注目の判例

労働法

2021.11.30
障害補償給付不支給決定等取消請求控訴事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和4年1月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25590917/札幌高等裁判所 令和 3年 9月17日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第10号
回転寿司店の事業所に勤務していた控訴人が、本件事業所内のトイレに散布された殺菌剤の原液を拭き取る業務に従事した際、当該業務に起因して化学物質過敏症を発症したとして、労働者災害補償保険法による障害補償給付の請求をしたところ、処分行政庁から、〔1〕これを支給しない旨の処分、〔2〕療養補償給付の支給決定を取り消す旨の変更決定処分、及び〔3〕同日付けで休業補償給付の支給決定を取り消す旨の変更決定処分を受けたため、本件各処分の取消しを求めたところ、原審が控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案で、控訴人の化学物質過敏症は、本件拭き取り作業に起因したものと認められるから、これは、労基則別表第1の2第4号9ないし第11号に該当する業務上の疾病ということができ、控訴人の化学物質過敏症の発症及びこれと本件拭き取り作業との相当因果関係を否定したうえでされた本件各処分は違法であるとして、原判決を取り消し、本件各処分をいずれも取り消した事例。
2021.08.03
地位確認等請求控訴事件
LEX/DB25569736/札幌高等裁判所 令和 3年 4月28日 判決 (控訴審)/令和1年(ネ)第310号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス事業所としての指定を受けた施設において勤務していた控訴人ら(従業員であるb及び同aと本件施設で勤務していた施設利用者ら8名)が、本件施設を運営していた被控訴人会社及びその代表取締役である被控訴人cによる控訴人らの解雇は無効であり、被控訴人らの不法行為に当たるほか、被控訴人cには任務懈怠があったなどと主張して、被控訴人らに対し、地位確認及び損害賠償金等の連帯支払を求め、原審が、被控訴人らに対し、施設利用者ら8名にそれぞれ1人につき損害賠償金の連帯支払を求める限度で請求を一部認容し、施設利用者らのその余の請求並びに控訴人b及び同aの請求をいずれも棄却したところ、控訴人b及び同a並びに施設利用者らのうち4名(控訴人利用者ら)が控訴した事案で、控訴人らに対する本件解雇については、本件施設の閉鎖、これに伴う人員削減の必要性及び人選の合理性については肯定することができるものの、控訴人利用者ら及び控訴人bらのいずれに対する解雇についても、その解雇手続は相当とはいえず、控訴人らに対する解雇は、いずれも客観的に合理的な理由を欠き、無効であると言わざるを得ず、本件解雇は控訴人らに対する不法行為に当たり、被控訴人らは、本件解雇によって控訴人らが受けた損害を賠償すべき責任を連帯して負担すべきであるとされるところ、これと異なる判断をした原判決は相当ではないとして、原判決を変更し、控訴人b及び同aの請求を一部認容し、控訴人利用者らへの支払額を増額した事例。
2021.06.08
損害賠償請求事件
LEX/DB25571503/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 5月17日 判決 (上告審)/平成31年(受)第290号 等
屋外の建設現場における石綿(アスベスト)含有建材の切断、設置等の作業に屋根工として従事し、石綿粉じんにばく露したことにより、中皮腫にり患したと主張するAの承継人である被上告人らが、〔1〕上告人国に対し,建設作業従事者が石綿含有建材から生ずる石綿粉じんにばく露することを防止するために上告人国が労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めるとともに、〔2〕上告人株式会社ケイミュー及び同株式会社クボタ(上告人建材メーカーら)に対し、上告人建材メーカーらが石綿含有建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示することなく石綿含有建材を製造販売したことによりAが中皮腫にり患したと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案の上告審において、上告人建材メーカーらが、平成14年1月1日から平成15年12月31日までの期間に、屋外の建設作業従事者に対し、上記石綿含有建材に当該建材から生ずる粉じんにばく露すると重篤な石綿関連疾患にり患する危険があること等の表示をすべき義務を負っていたということはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、被上告人らの上告人建材メーカーらに対する請求は理由がなく、被上告人らの上告人クボタに対する請求を棄却した第1審判決は正当であるとして、原判決中、被上告人らの上告人ケイミュー及び同国に対する請求に関する部分を主文第1項のとおり変更し、被上告人らの上告人クボタに対する請求につき、同上告人敗訴部分を破棄し、同部分につき、被上告人らの控訴を棄却した事例。
2021.06.01
損害賠償請求事件
