注目の判例

労働法

2014.04.01
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25446281/名古屋高等裁判所 平成26年2月13日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第523号
一審被告の従業員で一審原告に出向していたAが、その地位を利用して原告の金員を横領したとして、原告が、A及び被告に対し、損害賠償を求めたところ、請求が一部認容され、原告及び被告が、控訴した事案において、法令や原告の規則等に違反して原告に損害を負わせることのない者を出向させることは被告の最低限の義務であり、出向者が法令や原告の規則等に違反した場合に原告が被る損害を填補させる目的で本件補償条項が規定されたものであることも考慮すると、Aの横領行為によって原告が被った損害に対する被告の帰責性は相当に大きいものというべきであり、その損害については、それぞれ5割を負担するものというべきであるとし、原告の控訴を棄却し、被告の控訴に基づき、原判決を一部変更した事例。
2014.04.01
懲戒免職処分取消請求事件
LEX/DB25503104/東京地方裁判所 平成26年2月12日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第675号
水産庁の職員であった原告が、酒酔い運転を理由として、水産庁長官から国家公務員法82条1項1号及び3号に基づく懲戒免職処分を受けたことから、同処分の違法性を主張してその取消しを求めた事案において、諸事情を総合考慮すれば、原告を停職ではなく免職とした処分は、酒酔い運転に対する処分量定として重きに失するというべきであり、社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、濫用した違法があるとして、請求を認容し、懲戒免職処分を取り消した事例。
2014.03.25
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25502987/大阪高等裁判所 平成26年1月31日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第1959号
控訴人(原告)が、一審被告町の設置する中学校の柔道部に所属していた控訴人の長男が、同柔道部の練習中、頭部を負傷し、急性硬膜下血腫により死亡したことについて、当時、同柔道部の顧問であった被控訴人(被告)及び同中学校の学校長には安全配慮義務を怠った過失があると主張して、一審被告町に対しては国家賠償法1条1項に基づき、被控訴人に対しては不法行為に基づき、連帯して、損害賠償金の支払いを求め、原審が、一審被告町に対する請求を一部認容し、その余を棄却した事案において、被控訴人は、不法行為責任を負わないとして、控訴を棄却した事例。
2014.03.25
賃金請求反訴事件
LEX/DB25502931/東京地方裁判所 平成26年1月30日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第35812号
反訴被告の従業員であった反訴原告らが、反訴被告に対して、各反訴原告らの退職日までの間の賃金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、反訴被告は反訴原告らが反訴被告に対して労務を提供していないとして、その賃金請求権の発生を争うとともに、抗弁として賃金請求権が第三者弁済によって消滅した旨、反訴原告らの請求が権利濫用に該当する旨主張したが、反訴被告の主張を退け、反訴原告らの請求をいずれも全部認容した事例。
2014.03.25
分限免職処分取消請求事件
LEX/DB25502930/東京地方裁判所 平成26年1月29日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第435号
被告である青ヶ島村の職員であった原告が、青ヶ島村長から、地方公務員法28条1項3号に基づく分限免職処分を受けたことから、本件処分の違法性を主張して、本件処分の取消を求めた事案において、原告が、現に就いている職に限らず、転職可能な他の職を含めたすべての職について、簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因して職務の円滑な遂行に支障があり、又は支障を生ずる高度の蓋然性があるとは認められず、これに反する村長の分限免職事由該当性に係る判断には、裁量権の逸脱・濫用があるというべきであり、本件処分の取消しを免れないとして、請求を認容した事例。
2014.02.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25502745/名古屋地方裁判所 平成26年1月15日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1947号
