2023年10月号Vol.132

【トレンドビュー2】地方税の電子申告等手続きの拡大

地方税共同機構 システム部開発グループ 廣畑浩三

 『令和4年度税制改正の大綱』において、〈納税者等が地方公共団体に対して行う全ての申告・申請等について、eLTAXを通じて行うことができるよう所要の措置を講ずる〉こととされました。
 これを受けて、地方税共同機構は、電子申告等手続きの拡大へ柔軟に対応するため申告システム「PCdesk Next」を新たに構築しました。
 本稿では、その概要を説明するとともに、今年10月16日から開始される電子申告等手続きと、今後の手続き拡大の予定などをご紹介します。

1.PCdesk Nextとは

 PCdesk Nextは、地方たばこ税、ゴルフ場利用税、入湯税、宿泊税の電子申告に対応したWeb型の汎用的な申告システムです。これら4税目の申告の電子化に加えて、その他の税目においても税目共通様式の電子化に対応します。
 主な特徴は以下のとおりです。

1.地方団体の運用を考えた連携方式

 全ての地方団体の申告受付事務に対応できるよう、申告書等のデータをCSVデータと帳票イメージで団体に連携します。
 これにより各団体では、個々の事務運用に応じて、①申告書等のCSVデータを基幹税務システム等に取り込む、②帳票イメージを確認しながら基幹税務システム等に入力する──ことが可能です。

2.様式の標準化を実現

 PCdesk Nextで電子申告等手続きを行う税目は、団体ごとに条例等で申告書等の様式を定めています。そこで、各団体が様式上に設けている項目を基準とした「eLTAX標準様式」を作成しました。これにより、納税義務者等は、全ての団体に対し同一の様式で申告書等を作成・送信することが可能となります。

3.申告書等の作成をサポート

 納税義務者等が正しい申告等データを作成できるようにするには、項目間の関連チェックが適切・柔軟に行え、操作が分かりやすいなど、さまざまな配慮が必要です。そこで、申告書等の作成をサポートする「データ作成支援ソフト」を提供しました。これを活用することで、申告税目に対応した申告書等の作成が容易になります。

2.対応する電子申告等手続き

 10月16日から電子申告、申請・届出を開始する税目と手続きは、以下のとおりです。

1.電子申告の対象となる税目

・(都道府県)都道府県たばこ税
・(都道府県)ゴルフ場利用税
・(市区町村)市区町村たばこ税
・(市区町村)入湯税・(都道府県/市区町村)宿泊税

2.電子申請(税目共通手続き)の対象となる手続き

・更正請求書※
・申告期限の延長の承認申請書
・納税管理人申告書
・課税対象とならない利用(課税免除)の届出書

*法人都道府県民税、事業税、特別法人事業税および法人市町村民税を除く

 また、図表1に、納税義務者等と団体の電子申告、電子納付にかかる作業の流れを示しました。
 ご覧のとおり、納税義務者等が電子申告等を行う手順はこれまでとほぼ同じです。なお今後は、申告・申請はPCdesk Nextで、また納付はPCdesk(ダウンロード版またはWeb版)を利用することとなります。これに伴い、申告後すぐに電子納付が行えるようPCdesk Nextに、 PCdeskへ簡単に遷移できるボタンを設ける──など、納税義務者等の利便性向上を図りました。
 一方、地方団体側の作業については、〈基幹税務システム等で申告等データの審査を実施する〉〈外部システムへのデータ連携〉の二つを除き、従来の処理と大きな違いはありません。

図表1 電子申告等手続きの流れ 

図表1 電子申告等手続きの流れ

3.今後の予定と団体の対応

 eLTAXでは、2025年末までに取り扱い手続きの拡大を予定しています(図表2)。これらの手続きの電子化にあたり、eLTAXホームページで見積参考資料を公開しています(個人住民税を除く)。地方団体においては、この資料を参照の上、予算措置など必要な対応をお願いします。
 また、各団体の申告受付事務が円滑に進むよう団体連動試験の実施も予定しており、皆さまには引き続きご協力をお願いいたします。

図表2 今後の電子化スケジュール 

図表2 今後の電子化スケジュール

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