注目の判例

刑法

2013.10.15
各凶器準備集合被告事件
LEX/DB25501667 / 東京地方裁判所 平成25年 8月 9日 判決 (第一審) / 平成25年(刑わ)第147号
 被告人ら2名は、準暴力団関係者らと共同し、被害者を対立する人物と誤信して危害を加える目的で凶器準備集合を行ったとの事案において、目的は準暴力団内の身勝手な論理に基づく極めて悪質かつ危険なもので、態様は社会の平穏を大きく害し、組織性や計画性も高く、被害者が死亡しており、犯行による危険が現実化していること、被害者の父親が厳しい処罰感情を有していること等は軽視できないが、他方で、被告人両名の関与の程度は低い程度で留まっていた事情も考慮し、被告人両名に対し、それぞれ懲役1年6月、執行猶予4年を言い渡した事例。
2013.10.15
各凶器準備集合被告事件
LEX/DB25501668 / 東京地方裁判所 平成25年 8月 9日 判決 (第一審) / 平成25年(刑わ)第1111号
 被告人ら4名は、準暴力団関係者らと共同し、被害者を対立する人物と誤信して危害を加える目的で凶器準備集合を行ったとの事案において、目的は準暴力団内の身勝手な論理に基づく極めて悪質かつ危険なもので、態様は社会の平穏を大きく害し、組織性や計画性も高く、被害者が死亡しており、犯行による危険が現実化していること、被害者の父親が厳しい処罰感情を有していること等は軽視できないが、他方で、被告人ら4名の関与の程度は低い程度で留まっていた事情も考慮し、被告人らに対し、それぞれ懲役1年6月、執行猶予4年を言い渡した事例。
2013.10.15
強要、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
LEX/DB25501664 / 東京地方裁判所 平成25年 8月 8日 判決 (第一審) / 平成25年(刑わ)第1111号
 被告人は、被害児童(当時13歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、被害児童の顔と下着姿の画像データを入手し、これをインターネット上の掲示板に掲載すると言って脅迫した上、児童ポルノ画像を製造しようと考え、被害児童に対し、電子メールを送信して脅迫し、被害児童の陰部等を撮影させた上、その画像データを送信させ、児童ポルノを製造したとの強要、児童売春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反の事案において、被告人に根強い常習性が認められるとして、被告人を懲役1年6月に処した事例。
2013.10.15
住居侵入、強姦致傷、強姦被告事件
LEX/DB25501666 / 東京地方裁判所 平成25年 8月 7日 判決 (第一審) / 平成24年(合わ)第139号等
 被告人は、5年以上にわたって、深夜徘徊して無施錠の女性の一人暮らしと思われる部屋を探し当てては、住居侵入、強姦致傷、強姦の各犯行に及ぶといったことを7回にわたり繰り返したとの住居侵入、強姦致傷、強姦の事実で起訴された事案において、犯行の数の多さ、各被害者に与えた深い心の傷を重視すると、極めて悪質であること、個々の犯行態様も計画的かつ巧妙であること、被害者らがいずれも被告人の弁償申出を拒絶していること、過去にも同様の犯行を行い、8年間服役しており、常習性は顕著であり、再犯可能性も高いこと等から、被告人の刑事責任は重いとして、被告人を懲役28年に処した事例(裁判員裁判)。
2013.10.15
保護責任者遺棄致死(予備的訴因:業務上過失致死)被告事件
LEX/DB25501661 / 大阪地方裁判所 平成25年 7月31日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第1487号
 被告人は、ガールズバー経営者として飲食業を営み、雇い入れた未成年の女性らに飲酒を伴う接客等を行わせるなどの業務を行っていたところ、泥酔状態に陥った従業員の被害者女性(当時18歳)が床の上で横になっているのを認めるとともに、別の従業員から同女が接客業務の一環として短時間にブランデーを5、6杯飲んだことを告げられたから、同女の生命身体の安全に配慮すべき業務上の注意義務があったが、これを怠り、同女を漫然と放置した過失により、急性アルコール中毒で死亡させたとの保護責任者遺棄致死の事案において、被告人を禁錮1年6か月、執行猶予3年を言い渡した事例。
