注目の判例

刑事訴訟法

2021.01.26
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25567304/大阪高等裁判所 令和 2年 9月18日 判決 (控訴審)/令和1年(う)第1206号
覚せい剤取締法違反の事案において、原判決が、本件捜索で押収された覚せい剤在中のチャック付きポリ袋3袋は、麻薬取調官が持ち込んだものであり、その持ち込みを直接の契機とする現行犯逮捕には重大な違法があり、現行犯逮捕後に採取された尿の鑑定書もこれと密接に関連する証拠であるから、これらの証拠能力は認められるべきでないとする弁護人の主張を容れて本件鑑定書等の取調請求を却下した本件証拠決定について、麻薬取締官が捜索開始直後に洗面所付近で写真撮影をしており、その際に本件パケ(上記3袋のうちの2袋。)があった洗面台の前を往来していたことは間違いなく、本件パケが洗面台の上に容易に発見できるような状態で置かれていたことや麻薬取締官が9人で本件捜索に従事していたことも併せ考えれば、捜索開始から約1時間半もの間本件パケが発見されなかったという経緯にはやはり不審な点が残るなどとして、被告人を無罪としたため、検察官が控訴した事案で、本件捜索に当たって麻薬取締官が本件覚せい剤を発見現場に置いた疑いが払拭できないとした原裁判所の判断に不合理なところはなく、その捜査の違法性が重大であることは当然であり、本件鑑定書等はこれと密接に関連するものであって証拠として許容することは将来における違法捜査抑止の見地から相当でないから、その証拠能力を否定して検察官の証拠調べ請求を却下した原審の訴訟手続に法令違反はないとし、また、検察官の挙げる各証拠をもって、被告人の自白の真実性を保障する補強証拠になるとはいえないとして、本件控訴を棄却した事例。
2021.01.05
再審開始決定に対する即時抗告の決定に対する特別抗告事件(袴田事件第2次再審請求(特別抗告審))
LEX/DB25571224/最高裁判所第三小法廷 令和 2年12月22日 決定 (特別抗告審)/平成30年(し)第332号
確定判決が認定した罪となるべき事実の要旨は、Aは、昭和41年6月30日午前1時過ぎ頃,静岡県清水市(当時)所在のみそ製造販売会社専務であった男性の居宅に侵入して金員を物色中、同人に発見されるや金員強取の決意を固め、殺意をもって、所携のくり小刀で同人の胸部等を突き刺し、物音に気付いて起きてきた同人の妻、長男、次女の頸部等をそれぞれくり小刀で突き刺し、店の売上金等を強取した上、さらに、上記4名を住居もろとも焼いてしまおうと考え、混合油を4名の身体に振りかけてマッチで点火して放火し、4名を殺害して金員等を強取するとともに住宅1棟を焼損したというもので、原決定は、確定判決においてAの犯人性を推認させる最も中心的な証拠は、5点の衣類に関する証拠である一方、それ以外の証拠は犯人性を推認する上では補助的なものにすぎないとし、5点の衣類は犯人が犯行時に着ていた衣類であること、5点の衣類はAのものであることの2点について、確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるような新証拠であれば、刑訴法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」といい得るとし、B鑑定及びみそ漬け実験報告書は、いずれもそのような新証拠には当たらないとして、再審開始を認めた原々決定を取り消したため、抗告人が特別抗告した事案で、確定判決において5点の衣類が犯人性の認定における核となる証拠とされたという本件の証拠関係、5点の衣類に付着した血痕のDNA型及び色調をめぐり、原々審及び原審において長期間にわたり審理が重ねられ、原々決定においては再審開始決定がされ、これが原審において取り消されて本件再審請求が棄却されたという審理経過、さらに、原審に至ってH意見書において血液中のたんぱく質とみそ中の糖との間で生じ得るとされているメイラード反応がみそ漬けされた血液の色調に影響を及ぼす要因として初めて主張され、5点の衣類がみそ漬けされた状況を客観的に再現する工夫がされたF実験も、この点に関する専門的知見に基づく検討の必要性を認識させるものであったことなどの原審における審理状況をも併せ考えると、上記の違法が決定に影響を及ぼすことは明らかであり、原決定を取り消さなければ著しく正義に反するというべきであり、原決定を取消し、メイラード反応その他のみそ漬けされた血液の色調の変化に影響を及ぼす要因についての専門的知見等を調査するなどした上で、その結果を踏まえて、5点の衣類に付着した血痕の色調が、5点の衣類が昭和41年7月20日以前に1号タンクに入れられて1年以上みそ漬けされていたとの事実に合理的な疑いを差し挟むか否かについて判断させるため、本件を原審である東京高等裁判所に差し戻すこととした事例(反対意見、補足意見がある)。
2020.12.22
損害賠償請求事件
LEX/DB25567114/東京地方裁判所 令和 2年11月13日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第35314号
