注目の判例

労働法

2017.05.23
残業代請求事件 
LEX/DB25448607/大分地方裁判所 平成29年 3月30日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第14号
弁当チェーンなど飲食店チェーンを経営する被告の元従業員である原告が、被告に対し、時間外労働の賃金及び寮費相当額として控除されてきた賃金部分が未払であると主張して、労働契約に基づき、上記未払賃金等の支払を求めた事案において、原告は労働基準法41条2号の管理監督者に該当するとは認められず、また、寮費相当額の賃金からの控除は違法無効である等として、原告の請求を一部認容した事例。
2017.05.09
地位確認等請求事件 
LEX/DB25545296/大阪地方裁判所 平成29年 3月 6日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第591号
被告(航空会社)との間で、客室乗務員として期間の定めのある労働契約を締結し、これを継続的に更新してきた原告が、被告による解雇が無効であり、また労働契約法19条により労働契約は更新したものとみなされると主張して、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、未払賃金及び賞与等の支払いを求めた事案において、雇止めは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないとして、地位確認請求を認容し、その余の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2017.05.02
特別支給の老齢厚生年金決定取消請求事件 
LEX/DB25448624/最高裁判所第二小法廷 平成29年 4月21日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第14号
被上告人(原告・被控訴人)が、厚生労働大臣から、厚生年金保険法附則8条の規定による老齢厚生年金について、同法43条3項の規定による年金の額の退職改定がされないことを前提とする支給決定を受けたことから、退職改定がされるべきであって同支給決定は違法であると主張して、上告人(被告・控訴人。国)を相手に、その取消しを求めたところ、第1審及び控訴審は被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案において、被上告人は、平成23年8月31日に厚生年金保険の被保険者の資格を喪失後、同年9月17日に65歳に達しており、同月30日を経過した時点では特別支給の老齢厚生年金の受給権者でなかったから、同月分の当該年金の額については退職改定がされるものでないことは明らかであるとし、上記決定処分を違法であるとした原審の判断には、明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、被上告人の請求を棄却した事例。
2017.04.18
じん肺管理区分決定処分取消等請求事件
LEX/DB25448584/最高裁判所第一小法廷 平成29年 4月 6日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第349号
建物の設備管理等の作業に従事した労働者Aが、福岡労働局長に対し、じん肺法15条1項に基づいてじん肺管理区分の決定の申請をしたところ、管理1に該当する旨の決定を受けたため、じん肺健康診断の結果によれば管理4に該当するとして、被上告人(被告・控訴人。国)を相手に、その取消し等を求め、Aが本件訴訟の第1審口頭弁論終結後に死亡したことから、同人の妻及び子である上告人らが相続により本件訴訟におけるAの地位を承継したと主張して訴訟承継の申立てをし、その成否が争点となり、原審が、第1審判決を取消して本件各訴訟について訴訟終了を宣言したため、上告人が上告した事案において、本件訴訟は、Aの死亡によって当然に終了するものではなく、上告人らがAの死亡の当時同人と生計を同じくしていたのであれば労働者災害補償保険法11条1項所定の遺族に該当するものとしてこれを承継することになるとし、原審の判断は明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人らに関する部分を破棄し、上告人らが遺族に該当するか否か等について、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2017.04.18
(平成28年11月30日名古屋高等裁判所金沢支部(平成28年(ネ)第144号)の上告審) 
LEX/DB25545322/最高裁判所第一小法廷 平成29年 3月23日 決定 (上告審)/平成29年(受)第369号
相手方(被告・被控訴人)法人の設置する大学の教授であった申立人(原告・控訴人)が、相手方法人の代表者理事長である相手方(被告・被控訴人)Bによって、相手方法人の内部における役職はもとより、関係外部の役職からも違法に解任され、かつ、その事実を内外に伝達・表明されたため、申立人の社会的信用が毀損したなどと主張して、相手方Bに対しては不法行為に基づく損害賠償請求として、相手方法人に対しては私立学校法29条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条に基づく損害賠償請求として、連帯して慰謝料の支払等を求め、第1審及び控訴審も申立人の請求を棄却したため、上告した事案において、本件を上告審として受理しないと決定した事例。
2017.04.18
損害賠償請求控訴事件
