スーツケース内に隠し持ったまま、その事実を申告せずに同検査を受け、同検査場を通過しようとし、もって関税法上の輸入してはならない貨物である覚醒剤を輸入しようとしたが、同税関職員に発見されたため、その目的を遂げなかったとして起訴され、原判決は、懲役7年及び罰金300万円に処したため、これに不服の被告人が控訴した事案で、検察官が、答弁書において種々指摘をする内容を踏まえて、改めて検討してみても、被告人に覚醒剤輸入(関税法違反を含む。)の故意があったと認めるには合理的な疑いが残るのに、これがあったと認めて罪となるべき事実を認定した原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとして、原判決を破棄し、被告人に対して無罪を言い渡した事例。
2021.10.05
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25590657/福岡高等裁判所 令和 3年 9月 3日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第283号
熊本県少年保護育成条例違反の被疑事実により逮捕され、その後勾留された一審原告が、その逮捕・勾留中に一審原告の取調べを行った熊本県警察の警察官が、当該取調べに際し、〔1〕黙秘権を告知せず、かつ黙秘することが一審原告の不利益となることを示唆する発言をするなどして、一審原告の黙秘権を侵害し、〔2〕弁護人との接見内容に関する質問をしたことにより、一審原告の接見交通権を侵害し、この違法な取調べにより一審原告は精神的苦痛を被るなどの損害を受けており、一審被告は、国家賠償法1条1項に基づき、上記警察官の違法な取調べによって一審原告が被った損害について賠償義務を負うとして、一審被告に対し、同項に基づき、損害として慰謝料200万円及び弁護士費用20万円の合計220万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたところ、原判決は、一審原告の請求のうち、一部認容、一部棄却したため、一審原告及び一審被告が、それぞれ原判決中敗訴部分を不服として控訴した事案で、一審原告の請求につき、16万5000円及びこれに対する平成28年5月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして一部認容し、その余の請求を棄却した原判決は相当であるとし、本件各控訴を棄却した事例。
2021.09.21
窃盗被告事件
LEX/DB25571712/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 9月 7日 判決 (上告審)/令和3年(あ)第1号
被告人が、スーパーマーケットで食料品10点を窃取し窃盗の罪で起訴された事件で、第1審判決は、被告人が、本件犯行時、心神耗弱の状態にあったとして、被告人を懲役4月に処したことに対し、検察官が控訴し、原判決は、完全責任能力を認め、被告人を懲役10月に処したため、被告人が上告した事案において、被告人は行動制御能力が著しく減退していた合理的疑いが残るから心神耗弱の状態にあったとした第1審判決について、その認定は論理則、経験則等に照らして不合理であるとして、事実誤認を理由に破棄し、原審において何ら事実の取調べをすることなく、訴訟記録及び第1審裁判所において取り調べた証拠のみによって、直ちに完全責任能力を認めて自判をした原判決は、刑事訴訟法400条ただし書に違反するとして、原判決を破棄し、高等裁判所に差し戻した事例。
2021.09.07
医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定に対する抗告の決定に対する再抗告事件
LEX/DB25571705/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 8月30日 決定 (再抗告審)/令和3年(医へ)第13号
アルコール依存にり患している対象者について、検察官が、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)33条1項により申立てをし、原々審は、医療観察法42条1項1号により、対象者を同法による医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定をしたが、対象者は、医療観察法による医療の必要はないか、入院によらない医療が相当であるとして、抗告を申し立てたところ、原決定は、対象者のアルコール依存について医療観察法による医療を受けさせる必要があることを理由として入院決定をした原々決定には、重大な事実の誤認があるとして、原々決定を取消し、本件を地方裁判所に差し戻す旨の決定をしたため、再抗告をした事案で、入院決定をした原々決定の判断に重大な事実誤認があるとして原々決定を取り消した原決定には、医療観察法42条1項、64条2項の解釈適用を誤った違法があるとして、医療観察法71条2項により、原決定を取り消し、対象者につき入院決定をした原々決定に重大な事実誤認があるとは認められず、それに対する対象者の抗告は理由がないことに帰するとし、原々決定に対する抗告を棄却した事例。
