注目の判例

民法(財産法)

2018.10.23
損害賠償請求事件(「茶のしずく」石鹸 福岡集団訴訟)
LEX/DB25449631/福岡地方裁判所 平成30年 7月18日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1447号
各原告が、被告Y社(販売会社)及び被告F社(製造元)が製造した石けん(商品名「茶のしずく石鹸」)を使用したところ、同石けん中に成分として含有されていた、被告K社(小麦グルテン加水分解物(商品名「グルパール19S」)製造会社)によって感作されてアレルギーにり患し、それによりアレルギー症状を発症したと主張して、製造物責任法3条に基づき、本件6名原告らを除くその余の各原告は、被告Y社及び被告F社に対しては上記石けんの欠陥を、被告K社に対してはグルパール19Sの欠陥を原因とする損害賠償請求の一部請求として、各1500万円及び遅延損害金の連帯支払を求め、本件6名原告らは、それぞれ、被告K社に対し、グルパール19Sの欠陥を原因とする損害賠償請求の一部請求として、各1500万円及びこれに対する同各原告のアレルギー発症の日以降の日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を求めた事案において、原告14名分については被告3社連帯で認容額を合計約4120万円の支払を命じ、被告Y社と被告F社と和解が成立した本件6名原告らは、被告K社に合計約1615万円の支払を命じた事例。
2018.10.16
損害賠償請求事件(「茶のしずく」石鹸 東京集団訴訟)
LEX/DB25560920/東京地方裁判所 平成30年 6月22日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第11529号 等
原告(23名)らが、本件石けんの使用により小麦アレルギーに罹患し、その多くは小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを発症し、小麦摂取の制限や摂取後の日常生活の制限を受けることとなったなどと主張して、上記石けんを製造販売した被告株式会社Y社、上記石けんを製造した被告F社及び上記石けんの原材料の一つとして配合された加水分解コムギ末を製造した被告K社に対し、製造物責任法3条に基づき、連帯して、損害賠償として、原告一人当たり1500万円又は1000万円の包括一律請求での支払を求めた事案において、本件石けんは通常有すべき安全性を欠いているものと認められ、本件石けんには欠陥があるとし、被告Y社は、製造物責任法2条3項3号の実質的製造業者に当たるとしたした上で、、被告Y社、被告F社に対する請求については、請求額を減額した形で一部認容し、原材料の成分であるグルパール19Sが、完成品の製品設計のいかんにかかわらず社会通念上期待される安全性の水準を欠いているとまでは認められず、グルパール19Sには欠陥がないとして、原材料の小麦由来成分を製造した被告K社に対する請求については、棄却した事例。
2018.09.25
検索結果削除請求控訴事件
LEX/DB25561115/東京高等裁判所 平成30年 8月23日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第1104号
控訴人(原告。インターネット上における広告業務及び広告代理業務等を目的とする株式会社)が、〔1〕被控訴人(被告。インターネットで検索サイトを管理、運営する米国法人)が管理運営する日本向けグーグル検索サービスで、検索すると、表題、URL及び抜粋等情報(本件検索結果)が表示される、〔2〕本件検索結果は、控訴人ない控訴人の代表取締役が控訴人の事業として詐欺商材を販売し、詐欺行為をしているとの事実を摘示している、〔3〕〔2〕の事実摘示は控訴人の社会的評価を低下させるものであり、名誉毀損が成立する、〔4〕したがって、被控訴人は、本件検索結果を削除する義務を負うと主張して、被控訴人に対し、人格権に基づき、日本向け検索サービスにおいて、本件検索結果の削除を求めたところ、原審は、本件検索結果は、控訴人の社会的評価を低下させるものであるが、その表現行為は、公益を図る目的のものであり、これらの摘示事実が真実でないと認めることはできないとして、控訴人の請求を棄却したため、これを不服として控訴人が控訴した事案で、本件摘示事実が真実でないことが明らかであると認めることはできないなどとして、本件控訴を棄却した事例。
2018.09.25
補償金請求事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 12月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25550748/東京地方裁判所 平成29年11月29日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第8712号
