注目の判例

刑法

2015.06.02
殺人,殺人未遂,現住建造物等放火被告事件(兵庫県 加古川 7人殺害 死刑確定)
LEX/DB25447264/最高裁判所第二小法廷 平成27年5月25日 判決 (上告審)/平成25年(あ)第729号
被告人が、自宅の東西に隣接する2軒の家屋内等において、親族を含む隣人ら8名を、順次、骨すき包丁で突き刺すなどして、7名を殺害し、1名に重傷を負わせた後、母親が現住する自宅にガソリン等をまいて放火し、全焼させた事案の上告審において、被告人の事理弁識能力及び行動制御能力が著しく低下していたとまでは認められないとする原判決は、経験則等に照らして合理的なものといえ、事実誤認があるとは認められないとし、また、量刑についても、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は、是認せざるを得ないとし、上告を棄却した事例。
2015.06.02
詐欺被告事件(オレオレ詐欺 見張り役 無罪)
LEX/DB25506263/京都地方裁判所 平成27年4月17日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1470号
被告人が、被害者(当時70歳)から現金をだまし取ろうと考え、共犯者α及び名前の分からない者らと共謀の上、数回にわたって電話をかけ、息子を装い、信じ込ませ、被害者から欺いて現金1000万円を交付させたオレオレ詐欺の事案において、被告人に詐欺の故意及び共謀があったと認めるには合理的な疑いが残り、本件全証拠をもってしても、その疑いは払拭されないとして、被告人に無罪を言い渡した事例。
2015.06.02
強制わいせつ被告事件(無罪)
LEX/DB25506191/仙台高等裁判所 平成27年3月10日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第151号
被告人は、深夜、被告人の横で寝ていた養女である被害者(当時11歳)に対して、ブラジャーやパンツの中に手を差し入れて、乳房をもんだり、陰部を触るなどの行為に及んだとの強制わいせつにより起訴され、原判決は懲役1年6月を言い渡し、被告人が控訴をした事案において、被告人の原審供述の信用性を直ちに排斥することもできないから、「疑わしきは被告人の利益に」の原則に従って、被告人が公訴事実記載の罪を犯したとの証明はされていないと評価すべきであるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2015.05.26
詐欺被告事件(元日弁連常務理事に実刑 詐欺事件)
LEX/DB25506204/東京地方裁判所 平成27年3月30日 判決 (第一審)/平成25年(刑わ)第2304号等
被告人甲、乙及び丙の3名が、共謀の上、財務省等が所有する国有地等を、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構から取得できる旨うそを言い、約7か月間、購入を希望する3社から6回にわたり、売買代金の一部等の名目で合計9億4415万円の現金及び小切手をだまし取るとともに、被告人甲及び乙が、共謀の上、同様に購入を希望する1社から合計3億円の現金及び小切手をだまし取ったという各詐欺の事案において、巧妙な手口による計画性の高い職業的犯行であり、被害額の総額は巨額で、被害者らの処罰感情は厳しく、結果は重大であるなどとして、甲を懲役14年に、乙を懲役8年に、丙を懲役10年にそれぞれ処した事例。
2015.05.26
業務上過失致死傷被告事件(福知山線列車脱線事故 JR西日本元社長3人 二審も無罪)
LEX/DB25506197/大阪高等裁判所 平成27年3月27日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第1335号
福知山線における列車の脱線転覆事故について、元西日本旅客鉄道株式会社社長である被告人ら3名が、事故発生の具体的予見が可能であったとして業務上過失致死傷により起訴をされ、原判決は、被告人らに対し無罪を言い渡し、検察官の職務を行う指定弁護士が控訴をした事案において、被告人ら各人について、本件曲線において速度超過による列車脱線転覆事故が発生することを具体的に予見することが可能であったと認めるに足りる立証はないとして、各控訴を棄却した事例。
2015.05.26
強制わいせつ致死、窃盗被告事件(三重県 中三死亡 19歳少年懲役5~9年)
LEX/DB25506210/津地方裁判所 平成27年3月24日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第98号