2021.08.10
覚醒剤取締法違反,大麻取締法違反,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律違反被告事件
LEX/DB25571667/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 7月30日 判決 (上告審)/令和2年(あ)第1763号
第1審裁判所は、本件ビニール袋が本件車両内にはもともとなかったものであるとの疑いは払拭できないから、警察官が、本件ビニール袋は本件車両内にもともとなかったにもかかわらず、これがあることが確認された旨の疎明資料を作成して本件車両に対する捜索差押許可状及び強制採尿令状を請求した事実があったというべきであり、本件薬物並びに本件薬物及び被告人の尿に関する各鑑定書(本件各証拠)の収集手続には重大な違法がある旨の判断を示した上、本件各証拠の証拠能力を否定した。これに対し、原判決は、本件各証拠の証拠能力を否定した第1審裁判所の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある旨の検察官の控訴趣意をいれ、第1審判決を破棄し、本件を地方裁判所に差し戻しを言い渡したため、被告人が上告した事案で、本件各証拠の証拠能力を判断するためには、本件事実の存否を確定し、これを前提に本件各証拠の収集手続に重大な違法があるかどうかを判断する必要があるというべきであり、原判決は、本件ビニール袋がもともと本件車両内にはなかった疑いは残るとしつつ、その疑いがそれほど濃厚ではないなどと判示するのみであって、本件事実の存否を確定し、これを前提に本件各証拠の収集手続に重大な違法があるかどうかを判断したものと解することはできないとし、本件各証拠の証拠能力の判断において本件事実の持つ重要性に鑑みると、原判決には判決に影響を及ぼすべき法令の解釈適用の誤りがあるとして、原判決を破棄し、本件を高等裁判所に差し戻した事例(補足意見がある)。
2021.06.22
入院を継続すべきことを確認する旨の決定に対する抗告棄却決定に対する再抗告事件
LEX/DB25571570/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 6月 9日 決定 (再抗告審)/令和3年(医へ)第5号
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による処遇制度が、憲法14条、31条、34条の規定に違反しないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁,最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁)の趣旨に徴して明らかであるとし、本件抗告を棄却した事例。
2021.05.06
再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25571479/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 4月21日 決定 (特別抗告審)/平成30年(し)第76号
亡死刑囚に対する死体遺棄、略取誘拐、殺人被告事件について、同人は死刑に処する旨の有罪判決を受け、控訴及び上告はいずれも棄却され、第1審判決が確定し、同人に対し、既に死刑が執行されたものであるが、申立人(再審請求人)が再審を請求したところ、原々決定は、弁護人が提出した証拠はいずれも明白性が認められないとして再審請求が棄却されたため、申立人が即時抗告し、原決定は、原々決定が新証拠の立証命題と関連しない旧証拠の証明力に関する原々審弁護人の主張について明示的に判断を示していないことに誤りはなく、旧証拠の証明力に関する判断を原々決定が遺脱しているとの所論は理由がないとし、原々決定の判断を是認し、即時抗告を棄却したため、申立人(再審請求人)が特別抗告をした事案において、HLADQα型鑑定並びにミトコンドリアDNA型鑑定及びHLADQB型鑑定の証明力は,確定判決が説示するとおり、鑑定資料のDNA量や状態の不良、更にはこれらの鑑定自体の特性等に基づいて評価されるべきものであって、MCT118型鑑定の証明力減殺が、HLADQα型鑑定並びにミトコンドリアDNA型鑑定及びHLADQB型鑑定の証明力に関する評価を左右する関係にあるとはいえないから、それらの再評価を要することになるものではないとした上で、原々決定がこれらの鑑定の証明力を再評価しなかったことに誤りはない旨判示した原決定の判断は正当であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.04.06
損害賠償請求事件