被告会社の従業員として勤務していた被災者の相続人である原告らが、被災者が自殺したのは、被告会社の代表取締役である被告X及び被告会社の監査役である被告Yの被災者に対する暴言、暴行あるいは退職強要といった日常的なパワハラ(パワーハラスメント)が原因であるなどとして、被告らに対し、不法行為に基づき、被告会社に対し、会社法350条及び民法715条に基づき、それぞれ損害賠償金の連帯支払を求めた事案において、被告Xの被災者に対する暴言、暴行及び退職強要のパワハラが認められるところ、被告Xの被災者に対する前記暴言及び暴行は、被災者の仕事上のミスに対する叱責の域を超えて、被災者を威迫し、激しい不安に陥れるものと認められ、不法行為に当たると評価するのが相当であり、また、本件退職強要も不法行為に当たると評価するのが相当である(原告らが主張する被告Yのパワハラを認めることはできない)とした上で、被告Xは被告会社の代表取締役であること、及び、被告Xによる被災者に対する暴言、暴行及び本件退職強要は、被告会社の職務を行うについてなされたものであることが認められるのであるから、会社法350条により、被告会社は、被告Xが被災者に与えた損害を賠償する責任を負うとした事例。
2014.02.10
地位確認等請求事件
LEX/DB25502677/東京地方裁判所 平成25年12月18日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1579号
原告が、被告による解雇は無効であると主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、解雇後の賃金等及び不法行為に基づく損害賠償金の支払を求めた事案において、本件解雇は、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当であるものとは認められないから、その権利を濫用したものとして無効であるとして、原告の確認請求及び賃金支払請求を認容し、その余の請求は棄却した事例。
2014.02.10
損害賠償請求事件
LEX/DB25502652/千葉地方裁判所 平成25年12月11日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1085号
千葉県がんセンターの手術管理部に所属する麻酔科医であった原告が、同部で実施する歯科医師の医科麻酔科研修の問題点に関し、同部長を経由することなく、センター長に対する上申をしたところ、それ以来、同部長から、同センターで実施する一切の手術の麻酔の担当から外すなどの報復措置を受け、退職を余儀なくされたと主張して、同センターの設置者である被告(千葉県)に対し、国家賠償法1条1項又は民法715条1項に基づく損害賠償の支払いを求めた事案において、原告は、被告の職員である部長の違法な公権力の行使によって損害を与えられたものであるとして、被告は損害賠償責任を負うとし、原告の請求を全部認容した事例。
2014.02.10
損害賠償等請求事件
LEX/DB25502655/東京地方裁判所 平成25年12月11日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第47912号等
被告証券会社(被告銀行の子会社)の従業員であった原告らが、被告証券会社に対しては、主位的に労働契約に基づく賞与の支払いを、予備的に賞与請求権侵害の不法行為に基づく損害賠償金の支払いを、被告銀行(ドイツ連邦共和国内に本店を有する会社)に対しては、賞与請求権侵害の不法行為に基づく損害賠償金の支払いを求めた事案において、原告らの被告銀行に対する訴えについて、我が国に国際裁判管轄権があると認めた上で、被告らが原告らの本件裁量賞与の請求権を侵害した事実を認めることはできないから、原告の主張の不法行為の成立を認めることはできないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2014.02.10
じん肺管理区分決定処分取消等請求事件
LEX/DB25502651/福岡地方裁判所 平成25年12月10日 判決 (第一審)/平成22年(行ウ)第41号
原告が、福岡労働局長(処分行政庁)に対し、じん肺法15条に基づき、じん肺管理区分の決定に関する申請をしたところ、処分行政庁から、じん肺の所見がないと認められるものに該当する旨の決定を受け、これを不服として審査請求を行ったが棄却されたため、決定及び裁決の取消しを求めるとともに、理由不備の違法によって精神的苦痛を受けたとして、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払いを求めた事案において、原告は、じん肺(石綿肺)に罹患しているものと認められ、少なくともじん肺管理区分の管理2には該当すると解され、原告には「じん肺の所見がない」と判断して管理1とした本件決定を取り消し、裁決の取消請求は却下し、その余の請求を棄却した事例。
2014.02.04
残業代等請求事件
LEX/DB25446157/最高裁判所第二小法廷 平成26年1月24日 判決 (上告審)/平成24年(受)第1475号
