注目の判例

刑法

2014.12.22
「陸山会」 政治資金規正法違反事件
「新・判例解説Watch」H27.2月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25504933/最高裁判所第三小法廷 平成26年9月30日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第712号
被告人Aは、衆議院議員Dの資金管理団体であるE会の会計責任者であり、被告人B及び被告人CはE会の会計責任者の職務を補佐をしていたものであるが、F建設会社が、E会に政治活動に関する寄附をすることができないので、寄附の事実を発覚しないようにするために、他の団体の名義を使って政治活動に関する寄附を行ったのに、E会の収支報告書に他の団体から寄附があった旨の虚偽の記載を記入した上、E会がDから借りた4億円をE会の収支報告書に記載せず、かつ、かかる4億円を原資として支払った土地代金等をE会の収支報告書に記載しないよう画策したことを端緒として行われたE会の収支報告書における虚偽記入や必要事項を記載しなかったとして、政治資金規正法違反に問われた事案において、原々判決は、被告人Aに対し禁錮3年、執行猶予5年、被告人Bに対し禁錮2年、執行猶予3年、被告人Cに対し、禁固1年、執行猶予3年を言い渡し、被告人らがこれを不服として控訴したが、原判決が控訴を棄却したため、被告人Bが上告した事案において、上告趣意は上告理由に当たらないとして上告を棄却した事例。
2014.12.22
詐欺被告事件(無罪)
LEX/DB25504929/東京地方裁判所 平成26年9月4日 判決 (第一審)/平成25年(刑わ)第1717号
被告人らが、共謀の上、ゴルフ場が暴力団員の利用を禁止しているにもかかわらず、被告人らが暴力団員であることを秘して当該ゴルフ場の施設利用を申し込み、従業員をして被告人らがいずれも暴力団員ではないと誤信させ、2回にわたり当該ゴルフ場の施設を利用する利便の提供を受けて、財産上不法の利益を得た事案において、本件公訴事実については、詐欺罪にいう「人を欺く行為」には当たらないという点で、犯罪の証明がないから、刑事訴訟法336条により、被告人3名に対し、いずれも無罪を言い渡した事例。
2014.12.16
わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管被告事件
LEX/DB25446785/最高裁判所第三小法廷 平成26年11月25日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第510号
被告人らが運営する配信サイトには、インターネットを介したダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能が備付けられていたのであって、顧客による操作は被告人らが意図していた送信の契機となるものにすぎず、被告人らは、これに応じてサーバコンピュータから顧客のパーソナルコンピュータへデータを送信したというべきであり、不特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても、その操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用して送信する方法によって、わいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータ等の記録媒体上に記録、保存させることは、刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たり、被告人に対しわいせつ電磁的記録等送信頒布罪及びわいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪の成立を認めた原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2014.12.16
各特定商品等の預託等取引契約に関する法律違反被告事件(安愚楽牧場事件)
LEX/DB25505061/東京高等裁判所 平成26年10月16日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第223号
特定商品等の預託等取引契約に関する法律に定める特定商品に該当する黒毛和種牛の繁殖牛に関する預託等取引業を行う本件会社の代表取締役として同社の業務全般を統括していた被告人A及び同被告人を保佐していた被告人Bが、黒毛和種牛売買・飼養委託契約の締結について顧客を勧誘するに当たり、約定通り顧客に割り当てる繁殖牛が存在しないにもかかわらず、オーナー契約申込みを希望する顧客に対し、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要な特定商品の保有の状況につき不実のことを告げたという事案の控訴審において、原判決後、被告人両名がそれぞれ反省の弁を述べ、被告人両名が被害者192名中162名に対し、不実の告知を受けて締結した契約に基づき本件会社に払い込んだ額を連帯して返還する旨を約し、現実に一部を支払って示談が成立していること等の事情から、原判決を破棄し、被告人Aを懲役2年6月に、被告人Bを懲役2年に処するとした事例。
