ユーザー事例
グンゼ株式会社 様
申告業務の効率化に取り組む老舗インナーメーカー

アパレルのイメージが強いグンゼだが、いまや高機能フィルム関連事業が第2の柱として勃興。一方、肌着も競合相次ぐなか新技術を駆使して健闘している。そんな同社には関連会社も多く、申告業務は煩雑そのもの。その悩みを解消するべくシステム化に取り組んでいる。同社の古川知己取締役、経理統括室の澤田博和室長、宮本繁廣氏に、システムコンサルタントの園田将章税理士を加えて話を聞いた。
国内生産重視で圧倒的な品質を維持
──グンゼさんといえば、肌着や靴下のイメージがあります。

古川知己取締役
古川 当社は明治29年創業で来年には120周年を迎えます。創業からしばらくは製糸業を営んでいましたが、戦後まもなく、編み、染色、縫製など分業だった工程を、一貫生産によって製品を作り込む日本で初めてのアパレルメーカーとなり、高度経済成長期には大きく成長しました。不良品が出回るなか、「金の品質・銀の価格」ということで当社の品質の高さが当時の世代に受けたんですね。
──しかし、そこに安住せず、新しい分野にも早くから取り組んでこられたとか。
古川 繊維にこだわることなく、当社は事業内容の変化に対応して、まったく異質の分野にも事業展開を図ってきました。そのひとつが靴下の包装用フィルム(ポリ塩化ビニル)を内製化する取り組みでした。つまりパッケージですね。このフィルムパッケージを外注から内製化へと切り替えることで、フィルム事業がスタートしました。
──繊維と化学製品ではたいへんな違いですね。

『ボディワイルド』『シーク』など、
高機能ブランドで勝負をかける
古川 たとえば、ペットボトルのラベルのフィルムは当社がトップシェアです。30%くらいは持っているのではないでしょうか。それから、少し専門的になりますが、複写機の転写ベルト等に使われるポリイミドフィルムも当社製品が高いシェアを誇っています。さらに、医療手術用の溶解する糸や骨接合材なども評価をいただいています。
──タッチパネルの製造に参入されるのも早かったとか。
古川 昭和60年代には開発・生産を始め、工場の製造機器や銀行のATMなどにも利用されていました。いまは力を入れているのはやはり、パソコン等のタッチパネルですね。
──ところで、主力事業ともいえるアパレルの方がいかがですか。
古川 実は当社のアパレルの海外生産はいまだ58%で残り42%は国内で生産しています。高品質のグンゼ製品を支持してくださる方々がおられる限り、この比率は大きくは変わらないと思います。
──品質では、グンゼさんは随分先行されているとか。
古川 防寒や冷感などの機能インナーも実は当社の方が先駆けて開発しております。当社の年間開発コストは約30億円。アパレルの開発コストも相当額を維持しており着心地、耐久性、いずれも他社とは次元の違う品質を実現しているという自負があります。
──近年はブランド戦略も加速されているようですが。

「縫い目がない」がウリの女性用肌着『キレイラボ』
古川 他社の物量作戦、派手な広告宣伝に負けないよう、年齢別を意識したブランド構築に取り組んでいます。たとえば『ボディワイルド』というカジュアルインナー、あるいは『シーク』という着心地を追求したインナー、そして女性用では『キレイラボ』という「無縫製接着製法」という画期的な肌着なども発売し、常に新しい製品を世に問う姿勢を崩していません。とにかく着ていただければその着心地の良さが分かるのでなんとかマーケティングを頑張りたいですね。近年の量販店のプライベートブランド(PB)製品にもややかげりが見えてきたようで、今後はますますわれわれナショナルブランド(NB)にとって追い風が吹くのではと考えています。
システム統一によりグループ申告業務の標準化を実現
──『ASP1000R』を導入されたのは2011年だったとか。狙いは。