2013.10.15
業務上横領、無印私文書変造・同行使(認定罪名:無印私文書偽造・同行使)、国税徴収法違反被告事件
LEX/DB25501619 / 東京地方裁判所 平成25年 7月 9日 判決 (第一審) / 平成25年(刑わ)第227号
 弁護士である被告人は、2年余りの間に15回にわたり、成年後見人として預かり保管していた被後見人名義の口座の預金を、被告人名義の預金口座に振込送金して、合計1270万円という多額の金員を横領したとの業務上横領、無印私文書偽造・同行使、国税徴収法違反の事案において、結果は重大であること、法律専門家という高度の信頼の下に選任されたのに、信頼を裏切って犯行に及んだもので、強い非難を免れないこと、犯行の経緯、動機に酌むべき点はないこと、横領の事実を隠ぺいするために2回にわたり預金通帳を偽造したこと、滞納処分による差押えを免れるため、財産の隠ぺいをしたことなどから、刑事責任は重大であるとして、被告人に対し、懲役2年6月を言い渡した事例。
2013.10.15
 
LEX/DB25501660 / 最高裁判所第三小法廷 平成25年 7月 8日 決定 (上告審) / 平成23年(あ)第1098号
 被告人に対する殺人、殺人未遂、現住建造物等放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反、建造物損壊、威力業務妨害、覚せい剤取締法違反被告事件につき、第一審が、警察署に対する銃撃に係る事実につき被告人を無罪とし被告人に無期懲役を言い渡し、第二審が、無罪とした部分に事実誤認を認め原判決を破棄して被告人に無期懲役を言い渡し、被告人が上告をした事案において、上告を棄却した事例。
2013.10.15
有価証券偽造、同行使、詐欺、証券取引法違反被告事件
LEX/DB25501676 / 福岡地方裁判所 平成25年 7月 3日 判決 (第一審) / 平成22年(わ)第1404号等
 被告人が、約1万5000名の者を勧誘して社債を募集する際に内閣総理大臣への届出をしなかった証券取引法違反の事実、架空の法人名義で社債券40枚(券面額合計1億6800万円)を偽造して行使した有価証券偽造、同行使の事実、リゾートホテル会員権の預託金名下に56名の被害者から合計1億4000万円余りの金員を詐取した詐欺の事実からなる、有価証券偽造、同行使、詐欺、証券取引法違反被告事件の事案において、被告人は、量刑の中心となる判示第3の各犯行についてみると、判示第3記載の約定で会員権を発行して預託金を集めても返還することができないと分かっていたにもかかわらず、会員権を販売し、多数の被害者に多額の損害を被らせており、その犯情は悪質であり、結果も重大である等として、被告人の刑事責任は重大であって、被告人を相応の期間の実刑に処するのが相当であるとして、被告人を懲役6年及び罰金300万円に処するとした事例。
2013.10.15
殺人被告事件
LEX/DB25501669 / 福岡地方裁判所 平成25年 6月14日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第262号
 被告人は、長年にわたって献身的に高齢の実母である被害者の介護を続けてきた中で、うつ病の強い影響で心神耗弱の状態に陥り、自身と被害者の将来に絶望して犯行当日に衝動的に被害者と無理心中することを思い立ち被害者(当時94歳)の頚部をタオルで絞めて窒息死させたとの殺人の事案において、犯行に至る経緯や動機には酌むべき事情が相当程度認められること、被告人が反省の態度を示していること、被害者の長女も被告人の処罰を望んでいないこと、再犯のおそれは乏しいと思われることなどから、刑の執行を猶予するのが相当であるとして、被告人に対し、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2013.10.15
住居侵入、殺人、窃盗、傷害、脅迫被告事件
LEX/DB25501675 / 長崎地方裁判所 平成25年 6月14日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第75号等