(平成29年3月23日最高裁判所第一小法廷(平成29年(受)第369号)の原審) 
LEX/DB25545321/名古屋高等裁判所金沢支部 平成28年11月30日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第144号
被控訴人(被告)法人の設置する大学の教授であった控訴人(原告)が、被控訴人法人の代表者理事長である被控訴人(被告)Bによって、被控訴人法人の内部における役職はもとより、関係外部の役職からも違法に解任され、かつ、その事実を内外に伝達・表明されたため、控訴人の社会的信用が毀損したなどと主張して、被控訴人Bに対しては不法行為に基づく損害賠償請求として、被控訴人法人に対しては私立学校法29条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条に基づく損害賠償請求として、連帯して慰謝料の支払等を求め、原審が控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案において、控訴人の本件請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとし、控訴を棄却した事例。
2017.04.11
損害賠償等請求事件(東京メトロ売店 契約社員 賃金格差是正請求を棄却) 
LEX/DB25545272/東京地方裁判所 平成29年 3月23日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第10806号
被告の契約社員として有期労働契約を締結し、東京メトロ駅構内の売店で販売業務に従事してきた原告らが、期間の定めのない労働契約を締結している被告の従業員が原告らと同一内容の業務に従事しているにもかかわらず賃金等の労働条件において原告らと差異があることが、労働契約法20条に違反しかつ公序良俗に反すると主張して、不法行為又は債務不履行に基づき、平成23年5月分から退職日(在職中の原告P1については平成28年9月分)までの差額賃金(本給・賞与、各種手当、退職金及び褒賞の各差額)相当額、慰謝料等の支払を求めた事案において、P1の請求額を減額したうえで、一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2017.04.11
地位確認等請求事件 
LEX/DB25545226/京都地方裁判所 平成29年 3月 1日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第310号
平成26年3月31日当時、被告が設置する大学院の教授であり、同日付けで定年退職の扱いとなった原告が、主位的に、(1)被告就業規則附則1及び昭和48年の理事会決定により、又は、(2)原告と被告との間の労働契約の内容として、予備的に、(3)被告大学院における事実たる慣習として、特段の事情のない限り、満65歳を迎えても70歳まで1年度ごとに定年が延長されると主張し、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び未払賃金の支払いを求めた事案において、原告について、満65歳に達した後の3月31日に特段の事情がない限り定年延長がなされるということはできず、就業規則10条1項、昭和48年理事会決定に基づき、原告は、平成26年3月31日の経過をもって定年退職をしたものであるとし、原告の請求を棄却した事例。
2017.03.28
遺族補償年金等不支給決定処分取消請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448538/最高裁判所第三小法廷 平成29年 3月21日 判決 (上告審)/平成27年(行ツ)第375号
上告人(原告・被控訴人)の妻が、公務により精神障害を発症し自殺したため、上告人が、遺族補償年金の支給請求をするとともに、遺族特別支給金等の支給申請をしたが、いずれも不支給とする旨の決定を受けたため、被上告人(被告・控訴人。地方公務員災害補償基金)に対し、上記処分の取消しを求め、第一審では、上告人の請求を認容したため、被上告人が控訴し、控訴審では、妻について、遺族補償年金を受給できるものとするが、夫について、「一般に独力で生計を維持することが困難である」と認められる一定の年齢に該当する場合に遺族補償年金を受給できるものとする旨の遺族補償年金の受給要件に係る区別は、合理性を欠くということはできないとし、第一審判決を取り消し、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち、死亡した職員の夫について、当該職員の死亡の当時一定の年齢に達していることを受給の要件としている部分が憲法14条1項に違反しないとしたうえで、原審の判断は正当として是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2017.03.07
賃金請求事件 
LEX/DB25448484/最高裁判所第三小法廷 平成29年 2月28日 判決 (上告審)/平成27年(受)第1998号