LEX/DB25571501/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 5月17日 判決 (上告審)/平成31年(受)第491号 等
〔1〕原告X1が、被告国に対し、建設作業従事者が石綿含有建材から生ずる石綿粉じんにばく露することを防止するために被告国が労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求め、〔2〕原告X2らが、被告積水化学工業に対し、被告積水化学工業が石綿含有建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示することなく石綿含有建材を製造販売したことにより、屋外の建設現場における石綿含有建材の切断、設置等の作業に従事していたBが肺がんにり患したと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案の上告審において、原判決中、原告X1の被告国に対する請求に関する部分を破棄し、更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻しを命じ、また、原判決中、原告X2らの被告積水化学工業に対する請求のうち、被告積水化学工業敗訴部分を破棄し、同部分につき、原告X2らの控訴を棄却した事例。
2021.06.01
損害賠償請求事件
LEX/DB25571502/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 5月17日 判決 (上告審)/平成31年(受)第596号
建設作業に従事し、石綿(アスベスト)粉じんにばく露したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張する者(本件被災者)又はその承継人である上告人らが、被上告人らに対し、被上告人らが石綿含有建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示することなく石綿含有建材を製造販売したことにより本件被災者らが上記疾患にり患したと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案の上告審において、本件立証手法により建材現場到達事実が立証され得ることを一律に否定した原審の判断には、経験則又は採証法則に反する違法があるとして、原判決中、別紙一覧表1から19までの各1項記載の上告人らの各2項記載の被上告人らに対する請求に関する部分を破棄し、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2021.05.25
各損害賠償請求事件
LEX/DB25571500/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 5月17日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1447号 等
主に神奈川県内で建設作業に従事し、石綿(アスベスト)粉じんにばく露したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張する本件被災者ら又はその承継人である原告らが、被告国に対し、建設作業従事者が石綿含有建材から生ずる石綿粉じんにばく露することを防止するために被告国が労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めるとともに、被告建材メーカーらに対し、被告建材メーカーらが石綿含有建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示することなく石綿含有建材を製造販売したことにより本件被災者らが上記疾患にり患したと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案の上告審において、原判決中、原告らのうち別紙一覧表1記載の者らの被告国に対する請求に関する部分、原告らのうち別紙一覧表3記載の者らの被告エーアンドエーマテリアルら、被告大建工業及び被告ノザワに対する請求に関する部分、原告らのうち別紙一覧表4記載の者らの被告太平洋セメントに対する請求に関する部分並びに原告らのうち別紙一覧表5及び別紙一覧表6記載の者らの被告ノザワに対する請求に関する部分を破棄し、更に審理を尽くさせるため上記部分につき本件を原審に差戻し、原告らのうち別紙一覧表7の「上告人名」欄記載の者ら(同欄記載の者の訴訟承継人を含む。)の被告エーアンドエーマテリアルらに対する請求に関する部分を主文第2項のとおり変更し、被告国及び被告エーアンドエーマテリアルらの各上告を棄却した事例。
2021.04.06
退職金等請求事件
LEX/DB25571413/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 3月25日 判決 (上告審)/令和2年(受)第753号 等
