2017.01.24
貸金等請求事件
LEX/DB25530863/東京地方裁判所 平成27年 7月 9日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第34270号
原告が、被告Cの連帯保証のもと被告Bに対して金銭を貸し付けたとして、被告Bに対しては金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求及び利息支払請求として、被告Cに対しては連帯保証契約に基づく保証債務履行請求として、連帯して、貸金残金の支払を求めた事案において、原告は、本件貸金債権を担保するために被告ら所有の不動産に設定した根抵当権に基づき不動産競売を申し立てたことが認められるので、消滅時効は申立日に中断したと解すべきであって、その後、民事執行法63条2項に基づく無剰余取消がされたことは権利実行の意思を否定するものではなく、「権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたとき」(民法154条)には当たらないとして、請求を認容した事例。
2016.12.27
遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25448337/最高裁判所大法廷 平成28年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成27年(許)第11号
Aの共同相続人である抗告人(Aの弟の子でAの養子)と相手方(Aの妹でAと養子縁組をしたB(平成14年死亡)の子)との間におけるAの遺産の分割申立てをし、原審は、本件預貯金は、相続開始と同時に当然に相続人が相続分に応じて分割取得し、相続人全員の合意がない限り遺産分割の対象とならないなどとした上で、抗告人が不動産を取得すべきものとしたため、上告した事案において、共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当であるとし、最高裁平成15年(受)第670号同16年4月20日第三小法廷判決・裁判集民事214号13頁の判例の変更をすべきとした上で、本件預貯金が遺産分割の対象とならないとした原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原決定を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻しを命じた事例(補足意見、意見がある)。
2016.12.27
不当利得返還請求事件
LEX/DB25448335/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月19日 判決 (上告審)/平成27年(受)第1394号
主債務者から信用保証の委託を受けて上告人と保証契約を締結し、主債務者の借入金債務を上告人に代位弁済した被上告人が、主債務者は一定の業種に属する事業を行う中小企業者の実体を有する者でなく、被上告人は、このような場合には保証契約を締結しないにもかかわらず、そのことを知らずに同契約を締結したものであるから、同契約は要素の錯誤により無効であると主張して、上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、代位弁済金の返還及び遅延損害金の支払を求めたところ、原審が、上告人の請求を、遅延損害金請求の一部を除いて認容したため、上告人が上告した事案において、牛乳等の小売業を営んでいたA社が中小企業者の実体を有することという被上告人の動機は、それが表示されていたとしても、当事者の意思解釈上、保証契約の内容となっていたとは認められず、被上告人の保証契約の意思表示に要素の錯誤はないとし、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人敗訴部分は破棄し、被上告人の請求は、破棄部分に関する第1審判決中上告人敗訴部分を取消した上、上記取消部分に関する被上告人の請求を棄却し、かつ、上記破棄部分に関する被上告人の控訴を棄却した事例。
2016.12.27
損害賠償等請求事件
LEX/DB25544285/福岡地方裁判所 平成28年11月28日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第2399号
原告(弁護士)が所属する弁護士会から内部の委員会に懲戒処分を請求された事実等を報道したことについて、被告(NHK)には、弁護士会による事前公表を鵜呑みにし、必要な取材活動や反対意見に関する情報収集を行わず、原告の実名や個人情報を出して真実に反する報道をしたなどという不法行為があり、原告は上記報道により精神的苦痛を被ったと主張して、被告に対し、不法行為に基づき、慰謝料の一部である1000万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めるとともに、人格権に基づき、謝罪文書の提出や訂正報道を求めた事案において、原告の訴えのうち、給付請求として求められる特定を欠き、不適法であるとして却下し、原告のその余の請求を棄却した事例。
2016.12.20
損害賠償等請求事件
LEX/DB25448307/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月 8日 判決 (上告審)/平成27年(受)第2309号