上告人(1審被告。一般旅客自動車運送事業等を目的とする株式会社)に雇用され、タクシー乗務員として勤務していた被上告人ら(1審原告)が、歩合給の計算に当たり残業手当等に相当する金額を控除する旨を定める上告人の賃金規則上の定めが無効であり、上告人は、控除された残業手当等に相当する金額の賃金の支払義務を負うと主張して、上告人に対し、未払賃金等の支払を求め、第1審は、1審原告らの請求を一部認容・一部棄却し、双方が控訴し、控訴審判決も第1審判決を維持し、双方の控訴を棄却したため、上告人が上告した事案において、歩合給の計算に当たり売上高等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨の賃金規則における定めが公序良俗に反し無効であるとした原審の判断に違法があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人らに支払われるべき未払賃金の有無及び額等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2017.01.24
未払通勤手当請求控訴事件 
LEX/DB25544597/東京高等裁判所 平成28年12月21日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第243号
控訴人(1審被告。東京都)の非常勤教員であった被控訴人(1審原告)が、2年間の通勤手当に未払分が発生したことにつき、〔1〕主位的に、被控訴人が勤務していた中学校の給与事務担当者等は、通勤手当の金額を適正かつ正確に算出する職務上の注意義務を負っているところ、これに違反し、バス運賃相当分の通勤手当の算出を行わず、その結果、控訴人から被控訴人に対してバス運賃相当分の支給がされず、バス運賃に相当する交通費及び慰謝料に相当する精神的損害を被ったとして、国家賠償法3条1項に基づき、費用負担者である控訴人に対し、相当額の支払を求め、〔2〕予備的に、通勤手当請求権に基づき、費用負担者である控訴人に対し、未払通勤手当の支払を求め、原判決が、主位的請求については、請求額を一部減額したうえで認容し、その余の主位的請求は棄却し、予備的請求については判断を要しないとしたため、控訴人が、敗訴部分を不服として控訴した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2016.12.13
労働契約上の地位確認等請求事件 
LEX/DB25448301/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月 1日 判決 (上告審)/平成27年(受)第589号
上告人(被告・控訴人)との間で有期労働契約を締結し、上告人の運営する短期大学の教員として勤務していた被上告人(原告・被控訴人)が、上告人による雇止めは許されないものであると主張して、上告人を相手に,労働契約上の地位の確認及び雇止め後の賃金の支払を求め、原審は、雇止めの前に行われた2度の雇止めの効力をいずれも否定して労働契約の1年ごとの更新を認めた上で、労働契約が平成26年4月1日から無期労働契約に移行したとして、被上告人の請求をいずれも認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、原判決中、被上告人の労働契約上の地位の確認請求及び平成26年4月1日以降の賃金の支払請求を認容した部分を破棄し、同部分に関する被上告人の請求につき、第1審判決を取り消し、同請求を棄却し、その余の請求に関する原審の判断は是認し、棄却した事例(補足意見がある)。
2016.11.29
退職金請求事件(第一事件、第二事件) 
LEX/DB25544105/大阪地方裁判所 平成28年10月25日 判決 (第一審)/ 平成27年(ワ)第5287号 等
被告の教職員であった原告らが、新人事制度が施行され就業規則が変更されたことで退職金が減額となったが、同変更が原告らを拘束しないとして、変更前の規則に基づく退職金と既払退職金との差額及び遅延損害金の支払を求めた事案において、上記就業規則の変更により被る原告らの不利益は大きいものではあるが、他方で、変更を行うべき高度の必要性が認められ、変更後の内容も相当であり、組合等との交渉・説明も行われてきており、その態度も誠実なものであるといえ、上記就業規則の変更は合理的なものであるとして、原告らの請求を棄却した事例。
2016.11.22
地位確認等請求控訴事件(定年後再雇用賃下げ「適法」 原告逆転敗訴)
LEX/DB25543977/東京高等裁判所 平成28年11月 2日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第2993号
被告(控訴人。一般貨物自動車運送事業等を目的した会社)を定年により退職した後に、被告との間で有期契約労働者である原告(被控訴人)らが、被告と無期契約労働者との間に不合理な労働条件の相違が存在すると主張して、〔1〕主位的に、当該不合理な労働条件の定めは労働契約法20条により無効であり、原告らには無期契約労働者に関する就業規則等の規定が適用されることになるとして、被告に対し、当該就業規則等の規定が適用される労働契約上の地位に在ることの確認を求めるとともに、その労働契約に基づき,当該就業規則等の規定により支給されるべき賃金と実際に支給された賃金との差額の支払等を求め、〔2〕予備的に、被告が上記労働条件の相違を生じるような嘱託社員就業規則を定め、原告らとの間で有期労働契約(嘱託社員労働契約)を締結し、当該就業規則の規定を適用して、本来支払うべき賃金を支払わなかったことは、労働契約法20条に違反するとともに公序良俗に反して違法であるとして、被告に対し、民法709条に基づき、その差額に相当する額の損害賠償金の支払等を求め、原判決は、原告らの各主位的請求をいずれも認容したので、これを不服とする被告が控訴した事案において、〔1〕原告らの主位的請求につき、原告ら有期労働契約者と無期契約労働者の間で労働条件に相違は、労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情に照らして不合理なものであるということはできず、労働契約法20条に違反するとは認められないとし、〔2〕原告らの予備的請求につき、被告が、原告らと有期労働契約を締結し、定年前と同一の職務に従事させながら、賃金額を20ないし24パーセント程度切り下げたことが社会的に相当性を欠くとはいえず、労働契約法又は公序(民法90条)に反し違法であるとは認められないとして、被告の本件控訴に基づき、原判決を取り消し、原告らの被告に対する各主位的請求及び各予備的請求をいずれも棄却した事例。