被告銀行に預金口座を開設している原告が、被告銀行から発行を受けたデビットカードを海外で使用したところ、その後何者かによって複数回にわたり上記カードの情報及び暗証番号が不正に使用されて海外の現金自動支払機(ATM)から日本円に換算して合計86万7719円に相当する現地通貨が引き出され、その結果原告の上記預金口座から同額の引落しがされたとして、〔1〕被告がデビットカード取引システムについて定めている規定に基づく補償金支払請求権又は〔2〕原告の預金口座からの上記引落しが預金者保護法の適用又は類推適用により無効となることを前提とした預金払戻請求権に基づき、上記86万7719円の支払等を求めた事案において、偽造デビットカードを用いた本件引出行為に起因する本件引落しについて、預金者保護法4条1項の適用又は類推適用により無効となるということはできないから、原告の被告に対する本件口座からの預金払戻請求も理由がないとして、原告の請求を棄却した事例。
2018.09.25
障害年金不支給決定取消請求控訴事件
LEX/DB25561139/東京高等裁判所 平成29年 4月12日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第189号
控訴人(原告)が、本件傷病により、本件20歳到達日において、旧国民年金法別表2級15号に該当する障害の状態にあったから、旧国民年金法57条1項前段の規定する初診日において20歳未満であった者に係る障害福祉年金の受給資格を有していたとして、本件裁定請求をしたところ、処分行政庁から、控訴人の本件20歳到達日における障害の程度を判定することができないとして、本件不支給決定を受けたことから、本件不支給決定が違法であるとして、被控訴人(被告。国)に対し、その取消しを求めたところ、原判決は、控訴人の請求を棄却したため、控訴人が控訴した事案で、控訴人の請求は理由がなく、これを棄却した原判決は相当であるとし、本件控訴を棄却した事例。
2018.09.11
損害賠償請求事件 
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LEX/DB25560273/京都地方裁判所 平成30年 2月20日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1230号 等
分離前相被告Y社と被告F社が製造し販売した化粧石鹸にアレルギー感作を生じさせる成分が含まれていたため、同石鹸を使用した原告(女性17名)らが小麦依存性運動誘発性アレルギーとなり、小麦摂取後の運動で、アナフィラキシー、アナフィラキシーショック症状を起こすなどし、生命の危険にさらされ、小麦摂取の困難、制限、摂取後の安静など日常生活、就労において各種制限を受けることとなったとして、石鹸を製造販売したY社、被告F社及びアレルギー感作を生じさせる成分を製造した被告K社に対して、製造物責任法に基づき、上記一切の損害を包括する慰謝料等として、1人550万円から880万円の損害賠償を請求した事案(提訴後、原告らはいずれもY社と和解。このため、Y社に対する原告らの訴訟はすべて終了。原告らとともに提訴した者は、被告F社との間でも和解し、被告K社に対する訴えを取り下げたので、これらの者の訴訟は終了。原告らは、Y社から和解金を受領したことを理由として、請求を一部減縮した。Y社と原告らの訴訟は終了したが、その後Y社は、被告らに補助参加した。Y社は、補助参加人として、本件石鹸の欠陥の有無、同欠陥に係る開発危険の抗弁の成否並びに原告らの損害の有無及び範囲について主張し、被告らはこれらを明示的ないし黙示的に援用したが、Y社は弁論終結後の平成30年2月1日補助参加の申出を取り下げた。)において、原告らの被告F社への請求のうち、本件石鹸引渡当時、重篤なアレルギーを回避するための経験知は存在していたと考えられ、また、本件石鹸外箱の表示を警告したことをもって、本件石鹸に欠陥がなかったということはできないとして、請求額を減額したうえで一部認容し、原告らの被告F社に対するその余の請求及び被告K社に対する請求を棄却した事例。
2018.08.28
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25560842/東京高等裁判所 平成30年 1月18日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第4886号