被上告人が、母Aの死亡に関し、上告人機構に対し上記共済契約に基づく退職金の、上告人JPP基金規約に基づく遺族給付金の、出版厚生年金基金の権利義務を承継した上告人出版基金に対し出版厚生年金基金の規約に基づく遺族一時金の各支払を求め、中小企業退職金共済法、JPP基金規約及び出版基金規約において、本件退職金等の最先順位の受給権者はいずれも「配偶者」と定められており、被上告人は、Aとその民法上の配偶者であるCとが事実上の離婚状態にあったため、Cは本件退職金等の支給を受けるべき配偶者に該当せず、被上告人が次順位の受給権者として受給権を有すると主張している事案の上告審で、民法上の配偶者は、事実上の離婚状態にある場合には、中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たらず、遺族給付金及び遺族一時金についても、民法上の配偶者は、その婚姻関係が事実上の離婚状態にある場合には、その支給を受けるべき配偶者に当たらないものというべきであるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2021.02.24
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25568621/東京高等裁判所 令和 3年 1月21日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第2298号
故Gは、被控訴人会社の従業員であり、平成23年当時、被控訴人会社のH支社に勤務していたところ、同年8月6日に脳幹部出血である本件脳出血を発症して同月7日に死亡した。控訴人Aは故Gの妻、控訴人B及び同Cはその間の子であり、被控訴人E、同D及び同Fは、故Gの死亡当時、いずれも被控訴人会社の取締役であった。本件は、控訴人らが、故Gが本件脳出血を発症して死亡したのは被控訴人会社から長時間にわたる時間外労働を強いられたことによるものであって、被控訴人会社には債務不履行(安全配慮義務違反)が、被控訴人E、同D及び同Fの悪意又は重過失による任務懈怠がそれぞれあったと主張して、被控訴人会社に対しては債務不履行を理由とする損害賠償請求権に基づき、被控訴人E、同D及び同Fに対しては会社法429条1項に基づき、総損害額合計7695万7326円から控訴人らの自認する損益相殺をした後の残額(控訴人Aにつき2634万9030円、控訴人B及び同Cにつき各1923万9331円)及びこれらに対する遅延損害金の連帯支払を求め、原審は、故Gの死亡は被控訴人会社での長時間の時間外労働によるものであったと認定して被控訴人会社の債務不履行責任を肯定する一方、その余の被控訴人らについては、H支社の工場長であり、故Gの直属の上司でもあった被控訴人Fにつき軽過失があったにとどまり、いずれも悪意又は重過失があったとは認められないと判断して会社法429条1項所定の取締役の責任を否定した上、弁護士費用以外の総損害額について、故Gの身体的素因等を理由とする過失相殺の類推適用により7割を減じた額を控訴人らが法定相続分割合により相続し、損益相殺(遺族基礎年金及び遺族厚生年金の合計1120万7066円)をした後の残額に弁護士費用を加算した額(控訴人Aにつき495万円、控訴人B及び同Cにつき各509万9201円)及びこれらに対する遅延損害金の支払を求める限度で控訴人らの被控訴人会社に対する請求を一部認容し、控訴人らのその余の請求をいずれも棄却したところ、これを不服とする控訴人らが本件控訴をした事案で、原判決中、被控訴人会社及び同Fに関する部分は不当であるとし、原判決の認容額を増額した内容で変更し、原判決中、控訴人らの被控訴人E及び同Dに対する請求をいずれも棄却した部分は正当であり、控訴人らのその余の控訴を棄却した事例。
2020.12.29
損害賠償請求事件
LEX/DB25567285/長崎地方裁判所 令和 2年12月 1日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第3号
原告において、本件労働審判事件の労働審判委員会が、原告に口外禁止条項を付した内容での調停を試みたところ、原告からこれを拒否されたにもかかわらず、労働審判法20条1項及び2項に違反して、口外禁止条項を含む労働審判を行ったことにより、原告の表現の自由(憲法21条)、思想良心の自由(同19条)及び幸福追求権(同13条)を侵害し、原告に精神的損害を生じさせたと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として、被告に対し、慰謝料140万円及び弁護士費用10万円の合計150万円及び遅延損害金の支払を求めた事案で、本件口外禁止条項は、労働審判法20条1項及び2項に違反すると認められるが、本件口外禁止条項を付した本件審判が、国家賠償法1条1項にいう違法な行為といえないとして、請求を棄却した事例。
2020.12.01
首都圏建設アスベスト損害賠償神奈川訴訟(第2陣) 控訴事件
LEX/DB25566826/東京高等裁判所 令和 2年 8月28日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第5058号
本件元建築作業従事者又はその承継人である第一審原告らが、建築現場において石綿粉じんにばく露し、石綿関連疾患(石綿肺、肺がん、中皮腫等)にり患したとして、〔1〕国に対し旧労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法又は建築基準法に基づく規制権限を適時かつ適切に行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、また〔2〕第一審被告企業ら43社に対し、安全配慮義務を怠ったなどと主張して、不法行為(民法709条、719条)又は製造物責任(製造物責任法3条、6条、民法719条)に基づき、損害賠償を求めたところ、原審が、国に対する請求を一部認容し、第一審被告企業らに対する請求を一部認容し、その余を棄却したことから、第一審原告らが請求全部の認容を求めて控訴するとともに、うち、死亡した第一審原告ら相続人又は受遺者が承継するとともに、第一審原告の一部が控訴を取り下げた事案で、第一審原告らの控訴に基づき、原判決を変更し、第一審原告らの損害を新たに一部認定する一方、その余を棄却した事例。