2014.12.16
自動車運転過失傷害(変更後の訴因危険運転致傷)被告事件
LEX/DB25505063/京都地方裁判所 平成26年10月14日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1335号
被告人が、左折先の歩道上に小学生らがいるのを見ていながら、公道上で無謀にもドリフト運転を試み、これに失敗して自車左後部をガードレールに衝突させた上、折から歩道上を登校のため歩行中の小学生Aほか4名に衝突させるなどし、よって、同人らに本件各傷害を負わせた等の本件事故を起こしたとされた自動車運転過失傷害(変更後の訴因危険運転致傷)被告事件の事案において、被告人車両が高速度、すなわち、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって自車を進路から逸脱させて自己を発生させることになると認められるような速度で走行したが故に、本件事故が生じたと認めるには、なお合理的疑いが残るといわざるを得ないとして、被告人の行為は、危険運転致傷罪の構成要件には該当しないと示し、犯行当時、少年であった被告人を懲役1年6月以上2年6月以下に処した事例。
2014.12.16
恐喝被告事件(無罪言い渡し)
LEX/DB25505068/京都地方裁判所 平成26年10月1日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第352号
被告人が、自己が指定暴力団六代目山口組二代目弘道会D一家の若頭の地位にあることを利用し、かねてから同D一家を脱退することを希望していたAから、脱退を承認する見返りとして、会費の名目で現金を脅し取ろうと企てた等とされた恐喝被告事件の事案において、関係証拠を総合すると、AがD一家を脱退する見返りに被告人から本件要求を受けて現金を脅し取られていたというよりも、むしろ、D一家の企業舎弟として株式会社Eの経営等を行う対価として任意に会費を支払っていたと仮定するほうが、関係証拠により認められる事実関係を合理的に説明することができる等とし、被告人が本件要求行為を行ったと認めるにはなお合理的疑いが残るというべきであるとして、本件公訴事実については犯罪の証明がないことに帰するとして、刑事訴訟法336条により被告人に無罪を言い渡した事例。
2014.12.09
殺人,死体遺棄被告事件(宮崎家族3人殺害事件)
LEX/DB25446772/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月16日 判決 (上告審)/平成24年(あ)第736号
被告人が、自宅において、同居していた長男、妻及び義母の3名を殺害した上、勤務先の建築会社の資材置場の土中に長男の死体を遺棄した事案の上告審において、被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても、その刑事責任は誠に重大であり、被告人を死刑に処した第一審判決を維持した原判断は、当裁判所もこれを是認せざるを得ないとした事例。
2014.12.09
詐欺被告事件(宝石店元専務 架空投資詐欺事件)
LEX/DB25504981/名古屋高等裁判所 平成26年10月15日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第179号
被告人が、その経営するA社が信用金庫から融資を受けるに当たり、県保証協会と市保証協会の各担当者を欺いて、各3500万円の信用保証をさせ、B社への投資名目で、前後3回にわたりCから現金をだまし取った事実につき、懲役3年が言い渡されたため、被告人が控訴した事案において、本件保証詐欺の事案は、両保証協会の担当者らに対し、A社の財務状況について著しい虚偽を告げて、高額の信用保証をさせるに至ったというものであり、多額の損害が現実化しており、本件各信用保証を受けることについては、A社の運転資金等を確保するため、あえて不正な手段で信用保証を得たという経緯、動機に、特に酌むほどのものがあるともいい難く、原判決の量刑が重過ぎて不当であるとは認められないとし、控訴を棄却した事例。
2014.12.09
わいせつ図画販売幇助、わいせつ図画販売・頒布幇助、わいせつ図画販売各被告事件
(日本ビデオ倫理協会裁判)
LEX/DB25446771/最高裁判所第三小法廷 平成26年10月7日 判決 (上告審)/平成24年(あ)第1080号
アダルトビデオの自主審査機関(日本ビデオ倫理協会)の元審査員であった被告人らが、アダルトDVDの適切な審査を怠ったとして、わいせつ図画販売幇助罪等で起訴された事案の上告審において、本件各上告趣意のうち、わいせつ図画の販売を禁じた刑法175条の規定が、憲法21条に違反するとの被告人側の主張を斥け、本件各上告を棄却した事例。
2014.12.09
 
LEX/DB25504988/最高裁判所第三小法廷 平成26年9月24日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第963号