認知症の要介護者が、被控訴人との間の訪問介護契約に基づき在宅介護を受け、被控訴人が派遣したヘルパーが昼食の副食として調理、提供したシュウマイを摂食した際、誤嚥を起こし、シュウマイを喉に詰まらせる事故を起こし、それにより低酸素脳症に陥り、嚥下性(誤嚥性)肺炎が原因で死亡したことについて、亡き要介護者の兄弟姉妹で相続人である控訴人らは、ヘルパーが、(1)要介護者の介護に当たり、食事時の誤嚥リスクを十分に理解していたにもかかわらず、ア 食品の調理を刻み食にするなどせず、シュウマイを4分割しただけで、かつ適切な調理を怠って提供し、イ 食事中も要介護者を見守り、声をかけるに止まり、食事方法について適切な指示、介助をしなかったことにより、本件事故を発生させ、(2)その後も直ちに救急車の出動を要請するなど適切な応急措置を執らなかったことから、要介護者は、低酸素脳症に陥り、嚥下性肺炎により死亡したと主張して、使用者責任による損害賠償請求権に基づき、被控訴人に対し、控訴人につき慰謝料及び弁護士費用、その余の兄弟姉妹らにつき各慰謝料及び各弁護士費用の支払等を求めたところ、原判決は、ヘルパーについて上記(1)ア及びイの注意義務違反を認めることができず、上記(2)のような救命措置についての注意義務違反もなかったとして、控訴人らの本件各請求をいずれも棄却した。このため、第1審で訴えを取り下げた者を除く兄弟姉妹らは控訴人を選定当事者として控訴をし(控訴人以外の者については控訴を取り下げた)、また、控訴人は、当審において、使用者責任(不法行為)に加えて、債務不履行(契約及びそれに付随する安全配慮義務違反)による損害賠償請求も追加した事案において、ヘルパーには、不法行為上並びに本件契約上あるいは本件契約に付随する、食事の調理、提供に関する注意義務(結果回避義務)違反、摂食中の注意義務(結果回避義務)違反及び誤嚥後の注意義務違反はないから、本件控訴及び当審における控訴人の追加請求はいずれも理由がないものと判断し、本件控訴を棄却し、当審における追加請求も棄却した事例。
2018.08.28
不当利得返還等請求控訴事件
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LEX/DB25560652/東京高等裁判所 平成29年 3月 9日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第2611号
訴外A社に対して金属スクラップを継続・反復して売却する取引を行い、A社が代金を完済するまで売買目的物の所有権を留保する旨を合意していた被控訴人(被告)が、A社の支払停止に伴い、被控訴人がA社に売却し、同時点で同社の工場内に保管されていた金属スクラップ等についての動産引渡断行の仮処分命令に基づき上記動産を当該工場から引き揚げ、処分したところ、A社に対する融資を担保するため、A社が同社の工場内で保管する在庫製品等に対して集合動産譲渡担保を設定していた控訴人(原告)が、上記動産について、控訴人と被控訴人とは対抗関係に立ち、対抗要件を具備しない被告による処分行為は不法行為を構成し、又は、これにより得た利益は不当利得に当たると主張して、被控訴人に対し、上記動産の価格に相当する金額及び遅延損害金又は民法704条所定の利息の支払を求めたところ、原判決は控訴人の請求を棄却したため、これを不服として控訴した事案において、本件動産譲渡担保の範囲は、目的物の種類(非鉄金属製品の在庫製品等)、数量(全部)及び保管場所(本件工場)により特定されており、被控訴人自認超過部分(一部の各品目を除いたもの)について留保所有権の消滅が認められる以上、その品目及び数量に係る損害が発生したものと認め、控訴人に対する不法行為を構成するとして、原判決を変更し、控訴人の請求を一部認容した事例。
2018.08.21
発信者情報開示仮処分命令申立事件
LEX/DB25560844/東京地方裁判所 平成30年 6月12日 決定 (第一審)/平成30年(ヨ)第1076号
債権者(歯科医院を開設・運営する医療法人)が、債務者(地図及び位置情報を提供するほか、地図上に表示される店舗・施設等に対する評価(口コミ)の投稿・閲覧ができるウェブサイトを管理・運営する法人)に対し、債務者が管理・運営するウェブサイトに投稿された記事によって債権者の名誉権が侵害されたと主張し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)4条1項に基づき、発信者情報を仮に開示することを求めた事案において、本件発信者が意見・感想を述べる表現方法も穏当で、社会的に相当な範囲内であり、社会的評価の低下は受忍限度の範囲内であるとして、本件申立てを却下した事例。
2018.08.21
情報開示仮処分申立事件 
LEX/DB25560846/神戸地方裁判所尼崎支部 平成30年 5月25日 決定 (第一審)/平成29年(ヨ)第88号
債権者が、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)4条1項による開示請求権に基づき、債務者(インターネットの地図情報サービス上に表示される口コミ投稿機能を管理・運営もしているウェブサイト検索システムの運用等サービス提供会社)に対し、前記口コミ投稿機能を利用して、何者かが行った本件書込における発信者情報の開示を命ずる仮処分命令を申し立てた事案において、本件書込が債権者に対する信用毀損に当たらないとして、本件申立てを却下した事例。
2018.08.07
損害賠償請求事件