2020.11.04
地位確認等請求事件
LEX/DB25571115/最高裁判所第一小法廷 令和 2年10月15日 判決 (上告審)/令和1年(受)第794号 等
第1審被告と有期労働契約を締結して勤務し、又は勤務していた時給制契約社員又は月給制契約社員である第1審原告らが、無期労働契約を締結している労働者(正社員)と第1審原告らとの間で、年末年始勤務手当、祝日給、扶養手当、夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったと主張して、第1審被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償を求め、原審は、郵便事業株式会社及び第1審被告との間で更新された有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超えていた時期における第1審原告らの年末年始勤務手当及び年始期間の勤務に対する祝日給に係る損害賠償請求の一部を認容すべきものとする一方、第1審原告X1について,通算雇用期間が5年を超えていなかった平成27年4月30日以前の年末年始勤務手当及び同日以前の年始期間の勤務に対する祝日給に係る損害賠償請求を棄却したため、双方が上告した事案において、郵便の業務を担当する正社員に対して扶養手当を支給する一方で、本件契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当であるとし、また、第1審被告における夏期冬期休暇は、有給休暇として所定の期間内に所定の日数を取得することができるものであるところ、本件契約社員である第1審原告らは、夏期冬期休暇を与えられなかったことにより、当該所定の日数につき、本来する必要のなかった勤務をせざるを得なかったものといえるから、上記勤務をしたことによる財産的損害を受けたものということができるとし、原判決中、第1審原告X1の平成27年4月30日以前における年末年始勤務手当及び同日以前における年始期間の勤務に対する祝日給に係る損害賠償請求に関する部分並びに第1審原告X2及び第1審原告X3の扶養手当に係る損害賠償請求に関する部分を破棄し、損害額等について更に審理を尽くさせるため、これらの部分につき本件を原審に差し戻すとともに、第1審被告の上告並びに第1審原告X1、第1審原告X2及び第1審原告X3のその余の上告を棄却した事例。
2020.10.27
未払時間外手当金等請求事件
LEX/DB25571114/最高裁判所第一小法廷 令和 2年10月15日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1519号
上告人(1審被告)と有期労働契約を締結して勤務した時給制契約社員である被上告人(1審原告)が、無期労働契約を締結している労働者(正社員)と被上告人との間で、夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったと主張して、上告人に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償等を求めた上告審において、郵便の業務を担当する正社員に対して夏期冬期休暇を与える一方で、郵便の業務を担当する時給制契約社員に対して夏期冬期休暇を与えないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当であるとし、これと同旨の原審の判断は、いずれも正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2020.10.27
地位確認等請求事件
LEX/DB25571110/最高裁判所第三小法廷 令和 2年10月13日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1055号 等
第1審被告(医科薬科大学)と有期労働契約を締結して勤務していた第1審原告が、無期労働契約を締結している正職員と第1審原告との間で、賞与、業務外の疾病(私傷病)による欠勤中の賃金等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったとして、第1審被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る賃金に相当する額等の損害賠償を求め、原審は、第1審原告の賞与及び私傷病による欠勤中の賃金に係る損害賠償請求を一部認容、一部棄却したため、双方が上告した事案において、本件大学の教室事務員である正職員に対して私傷病による欠勤中の賃金を支給する一方で、アルバイト職員である第1審原告に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当であるとした事例。
2020.10.27
損害賠償等請求事件