上告人(一審被告)に雇用されて添乗員として旅行業を営む会社に派遣され、同会社が主催する募集型の企画旅行の添乗業務に従事していた被上告人(一審原告)が、上告人に対し、時間外割増賃金等の支払を求めた事案の上告審において、上告人は、上記添乗業務については労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとして所定労働時間労働したものとみなされるなどと主張したが、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、本件会社と添乗員との間の業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等に鑑みると、本件添乗業務については、これに従事する添乗員の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認め難く、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないと解するのが相当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2014.01.28
再任用拒否処分取消等請求事件(東京都(再任用拒否)事件)
LEX/DB25501502/東京地方裁判所 平成25年7月8日 判決 (第一審)/平成22年(行ウ)第411号
原告が、被告が原告に対してした再任用拒否処分は、被告の再任用選考に係る裁量権の逸脱、濫用に当たるとして、前記再任用拒否処分の取消し、再任用職員としての採用の義務付けを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき、再任用された場合の報酬相当額、期末勤勉手当、期待権の侵害による慰謝料及び弁護士費用の各支払を求めた事案において、再任用拒否処分の取消しを求める部分及び再任用職員として採用する旨の義務付けを求める部分をいずれも却下し、その余の請求を棄却した事例。
2014.01.14
地位確認等請求事件
LEX/DB25502366/東京地方裁判所 平成25年11月12日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第14574号
原告らが、被告(株式会社リコー)による出向命令について、業務上の必要性及び人選の合理性を欠き原告らに著しい不利益を与えるものである上、原告らに自主退職を促す不当な動機・目的に基づくものであるから出向命令権の濫用として無効であるなどと主張して、被告に対し、上記出向命令に基づく出向先において勤務する労働契約上の義務が存在しないことの確認、原告らへの退職強要行為又は退職に追い込むような精神的圧迫の差止め、並びに労働契約上の信義誠実義務違反及び不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、本件出向命令は、事業内製化による固定費の削減を目的とするものとはいい難く、人選の合理性(対象人数、人選基準、人選目的等)を認めることもできないから、原告らの人選基準の一つとされた人事評価の是非を検討するまでもなく、本件出向命令は、人事権の濫用として無効というほかないとする一方、本件出向命令が不法行為にあたるとはいえず、また、一連の退職勧奨は、説得活動として社会通念上相当と認められる範囲の正当な業務行為であったというべきであるとして、原告らの請求を一部認容、一部棄却した事例。
2014.01.14
地位確認等請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25502110/東京高等裁判所 平成25年7月18日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第2937号等
控訴人の従業員であった被控訴人が、同人が酒気帯び運転をして事故を起こした上、事故現場から逃走するという本件非違行為を理由に控訴人を懲戒解雇されたことから、主位的には労働契約上の地位確認等を、予備的には退職金の支払を求めたところ、予備的請求の一部が認容されたため、控訴人が敗訴部分について控訴した事案において、本件非違行為が被控訴人のそれまでの永年の勤続の功を抹消するほどの重大な不信行為であるとまではいえないが、これを相当程度減殺するものであるとして、控訴を棄却した事例。
2014.01.14
文書提出命令申立についてした決定に対する抗告事件(ニチアス(石綿曝露・文書提出命令)事件)
LEX/DB25502326/大阪高等裁判所 平成25年6月19日 決定 (抗告審)/平成25年(ラ)第220号
本案事件は、原審相手方の元従業員である原審申立人らが、原審相手方の本件工場において十分な安全対策の施されないまま職務に従事したため、石綿粉じんの曝露を受け、石綿関連疾患に罹患したと主張して、原審相手方に対し、安全配慮義務違反の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求めた事件で、本件において、原審申立人らは、本件工場においてどの作業場所でどの時期に粉じんが飛散していたかを明らかにするためとして、民事訴訟法220条4号に基づき、本件文書1(3)等の提出を求めた事案の抗告審において、本件文書4ないし9の提出を求める申立ては、文書の表示及び趣旨の特定を欠く不適法な申立てであるとして、本件文書1(1)ないし(3)の提出を命じ、本件文書4ないし9の提出の申立てをいずれも却下した原決定は相当であるとして、原審申立人ら及び原審相手方の本件各抗告をいずれも棄却した事例。