LEX/DB25568901/熊本地方裁判所 令和 3年 3月 3日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第319号
熊本県少年保護育成条例違反の被疑事実により熊本県警察に逮捕・勾留された原告(当時19歳)が、その逮捕・勾留中に熊本県警察の警察官が取調べの際に黙秘権を告知しなかったほか、黙秘権侵害となる発言をし、弁護人との接見内容に関する質問を行ったこと等により原告の黙秘権及び弁護人との接見交通権が侵害された旨主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金220万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、原告は、C巡査部長の違法な取調べによって、その黙秘権及び弁護人との接見交通権を侵害されて精神的苦痛を受けたものと認め、原告の請求を一部認容した事例。
2021.01.26
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25567304/大阪高等裁判所 令和 2年 9月18日 判決 (控訴審)/令和1年(う)第1206号
覚せい剤取締法違反の事案において、原判決が、本件捜索で押収された覚せい剤在中のチャック付きポリ袋3袋は、麻薬取調官が持ち込んだものであり、その持ち込みを直接の契機とする現行犯逮捕には重大な違法があり、現行犯逮捕後に採取された尿の鑑定書もこれと密接に関連する証拠であるから、これらの証拠能力は認められるべきでないとする弁護人の主張を容れて本件鑑定書等の取調請求を却下した本件証拠決定について、麻薬取締官が捜索開始直後に洗面所付近で写真撮影をしており、その際に本件パケ(上記3袋のうちの2袋。)があった洗面台の前を往来していたことは間違いなく、本件パケが洗面台の上に容易に発見できるような状態で置かれていたことや麻薬取締官が9人で本件捜索に従事していたことも併せ考えれば、捜索開始から約1時間半もの間本件パケが発見されなかったという経緯にはやはり不審な点が残るなどとして、被告人を無罪としたため、検察官が控訴した事案で、本件捜索に当たって麻薬取締官が本件覚せい剤を発見現場に置いた疑いが払拭できないとした原裁判所の判断に不合理なところはなく、その捜査の違法性が重大であることは当然であり、本件鑑定書等はこれと密接に関連するものであって証拠として許容することは将来における違法捜査抑止の見地から相当でないから、その証拠能力を否定して検察官の証拠調べ請求を却下した原審の訴訟手続に法令違反はないとし、また、検察官の挙げる各証拠をもって、被告人の自白の真実性を保障する補強証拠になるとはいえないとして、本件控訴を棄却した事例。
2021.01.05
再審開始決定に対する即時抗告の決定に対する特別抗告事件(袴田事件第2次再審請求(特別抗告審))
LEX/DB25571224/最高裁判所第三小法廷 令和 2年12月22日 決定 (特別抗告審)/平成30年(し)第332号
確定判決が認定した罪となるべき事実の要旨は、Aは、昭和41年6月30日午前1時過ぎ頃,静岡県清水市(当時)所在のみそ製造販売会社専務であった男性の居宅に侵入して金員を物色中、同人に発見されるや金員強取の決意を固め、殺意をもって、所携のくり小刀で同人の胸部等を突き刺し、物音に気付いて起きてきた同人の妻、長男、次女の頸部等をそれぞれくり小刀で突き刺し、店の売上金等を強取した上、さらに、上記4名を住居もろとも焼いてしまおうと考え、混合油を4名の身体に振りかけてマッチで点火して放火し、4名を殺害して金員等を強取するとともに住宅1棟を焼損したというもので、原決定は、確定判決においてAの犯人性を推認させる最も中心的な証拠は、5点の衣類に関する証拠である一方、それ以外の証拠は犯人性を推認する上では補助的なものにすぎないとし、5点の衣類は犯人が犯行時に着ていた衣類であること、5点の衣類はAのものであることの2点について、確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるような新証拠であれば、刑訴法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」といい得るとし、B鑑定及びみそ漬け実験報告書は、いずれもそのような新証拠には当たらないとして、再審開始を認めた原々決定を取り消したため、抗告人が特別抗告した事案で、確定判決において5点の衣類が犯人性の認定における核となる証拠とされたという本件の証拠関係、5点の衣類に付着した血痕のDNA型及び色調をめぐり、原々審及び原審において長期間にわたり審理が重ねられ、原々決定においては再審開始決定がされ、これが原審において取り消されて本件再審請求が棄却されたという審理経過、さらに、原審に至ってH意見書において血液中のたんぱく質とみそ中の糖との間で生じ得るとされているメイラード反応がみそ漬けされた血液の色調に影響を及ぼす要因として初めて主張され、5点の衣類がみそ漬けされた状況を客観的に再現する工夫がされたF実験も、この点に関する専門的知見に基づく検討の必要性を認識させるものであったことなどの原審における審理状況をも併せ考えると、上記の違法が決定に影響を及ぼすことは明らかであり、原決定を取り消さなければ著しく正義に反するというべきであり、原決定を取消し、メイラード反応その他のみそ漬けされた血液の色調の変化に影響を及ぼす要因についての専門的知見等を調査するなどした上で、その結果を踏まえて、5点の衣類に付着した血痕の色調が、5点の衣類が昭和41年7月20日以前に1号タンクに入れられて1年以上みそ漬けされていたとの事実に合理的な疑いを差し挟むか否かについて判断させるため、本件を原審である東京高等裁判所に差し戻すこととした事例(反対意見、補足意見がある)。