原告(弁護士)が、東京地検特捜部において任意で取調べを受けていた被疑者について、その妻の依頼により被疑者の弁護人となろうとする者として被疑者との面会を求めたところ、対応した検察官が、上記依頼につき確認ができないとして、被疑者に対し、原告の来訪を伝えず、原告と被疑者との面会を実現するための措置をとらなかったことが違法であると主張して、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払等を求めた事案で、検察官が、午後3時40分頃、原告から、自らへの依頼の経緯と併せて、本件電話番号につき伝達を受けた時点から、本件電話番号自体についての被疑者の認識又は当日午前中の架電の有無及び架電先につき、被疑者本人に確認し、これを前提として、被疑者に対し、原告の来訪につき伝達すべき職務上の義務を負っていたところ、午後4時30分頃までの間、上記の確認を行っていない検察官の不作為は社会通念上相当と認められる範囲を超え、国家賠償法1条1項の適用上違法と評価するのが相当であるとして、請求を一部認容した事例。
2020.11.04
選挙無効請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571131/最高裁判所第二小法廷 令和 2年10月23日 判決 (上告審)/令和2年(行ツ)第79号
公職選挙法の一部を改正する法律(平成30年法律第75号)による改正後の公職選挙法の規定が憲法に違反して無効であるから、これに依拠して令和元年7月21日に施行された参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の本件選挙は無効であるとして提起された選挙無効訴訟で、原審は、憲法の規定に違反するとはいえないとして請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件改正後の参議院(比例代表選出)議員の選挙に関する公職選挙法の規定は憲法43条1項等の憲法の規定に違反するものではなく、このことは、最高裁平成11年(行ツ)第8号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1577頁及び最高裁平成15年(行ツ)第15号同16年1月14日大法廷判決・民集58巻1号1頁の判示するところであるか、又はその趣旨に徴して明らかであるとし、また、参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の選挙の無効を求める訴訟において選挙区選出議員の選挙の仕組みの憲法適合性を問題とすることができないことは、前掲平成11年大法廷判決の趣旨に徴して明らかであるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(意見がある)。
2020.10.06
損害賠償請求事件
LEX/DB25566571/さいたま地方裁判所 令和 2年 8月 5日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第2769号
死刑確定者である原告Aとその再審請求に係る弁護人又は国家賠償請求訴訟の訴訟代理人である弁護士らとが原告Aとの間で行った各面会に関し、東京拘置所長が各面会時間を制限したことが、原告らの接見交通権などを侵害して違法であるなどと主張して、被告・国に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案で、東京拘置所長が面会時間を制限したことは、刑事施設の管理運営上の必要性の判断として、必ずしも合理的なものとはいえず、また、死刑確定者である原告Aが本件再審請求に係る弁護人らから援助を受ける機会を実質的に保障するという観点から必ずしも十分なものではなかったことからすると、面会時間の制限は、その態様に関する裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用し、原告らの再審面会における接見交通に係る利益を侵害したものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法であり、かつ、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったものとして過失があったというべきであるとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2020.09.01
LEX/DB25566315/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 6月 8日 決定 (特別抗告審)/令和2年(し)第524号
殺人被疑事件について、勾留及び接見等禁止の各請求に関し、令和2年5月30日富山地方裁判所がした各準抗告棄却決定に対し、検察官から特別抗告の申立てがあった事案において、本件各抗告を棄却した事例。
2020.04.28