上告人(1審被告。国)が日米安全保障条約等に基づき米海軍に使用させ、また、海上自衛隊が使用する厚木海軍飛行場の周辺に居住する被上告人(1審原告)らが、同飛行場において離着陸する米海軍及び海上自衛隊の各航空機の発する騒音等により精神的又は身体的被害等を被っていると主張して、上告人に対し、人格権に基づく航空機の離着陸等の差止め及び音量規制を請求するとともに、国家賠償法2条1項に基づく損害賠償等を求めた上告審の事案において、上記飛行場で離着陸する米海軍及び海上自衛隊の各航空機の発する騒音等により精神的又は身体的被害等を被っていることを理由とする被上告人らの上告人に対する損害賠償請求権のうち事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分については、その性質上、将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しないものというべきであるとして、被上告人らの本件訴えのうち原審の口頭弁論終結の日の翌日以降に生ずべき損害の賠償請求に係る部分は、権利保護の要件を欠くものというべきであって、被上告人らの上記損害賠償請求を平成28年12月31日までの期間について認容した原判決には、訴訟要件に関する法令の解釈の誤りがあり、この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。したがって、原判決中上記将来の損害の賠償請求を認容した部分は破棄を免れず、上記部分に係る訴えを却下した第1審判決は相当であり、この部分について被上告人らの控訴及び被上告人らの附帯控訴を棄却し、その余の請求に関する上告については、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却した事例(補足意見がある)。
2016.12.13
損害賠償等、境界確定等請求事件
LEX/DB25448300/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月 1日 判決 (上告審)/平成27年(受)第477号
地番が838番6の土地の所有者である被上告人が、これを占有する上告人に対し、所有権に基づき、上記土地の一部の明渡し及び上告人が占有を開始した日から上記明渡し済みまでの賃料相当損害金の支払等を求め、本件仮差押えがされた時点で、本件建物とその敷地の一部である838番6の土地が同一の所有者に属していたことにより、本件建物につき法定地上権が成立するか否かが争われ、原審は、本件建物につき法定地上権の成立を否定し、被上告人の土地明渡請求を認容し、賃料相当損害金の支払請求を一部認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件強制競売手続は本件仮差押えが本執行に移行してされたもので、仮差押えの時点では本件建物及び838番6の土地の所有権はいずれもAに属していたから、本件強制競売手続により上告人が本件建物の所有権を取得したことにより、本件建物につき法定地上権が成立したというべきであるとし、原判決中、被上告人の上告人に対する土地明渡請求を認容し、賃料相当損害金の支払請求を一部認容すべきものとした部分は破棄し、成立した法定地上権がその後消滅したか否か等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻しを命じた事例。
2016.11.01
損害賠償請求事件 (愛知県弁護士会の転居先照会拒否 損害賠償請求認めず)
LEX/DB25448208/最高裁判所第三小法廷 平成28年10月18日 判決 (上告審)/平成27年(受)第1036号
弁護士法23条の2第2項に基づく照会を本件会社に対してした弁護士会である被上告人(原告・控訴人)が、本件会社を吸収合併した上告人(被告・被控訴人。日本郵政)に対し、主位的に、本件会社が23条照会に対する報告を拒絶したことにより被上告人の法律上保護される利益が侵害されたと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求め、予備的に、上告人が23条照会に対する報告をする義務を負うことの確認を求めたところ、原審が、被上告人の主位的請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、23条照会に対する報告を拒絶する行為が、23条照会をした弁護士会の法律上保護される利益を侵害するものとして当該弁護士会に対する不法行為を構成することはないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の主位的請求は理由がなく、これを棄却した第1審判決は正当であるから、上記部分につき、被上告人の控訴を棄却し、被上告人の予備的請求である報告義務確認請求については、更に審理を尽くさせる必要があるとして、原審に差し戻しを命じた事例(補足意見がある)。
2016.11.01
放送受信料請求事件
LEX/DB25543802/奈良地方裁判所 平成28年 9月23日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第3号
原告(NHK)が、被告との間の放送受信契約に基づき、被告に対し、平成24年12月1日から平成27年9月30日までの放送受信料4万3980円及びこれに対する約定遅延損害金の支払を求めた事案において、放送法4条1項に定める放送内容に関する義務は、原告が個々の契約者との関係で放送受信契約に基づき負担する義務ではなく、放送に際して一般的抽象的に負担する義務であるというべきであり、上記義務は、被告が負担する放送受信料支払義務と牽連関係にないものと解するのが相当であるなどとして、原告の請求を認容した事例。
