2014.09.09
殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
LEX/DB25504482/大阪地方裁判所堺支部 平成26年7月18日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第798号
被告人が、A社で働いていたところ、仕事のミスなどを指摘されるなどし、A社専務である被害者との間で激しい口論となり、A社を解雇されるに至ったため、被害者に対する恨みを強めていき、A社事務所において、銃弾4発の入った回転弾倉式拳銃の銃口を被害者の右側頭部に接着させた状態で弾丸1発を発射し、頭蓋内損傷により死亡させて殺害した事案において、本件はけん銃を使用した中でもとりわけ凶悪かつ冷酷な犯行である上、被害者に落ち度がないことなどから、量刑分布の中でも重い部類に属するとし、検察官の求刑には十分な根拠があると認め、懲役30年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.09.09
窃盗、強盗殺人、器物損壊被告事件
LEX/DB25504433/京都地方裁判所 平成26年7月14日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1569号等
強盗殺人罪の成否について、被告人(少年)には、遅くとも被害者殺害に着手する前、被害者宅に財布及び持出携帯等があることを認識した時点では、これらを持ち出す意思、すなわち財物奪取の意思があったと認められるとした上で、被告人は、被害者に対する強い殺害意思を抱いて被害者宅に赴いたと考えられるが、その段階で財布等を持ち出す意思を有していたとまでは認められないし、借用携帯の返還を免れるためだけに長年世話になった被害者を殺害することを決意したというのも疑問といわざるを得ないから、主な殺害動機として何らかの怨恨等が別にあった可能性が高いが、怨恨による殺意と財物奪取等の意思とは併存し得るものであり、仮に殺害の主たる動機が怨恨であったとしても、殺害時までに財物奪取等の意思が生じたのであれば、強盗殺人罪の成立は妨げられないとして、被告人を無期懲役に処した事例(裁判員裁判)。
2014.09.09
覚せい剤取締法違反(変更後の訴因 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反、覚せい剤取締法違反)被告事件
LEX/DB25504485/佐賀地方裁判所 平成26年7月11日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第253号等
被告人が、営利目的で約3.558グラムを所持していた上、覚せい剤等約0.8グラムを合計5人に譲渡し、1万5000円の利益を得て、自らにおいても覚せい剤を使用していた事案において、量刑判断の中核となる刑の重い麻薬特例法違反の罪において、被告人は、経済的な利益を得るため、危険な覚せい剤を社会に拡散し、また、拡散の危険性を生じさせたとし、被告人の責任を軽視することはできないが、被告人が積極的に販路を拡大したものではないこと等を踏まえ、また、被告人が覚せい剤の自己使用の罪に及んだことを併せて考慮し、懲役5年6月を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.09.09
証拠隠滅被告事件
LEX/DB25504486/大阪地方裁判所 平成26年7月9日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第6033号
堺警察署の留置管理課留置管理第二係長として勤務していた被告人が、同課勤務の警察官が、留置中の者を保護室に収容しようとして同人から殴られるなどの公務執行妨害、傷害事件が発生した際、同事件の捜査を担当した警察官が別の警察官を取り調べるにあたり、被告人は取調官らと共謀の上、取調官が供述調書を作成していたパソコンを被告人自ら操作して作成中の供述調書の内容を改ざんして内容虚偽の供述調書2通を作成し、事件の証拠として検察庁に送致させて証拠隠滅した事案において、供述調書の内容を改ざんすることは、その虚偽内容如何にかかわらず、供述の信用性判断を誤らせ、刑事司法作用を阻害するおそれが高く、強く非難されるべき犯行で、被告人の責任は軽いものではないが、既に退職して一定の社会的制裁を受けていることなども考慮し、懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡した事例。
2014.09.02
