ユーザー事例

株式会社ワオ・コーポレーション 様

FX5・FAManager導入事例

社内の業務システムをつなぐ
プラットフォームとしての役割

全国47都道府県に直営拠点を持ち、学習サービスを展開するワオ・コーポレーション。2018年7月に統合型会計情報システム『FX5』と、固定資産管理システム『FAManager』を導入し、全国の学習塾などの業績管理に活用している。経理を担当する管理部の来田賢作部長と樋口実氏、そしてシステム・コンサルタントの露口和夫税理士(税理士法人パートナーズ関西)に、TKCシステム導入の効果などを聞いた。

左から2人目が樋口氏、中央が来田部長、一番右が露口税理士

──事業内容についてお聞かせください。

来田賢作部長

来田賢作部長

来田 ①教育事業をメインに、②エンターテインメント事業(映像コンテンツの配信等)や③生活関連事業(ペット関連等)などを手がけています。
 主力とする教育事業においては、幼児から高校生を対象にした集団指導型の学習塾「能開センター」と、一人ひとりの学力や目的に応じた指導を追求する「個別指導Axis」を、47都道府県で展開しています。また、プロ講師や現役の学生講師(東大・京大など)がオンライン上でマンツーマン指導を行う「Axisオンライン」も人気を集めています。

──少子化を背景に、学習塾業界の競争は厳しさを増していると思いますが、御社が一番の強みとしていることは何ですか。

来田 「日本を活気づかせるには教育しかない」という気概を持って、既存の枠組みにとらわれない総合的な人間教育を行っているところでしょうか。
 当社の教育理念は「志を高く持ち、自ら学び、自ら考え、自らの判断で行動できる人物の育成」です。これは、単に学力を伸ばすだけではなく、一人ひとり異なる資質を生かし、自らの人生を切り開く人になってもらいたい、という意味が込められています。この教育理念のもと、当社では時代のリーダーとなり得る人材を育てていきたいと考えています。

自社データセンターを活用したクラウド型のシステム

──TKCの会計システム『FX5』を新たに導入した背景を教えてください。

樋口実氏

樋口実氏

樋口 以前は、他社の会計システムをクライアント・サーバー方式で運用しており、その管理を私が担当していました。また、会計システムへのインプット(上流システムからの仕訳連携)や、そこからのアウトプット(社内資料・会計監査資料などの作成)を、マイクロソフト社のAccess(アクセス)を経由して行っていましたが、これも私の担当業務でした。
 しかし、私が定年後再雇用という状況でもあることから、いつまでも従来どおりのやり方を続けるわけにはいかない。そこでサーバー管理やAccessの知識がなくても運用できる会計システムの導入が必要だと考えていました。そうした中で、ちょうど利用していた会計システムの保守サポートが切れるタイミングが近づいてきたことから、本格的に新しい会計システムの選定を始めました。

──TKCの『FX5』を選んだ理由は何だったのでしょう?

来田 全部で5社の会計システムベンダーから話を聞いたうえで、2社にまで絞り込みました。その両社にプレゼンを行ってもらった後、部員の意見をとりまとめて最終的に決めたのが、TKC さんの『FX5』でした。その要因は三つありました。
 一つ目は、TKCさん自身が運営するデータセンターを活用したクラウド型のシステムであること。他社にもクラウド運用ができる会計システムがありましたが、「外部のデータセンターにワオ・コーポレーション専用のサーバーを構築する」という形態だったこともあり、見積もりの金額はだいぶ高めでした。
 二つ目は、他の業務システムとの仕訳連携(仕訳データの読込)の機能が充実していたことです。当社は多くの上流システムを利用しているため、仕訳読込機能を重視していました。『FX5』では上流システムから出力されたデータをAccessを経由することなく、そのまま仕訳データとして読み込めると聞いて、非常に魅力を感じました。
 また、その仕訳読込の設定が比較的簡単そうだったのもポイントでした。実は他社からの提案でも同様の機能の説明はあったものの、その設定のやり方が難しく、われわれ経理スタッフで行うのはかなりハードルが高そうでした。
 そして三つ目は、「帳表」が充実していたことです。当社にとって必要と思える各種帳表が標準で用意されていたのに加え、Excel(エクセル)関数を用いて自由レイアウト帳表を作れる「マネジメントレポート(MR)設計ツール」の機能も魅力的でした。