 被告人が、同棲相手であったAの家族がAをその意思に反して実家に閉じ込めていると思い込むとともに、同棲中、Aに対し、被告人から逃げたらAの家族を殺すなどと告げていた覚悟を示すためにも、Aの家族を殺害してAを連れ戻そうと企て、長崎県内のAの実家等に侵入し、Aの祖母や母を殺害したなどとされた住居侵入、殺人、窃盗、傷害、脅迫被告事件の事案において、犯行当時の被告人の責任能力について、被告人の各犯行動機は、Aへの過度の執着心・支配欲や非社会性パーソナリティ障害がもたらす欲求不満への耐性及び規範意識の低さ等が重なって形成されたことを考慮すれば、十分に理解可能であり、理不尽ではあるが、突飛な考えとか不可解な動機とは異なるとして、被告人は、各犯行時に、精神の障害により是非弁識能力及び行動制御能力が著しく減退しておらず、完全責任能力を有していたと認めるのが相当であるとして、被告人を死刑に処するとした事例(裁判員裁判)。
2013.10.15
各業務上過失往来危険、業務上過失致死被告事件
LEX/DB25501624 / 東京高等裁判所 平成25年 6月11日 判決 (控訴審) / 平成23年(う)第1545号
 控訴人(被告人。海上自衛官)両名に対する業務上過失往来危険、業務上過失致死被告事件について、原判決が無罪を言い渡し、検察官が控訴をした事案において、被告人両名の過失を認めることはできないとして、控訴を棄却した事例。
2013.10.15
詐欺、有印私文書偽造、同行使被告事件
LEX/DB25501620 / 水戸地方裁判所土浦支部 平成25年 6月11日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第696号等
 被告人は、金融機関職員をして、被告人が土木建築業を営んでおり、融資した金銭を重機購入に充て、被告人が受注している工事代金等で同金銭の返済を受けることができる旨を誤信させ、1144万円余りの金員を振込入金させたとの詐欺、金銭借用証書を偽造し行使したとの有印私文書偽造、同行使の事案において、計画的、巧妙、悪質であること、被害額は多額であること、身勝手な犯行であることなどを考慮し、被告人を懲役2年10月に処した事例。
2013.10.15
殺人、覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25501674 / 福岡地方裁判所小倉支部 平成25年 6月 7日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第785号等
 被告人が、妻(当時50歳)に裏切られたとの思いが一気に高まって、同人を殺害することを決意し、同人に対し、殺意をもって、ナイフで同人の両頚部及び右大腿部を突き刺し、その頚部にタオルを巻き付けて締め付けるなどし、よって、同人を絞頚による窒息兼出血性ショックにより死亡させて殺害した等とされた事案において、本件犯行の際、被害者が真意に基づいて被告人に殺害を嘱託した事実はなく、また、仮に、被害者が「終わりにして」などの言葉を発したとしても、被告人がその言葉を真に殺してほしいという意味のものと認識したとは考えられず、よって、被告人が被害者から殺害を嘱託された旨誤信した事実はないものと認められるなどとして、被告人を懲役16年に処した事例(裁判員裁判)。
2013.10.15
殺人未遂被告事件
LEX/DB25445886 / 神戸地方裁判所 平成25年 3月19日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第769号
 被告人は、アパートの居室から3階廊下に出たところ、同じアパート3階の住人で、以前口論をしたことがあったA(当時72歳)から、居室ドアの開閉を静かにするよう注意された上、その顔面を拳で殴られるなどしたことから、これに腹を立て、Aを脅して今後このような態度をとらないようにさせようと思い立ち、穴あき洋包丁(刃体の長さ約12.2センチメートルを持ち出し、3階の廊下で、Aに対して、本件包丁の刃先を向け、更に、Aが本件包丁を持った被告人の右手をつかみ、被告人も左手でAの胸ぐらをつかむなどして揉み合いの状態になる中で、Aの手をふりほどこうとし、Aの身体の至近距離で本件包丁を持った右手を振り回すなどの暴行を加え、その際、Aにより加えられた力も相まって、本件包丁の刃先が、Aの左側胸部に突き刺さったり、右頸部に当たるなどした結果、Aに、全治約45日間を要する、左側胸部刺創、左第3肋骨骨折、血気胸、右頸部切創、右手背切創等の傷害を負わせた事案において、被告人は、脅すためにAに包丁を突き付けたところ、Aが被告人の右手首をつかみ、そのまま押したり引いたりの揉み合いになったため、被告人は手を自由に動かすことができない中で、Aの手をふりほどこうと手を振り回し、Aにより加えられた力も加わり、結果として包丁がAの身体に突き刺さったり、体に触れるなどし傷害が発生したもので、被告人は、狙ってAの左側胸部等を刺したわけではないから、自身の行為がAが死ぬ危険性の高い行為であるとわかって行ったとはいえず、被告人には殺意は認められず、傷害罪が成立するにとどまり、懲役3年に処した事例(裁判員裁判)。