「新・判例解説Watch」労働法分野 令和3年1月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571111/最高裁判所第三小法廷 令和 2年10月13日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1190号 等
第1審被告と有期労働契約を締結して東京メトロの駅構内の売店における販売業務に従事していた第1審原告らが、第1審被告と無期労働契約を締結している労働者のうち上記業務に従事している者と第1審原告らとの間で、退職金等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったなどと主張して、第1審被告に対し、不法行為等に基づき、上記相違に係る退職金に相当する額等の損害賠償等を求め、原審は、第1審原告らの退職金に係る不法行為に基づく損害賠償請求をいずれも一部認容、一部棄却したため、双方が上告した事案において、売店業務に従事する正社員に対して退職金を支給する一方で、契約社員Bである第1審原告らに対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当であるとした事例(反対意見、補足意見がある)。
2020.10.06
地位確認請求事件
LEX/DB25566572/名古屋地方裁判所 令和 2年 7月20日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第5158号
N社の従業員である原告らが、被告会社は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(平成24年法律第27号による改正前の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」)及びこれが準用する労働基準法等の適用を免れる目的で、かねてよりN社との間で業務委託の名目で契約を締結し、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律26条1項各号に掲げる事項を定めずに原告らによる労働者派遣の役務の提供を受けていたから、同法40条の6第1項5号に基づき、原告らに対して労働契約の申込みをしたものとみなされ、原告らも被告に対してこれを承諾する意思表示をしたと主張して、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認をそれぞれ求めた事案で、被告は、原告らが主張するとおり、適用潜脱目的で労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律40条の6第1項5号に該当する行為を行ったものと認められるが、原告らは、被告に対し、上記みなし申込みに対して承諾の意思表示をしているものの、これはその効力が存続する期間終了後に行われたものであって、申込みの効力は消滅したとされるから、原告らは、被告に対し、被告との間に直接の労働契約関係が成立したことを主張することができないことになるなどとして、原告らの請求を棄却した事例。
2020.09.29
地位確認等請求事件
LEX/DB25566573/東京地方裁判所 令和 2年 8月28日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第33866号
被告に常務執行役員として務めていた原告が、被告から、部長に降格をさせられるなど降格・降級を受け、これに伴い賃金を減額されたが、その降格・降級は無効であるなどと主張して、〔1〕原告が、雇用契約上の地位として、年俸制従業員の等級を有し、かつ、基本給月額120万円の支払を受ける地位にあることの確認を求めるとともに、〔2〕被告に対し、雇用契約に基づき、差額賃金として、平成29年6月から本判決確定の日まで、毎月26日限り、月額69万7000円の、平成30年6月から本判決確定の日まで、賃金支給日である毎月26日限り、月額11万円の各割合による金員及びこれらに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告が人事権の行使に係る裁量を逸脱し、これを濫用したということもできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2020.08.18
未払賃金等請求事件
LEX/DB25566310/横浜地方裁判所 令和 2年 6月25日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第4303号
引越関連事業を主な事業とする被告会社との間で雇用契約を締結し、勤務していた原告らが、被告会社に対し、(1)各未払残業代、(2)被告会社に引越事故責任賠償金名目で負担させられた金員について、法律上の原因を欠く旨主張して、不当利得に基づき、原告aが24万9500円、原告cが37万1500円、原告bが26万4500円の各返還、(3)原告a及び原告bが、未払の通勤手当がある旨主張して、雇用契約に基づき、未払の通勤手当として、原告aが38万3120円、原告bが13万円の各支払、(4)原告cが、被告会社からは業務用携帯電話の支給がなく、個人で業務専用の携帯電話を使用していたが,この携帯電話料金は被告会社が負担すべきであると主張して、不当利得に基づき、4万9563円の返還、(5)労働基準法114条に基づき、本件提訴日である平成29年10月10日から2年以内の上記未払割増賃金等と同