殺人被告事件(無理心中装い息子殺害)
LEX/DB25504383/福岡地方裁判所 平成26年6月20日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1534号
犯行に至る経緯中の一時、被告人が自殺を考えた可能性は残るが、遅くとも実行に着手する段階では、被告人に自殺するつもりはなかったのであるから、本件は、被告人が被害者(元妻との間の長男・当時2歳)と無理心中をしようとして同人を殺害したというものではなく、被害者の死によって元妻や異父姉を苦しませ、元妻らを後悔させて恨み等を晴らそうと考え、被害者を殺害した(恨みを晴らすために恨んでいる人物とは別の人物、それも自分の子の命を心中を装って奪ったという他に類例をみない類型に属する)事案と認められるとして、被告人を懲役15年に処した事例(裁判員裁判)。
2014.09.02
死体遺棄、保護責任者遺棄致死被告事件(鹿児島市女児遺棄致死事件)
LEX/DB25504390/鹿児島地方裁判所 平成26年6月20日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第61号等
被告人は、被告人の父親方2階トイレ内で女児を出産したものであるが、直ちに同児を抱きかかえて同トイレ隣の自室に戻った後、同児の母親としてこれを保護すべき責任があるにもかかわらず、同児を出産した事実が家族に知られることを恐れたため、その出産の事実をあえて同居の家族に秘匿し、これを同居の家族に告げてその助力を求めたり、自ら又は同居の家族を通じて119番通報の上、同児に適切な医療を受けさせたりするなどの必要な措置を講じることをしないまま、同児を前記自室内に放置し、もって同児の生存に必要な保護をせず、よって、同児を栄養不良による衰弱により死亡させ、同児の死体をバスタオルや新聞紙で包み、バッグに入れた上、同室のクローゼット内に隠し、もって死体を遺棄したとして、被告人を懲役3年(執行猶予4年)に処した事例(裁判員裁判)。
2014.09.02
虚偽有印公文書作成、同行使、証拠隠滅、有印公文書偽造、同行使被告事件(調書改ざん事件)
LEX/DB25504385/大阪地方裁判所 平成26年6月17日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第5747号
警察官であった被告人が、その在職中に、担当していたひき逃げ事件について、犯人性に関する証拠を補強するため、被害者の供述調書の内容を一部を改ざん(変造)して上司に提出し、退職後、警察署に呼び出されて同事件の捜査書類の不備を指摘され、つじつま合わせのため、実況見分の実施日や同調書の作成日を改ざん(偽造)して捜査担当者に提出したという事案において、高度の正確性や真実性が要求される捜査書類について、上記のとおりの改ざんが行われたことは、捜査書類の信用性を損ない、ひいては捜査機関の職務や刑事司法作用に対する国民の信頼を傷つけるものであるとして、被告人を懲役1年6月(執行猶予4年)に処した事例。
2014.08.26
建造物等以外放火、殺人、窃盗被告事件
LEX/DB25504395/広島地方裁判所 平成26年7月16日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第226号等
被告人は、介護福祉士として勤務していた施設において、ベッドに寝ていた被害者(当時85歳)に対し、殺意をもって、同人の身体に掛けられていた布団にライターで火を放ち、同人を火傷死させたとして建造物等以外放火、殺人、及び、同僚の財布から現金を窃取したとして窃盗により起訴された事案において、建造物等以外放火と殺人については、自白の信用性の立証がなされたとは言えないとして無罪を言い渡し、窃盗について、被告人に対し、懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.08.26
殺人未遂被告事件
LEX/DB25504378/福島地方裁判所 平成26年6月27日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第25号
被告人が、脳梗塞の後遺症で左半身が不自由となった長男である被害者(当時47歳)を介護し続けていくことなどのへの不安が高じ、自殺の道連れに被害者を殺害しようと考え、睡眠薬により仮睡状態に負わせた被害者を乗せた自動車を海中に向かって発進させて、海中に転落させたが、通行人らが被害者を救出したため、被害者に加療1週間を要する傷害を負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった事案において、本件の犯情は、決して芳しいものではないが、被告人を直ちに実刑に処するまでのものではないとして、懲役3年、執行猶予4年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.08.26