2020.12.22
損害賠償請求事件
LEX/DB25567114/東京地方裁判所 令和 2年11月13日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第35314号
原告(弁護士)が、東京地検特捜部において任意で取調べを受けていた被疑者について、その妻の依頼により被疑者の弁護人となろうとする者として被疑者との面会を求めたところ、対応した検察官が、上記依頼につき確認ができないとして、被疑者に対し、原告の来訪を伝えず、原告と被疑者との面会を実現するための措置をとらなかったことが違法であると主張して、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払等を求めた事案で、検察官が、午後3時40分頃、原告から、自らへの依頼の経緯と併せて、本件電話番号につき伝達を受けた時点から、本件電話番号自体についての被疑者の認識又は当日午前中の架電の有無及び架電先につき、被疑者本人に確認し、これを前提として、被疑者に対し、原告の来訪につき伝達すべき職務上の義務を負っていたところ、午後4時30分頃までの間、上記の確認を行っていない検察官の不作為は社会通念上相当と認められる範囲を超え、国家賠償法1条1項の適用上違法と評価するのが相当であるとして、請求を一部認容した事例。
2020.11.04
選挙無効請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571131/最高裁判所第二小法廷 令和 2年10月23日 判決 (上告審)/令和2年(行ツ)第79号
公職選挙法の一部を改正する法律(平成30年法律第75号)による改正後の公職選挙法の規定が憲法に違反して無効であるから、これに依拠して令和元年7月21日に施行された参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の本件選挙は無効であるとして提起された選挙無効訴訟で、原審は、憲法の規定に違反するとはいえないとして請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件改正後の参議院(比例代表選出)議員の選挙に関する公職選挙法の規定は憲法43条1項等の憲法の規定に違反するものではなく、このことは、最高裁平成11年(行ツ)第8号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1577頁及び最高裁平成15年(行ツ)第15号同16年1月14日大法廷判決・民集58巻1号1頁の判示するところであるか、又はその趣旨に徴して明らかであるとし、また、参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の選挙の無効を求める訴訟において選挙区選出議員の選挙の仕組みの憲法適合性を問題とすることができないことは、前掲平成11年大法廷判決の趣旨に徴して明らかであるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(意見がある)。
2020.10.06
損害賠償請求事件
LEX/DB25566571/さいたま地方裁判所 令和 2年 8月 5日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第2769号
死刑確定者である原告Aとその再審請求に係る弁護人又は国家賠償請求訴訟の訴訟代理人である弁護士らとが原告Aとの間で行った各面会に関し、東京拘置所長が各面会時間を制限したことが、原告らの接見交通権などを侵害して違法であるなどと主張して、被告・国に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案で、東京拘置所長が面会時間を制限したことは、刑事施設の管理運営上の必要性の判断として、必ずしも合理的なものとはいえず、また、死刑確定者である原告Aが本件再審請求に係る弁護人らから援助を受ける機会を実質的に保障するという観点から必ずしも十分なものではなかったことからすると、面会時間の制限は、その態様に関する裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用し、原告らの再審面会における接見交通に係る利益を侵害したものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法であり、かつ、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったものとして過失があったというべきであるとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2020.09.01