LEX/DB25551060/東京地方裁判所 平成29年12月13日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第32019号
総合病院の副院長であった原告が、厚生労働省の官僚による不当な圧力等について記載した厚生労働大臣宛の文書案を厚生労働大臣政務官に送付したところ、当時厚生労働省の課長であった被告Bがこれを入手し、千葉県の医療整備課の課長である被告Cに送付するとともに、同文書案を総合病院を経営する医療法人の理事長に送付して原告を懲戒解雇するよう求めることを指示し、被告Cにおいて同理事長に同文書案を送付して原告を懲戒解雇するように求めて、原告の言論活動を妨害しようとしたため、精神的損害を被ったと主張して、被告らに対し、共同不法行為に基づき、損害賠償金等の連帯支払を求めた事案において、本件文書の内容は、国家公務員法100条1項にいう「秘密」に当たるものではないから、仮に、被告Bが被告Cに本件文書を送付したとしても、その行為が不法行為を構成するものということはできず、また、被告CがD理事長に本件文書を送付した行為も不法行為を構成するものということはできないとして、請求をいずれも棄却した事例。
2018.07.31
放送受信料請求事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 10月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449581/最高裁判所第三小法廷 平成30年 7月17日 判決 (上告審)/平成29年(受)第2212号
被上告人(NHK)が、遅くとも平成7年6月末までに被上告人の放送の受信についての契約を締結した上告人に対し、同契約に基づき、平成23年4月分から平成29年5月分までの受信料の支払等を求め、上告人は、被上告人が同契約に基づく受信料の支払を20年間請求しなかったことから、民法168条1項前段所定の定期金債権の消滅時効が完成したと主張して争った事案の上告審において、受信契約に基づく受信料債権には、民法168条1項前段の規定は適用されないと解するのが相当であるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2018.07.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25560642/千葉地方裁判所 平成30年 6月20日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第1201号
原告(選定当事者)が、被告(通信教育等を目的とする会社)に対し、(1)被告のシステムの開発及び運用を行っていたS社の業務委託先の従業員(システムエンジニア)が原告及び選定者らに係る個人情報を漏えいした事故のこと、(2)被告には、S社の情報セキュリティシステムの確認等を行う義務があったにもかかわらず、これらを怠り、本件事故を発生させたことが不法行為に当たると主張し、不法行為に基づき、原告のために2万円、選定者B(原告の妻)のために2万円、選定者C(未成年者。原告と選定者Bの子)のために3万円、選定者D(未成年者。原告と選定者Bの子)のために3万円の慰謝料等の各支払を求めた事案において、被告と事故当時、S社の業務委託先の従業員との間に実質的な指揮監督関係があったとの原告の主張はそれ自体失当というべきであるから、本件事故について、被告に民法715条に基づく使用者責任は成立しないとし、また、被告の過失の前提として、被告がいかなる注意義務に違反したかについては、原告が主張立証責任を負うものであり、個人情報保護法20条及び22条は、被告の具体的な注意義務を基礎付けるものではないから、被告がこれらの規定に違反することを内容とする本件勧告を受けたことをもって、直ちに、本件事故について被告に過失があるということはできないとし、被告に民法709条に基づく不法行為責任は成立しないとして、請求を棄却した事例。
2018.07.17
損害賠償等請求事件(非公開の本尊写真 無断使用に差し止め判決)
LEX/DB25560628/徳島地方裁判所 平成30年 6月20日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第309号
