ユーザー事例

日野自動車株式会社 様(導入システム eConsoliTax/eTaxEffect)

連結納税のシステム化でグループの税務レベルが向上

日野自動車株式会社

大・中型トラック市場で国内シェア首位の日野自動車。顧客へのトータルサポートの強化、市場適格車の開発、環境対応車への注力など全方位的なブランド強化作戦を展開中だ。一方、連結納税制度を採用し、税務におけるグループ一体化にも取り組んでいる。日野自動車株式会社 福谷宏介常務役員、同経理部連結管理グループ・佐藤美由紀グループ長、炭田昌宏氏に話を聞いた。

世界の「HINO」としてグローバルに成長していく

──トラック・バス業界はグローバル競争時代に入っていると聞いています。現況は?

福谷宏介常務役員

福谷宏介常務役員

福谷 昨年度の国内トラック需要は、震災復興需要や国の景気対策による公共投資増加の影響で、普通(大型・中型)トラック、小型トラックとも好調が続いています。当社もその波に乗って『プロフィア』『レンジャー』など普通トラックで36.1%、小型も『デュトロ』が好調で22.3%と、いずれも過去最高のシェアを達成しました。
 とはいえ、グローバルメーカーの参入により、アセアン中心に厳しい競争が続いています。また、材料市況の高騰、為替の動向と懸念材料も多く、予断を許さない状況といえるでしょう。

──そんななか、どのような対策をされていますか。

福谷 基本は、"良い商品"を作り、"良いサービス"でお客さまの求める価値をお届けすることです。最短のリードタイムでの適格商品の提供、先進技術の開発、あるいはトータルサポート体制の充実で、より高品質・短納期を実現していきます。

好調な『デュトロ』

好調な『デュトロ』

──そのための具体策は?

福谷 新拠点である古河工場(茨城)では、すでにおととしからKD工場が稼働しており、さらに、コア部品製造や車両組み立て分野においても、日野工場からの移転・集約を進める予定です。海外では、タイ・インドネシアで地域中核生産拠点(日本からコア部品を輸入して製造)の構築を進め、マレーシアでも今年3月に新工場が稼動しました。

──次世代環境技術の実用化に向けた取り組みもされているとか。

福谷 昨年、ヤマト運輸株式会社、西濃運輸株式会社と協力し、電動(EV)小型トラックを集配業務に使用する実証運行をスタートしました。
 また、昨年11月に開催された東京モーターショーでは、EVコミュニティーバスのコンセプトモデル「日野ポンチョ・ミニ」や、外部給電機能を搭載し、災害時にも役立つ「日野メルファ プラグインハイブリッド」などを出展し、環境への取り組みをアピールしました。

グループ法人税制を機に連結納税のメリットを享受

──連結納税制度を採用された理由を教えてください。

佐藤美由紀グループ長

佐藤美由紀グループ長

佐藤 平成22年度税制改正でグループ法人税制が創設され、繰越欠損金の持ち込み制限が一部緩和されました。当社は連結納税の対象となる子会社が20社(当時)あり、事務作業負担増加の懸念はありましたが、連結納税採用によって、日野グループにおいても繰越欠損金の早期解消が見込めるのではないかとの可能性が出てきました。と同時に、子会社の税務レベル向上のためにも連結納税制度の導入は意義があるのではと考えました。

──採用へのプロセスは?

佐藤 連結納税と単体納税を一定条件のもとにシミュレーション(複数年度累計)し、税額を試算してみました。
 結果、①グループ間での損益通算②繰越欠損金控除額の拡大③試験研究税額控除、外国税額控除など税額控除枠の拡大が見込め、グループ全体で節税効果があると判断し、導入を決定しました。

──『eConsoliTax』『eTaxEffect』を採用された理由は?

佐藤 まず第一にブランド力や導入実績を評価しました。他社ソフトとも機能比較してみましたが、TKCのソフトの方が親会社の工数が少ないと判断しました。さらにいえば、申告時の子会社の進捗管理が『eConsoliTax』によって精緻かつ簡略に行えるし、また、決算時の税額・税効果計算に関しては『eTaxEffect』という対応ソフトもありますので、ここにも他社製品に比べて優位性を感じました。

──コンサルティング体制はいかがでしたか。

佐藤 立ち上げ時からTKC会員の信頼できる税理士の先生に、システムコンサルタントとして関与していただき心強かったですね。システムの具体的操作方法はもちろんですが、制度面の質問にもその都度こまめに答えてもらえたので、とても助かりました。

──導入フローを教えてください。

炭田昌宏氏

炭田昌宏氏

炭田 2011年11月に、経理部内に連結納税準備グループを設置。グループ会社での担当者・責任者を選出し、アンケートや訪問によって現状のグループ会社の税務・税効果レベルを把握しました。また、子会社の顧問税理士の研修会への出席も許容しながら、なるべく効率的にノウハウを共有することにつとめました。

──研修会はどのように?

佐藤 まず子会社へ訪問し、担当者への説明と協力の依頼を行い、また、システム操作方法や独自マニュアルの説明などの研修会を4回(『eTaxEffect』2回、『eConsoliTax』2回)開催。さらに、2回目の会社訪問で決算業務フロー案の提示とシステムへのテスト入力のフォローを行いました。

──独自マニュアルとは?

炭田 当グループの決算業務のフローのなかで『eTaxEffect』をどう組み込み、使用していくのかの独自マニュアルを作って各社に配布しました。また、申告時の税額計算についても、『eConsoliTax』の入力において間違えやすい部分については、画面キャプチャでマニュアルを作成して配布しました。

大型車輌組立工程

大型車輌組立工程

──用意周到ですね。

佐藤 おかげさまで、導入初年度(2012年度)から大したトラブルもなくスムーズに連結納税に対応できたと思っています。

──今回のシステム導入による連結納税制度採用のポイントは?

佐藤 やはり、TKCさんのお力をお借りしながら研修会や訪問活動など、グループ会社への理解を促す活動を徹底して行ったこと。それから、グループ会社の負担軽減や、決算・申告時の混乱を回避するため、親会社で事前にシステムへの入力テストを実施するなど、親会社での準備を徹底したことも成功のポイントでした。

──効果は?

佐藤 まず、連結納税を採用したことにより、繰越欠損金の早期解消を実現できました。また、決算時の税額・税効果計算の業務が『eTaxEffect』の導入効果もあって効率化されたのが、効果としては大きかったのではないでしょうか。加えて、『eConsoliTax』導入と併せて、親会社とグループ会社との一体感の醸成、そして、グループ全体の税務知識の向上がはかられたことが成果として挙げられます。今後とも、研修会などを継続実施しながらグループ全体の税務レベルの向上を目指していきます。

会社概要
名称 日野自動車株式会社 日野自動車株式会社
設立 1942年5月
所在地 東京都日野市日野台3-1-1
売上高 1兆6996億円(2014年3月期連結)
社員数 2万8998人(2014年3月末現在)
URL http://www.hino.co.jp/

『戦略経営者』2014年9月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2014年9月現在のものです。
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