殺人被告事件(人工呼吸器外し事件再審無罪判決)
LEX/DB25565177/大津地方裁判所 令和 2年 3月31日 判決 (再審請求審)/平成24年(た)第3号
被告人は、医療法人社団a病院で看護助手として勤務していたものであるが、同病院看護師らの自己に対する処遇等に憤まんを募らせていたところ、そのうっ積した気持ちを晴らすため同病院の入院患者を殺害しようと企て、平成15年5月22日午前4時過ぎころ、同病院の病室で、慢性呼吸不全等による重篤な症状で入院加療中の患者(当時72歳)に対し、殺意をもって、同人に装着された人工呼吸器の呼吸回路中にあるL字管からこれに接続するフレックスチューブを引き抜いて同人工呼吸器からの同人への酸素供給を遮断し、同人を呼吸停止の状態に陥らせ、同人を急性低酸素状態により死亡させて殺害した。」という公訴事実の本件殺人事件の再審において、被告人の自白供述以外の証拠によっては、そもそも事件性を認めるに足りず、むしろ、患者が致死性不整脈その他の原因により、死亡した具体的な可能性があることが認められ、本件呼吸器の管を外して患者を殺害した旨の本件自白供述は、いずれも「任意にされたものでない疑」があるものとして証拠排除した以上、本件公訴事実については、被告人の犯人性以前の問題として、そもそも、患者が何者かによって殺害されたという事件性すら証明されておらず、犯罪の証明がないことに帰するとして、被告人に無罪を言い渡した事例。
2020.04.07
検察官がした刑事確定訴訟記録の閲覧申出一部不許可処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25570801/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月23日 決定 (特別抗告審)/令和2年(し)第78号
検察官がした刑事確定訴訟記録の閲覧申出一部不許可処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告をした事案において、本件特別抗告申立書に、申立人の記名のみがあり署名押印がいずれもないから、同申立書による本件抗告の申立ては無効と決定した事例。
2020.03.10
控訴取下げの効力に関する決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25564901/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 2月25日 決定 (特別抗告審)/令和1年(し)第807号
高等裁判所が、控訴取下げを無効と認め控訴審の訴訟手続を再開・続行する旨の決定をした場合には、同決定に対しては、その決定の性質に照らして、これに不服のある者は、3日以内にその高等裁判所に異議の申立てをすることができるものと解するのが相当であるとし、原決定は、刑訴法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当たらないから、本件抗告は不適法であるとした事例。
2020.02.18
公務執行妨害被告事件
LEX/DB25570684/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 1月31日 判決 (上告審)/令和1年(あ)第1987号
公務執行妨害被告事件の上告審の事案で、原審の公判審理に関与していない裁判官が原審の判決書に判決をした裁判官として署名押印したことが認められ、原審の公判審理に関与していない裁判官が原判決に関与したこととなり、これは判決に影響を及ぼすべき法令の違反であって、かつ、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められるから、当事者双方の意見を聴いた上、刑事訴訟法411条1号、413条本文により、原判決を破棄し、本件を高等裁判所に差し戻すこととした。なお、上告裁判所が原判決を破棄して事件を原裁判所に差し戻す旨の判決をするに当たり、刑事訴訟法408条の趣旨に照らし、必ずしも口頭弁論を経ることを要しないというべきであるとした事例。
2020.02.04
詐欺、窃盗、詐欺未遂被告事件
LEX/DB25570664/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 1月23日 判決 (上告審)/平成29年(あ)第2073号
被告人が知人女性から預かった鞄の中にあった財布内からクレジットカードを窃取した上、さらに同人になりすまして同カードを使用して商品を詐取し、あるいは詐取しようとしたが未遂に終わったとして起訴され、クレジット機能付きポイントカードを詐取し、さらにこれを使用して財布等を詐取した犯行については、被告人が犯人である可能性が高いとは言えるものの、被告人以外の人物が各犯行を行ったことを否定できるほどの事情は認められないとして、無罪を言い渡し、その余の犯行については犯人と認め、第1審判決は懲役2年6月、執行猶予4年を言い渡したため、双方が控訴し、控訴審判決は、一切事実の取調べをしていないが、直ちに判決をすることができるとして自判し、被告人を本件公訴事実についても有罪として、懲役2年6月に処したため、双方が上告した事案で、控訴審判決は、本件公訴事実の存在を確定せず無罪を言い渡した第1審判決を事実誤認で破棄し、およそ何らの事実の取調べもしないまま本件公訴事実を認定して有罪の自判をしたのであって、控訴審判決は、最高裁判例(昭和31年7月18日最高裁大法廷判決、昭和31年9月26日最高裁大法廷判決)と相反する判断をしたものであるとして、控訴審判決を破棄し、高等裁判所に差し戻した事例。
