「TKCタックスフォーラム2014」が、約500名の参加のもとリーガロイヤルホテル東京で開催された。今年は税務研究所設立30周年記念として、自民党税制調査会会長の野田毅議員、青山慶二早稲田大学大学院教授、大淵博義中央大学名誉教授による3つの特別講演が行われたほか、稲垣光隆国税庁長官(当時)による講演、会計帳簿の法的意義をテーマとしたパネルディスカッションがあった。
主催:TKC税務研究所 共催:公益財団法人租税資料館 後援:TKC全国会
とき:平成26年6月20日(金) ところ:リーガロイヤルホテル東京
(※敬称略)
開会の挨拶

TKC税務研究所所長 森 幹雄
TKC税務研究所所長 森 幹雄
TKC税務研究所は昭和59年10月に「公正にして権威ある研究機関を目指して」設立され、本年の10月で30周年を迎えます。今回のフォーラムは30周年を記念して、税務研究所の歴史よりも長い40年以上にわたり衆議院議員として活躍されている野田毅先生を講師としてお招きいたしました。野田先生には最近の税制改革の動向、とりわけ法人税改革、来年10月に予定されている消費税引上げや軽減税率の問題などについてお聞きできるのではないかと期待しております。
また、青山教授、大淵教授は、それぞれ国際課税関係、税務訴訟関係に長年にわたり携わってこられた先生です。本日はこれまでの経験を踏まえ、判例など含めた最新の情報をお話しいただきます。
稲垣国税庁長官には、「国際的な租税回避」、「制度改正」など税務行政を取り巻く環境が大きく変化するなか、その現状と課題、あるいは対応について語っていただきます。
パネルディスカッションでは、租税法、会計学に精通している大学教授、実務家にお集まりいただき、商法・会社法における会計帳簿に関する規程、あるいは租税法における記帳に関する規程の意義などについて幅広く議論していただきます。
本日のフォーラムが、皆さまの今後の実務において少しでも役立てば幸いです。
特別講演
今後の税制の展望と課題について

衆議院議員・自民党税制調査会会長
野田 毅
グローバルビジネスの展開と国際課税の課題

早稲田大学大学院教授
青山慶二
税法解釈における租税法律主義と租税公平主義との相克
── 課税庁・研究者としての税務訴訟の経験からの模索

中央大学名誉教授
大淵博義
講演
税務行政の現状と課題

国税庁長官
稲垣光隆(当時)
パネルディスカッション
会計帳簿の租税法上の法的意義
◎パネリスト
同志社大学法学部教授 田中 治
専修大学法学部教授 増田英敏
筑波大学大学院教授 弥永真生
税理士 今仲 清
◎コーディネーター
TKC静岡会会長 坂本孝司

PDFにて「パネルディスカッション」の詳細をご覧いただけます。
閉会の挨拶

公益財団法人租税資料館代表理事
河﨑照行
公益財団法人租税資料館代表理事 河﨑照行
閉会にあたり2点申し上げます。1点目は、共催の公益財団法人租税資料館の取り組みです。
租税資料館は平成3年に飯塚毅TKC全国会初代会長によって設立されたわが国最大の租税に関する専門図書館で、その事業の柱の一つに「租税研究、会計研究に関する人材の育成」があります。本年から新しい試みとして、東南アジア諸国から学生を受け入れ、日本の税理士資格を取得していただくための支援をいたします。彼らが将来、皆さまのクライアントが東南アジア諸国に進出したときに力になってくれる、そうした人材を育てていこうという狙いです。
2点目はお願いですが、中小会計要領の一層の普及にぜひご尽力いただきたいということです。現在TKC会員の皆さまは「認定支援機関による経営改善計画策定支援事業7,000件」を目標としていますが、こうした目標を達成するためにも、記帳の重要性を謳っている中小会計要領の普及は重要です。わが国における中小会計要領の定着のために、皆さまの一層のご協力をお願いいたします。
今年のタックスフォーラムでは、パネルディスカッションで会計帳簿の法的意義について真正面から採りあげられ、実務家、学者双方の視点から深い考察がなされるとともに、野田毅衆議院議員も講演の中で真実を記帳することの重要性に言及するなど、「会計帳簿の信頼性」が一つのトピックスとなった。
参加者が日本の租税法における帳簿の証拠性について、あるいは記帳条件のあるべき姿について考える貴重な機会となった。
(TKC出版 村井剛大)
(会報『TKC』平成26年8月号および9月特別号より転載)