クラウド運用に変えたことで「働き方改革」にもつながった

──実際に『FX5』を導入してみての感想をお聞かせください。

教室風景

幼児から高校生を対象にした集団指導型の学習塾『能開センター』と、
一人ひとりの学力や目的に応じた指導を追求する『個別指導Axis』を展開

樋口 クラウド型のシステムなので、サーバーやネットワーク機器を自分たちで用意する必要がありません。そのため長年担当していたサーバー保守の仕事から解放されて、ホッとしています(笑)。データのバックアップも、わざわざサーバールームまで行かなくてもできるようになったし、サーバーが停止したときの心配もしなくてよくなりました。
 また、システムのバージョンアップの負担が軽減されたことも、ありがたかったです。以前の会計システムのときは、サーバー側の更新作業を休日出勤で行い、クライアントPC側については社員に業務を中断してもらって更新作業をしていました。それが『FX5』の場合、日時を指定すればTKCさん側でサーバーの更新作業をしてくれるし、クライアントPC側についてはデータセンターにアクセスするだけで自動的に更新されるようになっています。

──クラウド運用における「速度」に関しては、不満はなかったですか。

樋口 ええ、ありませんでした。当社は約700部門で仕訳を計上しており、月間仕訳数が8万行ほどあります。なので、クラウド運用にすることで画面の動作スピードが遅くなっては困ると心配していたのですが、特に問題のない速さで動いてくれています。

──ほかにクラウド運用に移行したことで得られた効果はありましたか?

樋口 クラウド環境にしたことでテレワークを採用できたことも、メリットの一つでした。さまざまな理由で出社が制限される社員も自宅で仕事ができるようになり、働き方改革につながっています。

仕訳入力の負担を軽減する「仕訳読込機能」

──仕訳読込の機能についてはいかがでしたか。

連携図

樋口 当社には売上高や経費を管理する多くの上流システムがあり、それぞれレイアウトやファイル形式が異なる仕訳データが作成されていました。それらをAccess(約40本)で変換したうえで、会計システムに読み込んでいました。それが、仕訳読込機能を活用すれば、Accessを経由することなく、そのまま『FX5』側に流し込んで仕訳連携できます。つまり『FX5』が、複数の上流システムのデータを受け入れるプラットフォームとしての役割を担ってくれるわけです。
 ちなみに『FX5』の仕訳読込のパターンは20種類以上設定しています。『FX5』導入時には、このうち半分程度をTKCの担当者に設定してもらいましたが、残りの半分については経理スタッフにて自力で設定しました。それくらい簡単な作業で済みました。

──ほかにも、仕訳読込機能を利用することで得られたメリットがあれば教えてください。

樋口 たとえ仕訳読込エラーが出たとしても、そのメッセージ内容が分かりやすいため、私にいちいち質問に来るのではなく、経理スタッフ自身がエラーの原因を突き止めることができるようになったこともメリットの一つです。

来田 当社の場合、部門(校舎)の数が多いうえに、本社で一括支払いしたものを各部門に負担してもらうための仕訳を起こす必要があります。その仕訳データはExcelで作成しているのですが、これについてもExcelから直接『FX5』に仕訳を連携できるため、非常に助かっています。

──「設計ツール」に対する評価についてもお聞かせください。

樋口 当社では以前からAccessを使って、当社独自の各種経営資料を作成していました。例えば、「勘定科目別増減表」(該当科目に関して前月末残高・当月増加高・当月減少高・当月末残高の動きを表現している表)がその一つ。この当月末残高を“現実の姿”(実際の数字の状況)と照合するのが、当社の経理業務の重要なポイントとなっています。今はこの帳表をMR 設計ツールで作っているのですが、Accessで作成していた頃とは違い、部門別や取引先別の数字も出せるようになったことから、照合資料(チェック資料)としてのみならず、申告書に添付する勘定科目内訳明細書の作成にも役立っています。