傷害、強盗致傷被告事件
LEX/DB25504379/甲府地方裁判所 平成26年6月20日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第16号等
被告人が、被害者A(当時16歳)に対し、その左腕付近を右足で蹴るなど暴行を加え、同人に加療約14日間を要する傷害を負わせ、また、被害者B(当時17歳)から現金を強取しようと考え、共犯者らと共謀の上、被害者に対し、その顔面を多数回殴打し、その顔面や腹部を数回足で蹴るなどの暴行を加えて犯行を抑圧した上、現金9000円を強取し、加療約1か月間を要する外傷性歯冠破折及び加療約2週間を要する腹部打撲傷等の傷害を負わせた事案において、本件は、刑の下限を6年として量刑するのは相当ではないとし、酌量減軽して刑を定めるべきであるが、被告人の暴行が強度であることなどにより、刑の執行を猶予すべき事案とまでは認められず、懲役3年を言い渡した事例。
2014.08.26
殺人被告事件
LEX/DB25504377/福島地方裁判所郡山支部 平成26年6月18日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第141号
被告人が、筋ジストロフィーやエイズに罹患し、家族にもエイズを感染させているなどと思い悩むようになり、自殺しようと考えたが、妻を一人残すと辛い思いをさせるであろうなどと考え、妻と無理心中することを決意し、助手席に妻である被害者(当時64歳)を乗せた普通貨物自動車を加速させて電柱に正面から激突させ、更に、停車中の車内において、カッターナイフで、被害者の右顔面、頚部等を複数回切り付け、被害者の左胸部を突き刺すなどして失血により死亡させて殺害した事案において、本件犯行当時、被告人の弁識能力又は行動制御能力は著しく減退はしておらず、被告人は完全責任能力を備えていたと認め、懲役7年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.08.19
業務上横領、収賄被告事件(長野県建設業厚生年金基金24億円着服事件)
LEX/DB25504327/長野地方裁判所 平成26年6月25日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第238号等
厚生年金基金の事務長兼出納員であった被告人が、同基金の預金から約5年間の間に44回にわたり合計23億8334万2770円を引きだして着服し横領した業務上横領44件と、同基金の年金給付等積立金の運用に関し、運用委託先の役員らから3回にわたり合計430万円の賄賂を収受した収賄3件の事案において、空前の巨額横領事件であること、経緯及び動機に、刑を減ずべき格別の事情があるとはいい難いこと、横領額のほとんどを浪費により消費しており事実上回復不可能であること、同基金の加入者等が受けた損害は甚大であること、外国に逃亡し、3年余りにわたって逃亡生活を続けており犯行後の情状も良くないことなどから、被告人に対し、処断刑期の上限である懲役15年を言い渡した事例。
2014.08.19
各詐欺被告事件(朝鮮総連ビル売却問題事件)
LEX/DB25504300/最高裁判所第二小法廷 平成26年5月19日 決定 (上告審)/平成24年(あ)第785号
朝鮮総連が、本件土地建物の売却先を探していたことに乗じて、被告人両名が、共謀の上、被告人B又はその支配する投資家が運用しているファンドの資金を引き上げて本件土地建物の売買代金に充てるのに違約金等の支払が必要になるなどと嘘を言ってその旨誤信させ、現金を詐取するなどした事実につき、原判決が、被告人Aに懲役2年10月、被告人Bに懲役3年、被告人両名に執行猶予5年を言い渡した第一審判決を維持し、各控訴を棄却したため、各被告人が上告した事案において、上告趣意のうち、被告人A及び同Bの各自白調書の任意性につき憲法違反をいう点は、記録を調査しても、その任意性を疑うべき証跡は認められないから、前提を欠き、その余は、憲法違反をいう点を含め、実質は事実誤認、単なる法令違反の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとして、本件各上告を棄却した事例。
2014.08.19