2019.12.24
器物損壊,道路交通法違反,窃盗被告事件 
LEX/DB25570599/最高裁判所第一小法廷 令和 1年12月10日 決定 (上告審)/平成30年(あ)第1409号
被告人の記名のみがあり署名押印がいずれもない控訴申立書による控訴申立ては、同申立書を封入した郵便の封筒に被告人の署名があったとしても、無効と解すべきであり、これと同旨の原判断は正当として是認できるとし、本件上告を棄却した事例。
2019.11.19
逃亡犯罪人引渡審査請求事件についてした逃亡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当する旨の決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25570552/最高裁判所第二小法廷 令和 1年11月12日 決定 (特別抗告審)/令和1年(し)第699号
東京高等裁判所がした逃亡犯罪人引渡法10条1項3号の決定に対して、刑訴法433条1項の適用又は準用により刑訴法の特別抗告が許されると解すべきであり、そう解さないときは憲法81条、31条に違反すると主張したが、上記決定は、逃亡犯罪人引渡法に基づき東京高等裁判所が行った特別の決定であって、刑訴法上の決定でないばかりか、逃亡犯罪人引渡法には、これに対し不服申立てを認める規定が置かれていないので、上記決定に対しては不服申立てをすることは許されないとして、本件申立ては不適法であるとして、抗告棄却した事例。
2019.11.12
道路交通法違反被告事件についてした略式命令に対する非常上告事件
LEX/DB25570535/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 8月 9日 判決 (上告審)/令和1年(さ)第1号
被告人は、公安委員会の牽引免許を受けないで、茨城県内の道路において、重被牽引車を牽引して小型特殊自動車を運転した旨の事実を認定した上、簡易裁判所が被告人を罰金25万円に処する旨の略式命令を発付し、同略式命令は、確定した。しかしながら、道路交通法85条3項は、牽引自動車によって重被牽引車を牽引して当該牽引自動車を運転しようとする者は、牽引免許を受けなければならない旨規定しているところ、平成27年法律第40号による改正前の道路交通法75条の8の2第1項によると、小型特殊自動車は牽引自動車に当たらないから、前記略式命令の認定事実は、罪とならなかったものであるとして、原略式命令を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2019.11.12
損害賠償請求事件
LEX/DB25564025/大阪地方裁判所 令和 1年 5月27日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第11089号
大阪地裁に刑事事件の被告人として起訴された原告らが、各原告の公判期日が開かれた日における入廷及び退廷の際、手錠及び捕縄を施された状態で入廷及び退廷をさせられたことについて、〔1〕原告らの公判を担当した裁判官らが、入退廷時に刑務官らによる手錠等の使用を止めさせずに放置したこと、〔2〕原告らの護送を担当した刑務官らが、入退廷時に法廷内で手錠等を使用したこと、〔3〕大阪拘置所首席矯正処遇官が被告人の出廷時における手錠等の使用に関する取扱いに関する指示をしたことは、いずれも違法であり、これらの違法行為によって精神的苦痛を被ったと主張して、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、原告P1については、慰謝料40万円及び遅延損害金の支払を、原告P2については慰謝料10万円及び遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案において、原告らの請求はいずれも理由がないとして、棄却した事例。
2019.11.05
LEX/DB25564030/東京地方裁判所 令和 1年 7月 4日 決定 (第一審)/平成29年(合わ)第275号
殺人被告事件について、検察官から、平成29年11月14日午後3時42分頃から同日午後6時23分頃までの間の検事による取調べにおける被告人(当時「被疑者」)の供述及びその状況を録音・録画した記録媒体の取調べ請求をした事案で、検察官から取調べ請求のあった証拠番号乙5号証の録音・録画記録媒体(副本)1枚のうち、画面表示時刻「2017/11/14 16:23:53」から「2017/11/14 17:43:25」までの部分(ただし、録画映像を除く。)のみを証拠として採用した事例。