2013.10.08
殺人被告事件
LEX/DB25501472 / 東京高等裁判所 平成25年 7月11日 判決 (控訴審) / 平成24年(う)第2246号
 アルコール症センター内で、同じ入院患者である被害者を刺し殺したという事案の控訴審で、被告人は犯行当時、妄想型統合失調症のために責任能力が著しく減退していたものの、責任無能力状態であったとまではいえず、限定責任能力状態であったとした原審の判断は妥当であるとして、被告人側の控訴を棄却した事例。
2013.10.08
電磁的公正証書原本不実記録、同供用被告事件
LEX/DB25501593 / 広島地方裁判所 平成25年 7月11日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第143号
 被告人は、共犯者と共謀の上、新設分割により設立する株式会社につき、休眠会社から資産等の承継があったと仮装して、内容虚偽の「資本金の額の計上に関する証明書」等を作成した上、東京法務局において、同書類等を提出して新設分割による会社の設立登記を申請し、登記官をして、商業登記簿原本である電磁的記録に、会社の資本金が1000万円である旨の不実の記録をさせ、商業登記簿原本としての用に供したとの電磁的公正証書原本不実記録、同供用の事案において、被告人に懲役1年、執行猶予4年を言い渡した事例。
2013.10.08
殺人被告事件
LEX/DB25501467 / 山口地方裁判所 平成25年 6月27日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第220号
 妄想性障害もつ被告人が被害者を殺害したという事案において、犯行が妄想性障害の著しい影響を受けて行われており、被告人は犯行当時心神耗弱の状態にあったとして、被告人に懲役3年を言い渡した事例(求刑懲役18年)。
2013.10.08
殺人被告事件
LEX/DB25501465 / 大阪高等裁判所 平成25年 2月26日 判決 (控訴審) / 平成24年(う)第1159号
 実姉を包丁で突き刺して死亡させたというの事案について、第一審で懲役20年を言い渡された事案の控訴審で、原判決は本件犯行にいたった動機や経緯にアスペルガー傷害の影響があった点を過小評価し、また社会においてアスペルガー障害の受け皿がなく、このことと被告人の反省が十分でないことと相まって再犯のおそれが強いなどとして、これらを被告人の刑を重くする方向の一事項として考慮したが、それは誤っているとして原判決を破棄し、懲役14年を言い渡した事例。
2013.10.01
現住建造物等放火、殺人、殺人未遂被告事件
LEX/DB25501589 / 大阪高等裁判所 平成25年 7月31日 判決 (控訴審) / 平成23年(う)第1649号
 犯行時、被告人に妄想はあったものの、被告人の精神症状により、物事の是非善悪を判断し、その判断に従って行動する能力が著しく減退していなかったと認定した原判決の判断は正当であるとし、また、現在我が国で執行されている絞首刑という執行方法が、それ自体、受刑者に不必要な精神的、肉体的苦痛を与えることを内容とするものとして、人道上も残虐と認められる刑罰であるということはできないとして、被告人の控訴を棄却した事例。
2013.10.01
殺人被告事件
LEX/DB25501585 / 京都地方裁判所 平成25年 7月18日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第50号
 被告人と被害者との夫婦関係修復の意見の違いに起因する殺人事件において、本件の犯情は悪く、被告人の刑事責任は相当重いのであって、子らのために父親が必要である旨の弁護人の主張を踏まえても、本件は酌量減軽をすべき事案とは到底いえないとして、被告人を懲役13年に処した事例(裁判員裁判)。