当時18歳の被告人が、通行中の被害者(当時15歳)に対し、背後から鼻口部を手で塞ぐなどして空き地に連れ込み、着衣を無理矢理脱がせるなどの暴行を加えて同人の犯行を抑圧した上、強いてわいせつな行為をし、その際、鼻口部閉塞により、同人を窒息死させ、また、同人所有の現金約6000円を窃取したとの強制わいせつ致死、窃盗の事案において、犯情は悪質であり、事件の凶悪性や悪質性を大きく減ずる事情を見出し難く、保護処分を相当とする特段の事情は認められず、被告人を刑事処分に付すべきであるとした上、被害者が尊厳を踏みにじられ死亡したという重大な結果が生じたことなどを考慮し、被告人に対し、懲役5年以上9年以下を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.05.26
強盗致傷、詐欺、恐喝、監禁、強盗未遂、窃盗、恐喝未遂、強姦幇助、強盗、犯人隠避教唆被告事件(川崎容疑者逃走事件)
LEX/DB25506208/横浜地方裁判所 平成27年3月20日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第66号等
被告人が、共犯者と共謀の上で行った強盗致傷、詐欺、恐喝、監禁及び強盗未遂、恐喝未遂各1件並びに窃盗3件、共犯者と共謀の上行った監禁及び強盗、強姦幇助、犯人隠避教唆により起訴された各事案において、強盗致傷ないし恐喝未遂は、いずれもいわゆるオヤジ狩りに及ぼうとして起こした事件であり、態様は相当に悪質であること、各被害者が感じた精神的苦痛は無視できず、特に傷害を負った被害者は厳しい処罰感情を抱いていること、監禁及び強盗、強姦幇助の被害者の精神的苦痛が非常に大きいこと、犯行は悪らつであることなどを考慮し、被告人に、懲役11年を言い渡した事例。
2015.05.26
区分事件(監禁、強姦幇助、強盗、犯人隠避教唆被告事件)
(川崎容疑者逃走事件(部分判決))
LEX/DB25506207/横浜地方裁判所 平成27年 1月30日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第527号等-1
被告人は、共犯者と共謀の上、通行中の被害者を自動車の後部座席に無理やり乗せて走行したとの監禁、車内において共犯者が被害者を強姦し、これを知りながら同社の運転を継続したとの強姦幇助、被害者を脅迫して所持していた現金約2万4000円在中の財布1個(時価7000円相当)と、被害者にATMから引き出させた現金15万円を強取したとの強盗、検察庁川崎支部から逃走し、友人に自動車で運搬させるなどしたとの犯人隠避教唆の各公訴事実により起訴された各区分事件の事案において、被告人に対し、各公訴事実につきいずれも有罪とする部分判決を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.05.12
(山口組の元最高幹部けん銃所持 差し戻し確定へ)
LEX/DB25506118/最高裁判所第三小法廷 平成27年3月3日 決定 (第二次上告審)/平成25年(あ)第1377号
指定暴力団の元最高幹部の被告人Yが、組員2人と共謀しけん銃と実弾を所持していたとして起訴された銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件において、高等裁判所が、無罪を言い渡した第一審判決を破棄し、差し戻したため、被告人が上告した事案において、上告趣意のうち、憲法39条違反をいう点は、検察官の上訴は同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問うものではなく、また、憲法37条1項違反をいう点は、記録に照らし、本件の審理が著しく遅延したとは認められないから、いずれも前提を欠き、その余は、判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとし、上告を棄却した事例。
2015.05.12
(北海道苫小牧市女性死亡 傷害致死罪が成立)
LEX/DB25506125/最高裁判所第二小法廷 平成27年1月21日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第1190号
被告人が、被害者から自らの殺害行為を嘱託されたが、被告人は同嘱託を傷害の嘱託と理解して、被害者の頸部をバスローブの帯で締め付けた上、浴槽の水中に被害者の顔面を鎮める暴行を加えて、被害者を死亡させたとされた傷害致死被告事件の上告審において、被告人に適用される罰条を刑法202条後段のみであるとして懲役1年2月、執行猶予3年を言い渡した原々審の判決に対して、検察官及び被告人の双方が控訴して、被告人には傷害致死罪が成立するとして懲役2年執行猶予4年を言い渡した原審判決を妥当として、弁護人らの上告趣意は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由には当たらないとして、上告を棄却した事例。
2015.05.07
有印私文書偽造・同行使、詐欺、業務上横領被告事件(元米子市職員 業務上横領 第一審破棄)
