2021年10月号Vol.124

【ユーザー事例2】データ活用で、財政マネジメント強化へ挑む

公会計システム > 神奈川県山北町

財務課 財政班 主幹 加藤悦孝 氏 / 財産管理班 副主幹 中戸川雄司 氏

住所
神奈川県足柄上郡山北町山北1301番地4
電話
0465-75-1122
面積
224.61平方キロメートル
人口
9,851人(2021年9月1日現在)
神奈川県山北町

──山北町では日々仕訳方式をいち早く導入されました。

加藤 以前は、期末一括仕訳方式で処理していましたが、神奈川県内の町村が共同利用する「TASKクラウド公会計システム」へ移行したのを機に、2018年度の予算編成から日々仕訳方式に変更しました。最初に予算科目へ公会計上の勘定科目(仕訳)を設定する手間はかかりますが、後は予算執行を行うたびにシステムが自動で仕訳をしてくれる。財政担当の2名の職員はいずれも上下水道課で複式簿記を経験していたこともあり、もはや「日々仕訳を採用しない理由はない」と考えました。特に、山北町では伝票を起票する画面で仕訳を非表示としているため、職員は特に簿記を意識することなく日々の処理を行っています。

日々仕訳にしない理由はない

──予算科目の設定で苦労したことは。

加藤 TKCのサポートもあって設定作業自体は特別苦労しませんでしたが、資産と費用の考え方は悩ましかったですね。それは運用後も同じです。
 例えば、委託料など資産形成をなすものと、そうでないものが混在するケースがありますが、その場合は〈現金を支出した後に、財産が増えるのか、何も残らないのか〉という視点で区分けしています。改修工事など判断が難しいこともありますが、そうした場合は国のマニュアルが示す60万円を一つのラインとして、それ未満のものは資産価値を高めない修繕費として処理しています。

中戸川 システムの運用開始当初、固定資産の登録で少し手間取ったこともありました。各課にデータの登録作業で極力負担をかけないよう、必須項目以外の入力は強制せずに、「とにかく処分する時のことを考え、何十年後かにその資産がきちんと特定できるよう、できる限りの情報を入力してください」とお願いしました。ただ、〈同じ時期に複数の購入を行った場合は、単価と数量を入力する〉など入力の仕方が徹底されていないものもあり、そうした場合は担当課に内訳を確認し、財務課が追加で登録しました。

──日々仕訳の採用で、業務はどう変わりましたか。

山北町が日々仕訳方式へ移行した際の予算編成までのスケジュール

加藤 最も大きな変化は財務書類作成の早期化です。以前のように1年分の伝票データの仕訳(資金仕訳)をまとめて行う必要がなく、出納閉鎖と決算統計が終わると速やかに現金取引以外の整理が行えます。期末一括では財務書類の作成に年度末ぎりぎりまで時間がかかっていましたが、昨年は10月にはほぼ完成し、12月議会に提出できました。年間の業務プロセスが最適化・効率化されたことで、いずれは9月議会への提出も可能かなと考えています。
 また、以前は財務書類の作成を委託していましたが、その費用を削減することができました。限られた財源を“賢く”使うという点でも、日々仕訳の選択は正しかったといえますね。

中戸川 固定資産整理の業務も変わりました。移行当初は期末一括方式のスケジュールに慣れていたこともあり、固定資産の確定処理に着手するのが12月頃になってしまいました。そこで、翌年には年度内に処理してもらうようにしました。財産管理班の協力もあり、出納整理とほぼ同時に固定資産は〝エラーなし〟の状態となりました。
 なお、現在は四半期ごとの確認を班員で分業し、確定できるものは確定する──など、業務プロセスの一層の最適化・効率化を図っています。

加藤 日々仕訳方式へのスムーズな移行が実現できたのは、TKCのヘルプデスクの存在も大きかったと感じています。システム操作などのサポートに加え、簿記に関するアドバイスをしてもらえました。また、仕訳用のマニュアルも〈一般的にはこんなやり方で行う〉〈こんな方法もある〉──など実務を踏まえた具体例が示されているため分かりやすく、期末の整理作業のスピードアップにもつながりました。

財務データの分析・活用に注力

──公会計情報の活用という点では、事業別セグメント分析などにも積極的に取り組まれています。

中戸川 19年に総務省の研究会へ参加し、健診事業に関するセグメント分析を行いました。これは健診事業と拠点施設の維持管理までを含めたトータルコストを把握し“見える化”することで、今後の自己負担のあり方などの検討材料としたいと考えたものです。
 この時の成果を踏まえ、昨年度から図書館運営事業と庁舎管理事業の分析に挑戦しています。こうした経年比較はシステム上で簡単に行えますが、実際に事業を分析してみて悩んでいるのは事業効果をどう検証し、その結果を政策立案等へどう生かすかということです。

──他団体でも同じ悩みがあるようです。今後の展望はいかがですか。

加藤 人口減少が進展する中で、自治体には行政経営や財務マネジメントの強化、財政運営の質の向上が求められており、引き続き事業効果などの分析に注力していきたいと考えています。
 山北町のように小規模団体でも、システムを利用すれば容易に財務データの分析が行えます。ただ、分析はあくまでも手段であり、大切なのは「何のために分析するのか」という目的を明確にすることです。
 この点ではシステムの機能強化や処理面でのサポートだけでなく、“会計のTKC”の強みを生かして、会計事務所のアドバイスや他団体事例の共有などといった幅広い支援を期待しています。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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