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日清食品ホールディングス株式会社

決算申告システムを統一しグループガバナンスを高める

日清食品ホールディングス株式会社

2008年に持ち株会社制に移行した日清食品グループ。言わずと知れた日本を代表する食品メーカーだ。が、国内では圧倒的なブランド力を維持しつつ、昨今はグローバル企業としての活動も加速している。もちろん財務・経理・税務のグループガバナンス強化にも怠りはない。日清食品ホールディングス財務本部財務経理部の重田正教部長、中島真理子課長、伊吹洋佑主任、そして決算申告体制をシステム面でサポートする髙橋加津美税理士に話を聞いた。

ブランド力とグローバル化でさらなる成長ステージへ

──事業概要と最近の業績を教えてください。

重田正教部長

重田正教部長

重田 日清食品グループは、国内即席麺事業、海外即席麺事業、低温事業(チルド、冷凍食品)、お菓子・飲料事業の4セグメントからなり、国内関係会社31社、海外関係会社40社、販売および生産拠点は19カ国に及んでいます。
 2014年3月期は、対前年で増収増益となり、売上高は史上初の4000億円を超え、過去最高の売上高を記録しました。国内は「日清ラ王」「日清のどん兵衛」や発売55周年を迎えた「チキンラーメン」の売り上げが好調でした。また、海外とくに中国地域は、「出前一丁」が引き続き好調に推移している上、「合味道」ブランドで展開している「カップヌードル」の積極的な販売戦略により売り上げが伸長しています。

──海外市場での売り上げは?

重田 現在、海外売上高比率は約17%です。米州、欧州、中国地域のほか、アジアではインド、ベトナム、タイなど、中東ではトルコ、アフリカではケニア、マグレブ地域で事業を展開し、その国の伝統的な食文化に合わせた商品を販売しています。

──「カップヌードル」「日清ラ王」「チキンラーメン」など多くの人気商品を持ちながら、新商品への熱意はすごいですね。

チキンラーメン、カップヌードル、日清ラ王

重田 生麺に近い食感の袋麺「日清ラ王」は大変好評ですが、本年4月には冷やし中華のしょうゆだれとごまだれの2種類も全国販売を開始しました。また、"第3のカレー"ともいわれている「日清カレーメシ」や海外現地法人と協力して開発した「カップヌードル」のトムヤムクンやミーゴレンなども好評です。そもそも袋麺もカップ麺も当社の創業者・安藤百福が発明したものです。より安全で品質の高いものをより安く作るイノベーションの力により、常に新たなものを創造し続け、グループ全体で年間数百アイテムもの新商品を市場投入しています。

──競合の多いなか、トップを維持し続けられる理由は?

重田 「“Earth Food Creator”~人々を『食』の楽しみや喜びで満たすことで社会に貢献する~」という企業理念の下、全員が一丸となってグループの強みである技術イノベーション力とマーケティング力を活かした商品開発を行うとともに、常にブランド価値向上に努めていることが要因だと思います。

──日清食品の製品は値崩れしない印象がありますね。

重田 当社グループでは、本年3月、東京・八王子に「the WAVE」という「グローバルイノベーション研究センター」と「グローバル食品安全研究所」の2つからなる、技術・開発・研究の拠点を完成させました。ここでは、味覚の研究といった基礎研究、即席麺、チルド麺、冷凍麺、菓子、乳酸菌飲料といったジャンルを超えた製品の開発、そして、食品の品質管理に医薬品の安全基準を導入し、高度な分析技術と世界屈指の食品安全管理体制を確立するなどの取り組みを行っています。このような「イノベーション」と「安全」への取り組みに手間とコストをかける当社グループの姿勢が、消費者の方々の信頼を獲得し、結果として、値崩れしないブランド力となっているのではないでしょうか。

グループ会社の中身を理解し司令塔の役割を果たす

──2011年3月期からTKCの『ASP1000R』を導入された目的は?