2016.11.22
損害賠償等請求本訴事件(第1事件)、損害賠償請求事件(第2事件)、不当利得返還請求事件(第3事件)、債務不存在確認請求反訴事件(第4事件) 
LEX/DB25544075/奈良地方裁判所 平成28年10月26日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第77号 等
原告aが、第1事故及び第2事故により受傷した上、これらの事故が相俟って後遺障害を生じ、かつ、精神障害の治療を要したと主張し、被告らに対し、共同不法行為責任に基づく損害賠償として、両事故が相俟って生じたと主張する損害から既払金を控除した残額818万5279円の連帯支払を求めるとともに、被告cに対し、不法行為責任に基づく損害賠償として、第2事故によって生じたと主張する損害から既払金を控除した残額624万4379円の支払を求めた事案(第1事件)、原告a及び被告bとそれぞれ自動車総合保険契約を締結していた原告fが、〔1〕原告aは、第1事件で虚偽の主張を繰り返し、被告bに対する多額の損害賠償請求を行ったものであり、これは被告b及び原告fに対する不法行為を構成すると主張して、原告aに対し、不法行為責任に基づく損害賠償として、原告aの行動調査に要した費用117万7000円の支払を求めるとともに、〔2〕原告fが原告aとの自動車総合保険契約に基づき支払った金員は原告aの不当利得に当たると主張し、原告aに対し、不当利得返還請求として、27万3750円の支払を求めた事案(第2事件)、被告cと自動車保険契約を締結していた原告dが、第2事故により原告aに人身損害が発生した事実はないから、原告dが上記保険契約に基づき対人賠償保険金として原告aに支払った金員は原告aの不当利得に当たると主張し、原告aに対し、悪意の受益者に対する不当利得返還請求として、322万5437円の支払を求めた事案(第3事件)、被告cが、第2事故により原告aに人身損害が発生した事実はないと主張し、第2事故に基づく被告cの原告aに対する損害賠償義務が存在しないことの確認を求めた事案(第4事件)において、原告aの本訴請求を棄却し、第2事件につき、原告aは、原告fに対し、不法行為責任に基づく損害賠償117万7000円及び不当利得返還請求27万3750円の支払を命じ、第3事件につき、原告aは、原告dに対し、不当利得返還請求として322万5437円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じた事例。
2016.11.15
損害賠償請求事件 
LEX/DB25543851/宇都宮地方裁判所 平成28年 9月15日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第173号
被告(建設会社)のために施工図作成業務を行っていた亡Gが、被告が元請であった会社の技術研究所の現場事務所で倒れているのを発見され、脳幹出血で死亡し、亡Gの相続人である原告らは、亡Gは被告の労働者であり、被告は亡Gに対し安全配慮義務を負っているところ、これを怠ったため亡Gは死亡したとして、債務不履行に基づく損害賠償として、亡Gの妻である原告Aが1688万5680円及び遅延損害金の支払、亡Gの子である原告B、同C、同D及び同Eが、それぞれ1556万3518円及び遅延損害金の支払を求めた事案において、原告らの請求を一部認容した事例。
2016.10.25
賃金等、損害賠償請求控訴事件  (別職種で再雇用は違法 名古屋高裁 トヨタに賠償命令)
LEX/DB25543730/名古屋高等裁判所 平成28年 9月28日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第149号
被告(被控訴人)会社で、60歳に達して定年退職を迎える従業員について、再雇用の選定基準を満たした者は定年後再雇用者就業規則に定める職務を提示し、当該基準を満たさない者はパートタイマー就業規則に定める職務を提示することとされているところ、被告会社に雇用されていた原告(控訴人)は、被告会社に対し、原告に対する再雇用拒否の通告は無効であると主張し、原告と被告会社との間のスキルドパートナーとしての再雇用契約に基づいて原告が雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、定年退職の日の翌日からの賃金、及び、一時金並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求め、(2)被告会社には使用者として労働者である原告の健康を配慮する義務を含む安全配慮義務等があるにもかかわらず、上記義務に違反したとして、雇用契約上の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた甲事件、また、原告が、被告会社で組織的ないじめを受けたと主張し、被告会社の代表取締役はこれを防止するべき任務を負い、又は原告に対してこれを防止するべき債務を負うにもかかわらず、その任務懈怠又は債務不履行があったと主張して、被告会社の代表取締役に対し、会社法429条1項又は債務不履行に基づく損害賠償として、慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた乙事件で、原審が、甲及び乙事件の原告の請求をいずれも棄却したため、原告が控訴した事案で、原告の被告会社に対する請求は、127万1500円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとし、これと異なる原判決を変更することとし、原告の被告会社の代表取締役に対する控訴は棄却した事例。