四国88か所の寺院に関する団体である原告霊場会並びにそのうちの2つの寺院である原告極樂寺及び原告大興寺が、〔1〕原告らが許可していない寺宝(本尊)等を写真撮影し、撮影が許可された寺宝(本尊)等の写真についても原告らが許可した条件に反して展示・公開し、同写真を使用した御影(紙札)、書籍及び商品を制作・販売・頒布した被告の行為は、原告らとの間の撮影許可合意に反し、又は原告らの宗教的人格権を侵害するものであり、〔2〕各寺院の名称が付記された上記御影(紙札)を用いて御影本体又はこれを収録した冊子、額、掛け軸、つい立て等を頒布等する被告の行為は、不正競争に該当し、又は原告らの氏名権を侵害するものであるとして、被告に対し、原告ら各自につき慰謝料の支払等を求めるとともに、上記〔1〕の撮影許可合意違反又は宗教的人格権侵害による不法行為に基づき、本件写真の展示・公開、本件写真を使用した御影(紙札)・書籍・商品の頒布等の各差止め並びに本件写真、そのネガフィルム及び電子データ、本件写真を使用した御影・書籍・商品の各廃棄、上記〔2〕について不正競争防止法3条又は氏名権侵害の不法行為に基づき、本件御影及びこれを収録した冊子、額、掛け軸、つい立て等の頒布等の各差止め及び各廃棄、並びに原告らの名誉・信用回復措置として、謝罪広告の掲載をそれぞれ求めた事案において、原告極楽寺及び原告大興寺の宗教上の人格権を侵害する不法行為に該当するとして、請求を一部認容し、また、原告極樂寺については本件写真2について、原告大興寺については本件写真67について、被告に対し、それぞれ、上記各写真の公開等及び上記各写真を使用した御影・書籍・商品の頒布等の各差止め並びに上記各写真、そのネガフィルム及び電子データ、上記各写真を使用した御影・書籍・商品の各廃棄を請求したことについて、一部認容した事例。
2018.06.19
求償金請求控訴事件(酒提供は「ゴルフ場の過失」 ゴルフ場カート転落事故で認定 )
LEX/DB25549511/大阪高等裁判所 平成29年 7月14日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第3237号
被控訴人が経営するゴルフ場において、乗用カートを運転していたDと同車に同乗していたCとが遭遇した本件事故について、Dの父と控訴人との間の自動車共済契約に基づき、控訴人が、同事故により負傷したCらに対して、共済金を支払ったが、本件事故は、昼食時にクラブハウス内のレストランでDに酒類が提供されたことにより発生したものであり、上記提供行為等はゴルフ場の施設利用契約に基づく安全配慮義務違反を構成するから、被控訴人は民法415条に基づく損害賠償義務を負うなどと主張して、控訴人が、被控訴人に対し、求償金を請求した事案の控訴審において、Dと被控訴人との間には共同不法行為が成立するが、それぞれの過失の内容を比較すると、Dの過失が著しく大きいのに対し、被控訴人の過失は極めて小さく、共同不法行為により生じた損害の一部を被控訴人に分担させることは公平の理念に合致するものではないとして、本件控訴を棄却した事例。
2018.06.12
損害賠償請求控訴、仮執行の原状回復等申立事件
LEX/DB25560211/東京高等裁判所 平成30年 5月 9日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第5411号 等
JASDAQ上場の株式会社である第1審原告(被控訴人)において激しい株主の多数派形成工作や支配権争いが繰り広げられていたところ、支配権争いに勝利した取締役らが経営する現在の第1審原告が、支配権争いに敗れた第1審被告(控訴人。第1審原告のかつての代表取締役)に対し、「第1審被告が株主提案による取締役解任等を求められている状況の下、自己保身のための対抗策を模索し、第1審原告の当時の代表取締役として、弁護士に法律事務を委任し第1審原告の費用負担で報酬を支払ったのは、取締役としての善管注意義務、忠実義務に違反する。」と主張して、会社法423条に基づき、弁護士報酬相当額2682万8392円の損害賠償の支払等を求め、原判決は、仮執行宣言を付して請求を全部認容したため、これに対し、第1審被告が控訴するとともに、民事訴訟法260条2項に基づき仮執行の原状回復等の申立てをした事案において、第1審原告の請求を理由がないから全部棄却すべきところ、これを認容した原判決は失当であり、本件控訴は理由があり,原判決を取消した上,第1審原告の請求を棄却するとともに、仮執行の原状回復等の申立てを一部認容した事例。
2018.05.15
損害賠償請求控訴事件
(平成29年 6月13日那覇地方裁判所(平成27年(ワ)第745号)の控訴審)
LEX/DB25549792/福岡高等裁判所那覇支部 平成29年12月 7日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第90号
控訴人(原告)らの子であるdを相続した控訴人らが、それぞれ被控訴人(被告。社会医療法人)に対し、dが救急搬送されていた被控訴人病院で飛び降り自殺を図り、死亡したのは、被控訴人病院の医師ないし看護師の過失ないし注意義務違反によるものであるとして、主位的には不法行為に基づき、予備的には診療契約上の債務不履行に基づき、dの損害賠償金の支払等を求め、原審は、被控訴人病院の医師及び看護師には、dが自殺に及ぶ具体的危険を認識できたとは認められず、控訴人ら主張の過失ないし注意義務が存するとは認められないとして、控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した事案において、被控訴人病院の医師及び看護師には、dが自殺に及ぶ具体的危険を認識できたとは認められず、原判決は相当であるとし、控訴人らの請求を棄却した事例。
