グループ内の連携密にし適正な連結納税申告を行う
電子計測機器の分野で異彩を放つのがエー・アンド・デイだ。電子天秤については国内で圧倒的なシェアを誇る。伊藤貞雄管理本部本部長(執行役員)、経理部の西島和弘次長、田辺泰之係長の3名に、

アナログとデジタルの変換技術が会社の強み
――事業の概要について教えてください。
伊藤 ごく簡単に言えば、「はかる」を事業領域にした電子計測機器メーカーです。音、振動、変位、強度、粘弾性などを高精度に計測する各種機器(波形解析システム・材料試験器・オシロスコープ等)や、電子天秤をはじめとする計量機器などを幅広く扱っています。電子天秤については国内でナンバーワンの地位にあります。
――社名の由来は?
伊藤 当社の強みは、「アナログ/デジタル(A/D)変換」「デジタル/アナログ(D/A)変換」の技術にあります。つまり、重さや音といったアナログ量をデジタル数値に変換したり、デジタル数値をアナログ量に変換する技術です。これがまさにエー・アンド・デイの社名の由来です。A/D・D/A変換技術では世界最高レベルの企業だと自負しています。
――主なユーザーというと…。
伊藤 (1)産業分野(2)医療・健康分野(3)一般家庭の3つが当社の製品の主要なターゲットです。
産業分野ということでは、各種メーカーの研究開発所や工場で私たちの製品を見掛けることができるはずです。たとえば工場では、小さな金属部品の数を調べるのに個数計が利用されますが、それなども当社の製品が広く浸透しています。
次に医療・健康分野としては、デジタル血圧計をはじめ、ベッドに寝たままの状態で体重変化を測定できるベッドスケールなどが全国の病院で使われています。
また血圧計については家庭向けの商品も扱っていて、病院用血圧計に限られていた「オシロメトリック方式」をいち早く家庭用血圧計に応用しました。
――海外での販売も積極的に行っていると聞きました。
伊藤 当社では1977年の創業当初から世界を意識したビジネス展開を方針に掲げています。現在世界6ヵ国に、販売を中心とする現地法人を設立し、4ヵ国に生産拠点を置いています。家庭用血圧計で世界トップクラスの売上高が得られるようになったのは、これらのグローバルな展開の結果です。
――最近の経営環境はどうですか。
伊藤 やはり不況の影響を少なからず受けています。工場で使う台秤などはいわば消耗品であるため、古くなれば買い換える必要が出てきます。でも今は多くのユーザーが「なるべく使えるうちは使おう」と、買い換えサイクルを長期化する傾向があります。
それと、国内の半導体産業に活気がないのも、私たちにとっては残念なことです。半導体製造装置の電子銃(回路に描画する際に用いる電子ビームを照射)とその周辺回路(電子ビームの照射方向を制御する回路)は大きな収入源の1つでしたが、最近はあまりぱっとしません。
――そうした状況を踏まえて最近力を入れていることは?