2016.11.01
損害賠償請求事件
LEX/DB25543808/福島地方裁判所 平成28年 5月24日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第17号
福島県知事から産業廃棄物処理施設の設置許可を受けた原告(産業廃棄物処理会社)が、被告水利組合、被告A、被告B、被告Cに対し、被告らが福島地方裁判所相馬支部に対して原告を債務者とする上記産業廃棄物処理施設の建設工事の続行差止めを求める仮処分の申立てを違法に行い、上記建設工事の続行を禁止する仮処分命令が発令されたため、原告が1518日間にわたって事業の停滞を余儀なくされ、事業停滞期間の借地料、一般経費及び利益金の運用収益の合計4億3404万8616円の損害を被ったと主張して、被告らの共同不法行為に基づき、連帯して上記損害及び内金3159万3510円につき平成20年3月26日から、内金917万8705円につき平成20年3月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、被告B以外の被告に対し、処分場設置につき同意をしたにもかかわらず、これを撤回し反対運動を行ったことが債務不履行に該当するとして、同額の支払を求めた事案において、被告らが上記仮処分申立てを行ったことに過失があると認めることはできず、また、被告ら(被告Bを除く。)が本件同意に反して仮処分申立てを行ったとしても、それにより債務不履行責任が生じるとも認めることができないこととし、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2016.09.27
放送受信契約締結義務不存在確認請求事件(ワンセグ携帯 NHK受信料巡る判決)
LEX/DB25543507/さいたま地方裁判所 平成28年 8月26日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第1802号
原告は、自己の所有するワンセグ機能付き携帯電話を一定の場所に設置しておらず、携帯しているにすぎないから、原告は放送法64条1項本文の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当しない、仮に、該当するとしても、原告は本件携帯電話を被告の放送を視聴する目的で所有してはいないから、本件携帯電話は同項ただし書きの「放送の受信を目的としない受信設備」に該当すると主張して、原告が、被告(NHK)に対し、被告の放送の受信契約を締結する義務が存在しないことの確認を求めた事案において、放送法64条1項の「設置」を受信設備を使用できる状態に置くことと解することはできず、本件携帯電話を携帯するにすぎない原告は「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当しないというべきであるとして、原告の請求を認容した事例。
2016.09.20
損害賠償請求事件
LEX/DB25448140/最高裁判所第三小法廷 平成28年 9月 6日 判決 (上告審)/平成27年(受)第766号
上告人(不動産賃貸業等を目的とする株式会社)は、被上告人Y1社(総合コンサルティング業等を目的とする会社)との間で、被上告人Y1社の営業のために出資をする旨の匿名組合契約を締結し、被上告人Y2(被上告人Y1社の代表取締役)、被上告人Y3(Y2の弟)で、上告人が、被上告人Y1社への出資金が被上告人Y2及び被上告人Y3と上告人との利益が相反する取引に充てられて損害を被ったなどと主張して、被上告人ら各自に対し、不法行為に基づき、1億6500万円の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めるとともに、選択的に、被上告人Y1社に対しては債務不履行に基づき、被上告人Y2に対しては会社法429条1項に基づき、上記と同額の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求め、原審は、上告人の被上告人ら各自に対する1億6500万円の損害賠償金及び遅延損害金の支払請求をいずれも棄却したため、上告人が上告した事案において、原判決中、上告人の被上告人ら各自に対する1億6500万円及びこれに対する金員の支払請求に関する部分を破棄し、承諾の有無等について更に審理を尽くさせるため、前記部分につき本件を原審に差し戻しを命じた事例(補足意見がある)。
2016.09.20
損害賠償請求控訴事件(道陥没賠償訴訟 津市の責任否定 逆転判決)
LEX/DB25543480/名古屋高等裁判所 平成28年 7月28日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第329号