澤田博和室長
澤田 それまでは、スプレッドシートを使った手作業だったので、税制改正があるたびに一から作り直しで、大変な作業でした。しかも、その技術は属人化しがちで、内部統制面での問題もあり、システム化を考えたのです。
──TKCを選ばれた理由は。
澤田 他社製品も考えましたがアフターフォローが十分でなかったことやスタンドアローン型でネットワークで使用するのが困難でした。当グループは連結子会社が国内27社あり、当初からグループすべてに導入し、それらを本部で管理する仕組みを考えていましたから、クラウド型であるTKCの『ASP1000R』はまさにぴったりでした。
──申告業務は楽になりましたか。
宮本 それはもう大変楽になりました。税制改正に伴うスプレッドシートのメンテナンスにいちいち気を遣わなくてよくなりましたし……。地方税に関しては、当社がもっとも事業所が多く40~50カ所あります。従来は、われわれが各地の税率を調べ、印刷し、封書に入れ、各税務署に発送するわけです。ところが、『ASP1000R』では、最新の税率がマスター登録されており、電子申告まで一気通貫で行えます。あまりに簡単で驚きました。
澤田 宮本以前の担当者は100時間くらい、申告業務で残業がでてたんじゃないかな。いまは半分以下だと思います。決定的なのは自動で誤りをチェックしてくれること。別表間のつながりも気にしなくていいし、たとえ所得の数字が動いても、以前のように全体を作り直す必要がなく、瞬時に修正できる。これはすごいことです。
──連結対象関連会社すべてに導入されているそうですね。

宮本繁廣氏
宮本 最初の立ち上げ時は当社を含めて6社。その後順次27社にまで広げていきました。
──大変だったのでは?
宮本 立ち上げ時は、システムコンサルタントの園田(将章)先生に、研修会などでシステムの使用法やグループで利用する際のノウハウを教えていただいたおかげで、スムーズに導入が進んだと思います。
園田 それまでの手作りのスプレッドシートといういわば「職人の技」。それをシステムに乗せるためにさまざまな処理方法を考えました。租税公課まわりも各社すべて統一し、極論ですが内容が分かってなくても自動的に答えが出るような仕組みを提案させていただきました。そうすることで、申告2年目以降は基本的には『ASP1000R』が正しい答えであるという前提で業務できるようになったと思います。いまはもう軌道に乗られましたから、私は年に2度お邪魔して、さらなる業務のブラッシュアップをお手伝いさせていただいています。税務の相談に乗るというより、関連会社が管理しやすく、より楽で効率的なシステムの使用法を主に提案させていただいているつもりです。
──園田先生のような専門の会計人がコンサルタントするという仕組みはいかがですか。

園田将章税理士
宮本 ありがたかったですね。私自身、税金関連の仕事はほとんどしたことがない状態でしたから、会計人である園田先生の存在が、要するに「正しさの証明」でした。「ほんまに合ってんのか」との不安のなかで仕事をするのでは大違いだったと思います。
澤田 これまで、関連会社はそれぞれのやり方で申告をしていました。しかし、今回の『ASP1000R』の導入によって、グループ内の経理の標準化ができたように思います。これはなかなかやろうと思ってもできないことで、関連会社の担当者たちも喜んでいるようです。新しい人でも「とりあえずここに数字を入れれば大丈夫」などと機械的に正しい数字を導くこともできますからね。
宮本 逆の効果として、その数字の意味が分からず、理解しようと勉強するようになった方も出てきています。
──今年度からは、連結納税を採用されて、TKCの『eConsoliTax』も導入いただけるとか。
宮本 連結納税では、キャッシュフロー面でのメリットが見込めます。『eConsoliTax』によって次の段階へと進むわけですが、『ASP1000R』と基本思想や操作性はそう変わらないようなので、スムーズに導入できるものと期待しています。
名称 | グンゼ株式会社 |
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---|---|---|
創立 | 1896年8月10日 | |
所在地 | 大阪市北区梅田2丁目5番25号 | |
売上高 | 1,412億円(連結 2015年3月期) | |
社員数 | 7,354名(連結 2015年3月31日現在) | |
URL | http://www.gunze.co.jp/ |
『戦略経営者』2015年8月号より転載
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