民事再生法違反、詐欺被告事件
LEX/DB25504309/大阪高等裁判所 平成26年3月18日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第852号
A社及びB社の代表取締役であり、C社を実質的に経営する被告人が、A社又C社において、B社から婦人服を購入する旨の架空の取引を偽装して、銀行に信用状を発行させるとともに、B社振り出しに係る為替手形を作成した上、D他4名をして、本件船積書類の内容が正確で、正当な買取依頼である旨誤信させ、A社名義の外国預金口座に振込入金させた事実につき、懲役10年が言い渡されたため、被告人が控訴した事案において、原判決が、その挙示する証拠によって、詐欺の故意及び従業員らとの共謀並びに被告人らの行為と本件各銀行が行った本件各手形の買取り及びその代金の振込入金の間の因果関係をいずれも肯認して各詐欺罪の成立を認めたのは正当であるとし、控訴を棄却した事例。
2014.08.19
覚せい剤取締法違反、関税法違反被告事件(無罪事件)
LEX/DB25504375/千葉地方裁判所 平成26年3月17日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1093号
被告人が、氏名不詳者らと共謀の上、スーツケースに覚せい剤を隠匿し我が国に密輸入しようとしたが、その目的を遂げなかったという公訴事実につき、被告人に本件スーツケース内に覚せい剤を含む違法薬物が隠匿されていたことの認識があったと認めるには合理的な疑いが残り、また、それぞれの事情を総合することによって、この疑いが解消されるともいえないとして、被告人を無罪とした事例。
2014.08.12
大崎事件
LEX/DB25504376/福岡高等裁判所宮崎支部 平成26年7月15日 決定 (抗告審)/平成25年(く)第5号
殺人、死体遺棄事件(いわゆる大崎事件)で懲役10年に処せられ確定判決を受けた請求人が、第2次となる本件再審請求をしたところ、地裁がした再審請求棄却決定に対し、十分な審理を行わず、新証拠の明白性判断の手法を誤り、新証拠の証拠評価を誤ったものであるので、原決定を取り消し、再審を開始する決定を求めた即時抗告審の事案において、本件において提出された新証拠は、これを確定審及び第1次再審までに提出された全証拠を併せて総合評価しても、確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせるには足りないのであって、無罪と認めるべき明らかな証拠とはいえず、刑事訴訟法435条6号所定の再審事由があるとはいえないとし、なお、原審の審理不尽をいう点については、当審において、検察官に対し証拠開示の勧告をし、また、3名の証人尋問をしているから、その判断をするまでもなく、抗告の理由がないとして、抗告を棄却した事例。
2014.08.12
殺人被告事件(京都・木津川市女性殺害事件)
LEX/DB25504334/大阪高等裁判所 平成26年6月27日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第992号
スナックのホステスである被告人が、来店客と知り合い、以後断続的に交際していたが、来店客とクラブのホステスであった被害者(当時27歳)が同伴出勤をしていることを知り、交際しているものを考え、被害者宅を訪れ、強引に室内に入り込んだ上、刃物様のもので、被害者βの左胸部、右乳房部、右側胸部、左手背部、右上腕部、右前腕部等を突き刺すなどし、さらに、その頚部をバスタオルで絞め付け、頚部圧迫により窒息死させて殺害し、原判決が被告人に懲役17年を言い渡したところ、検察官及び被告人の双方が控訴した事案において、被害者が先行して刃物で被告人を攻撃した可能性は認められず、被告人の刺突行為と頚部絞付け行為のいずれについても殺意が認められ、被告人には殺人罪が成立するとし、原判決は、被害者による先制攻撃の可能性と被告人の刺突行為時の殺意について事実を誤認したものであり、有期懲役の法定刑のうち最上限の刑を科するのが相当であるとして、原判決を破棄し、被告人を懲役20年に処した事例。
2014.08.05
傷害致死被告事件(寝屋川市女児虐待事件 裁判員裁判の求刑超え判決見直し)
LEX/DB25446523/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月24日 判決 (上告審)/平成25年(あ)第689号