2019.08.27
措置取消等請求事件
LEX/DB25570407/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 8月 9日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第299号
死刑確定者である被上告人(控訴人・原告)が、被上告人宛ての信書の一部について受信を許さないこととして当該部分を削除した拘置所長の措置は違法であると主張して、上告人(被控訴人・被告)を相手に、同措置の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求め、原審は、被上告人の本件処分の取消請求を認容し、損害賠償請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、拘置所は、被収容者と外部との間で日常的に多数の信書の発受が行われており、被収容者が外部から受ける信書の一部を抹消する作業には相当の負担を伴うものであること等に照らせば、所長が、本件記述部分の発受を許さないこととするに当たり、これを削除したことについて、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえず、本件処分は適法であり、所長が本件処分をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の請求を棄却した第1審判決は正当であるから、上記部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例。
2019.08.27
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25563320/東京高等裁判所 令和 1年 7月16日 判決 (控訴審)/平成30年(う)第1849号
被告人が、平成29年11月上旬頃から同月15日までの間に、東京都内又はその周辺において、覚せい剤を自己の身体に摂取したとし、原審は、有罪判決を言い渡したため、被告人が控訴した事案で、本件鑑定書は、違法収集証拠として証拠能力を否定すべきであって、原裁判所がこれを証拠として採用したことは、刑事訴訟法317条に違反するものであり、本件鑑定書を証拠として採用しなければ、原判示の覚せい剤使用の事実を認めるに足りる証拠はないから、この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2019.07.30
LEX/DB25563291/大阪高等裁判所 令和 1年 7月12日 決定 (抗告審)/令和1年(く)第258号
被告人に対する恐喝被告事件について、地方裁判所がした接見等禁止決定に対し、刑事訴訟法81条にいう罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとはいえないから、これを取り消した上、被告人に対する接見等禁止の請求を却下する旨の裁判を求め、弁護人が抗告した事案において、接見等禁止決定に対する抗告が認容され、原決定を取消した事例。
2019.07.09
再審開始決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
(大崎事件第3次再審請求最高裁棄却決定)
LEX/DB25563156/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 6月25日 決定 (再審請求審)/平成30年(し)第146号
請求人が、義弟を殺害したとする殺人、死体遺棄被告事件(いわゆる大崎事件)で懲役10年に処せられた確定判決について、第3次再審請求をし、原々審及び原審は再審開始の決定をしたため、検察官が特別抗告をした事案において、R鑑定にP・Q新鑑定を含むその余の新証拠を併せ考慮してみても、確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせるに足りるものとはいえないとし、R鑑定が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとした原決定の判断には刑事訴訟法435条6号の解釈適用を誤った違法があり、R鑑定及びP・Q新鑑定がそのような証拠に当たるとした原々決定の判断にも同様の違法があるといわざるを得ず、これらの違法が決定に影響を及ぼすことは明らかであり、これらを取り消さなければ著しく正義に反するものと認められるとして、刑事訴訟法411条1号を準用して原決定及び原々決定を取消し、同法434条、426条2項により更に裁判をすると、請求人が提出した新証拠は、無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるものとはいえず、同法447条1項により本件再審請求を棄却した事例。