LEX/DB25506083/広島高等裁判所松江支部 平成27年3月6日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第30号
被告人は、米子市役所の職員として高齢者である被害者の財産を管理していた際、預かっていた現金のうち30万円余を着服したとの業務上横領、被害者の死亡後、同人名義の銀行口座に入金された年金について、銀行窓口の職員を欺罔して15万円余を詐取したとの有印私文書偽造・同行使、詐欺被告事件において、原判決は懲役2年の実刑を言い渡し、これに対し、被告人が控訴をした事案において、事実誤認の主張は排斥したが、原判決の言渡し後に被害弁償を行ったこと、被害者相続人が被告人に対して寛大な処分を望んでいること、保釈中に正社員として就職したこと等を考慮し、被告人に対し、懲役2年6月、執行猶予5年を言い渡した事例。
2015.05.07
業務上過失傷害(変更後の訴因は業務上過失致死傷)被告事件
(古本屋 本棚倒壊 経営者有罪(控訴審))
LEX/DB25506075/札幌高等裁判所 平成27年3月5日 判決 (控訴審)/ 平成26年(う)第202号
訴外会社の取締役として、同社が経営する古書店の業務全般を統括するとともに、同店内にいる客の安全のため、同店内に設置された書棚の転倒や倒壊を確実に防止する措置を講じるべき業務に従事していた被告人が、各陳列棚の転倒による書棚の倒壊を確実に防止すべき業務上の注意義務があるのに、これを怠り、営業を続けた過失により、書棚に加わった軽度の外圧等によって、全ての陳列棚を転倒させて書棚を倒壊させ、客である甲(当時14歳)及び乙(当時10歳)に対し、その身体を書棚と書棚との間に挟ませて傷害を負わせ、乙を死亡するに至らせたとの業務上過失致死傷被告事件により、原審において有罪判決を受け、被告人が事実誤認を理由に控訴をした事案において、控訴を棄却した事例。
2015.04.28
公務執行妨害、傷害、大麻取締法違反、あへん法違反、覚せい剤取締法違反被告事件
(大阪府警 違法捜査 無罪)
LEX/DB25506069/大阪地方裁判所 平成27年3月5日 判決 (第一審)/ 平成26年(わ)第2715号等
被告人は、警察官から職務質問及び所持品検査を受けた際、同警察官に対し、右手で顔面をひっかき、その左上腕及び左母指付近にかみつくなどし、その職務の執行を妨害するとともに、加療約1週間を要する傷害を負わせ、大麻、覚せい剤、あへんを所持したとの事案において、被告人の行為は正当防衛であり、プライバシー侵害の程度の高い違法な所持品検査をした上、強度の有形力行使をしたもので、令状主義の精神を没却するような重大な違法があるから、このような違法行為に密接に関連する証拠を許容することは、将来の違法捜査抑制の見地から相当でないとして、証拠請求された品の証拠能力を否定し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2015.04.21
受託収賄、事前収賄、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反被告事件(岐阜県美濃加茂市長 無罪)
LEX/DB25505958/名古屋地方裁判所 平成27年3月5日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第1494号
被告人が、αから、浄水プラントを市立の学校に設置する契約が締結できるように有利かつ便宜な取り計らいをしてほしい旨の請託を受け、これを承諾し、αから、報酬並びに今後も同様の取り計らいをすることの報酬として供与されるものであることを知りながら、現金の供与を受け、もって自己の職務に関し、請託を受けて賄賂を収受するなどしたとして起訴された事案において、当該各現金授受の事実を認めることはできないとして、無罪を言い渡した事例。
2015.04.21
逮捕監禁、爆発物取締罰則違反、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反被告事件
(オウム事件 控訴棄却)
LEX/DB25505965/東京高等裁判所 平成27年3月4日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第797号
教団の信者であった被告人が、教団信者の所在を聞き出すため、その兄である被害者Aを拉致することを企て、共犯者と共謀の上、Aを自動車の後部座席に押し込んで同車を発車させ、教団施設内において、同人に全身麻酔薬を投与して意識喪失状態を継続させるなどして同人を脱出不可能な状態において逮捕監禁し、また、教団が宗教弾圧や攻撃を受けているかのように装おうなどと考え、当時教団を擁護する立場であると考えていた人物が居住していたマンションの玄関に手製爆弾を設置し、爆発させるなどした事案の控訴審において、被告人を懲役9年に処した原判決の量刑が重すぎて不当であるとはいえないなどとして、本件控訴を棄却した事例。
2015.04.21
殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(散弾銃で父殺害)
LEX/DB25505952/横浜地方裁判所 平成27年3月4日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第333号等
幼少期から長年にわたり、実父の暴力さらされ、恐怖心により逆らうこともできす、人生の芽を摘まれたと何度も感じてきた生育歴のある被告人が、実父(当時55歳)に対し、殺意をもって、至近距離から散弾銃で散弾1発を発射して実父の腹部に命中させ、同人を失血により死亡させて殺害するなどした事案において、特筆すべきは、被告人が、確実に殺害を遂げることができるように、ブレーカーを落として暗くした室内で待ち伏せをした上、猟銃を使用して、実父を至近距離から射殺したという態様であり、危険性の高さが際立っており、しかも、被告人は、実父の殺害を考え始めてから、殺害後に遺体を速やかに火葬して犯行を隠ぺいするための棺桶を用意するなど、時間をかけて周到な準備をしており、いわゆる完全犯罪をも目論んだ、非常に計画性の高い、巧妙な犯行であるとし、懲役15年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.04.21
殺人、非現住建造物等放火被告事件(埼玉 両親殺害・放火 無罪)
LEX/DB25505963/さいたま地方裁判所 平成27年3月3日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第832号
被告人が、被害者2名を殺害した上、同人らが居住していた建物に放火して全焼させたとして、殺人及び非現住建造物等放火の罪で起訴された事案において、認定できた事実を総合しても、被告人が殺人及び放火の犯人でないとしたならば説明が困難であるとはいえないというべきであり、被告人が各事件の犯人であると認定するにはなお合理的な疑いが残るとして、被告人に無罪を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.04.21
収賄被告事件(京都大学元教授 収賄罪 二審も有罪)
LEX/DB25505966/東京高等裁判所 平成27年2月26日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第527号
京都大学大学院教授である被告人が、研究機器等の納入業者の代表取締役であるA(原審相被告人)から、その職務に関し、賄賂の趣旨で、クレジットカードの利用の利益及びその使用分を含む合計943万円余相当の財産的利益の供与を受けたという事案の控訴審において、原判決後の被告人の反省状況等を考慮すると、被告人を懲役2年に処した原判決の量刑は、現時点においては、刑期の点で重すぎる結果になったというべきであるとして、原判決中被告人に関する部分を破棄し、被告人を懲役1年8月に処した事例。
2015.04.14
偽計業務妨害、航空機の強取等の処罰に関する法律違反、威力業務妨害、脅迫、不正指令電磁的記録供用被告事件(パソコン遠隔操作事件)
LEX/DB25505940/東京地方裁判所 平成27年2月4日 判決 (第一審)/平成25年(合わ)第48号等
被告人が、自ら作成した他人のパソコンを遠隔操作するためのコンピュータプログラムを用いるなどして、見ず知らずの第三者のパソコンに指令を送り、その第三者が知らない間にそのパソコンを遠隔操作するなどして、犯罪予告文を送信させるという方法により、約2か月半の間に合計9件にわたり行った偽計業務妨害、航空機の強取等の処罰に関する法律違反、威力業務妨害、脅迫、不正指令電磁的記録供用罪の事案において、一連の犯行の全体の犯情、個々の事件の犯情に照らせば、経緯・動機、態様、経過等の点において悪質であり、そのような事件を9件も繰り返した被告人については、相応に重い刑を科すのが相当であるとして、被告人を懲役8年に処した事例。
2015.04.07
傷害、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(アイドルグループ握手会 切りつけ事件)
LEX/DB25505909/盛岡地方裁判所 平成27年2月10日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第94号
女性人気アイドルグループのメンバーがCDを購入したファンと握手をするイベントにおいて、被告人がイベント参加者に紛れてメンバーに近づき、隠し持っていた凶器(折り畳み式のこぎり)で、突然同グループのメンバー二人に続けざまに切りつけて傷害を負わせ、それを見て止めに入った男性スタッフにも傷害を負わせたという事案において、被告人の責任は重大であり、複数被害者に対する凶器を用いた無差別的な傷害事案という類型の中でも、非常に重いものと位置づけられるとして、被告人を懲役6年に処した事例。