被告人が、Eを殺害する目的で、E方離れに無施錠の玄関から侵入し、Eに対し、殺意をもって、あらかじめ用意していたナイフで左胸部を数回突き刺すなどし、よって、Eを左肺刺創による失血により死亡させて殺害し、業務その他正当な理由による場合でないのに、前記ナイフを携帯した事実につき、原判決が、懲役16年を言い渡した第一審判決を維持し、被告人の控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、弁護人の上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとし、上告を棄却した事例。
2014.12.09
 
LEX/DB25504987/最高裁判所第二小法廷 平成26年9月17日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第401号
被告人が、A社代表取締役Bが看守する会社事務所に侵入し、同人管理の現金を窃取し、現金を窃取する目的でC方居宅に侵入し、台所にあった包丁を目にするや、本件包丁を用いて、同居宅にいる人を脅して現金を強取しようと決意し、Cに対し脅迫を加え現金を強取しようとした際、同人から抵抗を受けるなどしたため、殺意をもって、同人の頸部等を包丁で突き刺すなどし、同人を失血により死亡させて殺害するなどした事実につき、原審が、無期懲役を言い渡した第一審判決を維持し、被告人の控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、弁護人の上告趣意は、判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとし、上告を棄却した事例。
2014.12.09
建造物侵入、現住建造物等放火、殺人未遂、公務執行妨害被告事件(宝塚市役所放火事件)
LEX/DB25504985/大阪高等裁判所 平成26年7月1日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第313号
被告人が、固定資産税等を滞納したことにより、預金債権の差押えを受けたことに不満を持ち、職員に対し危害を加える旨告知して脅迫し、同人らの職務の執行を妨害し、市役所庁舎でポリタンクの中に入ったガソリンをまき散らすなどして火を放ち、室内の床等を焼損するとともに、ガソリンの入ったワインボトルが当たったGらに傷害を負わせたが、殺害するに至らなかった事実につき、懲役18年が言い渡されたため、被告人が控訴した事案において、被告人は、当時、本件庁舎内で火を放てば、Gらを含む多数の職員らが死ぬかもしれないことを認識しながら、それでも構わないと考えて、あえて、火を放ったものであって、Gらに対する包括的な未必の殺意を認めることができるから、死亡する具体的な危険の生じたGらに対する各殺人未遂罪を認めた原判決の判断は正当であるとし、控訴を棄却した事例。
2014.12.09
保護責任者遺棄致死被告事件(1歳男児放置死事件)
LEX/DB25504984/大阪高等裁判所 平成26年6月3日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第1483号
被告人が、子(当時1歳7か月)が高熱を出し、その後も容体が回復しないのを認めていたが、同児に適切な医療措置を受けさせず、気管支肺炎により死亡させた事実につき、懲役5年が言い渡されたため、控訴した事案において、被告人の刑事責任は、幼児等を疎んじて、長期間にわたって食事等を与えなかった結果、幼児等を死亡させるように至ったような事案よりは軽いものの、平素は普通に養育していた者が、一時的に保護責任を尽くさなかったような事案よりは重いのであって、法定刑の下限よりは、ある程度重い刑を科すのが相当であるとした原判決の認定及び評価が誤っているとはいえず、その結果としての量刑判断もやむを得ないものであって、これが重すぎて不当であるとはいえないとし、控訴を棄却した事例。
2014.12.02
麻薬及び向精神薬取締法違反被告事件
LEX/DB25504896/広島高等裁判所 平成26年9月25日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第66号
被告人は、麻薬を施用したとして、麻薬及び向精神薬取締法違反によって起訴され、原審は、被告人に対し無罪を言い渡したので、検察官が控訴をした事案において、公訴事実記載の内容の被告人の麻薬施用の事実を認定できることが明らかであり、原判決は、明らかに証拠の評価を誤り、不合理な判断をしたとして、原判決を破棄し、被告人を懲役2年に処した事例。
2014.12.02
各保護責任者遺棄致死被告事件
LEX/DB25504894/広島高等裁判所 平成26年9月18日 判決 (差戻控訴審)/平成26年(う)第69号
被告人甲及び乙両名は、自宅において、被告人乙の妹であり、医師により統合失調症の診断を受けていた被害者(当時21歳)を引き取り同居し、日常的に同人に虐待を加えていたが、被害者が極度に衰弱しているのを知りながら、共謀の上、生存に必要な保護を加えず、同人を死亡させたとの各保護責任者遺棄致死により起訴され、原審は、両名に懲役6年を言い渡したところ、両名が控訴をした事案において、各控訴を棄却した事例。