2013.12.24
未払賃金等請求事件(帝産キャブ奈良事件)
LEX/DB25502181/奈良地方裁判所 平成25年3月26日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第825号
原告ら乗務員が、タクシー事業を営む被告に雇用されてタクシー乗務員として勤務していたが、本件請求期間の勤務に対して被告から支払われた賃金が最低賃金を下回っており、さらに原告の一部については割増賃金の一部に未払がある等主張して、被告に対し、雇用契約に基づく賃金請求として、未払賃金等の支払を求めた等の事案において、被告が第1次精算を行ったことをもって、被告において、平成21年10月20日以前の勤務に係る、第1次精算により支払われる金員以外の原告ら乗務員の未払賃金債権につき承認したと認めることはできず、時効の中断ないし時効援用権の喪失があったと認めることはできないとし、そして、被告による時効の援用が権利濫用に当たると認めるに足りる事情もないから、同日以前に支払期の到来した平成21年9月度分以前の勤務に係る請求権については、時効により消滅したと示しつつ、原告らの請求を一部認容した事例。
2013.11.19
割増賃金等請求事件
LEX/DB25502051 / 京都地方裁判所 平成25年10月9日 判決 (第一審) / 平成23年(ワ)第3988号
被告(飲食店の経営を主たる業とする株式会社)に勤務していた原告が、被告に対し、時間外手当、付加金等の請求をした事案において、勤務時間は原告主張のとおりであるとして時間外手当を認定した上、うち一部は時効消滅したものとして算定し、付加金についても一部を認めるなどして、請求を一部認容、一部棄却した事例。
2013.11.19
 
LEX/DB25502094 / 最高裁判所第三小法廷 平成25年9月24日 決定 (上告審 / 平成23年(オ)第1510号等)
原告ら(被控訴人、被上告人兼相手方)の子であるGが、被告会社(控訴人、上告人兼申立人)に入社し、被告会社が運営する店舗で勤務していたところ、急性左心機能不全により死亡したことにつき、Gの死亡の原因は長時間労働にあると主張して、原告らが、被告会社及び被告会社の取締役である被告らに対し、損害賠償を求めたところ、原判決が、請求を一部認容した第一審判決を維持したため、被告らが上告した事案において、民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民事訴訟法312条1項又は2項に限られるところ、本件上告理由は、理由の不備をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとし、上告を棄却した事例。
2013.11.12
地位確認等請求控訴事件(日本ヒューレット・パッカード(解雇)事件)
LEX/DB25501743 / 東京高等裁判所 平成25年3月21日 判決 (控訴審) / 平成24年(ネ)第5253号
被控訴人に雇用されていた控訴人が、被控訴人が控訴人に対してした本件解雇の効力を争い、被控訴人に対し、労働契約上の地位にあることの確認を求めるとともに、未払賃金の支払等を求めた事案の控訴審において、控訴人の言動が、被控訴人と取引先との間の信頼関係を毀損したばかりでなく、被控訴人の会社内部の円滑な業務遂行に支障を生じさせたことは明らかであり、控訴人については、被控訴人就業規則37条8号の「勤務態度が著しく不良で、改善の見込みがないと認められるとき」に該当するというべきであると示し、控訴人が労務軽減等の配慮を必要とするほどの精神的不調を抱えていたと認めることはできないし、被控訴人が控訴人を排除する意図で不当な対応を繰り返していたと認めることもできず、結論として、本件解雇は有効なものというべきであるとして、本件控訴を棄却した事例。
2013.11.05
時間外手当等請求事件
LEX/DB25501773 / 奈良地方裁判所 平成25年9月24日 判決 (第一審) / 平成20年(行ウ)第15号
被告(奈良県)が開設、運営している病院において産婦人科の医師として勤務する原告らが、被告病院における宿直勤務及び日直勤務等から要請があった場合に診療等に当たるために当番制で行われている自宅等での待機は時間外勤務、休日勤務及び深夜勤務に当たり、原告らは時間外勤務等に従事したにもかかわらず、被告が相応する割増賃金を支払わないと主張して、被告に対し、労働基準法37条の割増賃金又は不法行為に基づく損害賠償として、割増賃金の未払分等の支払いを請求した事案において、被告は労基法上定められた割増賃金を支払うべき義務があるとして、原告らの請求を一部認容、一部棄却した事例。