2016.10.18
地位確認等反訴請求控訴事件 (元職員逆転敗訴 労災休職者の解雇有効)
LEX/DB25543681/東京高等裁判所 平成28年 9月12日 判決 (差戻控訴審)/平成27年(ネ)第3505号
業務上の疾病により休業し労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付を受けている被控訴人(1審反訴原告)が、控訴人(1審反訴被告。学校法人)から打切補償として平均賃金の1200日分相当額の支払を受けた上でされた解雇につき、被控訴人は労働基準法81条にいう労働基準法75条の規定によって補償を受ける労働者に該当せず、上記解雇は労働基準法19条1項ただし書所定の場合に該当するものではなく同項に違反し無効であるなどと主張して、控訴人を相手に、労働契約上の地位の確認等を求めたところ、上告審が、本件解雇が労働基準法19条1項に違反し無効であるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして原判決を破棄し、本件解雇の有効性に関する労働契約法16条該当性の有無等について更に審理を尽くさせるため、控訴審に差し戻した事案において、本件解雇が、客観的に合理的理由がなく、社会通念上相当でないということはできず、解雇権の濫用に当たるとは認められないから、本件解雇は有効であるというべきであるとし、地位確認を求める被控訴人の請求は理由がなく棄却すべきところ、これと結論を異にする原判決は失当であるとして、本件控訴は理由があるから、本件控訴に基づき原判決中控訴人敗訴部分を取り消した事例。
2016.10.18
遺族補償給付等不支給処分取消請求控訴事件 (コンビニ店長自殺 労災認定)
LEX/DB25543680/東京高等裁判所 平成28年 9月 1日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第24号
原告(控訴人)が処分行政庁に対し、原告の子であるdが過重な業務に従事したことにより精神障害を発病して自殺したと主張して、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償一時金及び葬祭料を請求したところ,処分行政庁がdには労働基準法施行規則別表第1の2第9号に定める疾病が発病していないとして、上記遺族補償一時金及び葬祭料を支給しない旨の処分をしたため、原告が被告(被控訴人。国)に対し、本件処分の取消しを求めたところ、原審は、dの自殺には業務起因性が認められないため、上記処分は適法であると判断し、原告の請求をいずれも棄却したことから、これを不服とする原告が控訴した事案において、平成20年12月中旬頃に発病した精神障害及びその影響下における自殺には、業務起因性が認められるということができるとし、上記処分は違法であり、本件控訴は理由があるから、原判決を取消し、上記処分を取り消した事例。
2016.10.18
解雇無効確認等請求控訴事件 (東芝解雇訴訟 東芝に6000万円賠償命令)
LEX/DB25543679/東京高等裁判所 平成28年 8月31日 判決 (差戻控訴審)/平成26年(ネ)第2150号
1審被告の従業員であった1審原告が、鬱病に罹患して休職し、休職期間満了後に1審被告から解雇されたことにつき、上記鬱病は1審被告における過重な業務に起因するものであるから、上記解雇は労働基準法19条1項本文等に違反する無効なものであると主張して、1審被告に対し、安全配慮義務違反等による債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求としての休業損害や慰謝料等の支払及び1審被告の会社規程に基づく見舞金等の支払を求め、上告審が、損害賠償の額を定めるに当たり、各金員の額を控除した原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中損害賠償請求に関する1審原告敗訴部分は破棄を免れず、また、原判決中見舞金支払請求に関する1審原告敗訴部分についても、これを破棄し、同部分につき本件を差し戻した控訴審の事案において、1審原告の請求のうち、〔1〕損害賠償(休業損害を除いた慰謝料等)請求は、損害賠償金603万4000円及びこれに対する平成16年12月10日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、〔2〕損害賠償(休業損害)請求は,平成28年6月20日までの損害賠償金(休業損害)と確定遅延損害金を合わせた5186万0526円及びうち損害賠償金3528万5995円に対する遅延損害金の支払を求める部分並びに同月25日から本判決確定の日まで,毎月25日限り月額47万3831円の損害賠償金及びこれらに対する各月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分について、〔3〕見舞金支払請求は、見舞金160万円及びこれに対する平成22年7月22日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、いずれも認容し、他方で、上記各請求に係るその余の部分は棄却した。これに対し、1審被告の控訴は棄却した事例。