ユーザー事例

曙ブレーキ工業株式会社

正確・迅速に連結納税申告書を作成する仕組みを構築

自動車用ディスクブレーキパッド市場で、国内外で圧倒的な支持を得ているのが曙ブレーキ工業だ。同社ではグループの税務戦略の一環として、TKC連結納税システム『eConsoliTax』を導入して申告業務の効率化をはかっている。そこで、その活用法などを同社の奥村健常務執行役員、松井誠一税務課課長、伊藤文雄氏、永嶋智巳氏、石岡正行税理士に聞いた。

曙ブレーキ工業株式会社

自動車用ブレーキを基盤に二輪車用・鉄道用も手がける

――御社は自動車用ディスクブレーキとドラムブレーキを主力製品にしていますが、それぞれどういうものなのかを説明してください。

奥村健常務執行役員 ディスクブレーキというのはディスクローターといって、車輪とともに回転する円盤に「ディスクブレーキパッド」という摩擦材を両方から挟み込み、その摩擦力によって自動車のスピードを下げ、停止させるというものです。ドライバーがブレーキペダルを踏むと「キャリパーピストン」に押されてブレーキパッドが動き出し、ローターを挟み込むという仕掛けです。これに対し、ドラムブレーキというのは車輪とともに回転するドラムの内側に、ピストンによってライニング(摩擦材)を押しつけ、その摩擦力によって減速、停止させるというものです。
 当社は今年1月に創業80周年を迎えましたが、社名の「曙」は、創業者の「納三治」が郷里である岡山県裳掛村虫明港の夜明けの美しさに感激したことに拠ります。

――マーケットシェアはそれぞれどれくらいあるのですか。

奥村 ディスクブレーキに関しては国内約31%、北米約22%、ディスクブレーキパッドでは国内約40%、北米約33%、欧州約1%となっています。一方、国内のドラムブレーキのシェアは15.4%、ライニングのそれは26%です(数字はいずれも07年度のOEM)。
 ディスクブレーキにしろドラムブレーキにしろ、我々がこだわっているのは、鳴きや振動の少ないブレーキフィーリングの良い製品をいかにつくるかにあります。そのために、昔から研究開発には力を入れてきていますね。

――開発のポイントは、どんな点にあるのでしょう。

奥村 現在は多くの原材料を配合して、ディスクブレーキパッド等を製造しています。提供する車種によって、それらの配合比率を微妙に変えています。つまり、車種ごとにどの原材料を使って、それらをどのような比率で混合すれば、その車に適切な摩擦材を開発することができるかということです。ここが当社ならではの技術ノウハウ部分です。

――自動車用ブレーキ技術をテコにして、二輪車用とか鉄道用ブレーキなども製品化してきていますね。

奥村 はい。なかでも新幹線用ディスクブレーキに関しては、国内約50%のシェアを持っています。量は車に比べ出ませんが、収益性はいい製品です。この他にフォークリフト用、大型クレーン用、風力発電用のブレーキも手がけています。要は、モノを動かすという「運動」のあるところに目をつけて事業領域を広げてきたということですよ(笑)。

――現在の生産体制と、直近の業績について教えてください。

奥村 国内、海外ともディスクブレーキパッドなどを生産する「製造部門」は子会社化しています。国内は現在、山形、福島、埼玉、岡山などに8工場、海外はアメリカ、フランス、中国、インドネシア、タイの5ヵ国に7工場あります。
 連結決算対象子会社は国内17社、海外16社の33社で、国内17社のうち14社が連結納税対象の子法人です。2008年3月期(連結ベース)の売上高は1847億3100万円、営業利益は151億5800万円でしたが、09年3月期は100年に1度といわれる「経済危機」の影響を受け、売上高は1580億円、営業利益はマイナス65億円になる見通しです。

操作性、品質のよさに加え初期投資もリーズナブル

――TKC連結納税システム『eConsoliTax』を導入・活用して連結納税申告書を作成されているそうですね。

奥村 はい。グループの税務戦略の一環として導入することを決め、06年3月期から『eConsoliTax』を使って連結納税申告書を作成しています。今年で4回目になりますね。