2014.11.25
無免許危険運転致傷被告事件(危険運転罪で実刑判決 全国初適用)
LEX/DB25504881/札幌地方裁判所 平成26年9月2日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第532号
被告人は、公安委員会の運転免許を受けないで、平成26年6月7日午前4時頃、札幌市A区内の道路において、普通乗用自動車を運転し、もって無免許運転をするとともに、その頃、同所において、てんかんの影響により、その走行中に発作の影響によって意識障害に陥るおそれのある状態で、同車を運転し、もって自動車の運転に支障を及ぼすおそれのある病気の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、同日午前4時7分頃、同市B区内の道路において、てんかんの発作により意識喪失の状態に陥り、その頃、同所において、自車を対向車線に進出させ、折から対向進行してきた被害者(当時79歳)運転の普通乗用自動車右側面部に自車右前部を衝突させて、同人に加療約2か月間を要する見込みの第2、3腰椎圧迫骨折等の傷害を負わせたとして、被告人を懲役1年10月に処した事例。
2014.11.25
占有離脱物横領、強盗殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、窃盗未遂被告事件
(吉祥寺 通り魔事件(控訴審))
LEX/DB25504810/東京高等裁判所 平成26年9月25日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第619号
少年である被告人が、共犯者と共謀の上、通行中の被害者(当時22歳)に対し、その背後からペティナイフ(刃体の長さ約12.8センチメートル)で左背面を突き刺し、共犯者も同態様で被害者を突き刺すなどして死亡させた上、現金1万円、財布等13点の入ったトートバッグ1個(時価合計約1万800円相当)を強奪した強盗殺人1件、被害者のキャッシュカードにより現金を引き出そうとして暗証番号が合致しなかったことにより目的を遂げなかった等の窃盗未遂3件、占有離脱物横領2件を起こした事案において、原判決は、無期懲役を言い渡したため、被告人が控訴した事案において、控訴を棄却した事例。
2014.11.25
住居侵入、殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(秋田市弁護士殺害事件)
LEX/DB25504834/仙台高等裁判所 平成26年9月24日 判決 (第二次控訴審)/平成26年(う)第87号
被告人は、弁護士である被害者に恨みを抱き、被害者宅に侵入し、被害者(当時55歳)に対し、殺意をもって、刃物(刃体の長さ約22センチメートル)を複数回突き出して、被害者を死亡させたとの住居侵入、殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反により起訴され、原審が、被告人を懲役30年に処し、検察官及び被告人の双方が控訴をした事案において、原判決は、各犯行の罪質の悪質さや計画性等について過小評価し、軽きに失して不当であるとして、原判決を破棄し、被告人を無期懲役に処した事例。
2014.11.25
神奈川県迷惑行為防止条例違反被告事件(無罪)
LEX/DB25504808/東京高等裁判所 平成26年9月18日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第286号
被告人が、走行中の電車内において、乗客の女子高校生である被害者(当時17歳)に対し、被害者の着衣の上から被告人の右手で被害者の股間及び右太ももを撫でるなどして、公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、かつ、人に不安を覚えさせるような方法で、衣服の上から人の身体に触れたとする神奈川県迷惑行為防止条例違反被告事件において、原判決は、罰金30万円を言い渡したため、被告人が控訴した事案において、被害者の公判供述の信用性に疑問があることを理由に、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があるとして原判決を破棄し、無罪を言い渡した事例。
2014.11.25
強制わいせつ被告事件(無罪)
LEX/DB25504806/東京高等裁判所 平成26年9月9日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第176号
被告人が、被害者2名が13歳未満であることを知りながら、被害者らに強制わいせつ行為をしようと考え、小学校の教室において、下着の中に手を差し入れて陰部を触るなどした強制わいせつ被告事件において、原判決は、被害者らの供述が高度の信用性を有するものとはいえず、被告人の自白の信用性を肯定することはできないとして無罪を言い渡したため、検察官が控訴した事案において、控訴を棄却した事例。