被告人両名は、三女にそれぞれ継続的に暴行を加え、かつ、これを相互に認識しつつも制止することなく容認することなどにより共謀を遂げた上、当時の被告人両名の自宅で、被告人Aが、三女(当時1歳8か月)に対し、その顔面を含む頭部分を平手で1回強打して頭部分を床に打ち付けさせるなどの暴行を加えた結果、急性硬膜下血腫などの傷害を負わせ、三女を急性硬膜下血腫に基づく脳腫脹により死亡させた傷害致死の事案の上告審において、裁判員裁判の第一審判決は、児童虐待を防止するための近時の法改正からもうかがえる児童の生命等尊重の要求の高まりを含む社会情勢等の事情を本件の量刑に強く反映させ、これまでの量刑の傾向から踏み出し、公益の代表者である検察官の懲役10年という求刑を大幅に超える懲役15年という量刑をすることについて、具体的、説得的な根拠が示されているとはいい難く、甚だしく不当な量刑判断に至ったものであるとし、また、法定刑の中において選択の余地のある範囲内に収まっているというのみで合理的な理由なく第一審判決の量刑を是認した原判決は、甚だしく不当であって、これを破棄しなければ著しく正義に反すると認められるとして、原判決及び第一審判決を破棄し、第一審判決の認定した罪となるべき事実に法令を適用すると、被告人両名の各行為は、いずれも刑法60条、刑法205条に該当するので、各所定刑期の範囲内で、被告人Aは、原判決が是認する第一審判決の量刑事情の評価に基づき検討を行って懲役10年に処し、被告人Bは、実行行為に及んでいないことを踏まえ、犯罪行為にふさわしい刑を科すという観点から懲役8年に処した事例(補足意見がある)。
2014.08.05
業務上過失致死被告事件(明石市人工砂浜陥没事故)
LEX/DB25446525/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月22日 決定 (第二次上告審)/平成24年(あ)第1391号
兵庫県明石市の大蔵海岸東地区に位置し、東側及び南側をコンクリート製ケーソンを並べて築造されたかぎ形突堤に接していた砂浜において、東側突堤のケーソン目地部に取り付けられたゴム製防砂板が破損し、その破損部から同目地部付近の砂層の砂が海中に吸い出されて砂層内に大規模な空洞が形成され、同空洞上部を小走りで移動していた被害者(当時4歳)が、その重みのため同空洞が突如崩壊して生じた陥没孔に落ち込んで生き埋めとなり、約5か月後に死亡した事故につき、第二次第一審判決は、被告人に本件事故発生の予見可能性があったとした上、国土交通省による抜本的な砂の吸出防止工事が終了するまでの間、工務第一課自ら、本件砂浜に人が立ち入ることができないよう、本件かぎ形突堤が階段護岸に接合する地点からその西方の水面を結ぶ線上にバリケード等を設置し、本件砂浜陥没の事実及びその危険性を表示するなどの安全措置を講じ、あるいは明石市又は東播海岸出張所に要請して前記安全措置を講じさせ、もって陥没等の発生により本件砂浜利用者等が死傷に至る事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があったにもかかわらず、その注意義務を怠り、南側突堤沿いの砂浜及び東側突堤沿い南端付近の砂浜に現出した陥没の周囲のみにバリケード等を設置する措置を講ずることで事足りると軽信し、漫然と前記安全措置を講ずることなく放置した過失により、本件事故を発生させて被害者を死亡するに至らしめた旨認定し、第二次控訴審判決はこれを是認したため、被告人が上告した事案において、被告人に本件砂浜に関する安全措置を講ずべき業務上の注意義務があるとした原判決は相当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2014.08.05
背任被告事件
LEX/DB25504151/大阪高等裁判所 平成26年6月13日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第1553号
背任被告事件の控訴審において、被告人について、学校法人S学園を実質的に支配しており、同学園理事長であるTと共に、同学園の業務全般を統括し、同学園の資産を適切に管理運用すべき任務を有していたとして、被告人に背任の主体性を認めた上、被告人は、被告人がTに指示して、Tが被告人に指示されてこれに応じた同学園から被告人への3億8000万円にのぼる不正な貸付け(本件融資)が同学園に損害を与える危険性が高いことを認識しつつ、自らの利益を図る目的の下にこれを行ったとして、背任の故意及び図利加害目的を肯認して、背任罪の成立を認めて被告人を懲役3年、執行猶予5年を言い渡した原判決の判断を正当として是認し、所論の事実誤認、量刑不当の主張をそれぞれ斥けて、被告人の控訴を棄却した事例。