2018.05.15
損害賠償請求事件
(平成29年12月 7日福岡高等裁判所那覇支部(平成29年(ネ)第90号)の原審)
LEX/DB25549791/那覇地方裁判所 平成29年 6月13日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第745号
原告らの子であるdが、早朝、練炭自殺を図り、被告病院に搬送された後,同日の夕方に被告病院の建物から落下して死亡したことについて、dの相続人である原告らが、被告の従業員である医師ないし看護師には、dが観察室から無断で離室したことが発覚した時刻以降、〔1〕dの病室を施錠設備のある個室に移動させるべき義務に違反した過失ないし注意義務違反及び〔2〕dの病室内に看護師を常在させるべき義務に違反した過失ないし注意義務違反があったと主張して、被告(社会医療法人)に対し、主位的に、不法行為に基づき、相続したdの損害及び原告ら固有の損害の一部の賠償金の支払等を、予備的に、診療契約上の債務不履行に基づき、上記損害の一部の賠償金の支払等を、それぞれ求めた事案において、被告病院の医師ないし看護師が、dが本件無断離室に及んだことを発見した以降、dが自殺に及ぶ具体的危険を認識することができたとは認められず、被告病院の医師ないし看護師に、dを施錠設備のある個室に移動させなかった過失ないし注意義務違反があるとする原告らの主張を採用することはできないとし、また、被告病院の医師ないし看護師に、dが自殺に及ぶ具体的危険を認識することはできなかったのであるから、被告病院の医師ないし看護師にdの病室内に看護師を常在させるべき注意義務があるとする原告らの主張を採用することができないとし、原告らの請求を棄却した事例。
2018.04.17
放送受信契約締結義務不存在確認請求控訴事件
(ワンセグ付携帯 受信契約は義務 NHK逆転勝訴(第一審 さいたま地裁))
LEX/DB25549698/東京高等裁判所 平成30年 3月26日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第4426号
被控訴人(原告)は、自己の所有するワンセグ機能付き携帯電話を一定の場所に設置しておらず、携帯しているにすぎないから、被控訴人は放送法64条1項本文の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当しない、仮に、該当するとしても、被控訴人は本件携帯電話を控訴人の放送を視聴する目的で所有してはいないから、本件携帯電話は同項ただし書きの「放送の受信を目的としない受信設備」に該当すると主張して、被控訴人が、控訴人(被告。NHK)に対し、被控訴人の放送受信契約締結義務が存在しないことの確認を求め、原審は、被控訴人が「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当するとは認められず、被控訴人の請求を認容したため、原判決を不服とする控訴人が控訴した事案で、被控訴人の請求のうち、被控訴人の住所地において、契約種別を衛星契約とする放送受信契約締結義務が存在しないことの確認を求める部分及び契約種別を特別契約とする放送受信契約締結義務が存在しないことの確認を求める部分については、確認の利益がないとし、訴えを却下し、その余の部分(契約種別を地上契約とする放送受信契約締結義務が存在しないことの確認を求める部分)は、理由がなく棄却すべきところ、これと異なる原判決は相当でないとし、取り消した事例。
2018.04.17
放送受信料不当利得返還請求控訴事件
(ワンセグ付携帯 受信契約は義務 一審水戸地裁に続いてNHKが勝訴)
LEX/DB25549696/東京高等裁判所 平成30年 3月22日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第2765号
控訴人(原告)が、被控訴人(被告。NHK)に対し、被控訴人と締結した放送受信契約は錯誤により無効であると主張して、不当利得に基づき、上記契約に基づいて既に支払った受信料相当額等の支払を求め、原判決は、ワンセグ放送対応の携帯電話機を所有し、所持していた控訴人は、放送法64条1項本文にいう本件携帯電話機を携帯する控訴人が本件規定本文の「放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に当たると判断し、控訴人の請求を棄却したため、控訴人が控訴をした事案(控訴審で、不服の範囲を、利得金1310円の返還を求める限度とする一方、本件携帯電話機が本件規定ただし書の「放送の受信を目的としない受信設備」に当たり、また、本件受信契約は受信設備の設置の日を偽ったものであるから、民法90条により無効である等という本件受信契約の無効事由を追加した。)において、当審も原判決を維持し、控訴を棄却した事例。