02 連携

決算期を待たない「予兆管理」と
「早期伴走支援」が地域企業の未来を拓く

茨城県信用保証協会×TKC
『TKC会報』2026年10月号

目次

    茨城県信用保証協会の小泉元伸会長・平山桂己常務理事と、TKC関東信越会茨城支部の増山英和会長・湯原拓支部長によるトップ対談が実現しました。対談に先立ち、動画『TKC FOCUS』「信頼できる決算書とは」をご視聴いただいた上で、企業の「早期の異変(予兆)」をいかに捉え、金融機関・保証協会・税理士が一体となって伴走支援へつなげるかを議論。現場での定期対話とデータ開示に基づく「実態把握」の重要性を金融機関の皆さまへお届けします。

    茨城県信用保証協会とTKC関東信越会茨城支部の関係者による対談

    1. 試算表の「電子自動開示」が変える保証審査と予兆管理

    「信頼できる決算書とは」をテーマとした動画『TKC FOCUS』の視聴から始まった今回の対談。年1回の決算書だけでは、目まぐるしく変化する中小企業のリアルタイムな経営状況を把握することには限界があります。茨城県信用保証協会では、税理士を通じて電子申告された決算書や月次試算表データが自動的に共有される「データ連携サービス(TKCモニタリング情報サービス)」を導入し、業務の高度化を進めています。

    「保証審査の参考資料として活用するだけでなく、これからの予兆管理を強化していくうえでは、月次の情報がデータとして届くことは非常に価値があると思っています」
    「県内企業の約45%が当保証協会をご利用いただいていますが、当然ながら全社を常時見続けることはできません。だからこそ、金融機関や税理士の皆さんと連携しながら、異変や兆候が現れた段階で情報を共有できる仕組みが重要です」
    (茨城県信用保証協会 会長 小泉元伸氏)

    月次データの共有がもたらす金融実務のメリット

    • 定期的・客観的な財務把握:年1回の決算期を待たずに、毎月の最新データを把握可能です。
    • 早期の異変察知(予兆管理):売上や粗利益の変動、資金繰りの変化などの兆候をタイムリーに察知できます。
    • 同業他社比較による課題抽出:業界標準データ(TKC経営指標等)や前年実績・計画値との比較を通じ、企業の潜在課題を浮き彫りにします。

    2. 「リスケ後」では遅い!組織改編と現地訪問による早期支援への転換

    企業が突然崩壊することは稀であり、多くの場合、事前に何らかのサインが出ています。経営が行き詰まって返済条件緩和(リスケジュール)を求めてくる段階まで待つのではなく、わずかな違和感の段階でアプローチすることが、事業者支援の成果を左右します。

    「当保証協会では今年度、大きな組織改編を行い『保証経営支援課』を設置しました。単なる審査にとどまらず、早めの経営支援を行う体制へ切り替えています」
    「リスケジュールしてからの支援開始では遅いのです。少しでも異変を感じた段階で現地へ赴き、金融機関や支援機関と連携して対応することに力を入れています」
    (茨城県信用保証協会 常務理事 平山桂己氏)

    「私たちは毎月現場を訪問し、数字の確認だけでなく経営者と対話を重ねています。経営者と一緒に課題を確認していくことが重要な役割です」
    (TKC関東信越会茨城支部・湯原拓 支部長)

    「毎月会社にお伺いして社長と直接対話しているからこそ、現状や変化を誰よりも早く把握できます。その積み重ねが予兆管理となり、金融機関や保証協会との連携による早期支援につながります」
    (TKC関東信越会 増山英和 会長)

    早期経営支援を推進するステップ

    1. 毎月の現地対話:数字のチェックにとどまらず、経営者の表情や現場の異変を直接把握します。
    2. 兆候段階での情報共有:売上低下やコスト増などの初期兆候を金融機関・保証協会へ速やかに共有します。
    3. 三位一体での現地対応:金融機関・保証協会・専門家が連携し、経営悪化が深刻化する前に改善策を講じます。

    3. 新制度「モニタリング強化型特別保証制度」を活用した三者連携の伴走支援

    令和8年3月よりスタートした「モニタリング強化型特別保証制度」は、認定経営革新等支援機関による継続的な月次モニタリングを前提とし、国が保証料の2分の1を補助する仕組みです。中小企業にとってのコストメリットが大きいだけでなく、金融機関・保証協会・税理士が一体となって伴走支援を推進する強力な枠組みとなります。

    「認定経営革新等支援機関による継続的なモニタリングを前提に、国が保証料の2分の1を補助する制度ですので、中小企業にとっても活用メリットの大きい制度です」
    (増山会長)

    「当保証協会としても非常に期待している制度です。企業の状況を定期的に把握しながら、金融機関、保証協会、支援機関が一緒になって支援していく。まさにこれから求められる伴走支援の形です」
    「私どもが目指している方向と税理士の先生方が取り組まれている方向は同じです。企業が厳しい状況になってからではなく、兆候が見えた段階で支援につなげる。そのためには各自が持つ情報や気づきを共有することが大切です」
    (小泉会長)

    これからの地域金融機関に求められるアプローチ

    • 情報共有の強化:経営者・金融機関・税理士・保証協会の間で、平時から情報や気づきをオープンにする関係を構築します。
    • 制度の積極活用:保証料補助のある特別保証制度などをフックに、定期モニタリングを融資条件や伴走支援の基本構造に組み込みます。
    • 決算報告会等の共同開催:定期的な面談や報告会を通じて、同じ数字と課題を共有しながら経営者を支えます。
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