伊藤 いま最も期待を込めているのが、自動車メーカーを対象にした走行試験装置の販売です。この製品の特徴は、自動車の試作車向けに一度の走行で様々な部品のデータを一括計測できる点で、各部品ごとに走行試験を繰り返すよりも試験期間をずっと短縮できます。DSP(デジタル信号処理技術)と呼ばれる技術がベースとなっていて、今後はこれを会社のコア・コンピタンス(競争優位の源泉)にしていきたいとも考えています。
単純な入力ミスを防ぐなど“親切”な機能が充実
――連結子法人について簡単に紹介してください。
伊藤 (1)研精工業(2)リトラ(3)オリエンテック(4)サム電子機械(5)ベスト測器の5社があります。(1)~(3)は製造子会社という位置付けです。(4)と(5)については主に自動車関連製品の製造・販売を行っています。(4)は昨年10月、(5)は今年1月にM&Aを通じてグループ企業となりました。
――「連結納税制度」を採用したのはいつ頃ですか。
西島 平成18年の申告が最初でした。連結納税をはじめた一番の理由は、「試験研究費の控除限度額を有効活用できる」という点に関心を持ったからです。連結納税のメリットとして「損益通算」(グループ内に黒字会社と赤字会社が混在している場合、赤字と黒字を相殺することで法人税額が少なくなる)をあげる企業が多いかもしれませんが、当時グループ内には赤字会社がなかったので、決め手になったのはやはり試験研究費の面でしたね。試験研究費の控除限度額はグループ全体で計算するので、子会社だけでは使い切れない分を親会社で利用できるなどのメリットがあります。
――
西島 市販の申告書作成ソフトを使っていました。実は連結納税を採用してから合計3回の申告をしたのですが、提出すべき別表が抜けたりするなどの不備が目立った。そこで税務の専門家に指導を仰ぐ必要があると考え、朝日長野税理士法人のお世話になることにしました。その打ち合わせのなかで、
――以前使っていたシステムと比べてどんな印象を持ちましたか。
西島 設計上の考え方そのものが違うという感じです。前のシステムは、私たち担当者が連結納税そのものを十分に理解していないと使いこなせないところがあった。それに対して『eConsoliTax』は、申告データの単純な入力ミス・入力漏れはシステム上でチェックしてくれる(入力データの整合性チェック機能)など、担当者にとって“親切”な機能が充実しています。
オンライン活用し子法人の入力支援を行う
――他にも、使い勝手がよいと感じている機能はありますか。
田辺 子法人管理がしやすいというのがまず1つ。子法人の入力内容がオンラインを通じていつでも確認できるため、子法人の入力支援が簡単にできます。以前は、子法人が申告データを入力したファイルを圧縮して送ってもらい、誤りがあればこちら側で修正していました。でもそれだと、その内容が子法人の担当者にフィードバックされない。しかし今は、「こう修正してください」と伝えれば子法人ですぐに直してくれるし、その確認が容易にできます。
――『eConsoliTax』への移行にあたり、どんな準備をしましたか。
田辺 子法人の担当者を集めて
――連結納税申告書を作るまでの業務フローを教えてください。
田辺 5月中旬の決算開示をふまえて、まずは大まかな仮計算を行います。それこそ「別表四の2」(連結所得の金額)ができればよいというイメージで、各子法人に必要なデータを入れてもらいます。この内容は税理士の先生方にもみてもらい、間違っている部分があれば修正します。ここで子会社の数字をある程度固めます。その後、決算発表が終わり落ち着いてから実際の申告書の作成をします。
田中幹夫税理士 こうした一連の流れの作業を一緒に進めるなかで、エー・アンド・デイの皆様が非常に勉強熱心であることが分かりました。私たちもアドバイスのしがいがあります。
――今後、連結納税を通じた税務戦略をより一層充実させていくうえでどんなことを考えていますか。
西島 新たにM&Aで加わった2社のうちの1つは、去年まで我々と一緒に連結納税の業務に当たっていたスタッフが担当しているので特に心配はしていないのですが、もう1社は経理体制が少し弱いので、そこをきちんと見ていく必要があります。それを『eConsoliTax』の機能を十分に活用しながら行っていくつもりです。あと、親法人と子法人とで、例えば「利息の源泉税」における仕訳科目の選び方が違うなど、統一されていないところがあるのでその改善も課題ですね。
名称 | 株式会社エー・アンド・デイ |
---|---|
業種 | 電子計測機器等の製造販売 |
代表者 | 古川 陽 |
本社所在地 | 東京都豊島区東池袋3-23-14 |
TEL | 03-5391-6123 |
売上高 | 321億円(連結ベース) |
社員数 | 2957名(連結ベース) |
URL | http://www.aandd.co.jp/ |
『戦略経営者』2009年10月号より転載
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