訴外P4が所有する原判決別紙物件目録記載1及び2の土地陥没事故が発生し、P4がP4土地上に所有する建物に居住できなくなったところ、原告(被控訴人。建築工事請負会社)が、土地陥没事故は、P4土地を含む区域の開発許可に係る被告(控訴人。津市)の過失又は土地陥没事故を誘引した付近の道路の陥没事故に関する道路の設置又は管理の瑕疵によるものであるから、P4は控訴人に対して国家賠償法1条1項又は国家賠償法2条1項に基づく損害賠償請求権を有するとして、P4から譲り受けた同請求権を行使し、被告に対し、建物の建築請負代金等相当額及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原判決は、津市長等が、都市計画法33条1項7号所定の「安全上必要な措置」が講ぜられるように設計されているか否かを審査すべき職務上の注意義務に反し、実質的な審査を行うことなく漫然と開発許可を行い、都市計画法36条に基づく工事完了検査の際にも、上記措置が講ぜられたものであることを確認すべき義務を怠って漫然と検査済証を交付した結果、同法が要請する宅地の安全性の水準に達しない開発行為が行われ、各陥没事故の発生を招いたというべきである旨判示するとともに、原告の権利濫用又は過失相殺の抗弁を排斥して、被告に対し、建物の建築請負代金等相当額及びこれに対する遅延損害金の支払を命じたため、被告が控訴した事案において、津市長等が道路陥没事故を予見することができないとして、津市長等の職務上の注意義務違反はないとし、また、被告には、道路の設置・管理に瑕疵があったとも認められないとして、原判決を取り消し、原告の請求を棄却した事例。
2016.09.20
損害賠償請求控訴事件(医療訴訟 遺族逆転勝訴)
LEX/DB25543338/東京高等裁判所 平成28年 5月26日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第3174号
分娩のために病院を受診し、治療中に死亡した亡Aの相続人(夫及び母)である控訴人らが、亡Aの死は、同病院の担当医師の治療行為上の過失に基づくものである旨を主張して、同病院を運営する被控訴人厚生農業協同組合連合会に対しては診療契約上の債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づき、同病院の担当医師である被控訴人らに対しては不法行為に基づき、損害賠償の支払を求めた事案の控訴審において、亡Aは常位胎盤早期剥離を契機とする産科DICが主たる原因となって死亡したものと認めるのが相当であるところ、担当医師らの過失(常位胎盤早期剥離発症時における産科DIC防止に関する過失、ショックに対する治療に関する過失、出血量チェック及び輸血に関する過失)がなかったならば、亡Aは適時に輸血等の抗ショック治療受け、産科DIC対策が行われて救命できたものであり、上記過失と亡Aの死亡結果との間には因果関係があるとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2016.09.13
損害賠償請求事件(安愚楽牧場 元役員らに賠償命令)
LEX/DB25543254/大阪地方裁判所 平成28年 5月30日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第11451号
原告らが、Aとの間で、Aが所有又は管理する黒毛和種の繁殖牛を購入すると同時にその飼養を委託するという黒毛和種牛・飼養委託契約を締結し、一定期間後にAが原告らから同繁殖牛を再売買するという合意のもと、購入及び委託代金を支払ったところ、Aが破綻したために再売買をして代金の支払を受けることができなかったことにつき、本件契約は特定商品預託法4条1項及び出資法2条1項に違反して違法である、又はAが原告らに対し、本件契約締結時にAが債務超過であることやAが所有又は管理する繁殖牛が本件契約頭数を大幅に下回ること等を説明しなかったことが説明義務違反に当たり、いずれも不法行為に該当するところ、被告らには、Aの経営に必要不可欠な関連会社として、又はA若しくはその関連会社の役員として、Aの前記不法行為に積極的に加担し、又は援助助長した点に注意義務違反及び任務懈怠があったとして、被告らに対し、共同不法行為(民法719条1項)及び会社法429条1項に基づき損害賠償金の支払を求めた事案において、Aの監査役及び取締役に対する請求を一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2016.09.06
損害賠償請求事件(日本振興銀行元会長に5億円賠償命令)
LEX/DB25543331/東京地方裁判所 平成28年 5月19日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第23844号
整理回収業務を行う原告が、破綻したN銀行の取締役であった被告に対しN銀行が平成22年3月に実行したSMEGへの融資について,被告がそれを承認し実行させたことには善管注意義務違反、忠実義務違反があり、当該義務違反行為にN銀行には10億5009万2056円の損害が発生したが、原告は、かかる損害賠償請求債権をN銀行から譲り受けたとして、会社法423条に基づき、上記損害金の一部である5億円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告は、SMEGの経営状況、資産状態等について十分な調査、検討を行うことなく、その安全性について十分な確認をしないまま本件融資を承認したものであり、この点からしても、被告には善管注意義務違反,忠実義務違反が認められるとして、原告の請求を認容した事例。
2016.08.23
損害賠償請求事件(第1事件、第2事件)(野外ライブで落雷死亡 主催者に責任認めず)
LEX/DB25543324/大阪地方裁判所 平成28年 5月16日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第7807号 等
