イベント開催報告

「TKCタックスフォーラム2011」が盛大に開催されました

主催:TKC税務研究所 共催:公益財団法人租税資料館 後援:TKC全国会
とき:平成23年6月16日(木) ところ:ホテル日航東京

今年で8回目を迎える「TKCタックスフォーラム2011」が6月16日(木)、500名を超える参加者を得てホテル日航東京において開催された。午前中はTKC神奈川会、TKC西東京山梨会の会員による研究発表、午後には財務省大臣官房審議官による講演と国際課税に関するパネルディスカッションがあり、職業会計人を取り巻く今日的なテーマについての意見交換と情報発信が行われた。

TKCタックスフォーラム2011

(※敬称略)

開会の挨拶

TKC税務研究所所長 森 幹雄
森 幹雄所長

森 幹雄所長

 本日のタックスフォーラムは3部構成になっています。第1部は2つの地域会による研究発表で、テーマは「租税法律主義と通達課税」と「『税理士』そのあるべき姿」です。いずれも実務を行う上で、あるいは税理士の役割を考える上で役に立つものと考えています。

 第2部は宮内豊審議官による講演です。政府は現在東日本大震災の復興に向け全力をあげていますが、その財源をどう賄うべきか、あるいは社会保障と税の問題、消費税の問題など、中長期的な税制の諸課題についてお話しいただきます。

 第3部は「企業の海外進出に伴う課税問題への対応」に関するパネルディスカッションです。近年、アジア市場の急速な拡大を背景に海外に進出する中小企業が増加しています。そうした企業が求めているノウハウについて、各分野の専門家に幅広く議論をお願いしています。

 最後に開催にあたり多くの方にご支援、ご協力を賜り厚くお礼を申し上げます。

研究発表1 租税法律主義と通達課税

発表者:TKC神奈川会(リーダー:久保田 弘会員

TKC神奈川会

 研究発表はゼミを模した形式で、グループメンバーが教授役と学生役に分かれて議論を展開。通達課税の具体例として財産評価基本通達の問題点や同族関係者等の立場による株式の評価額の違いなどについて、学生役の発表者が質問を投げかけ教授役の発表者が解説を交えて回答。租税法律主義に基づく裁判例などを通じて、通達課税の問題点を検証した。

PDFにて「研究発表1」の詳細をご覧いただけます。

研究発表2 『税理士』そのあるべき姿

発表者:TKC西東京山梨会(リーダー:櫻井政伸会員

TKC西東京山梨会

 研究発表に先立ち、税理士に対して持っているイメージを様々な人にインタビューし答えてもらっているドキュメンタリーDVDを上映。

 続いて西東京山梨会の10名の発表者が登壇し、税理士の独立性や資格・試験制度、あるいは納税意識の普及など、税理士に求められる役割について意見を述べ、現在は会社のビジネスドクターとしての役割がより重視されているとした。

PDFにて「研究発表2」の詳細をご覧いただけます。

講演 税制の当面の諸課題

講師:財務省大臣官房審議官 宮内 豊
宮内豊審議官

宮内 豊審議官

 宮内審議官は、税制における当面の課題として、平成23年度税制改正と東日本大震災への税制上の対応を挙げるとともに、中長期的な課題として社会保障と税の一体改革に触れた。

 特に東日本大震災に関連し、大震災関連寄附に係る寄附金控除の拡充や震災損失の繰戻しによる法人税額の還付など、その緊急対応策について説明を行った。

パネルディスカッション

企業の海外進出に伴う課税問題への対応
●パネリスト
 国税庁長官官房国際業務課長   伏見俊行
 筑波大学大学院教授       青山慶二
 KPMG税理士法人パートナー  高嶋健一
 三井物産(株)経理部税務統括室次長 関隆一郎
●コーディネーター
 税理士法人プライスウォーターハウス
 クーパース顧問         岡田至康

パネルディスカッション

 コーディネーターと4名のパネリストが、直接投資に係る問題、紛争解決、条約上の規定による影響など国際課税で生じる問題を分析。国税庁、研究者、会計人、企業それぞれの立場から対応策を発表し、意見交換を行った。

 また今後の課題として、いかに課税リスクや調査などに係るコストを最小化するかという点を挙げた。

PDFにて「パネルディスカッション」の詳細をご覧いただけます。

閉会の挨拶

公益財団法人租税資料館代表理事 河﨑照行
河﨑照行代表理事

河﨑照行代表理事

 本日は、宮内審議官の講演をはじめ、研究発表、パネルディスカッションと非常に勉強になるお話をいただきました。心よりお礼を申し上げます。

 現在、中小企業庁と金融庁が協力して中小企業の会計について見直しを行っていますが、新しいルールは地に足のついた実効性の高いものです。そして、その普及には税理士の皆様のご協力が不可欠です。是非ご協力をお願いします。

 最後に、今回のフォーラムが皆様の業務のお役に立つことを願っています。

(TKC出版 村井剛大)

(会報『TKC』平成23年8月号より転載)