LEX/DB25566315/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 6月 8日 決定 (特別抗告審)/令和2年(し)第524号
殺人被疑事件について、勾留及び接見等禁止の各請求に関し、令和2年5月30日富山地方裁判所がした各準抗告棄却決定に対し、検察官から特別抗告の申立てがあった事案において、本件各抗告を棄却した事例。
2020.04.28
殺人被告事件(人工呼吸器外し事件再審無罪判決)
LEX/DB25565177/大津地方裁判所 令和 2年 3月31日 判決 (再審請求審)/平成24年(た)第3号
被告人は、医療法人社団a病院で看護助手として勤務していたものであるが、同病院看護師らの自己に対する処遇等に憤まんを募らせていたところ、そのうっ積した気持ちを晴らすため同病院の入院患者を殺害しようと企て、平成15年5月22日午前4時過ぎころ、同病院の病室で、慢性呼吸不全等による重篤な症状で入院加療中の患者(当時72歳)に対し、殺意をもって、同人に装着された人工呼吸器の呼吸回路中にあるL字管からこれに接続するフレックスチューブを引き抜いて同人工呼吸器からの同人への酸素供給を遮断し、同人を呼吸停止の状態に陥らせ、同人を急性低酸素状態により死亡させて殺害した。」という公訴事実の本件殺人事件の再審において、被告人の自白供述以外の証拠によっては、そもそも事件性を認めるに足りず、むしろ、患者が致死性不整脈その他の原因により、死亡した具体的な可能性があることが認められ、本件呼吸器の管を外して患者を殺害した旨の本件自白供述は、いずれも「任意にされたものでない疑」があるものとして証拠排除した以上、本件公訴事実については、被告人の犯人性以前の問題として、そもそも、患者が何者かによって殺害されたという事件性すら証明されておらず、犯罪の証明がないことに帰するとして、被告人に無罪を言い渡した事例。
2020.04.07
検察官がした刑事確定訴訟記録の閲覧申出一部不許可処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25570801/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月23日 決定 (特別抗告審)/令和2年(し)第78号
検察官がした刑事確定訴訟記録の閲覧申出一部不許可処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告をした事案において、本件特別抗告申立書に、申立人の記名のみがあり署名押印がいずれもないから、同申立書による本件抗告の申立ては無効と決定した事例。
2020.03.10
控訴取下げの効力に関する決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25564901/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 2月25日 決定 (特別抗告審)/令和1年(し)第807号
高等裁判所が、控訴取下げを無効と認め控訴審の訴訟手続を再開・続行する旨の決定をした場合には、同決定に対しては、その決定の性質に照らして、これに不服のある者は、3日以内にその高等裁判所に異議の申立てをすることができるものと解するのが相当であるとし、原決定は、刑訴法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当たらないから、本件抗告は不適法であるとした事例。
2020.02.18
公務執行妨害被告事件
LEX/DB25570684/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 1月31日 判決 (上告審)/令和1年(あ)第1987号
公務執行妨害被告事件の上告審の事案で、原審の公判審理に関与していない裁判官が原審の判決書に判決をした裁判官として署名押印したことが認められ、原審の公判審理に関与していない裁判官が原判決に関与したこととなり、これは判決に影響を及ぼすべき法令の違反であって、かつ、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められるから、当事者双方の意見を聴いた上、刑事訴訟法411条1号、413条本文により、原判決を破棄し、本件を高等裁判所に差し戻すこととした。なお、上告裁判所が原判決を破棄して事件を原裁判所に差し戻す旨の判決をするに当たり、刑事訴訟法408条の趣旨に照らし、必ずしも口頭弁論を経ることを要しないというべきであるとした事例。