原告らが、コンサートの企画等を業とする被告らに対し、実質的に被告らが主催する音楽イベントの会場付近で、原告らの娘であるP6が落雷により死亡した事故について、被告らには亡P6を落雷の危険から保護すべき義務の違反ないし債務の不履行等があったと主張して、共同不法行為又は債務不履行に基づき、原告らそれぞれにつき4089万1265円及びこれに対する遅延損害金の支払(被告らは連帯)を求めた事案において、被告らに、上記落雷事故につき亡P6に対する注意義務違反又は債務不履行があったとは認められないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2016.08.23
発信者情報開示請求事件(「他人に成り済まされない権利」 アイデンティティー権 認定)
LEX/DB25543323/大阪地方裁判所 平成28年 2月 8日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第10086号
第三者が原告になりすましてインターネット上の掲示板に投稿したことによりアイデンティティ権、プライバシー権ないし肖像権を侵害され、又は、名誉を毀損されたとする原告が、上記投稿をした者(発信者)に対する損害賠償請求権の行使のために、発信者にインターネットサービスを提供した被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、発信者の氏名又は名称、住所及び電子メールアドレスの開示を求めた事案において、上記投稿により原告の権利が侵害されたことが明らかであると認めることはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2016.08.09
保証債務履行請求控訴事件(融資後に反社会的勢力と判明 信用保証協会に保証命令)
LEX/DB25543072/東京高等裁判所 平成28年 5月26日 判決 (差戻控訴審)/平成28年(ネ)第464号
控訴人(H信用金庫)が、A社及びB社に貸し付けた金銭債権について信用保証をした被控訴人(K協会)に対し、主位的請求として保証契約に基づき、貸金残元金、未払利息及び未払遅延損害金等の支払を求め、予備的に被控訴人において反社会的勢力を主債務者とする保証契約を締結しないように注意すべき義務を怠ったことにより、控訴人は回収不能となった貸金相当額について不法行為に基づく損害賠償を請求した事案の控訴審において、本件各保証の締結当時において、反社会的勢力対応部署を整備して一元的な管理態勢を構築すること、融資に伴う審査等の通常業務の中で、主債務者及びその関係者について反社会的勢力でないかどうかを調査、確認すること等が金融機関において求められていたといえるから、これらの方法を用いて反社会的勢力か否かの調査を行うことは一般的に行われている調査方法に含まれていたとして、原判決を取り消し、控訴人の主位的請求を認容した事例。
2016.08.09
請負代金等請求本訴事件(本訴事件)、違約金請求反訴事件(反訴事件)
(F15戦闘機契約解除を巡り 違約金支払い命令)
LEX/DB25543078/東京地方裁判所 平成28年 3月18日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第24885号 等
原告(T社)が、被告(国)に対し、F-15戦闘機を母体とする偵察機を用いた偵察システムを構成する装置等を調達することを内容とする請負契約に基づきDBRP(光学・赤外線偵察ポッド)を製造して被告に納入する義務が被告の帰責事由により履行不能になったと主張して、危険負担の債権者主義に基づき、DBRPの代金の支払を求めた(本訴請求)事案と、被告が、原告に対し、上記偵察システム等契約は、原告が同意内容どおりのDBRPを製造しなかったため、原告の帰責事由によりその全部が履行不能により解除されたと主張して、違約金の支払を求めた(反訴請求)事案において、DBRPを被告に納入する義務が履行不能になったことにつき、原告に帰責事由があり、当該債務不履行を理由に、上記偵察システム等契約は解除されたとして、本訴請求を棄却し、反訴請求を認容した事例。
2016.08.02
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25543016/高松高等裁判所 平成28年 4月25日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第144号 等
1審被告在特会の会員らである1審被告らが、1審原告らを抗議対象者とする街頭宣伝活動を行った際、1審原告組合の事務所内に住居侵入の上、1審原告bらの執務する事務所内において、拡声器を用いて大音量による示威活動を行い、1審被告fにおいてその映像をインターネットを通じて公開したことなどについて、1審原告組合が、上記示威活動等やその映像をインターネットで公開する行為は、業務を妨害し、名誉を毀損する不法行為に該当すると主張して、1審被告在特会に対しては民法715条1項に基づき、1審被告dらに対しては民法709条、民法719条1項に基づき、損害賠償を求めた等の事案において、1審原告bは、本件各示威行動等やその映像をインターネット上で公開するという不法行為により、私生活の平穏・人格権を侵害されるとともにその名誉を毀損され、外傷後ストレス障害に罹患した等として、1審原告らの控訴に基づき、原判決を変更した事例。