中島真理子課長

中島真理子課長

中島 グループ各社の税務コンプライアンスを向上させるという目的と、ホールディングカンパニーとしてグループ会社に同じ決算申告システムを導入して、税務上のガバナンスを行いやすくするという目的がありました。

伊吹 以前採用していた申告ソフトでは、①別表間の連動ができない②地方税の税率や均等割の改正に対応してない③外国税額控除や試験研究費の税額控除への対応がうまくできない――などの問題がありました。一方で決算開示の早期化が内外から求められる中、当該問題を解消する代替ソフトを検討した結果、TKCさんの『ASP1000R』が最も良さそうであるという結論に至りました。

──他社製品と比較してTKCの『ASP1000R』が良いと思った点は?

伊吹 何社か検討しましたが、最終的にはTKCのブランド力による安心感と信頼性が勝りました。機能がシンプルで使い勝手が良く、税制改正にきちんと対応しているところも選択した大きな理由でした。最近の税制改正は複雑で頻繁に行われますからね(笑)。

中島 『ASP1000R』は、システム上のトラブルが発生したり、操作上分からないことがあったりした際に、迅速に的確な回答が得られる体制が整っているという印象がありました。実際に、立ち上げ時には髙橋加津美先生にシステム面のサポートをしていただき、随分助かりました。

髙橋加津美税理士

髙橋加津美税理士

──グループ会社での利用状況は?

中島 現在、ホールディングをはじめ、国内100%子会社26社中、20社に導入しており、当期にはさらに4社の導入を予定しています。

──髙橋先生の印象は?

髙橋 『ASP1000R』の立ち上げ時から関与していますが、特に大きなトラブルもなくスムーズに立ち上げることできました。担当者の方が優秀だったのと組織的に業務分担ができていて別表ごとの理解度も高かったのだと思います。立ち上げ後は、年に2回の訪問時に税制改正の内容を皆で勉強しながら、システムの操作方法等を確認しています。あとは分からないことがあれば、その都度、電話やメールで問い合わせを受けます。緊急時には新幹線の中から電話対応したこともありました(笑)。

──電子申告はされていますか。

伊吹洋佑主任

伊吹洋佑主任

伊吹 直近の3月決算に、初めて5社で行いました。特に日清食品株式会社のような当社グループの中核企業は、全国に支店・営業所があるので地方税の申告が大変でした。これまでは、何人かで必要部数を印刷し、封書で申告書を発送していましたが、電子申告では、それこそワンクリックで申告送信が終了しました。手間が省けた上に、コストダウンにつながったことにも感謝しています。今年度もさらに3~5社で電子申告を新たに実施する予定です。

──連結納税制度の導入の予定は?

中島 年度ごとに、グループ会社の単体申告の状況を鑑みて、連結納税を導入した場合の有利不利の検討をしています。グループ会社のほとんどが法人税を納付、各種税額控除も受けることが出来ており、現段階では導入コストを上回る税務メリットは得られないと判断しています。ただ将来的に大きなメリットが得られる状況下での導入の可能性はあると思っています。その際には、グループ会社への『ASP1000R』の導入・利用がスムーズな移行につながるものと理解しています。

──ホールディングカンパニーとしての『ASP1000R』導入の意味をあらためてお聞かせください。

重田 当社はグループ会社の財務・経理・税務における戦略面にまで入り込み、司令塔の役割を果たさなければなりません。当社グループの戦略強化や効率化のプラットホームになるためには、常にグループ会社の経営状態を理解する必要があります。『ASP1000R』はそのための有力なツールだと思っています。

会社概要
名称 日清食品ホールディングス株式会社 日清食品ホールディングス株式会社
所在地 東京本社 東京都新宿区新宿6-28-1
大阪本社 大阪市淀川区西中島4-1-1
連結売上高 4176億円(2014年3月期)
連結従業員数 8357名(2014年3月現在)

『戦略経営者』2014年8月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2014年8月現在のものです。
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