来田 未払金について、取引先ごとの前月末残高が当月に消えてゼロになっていることを確認できると、非常に安心します。

樋口 このほか、各校舎別の前年対比を記した「要約損益計算書」を作って各都道府県の部門長に毎月送付しているなど、さまざまなシーンでMR設計ツールを活用しています。

償却資産税の電子申告がシステムで劇的に楽になった

──御社では、固定資産管理システム『FAManager』も導入されています。特に導入効果を感じているのは、どんなところですか。

来田 例えば、償却資産税の電子申告がそうですね。当社は申告先の市区町村が100カ所以上あり、顧問税理士に頼んで電子申告をしてもらっていました。しかし当社が作成した償却資産データを、顧問税理士が利用していた電子申告のシステムのデータレイアウトに変更する必要があったため、ミスが発生しやすいうえに工数がかかっていました。また、おそらくそのほかにも顧問税理士側のほうで電子申告上の禁則文字の変換をする作業を行っていただいていたのだと思います。それが、『FAManager』で作成した償却資産申告書を加工することなく、禁則文字の自動変換もしてくれたうえで電子申告できるようになったため、当社も顧問税理士も劇的に楽になりました。

樋口 また、『FAManager 』の導入により、リース契約管理をシステム化できたことも大きな効果でした。1つのリース契約で多くの資産を借りる場合、システムへの登録が大変になりますが、『FAManager』では、『FX5』の仕訳読込機能と同様にファイル読込できることがシステム化への後押しとなりました。

会計・税務の専門家による手厚いサポート体制

──TKCのサポート体制はいかがでしたか?

来田 以前の会計システムのときは、開発元の会社と、当社のサポートを担当する会社とが別々であったため、開発元の会社とわれわれが直接意見交換する場がありませんでした。一方TKCさんは、開発元であるとともに、導入作業やその後のフォローもすべて1社で行ってくれるため、なぜこのような機能を作ったかなどを直接お聞きできるし、改善要望もしっかり伝えることができます。そこが非常に良いと感じています。
 また、システムの導入時には、月3回程度の訪問を半年間してもらいましたが、非常に安心感がありました。TKCの担当者に加えて、税理士法人パートナーズ関西の先生方にも手厚いフォローをしてもらいました。

露口和夫税理士

露口和夫税理士

露口 私は会計・税務が専門なので、導入作業時のマスター設定に関することを中心に、システム・コンサルタントとしての支援をさせていただきました。例えば、勘定科目ごとに消費税が発生する科目なのかどうかや、どのような課税区分がありえるかなどレビューしたうえで、その設定のアドバイスをしたりしました。また、システムの操作説明会での講師をさせていただきました。初心者の方にも分かりやすいシステムというのが、TKCシステムの特長ですね。講師をしながら、そのことを改めて実感しました。

来田 システムが分かりやすいというのは、今後の人員採用のあり方にも影響がでるかもしれません。というのも、以前の会計システムはずいぶんとシステマティックだったため、経理スタッフの採用面接の際には、システムに強いかどうかが選考ポイントの一つになっているところがありましたが、『FX5』導入した今は、システムに強いことが必須ではなくなってくる感じがします。

──今後のシステム活用はいかがでしょう。

樋口 上流システムのうち、いくつかを変更する考えがあります。それらはAccessの利用を継続していましたが、変更後はAccessの利用がなくなる見込みです。併せて、仕訳取込ファイルを統一のExcelレイアウトにすることも考えています。これにより、仕訳読込のさらなる効率化と標準化が図れると期待しています。

来田 『FX5』は経理情報のプラットフォームとして位置付けていますので、上流システムからの仕訳連携のほか、今後はMR 設計ツールをさらに活用して、経営分析に生かせる資料などを作成したいと考えています。

会社概要
名称 株式会社ワオ・コーポレーション 株式会社ワオ・コーポレーション
設立 1976年5月
所在地 大阪府大阪市北区中崎西1-5-14
売上高 167億円(2019年3月期)
社員数 802名(2019年3月時点)
URL http://www.wao-corp.com/
掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2019年12月現在のものです。
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