松井誠一税務課課長 システム導入にあたっては、TKCさんと他社さんとの比較も行いました。結果、『eConsoliTax』のほうがいろんな面で優れているということで、05年2月に導入契約しました。

――とくにどういう点がよかったのでしょうか。

奥村 1つは操作性がよいこと、2つ目は初期投資及びランニングコストがリーズナブルであること、3番目はクオリティーが高いことです。

伊藤文雄 実際に紙ベースで「別表四の二」(連結所得金額の計算)を書くことができない人でも、『eConsoliTax』ならマニュアルさえ整備しておけば簡単・正確にできます。ここが操作面で非常にいいところだと思います。

松井 『eConsoliTax』の場合、親法人も子法人も、それぞれ「個別別表」(例えば「貸倒引当金の損金算入に関する明細書」など)にデータ入力すれば、それが自動的に四表に転記されます。個別別表と四表との整合性を取ることができる仕組みになっています。ところが、他社さんの場合は、そうではなく、四表に直接、数字を入力することもできるため、“税務上のリスク”が非常に高い。

――導入にあたっては社内で「研修会」なども行ったそうですね。

松井 ええ。各子法人の経理担当者を集め、連結納税制度とはどういうものなのかとか『eConsoliTax』の操作に関しての研修会を行い、そのうえで“本番”に備えてテストも実施しました。

石岡正行税理士 テストは過去申告書データを使って行いました。その数値を『eConsoliTax』に打ち込んだ結果、所得金額に(過去申告書と)誤差がないかどうかを検証するというものです。また、『eConsoliTax』を導入するにあたり、意外に大変だったのは、マスター登録する「科目」の表記を統一することでしたね。

松井 表記がばらばらだったということです(笑)。例えば退職金の場合なら、A子法人は「退職引当金」とし、B子法人は「退職給与引当金繰入額否認」……などと表記していたわけです。表記を統一すると、科目ごとにグループ全体でいくらなのかが一目でわかります。

進捗管理機能と充実したサポート体制も魅力

――具体的には、どのような流れで連結納税申告書を作成しているのでしょうか。

松井 (1)親法人・子法人ともに確定決算に基づく「数値」を『eConsoliTax』に入力し、(2)連結納税ベース税額計算を行い、(3)親法人・子法人の個別税額を確定させ、(4)連結納税グループ全体の法人税及び地方税の申告書を作成する、というのが大きな流れです。親法人がグループを代表して連結法人税の申告・納付を行いますが、それを昨年からは「電子申告」でやっています。
 また、当社はワールドワイドに事業展開している関係上、「外国税額控除」を取り入れています。これは例えば海外子会社から受ける配当などに対しては、外国税と我が国の法人税が二重課税されることになるため、外国税を法人税額から控除するというものです。この金額が当社の場合、けっこう大きいので、『eConsoliTax』を使ってきっちりやらなければ、控除及び還付してもらえなくなるわけです。

――主にどんな「機能」を活用されていますか。

永嶋智巳 一番は「進捗管理機能」です。進捗管理の「ボタン」を親法人がクリックすると、こっちの子法人はすでにデータ入力の作業にとりかかっているが、こちらはまだやってないということが一目でわかります。つまり、申告・納付の期限は定められていますから、それに間に合うように足並みを揃えて業務を進めることができるわけです。

松井 サポート体制が充実していることも、『eConsoliTax』の魅力的なところです。システムを使っていて、何かわからないことや、困ったことが起きても、TKCさんに問い合わせれば、すぐに答えてくれます。申告作業に追われ、1分でも時間がほしいときに、レスポンスよく対応してくれるのが何とも心強いですね。

会社概要
名称 曙ブレーキ工業株式会社
業種 自動車用ブレーキ等の製造販売
代表者 信元久隆
本店所在地 東京都中央区日本橋小網町19-5
売上高 1847億円(連結ベース/2007年度)
TEL 03-3668-5173
社員数 6985名(連結ベース/2008年3月末現在)
URL http://www.akebono-brake.com/

『戦略経営者』2009年4月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2009年4月現在のものです。
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