額と原告らが主張する付加金(原告aにつき38万2696円、原告cにつき56万3629円、原告bにつき52万1953円)の支払、(6)原告らが、原告らは被告組合に加入しておらず、組合費の控除について同意していないのに、賃金から組合費の控除が行われ、これが被告組合に支払われていたと主張して、被告会社に対しては、雇用契約に基づき、未払の賃金として、平成27年3月分以降に賃金から控除された金員(原告aが1万7000円、原告c及び原告bが各2万4000円)の支払等を求め、被告組合に対しては、不当利得に基づき、入社時から退職時までに賃金から控除されて被告組合に支払われた金員(原告aが5万3000円、原告cが7万3000円、原告bが4万8000円)の各返還の支払等を求めた事案で、原告らの被告会社に対する請求は、請求額を減額した内容で一部認容し、原告らの被告会社に対するその余の請求及び被告組合に対する請求については棄却した事例。
2020.07.21
公務員に対する懲戒処分取消等請求事件
LEX/DB25570942/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 7月 6日 判決 (上告審)/平成31年(行ヒ)第97号
市立中学校の教諭であった被上告人(原告・控訴人)が、顧問を務める同校柔道部における部員間の暴力行為を伴ういじめの事実を把握しながら、受傷した被害生徒に対し、受診に際して医師に自招事故による被旨の虚偽の説明をするよう指示したこと等を理由に、任命権者である県教育委員会から停職6月の懲戒処分を受けたため、本件処分は重きに失するなどと主張して、上告人(被告・被控訴人。兵庫県)を相手に、その取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めたところ、原審は、本件懲戒処分の取消請求を認容し、国家賠償請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、本件懲戒処分が裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとした原審の判断には、懲戒権者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があり、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の請求につき、これらを棄却した第1審判決が正当であるから、上記部分につき被上告人の控訴を棄却した事例。
2020.06.09
懲戒免職処分等取消請求事件
LEX/DB25565396/新潟地方裁判所 令和 2年 4月15日 判決 (第一審)/平成30年(行ウ)第5号
地方公共団体である被告新潟市の職員として勤務していた原告が、所属する課の課長の印鑑を無断で押捺して時間外勤務命令票を偽造し時間外勤務手当を詐取し又は詐取しようとしたことを理由として、新潟市長から懲戒免職処分、退職手当支給制限処分をそれぞれ受けたことに関し、本件各処分には事実誤認の違法があり、また、仮に事実誤認がなかったとしても処分権者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があると主張して、本件各処分の取消しを求めた事案で、本件非違行為に対し、違法支払等の例に該当するものとして特に軽微な処分をもって臨むのではなく、詐取の例に該当するものとして本件懲戒免職処分をしたことについて、処分行政庁に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったとは認められないから、本件懲戒免職処分は適法であるとする一方、本件非違行為が原告の退職手当の受給権すべてを否定するに足りる程度の重大性を有するということは困難であり、退職金の全部の支給を制限する旨の本件支給制限処分については、本件非違行為の内容及び程度と不利益処分との間の均衡を欠き、原告に対して過度に重大な処分を課すものとみるのが相当であるから、本件支給制限処分は、社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法な処分であると認められるとして、退職手当支給制限処分を取り消し、原告のその余の請求を棄却した事例。
2020.05.26
遺族補償給付等不支給処分取消請求控訴事件
LEX/DB25565296/高松高等裁判所 令和 2年 4月 9日 判決 (控訴審)/令和1年(行コ)第20号
香川県高松市所在の本件会社の支社で勤務していた亡q7の父である亡q5において、q7がくも膜下出血を発症して死亡したのは業務上の事由に起因するものであると主張して、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料の支給を請求したところ、高松労働基準監督署長がいずれも不支給とする旨の各決定(本件不支給決定)をしたことから、上記請求後に死亡したq5の権利義務を相続により承継した控訴人が、本件不支給決定の取消しを求め、原審は、q7のくも膜下出血の業務起因性を否定して、控訴人の請求を棄却したため、控訴人が、原判決の取消しと自己の請求認容を求めて控訴した事案で、q7の業務と本件疾病との間には業務起因性が認められるから、本件不支給決定は違法であり、その取消しを求める控訴人の請求を認容すべきところ、これを棄却した原判決は失当であるとし、原判決を取消し、本件不支給決定を取り消した事例。