2025年7月号Vol.139
【巻末情報】 ペポルインボイス実証報告
今春、兵庫県多可町の協力を得て、ペポルインボイス*活用に関する実証実験を行いました。これはペポルインボイスを財務会計システムに自動で取り込み、伝票への自動転記・起票、電子決裁から支払いにいたる 〝デジタル完結〟の効果を検証したものです。
その結果、内部事務の効率化等の面で有効性を確認できた一方で、実務面では自治体特有の課題があり、その対応策についても検討しました。
想定される課題と対応策
「ペポル」とは、請求書などの電子文書をネットワーク上でやり取りするための国際的な標準仕様で、日本ではデジタル庁が日本版の標準仕様(JP PINT)を公開しています。
ペポルインボイスを活用することで、請求書の送り手は紙の請求書を発行する必要がなくなり、受け手側では人の手を介することなく財務会計システム等にデータを容易に連携できます。
今回、対応策を検討した課題は3点です。
1 請求書の宛名を「首長(市長、町長など)」宛にする必要がある
2 請求書発行事業者の代表者の役職名、氏名を記載する必要がある
3 担当課への振り分けをどうするか
1と2は、各団体が規定する規則等で請求書に必要な要件として定められているものです。また3については、請求書は〈取引が発生した担当課宛て〉に送付されますが、ペポルインボイスの宛先は「ペポルID」(法人番号もしくは適格請求書発行事業者の登録番号等)となるため、担当課への振り分け方法を考える必要があります。
なお、これら課題は検討の結果、JP PINTに規定された項目を適切に活用することで対応可能との結論に至りました。ただ、いずれの対応策も請求書の送り手(事業者)側で設定するものであり、自治体がペポルインボイスを受領するには、これらについて事業者へ事前提示等が必要になります。
TKCでは、今回の結果も踏まえて公会計システムの機能を拡充し、来春にペポルインボイス対応サービスを提供する計画です。ご期待ください。

掲載:『新風』2025年7月号