連結決算・税務申告を見据えた会計システムを構築
―業務効率化により年間2,100時間超を削減―
FX5クラウド/FAManager/インボイス・マネジャー/eCA-DRIVER/ASP1000R導入事例
105年を超える歴史を持ち、電力・環境エネルギーを中心に社会インフラ事業を展開する株式会社正興電機製作所様。電子帳簿保存法対応をきっかけに、TKCシステムを導入し、その後、会計・固定資産・税務・連結の業務基盤の見直しを図っている。
経営管理部の河野弘史参与、堀内達也主任、田中諒様、システム・コンサルタントのあさくら税理士法人 伊藤伸浩公認会計士・税理士、時津勝弘税理士に、日常業務のみならず、連結決算・税務申告といった後工程までの業務を効率化した同社の取り組みについて話を聞いた。

正興電機製作所様の事業内容について教えてください。
河野 当社は1921年に創業し、「最良の製品・サービスを以て社会に貢献す」を社是として掲げ、堅実な経営と人材育成を基礎として、時代を拓く技術の開発を続けてまいりました。
当社グループは、「電力部門」、「環境エネルギー部門」、「情報部門」、「サービス部門」、「その他(エレクトロニクス制御機器部門等)」の5つの分野で連結経営を行っております。国内子会社4社および海外子会社4社からなるグループ各社と緊密に連携し、製品の開発、生産、販売、サービス活動を展開しております。
また、コア事業である電力、環境エネルギー分野の更なる事業拡大を推し進めるとともに、情報と制御の独創技術で新製品・新事業の創出に取り組み、環境にやさしく安全で快適な社会インフラの構築にも貢献しております。
伊藤 最新の分野ですごく伸びられている企業でもあり、105年の歴史を持つ福岡でも有数の老舗の企業さんです。
正興電機製作所グループの戦略について教えてください。

株式会社正興電機製作所
河野弘史参与
河野 当グループは、国内子会社4社、海外子会社4社の計9社から構成されるグループとなっています。 経理業務としては、国内子会社2社を親会社がシェアード処理しています。
当社は、2026年度を最終年度とする中期経営計画「SEIKO IC2026」を策定し、事業の拡大に取り組んでおります。基本方針として「サステナビリティ経営」を掲げ、企業活動を通じた社会課題解決により、サステナブルな社会の実現に貢献していく所存です。
重点施策として、「デジタルファースト」「脱炭素社会の実現」「One正興(グループシナジーの最大化)」の3つを掲げております。また、業績目標として売上高360億円、営業利益30億円を設定し、持続的な成長を目指しております。
直近の事業環境では、AIやDXをはじめとしたデジタル投資の加速に伴い、電力需要も増加しております。さらに、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの活用も一層進むと見込まれます。当社はこれらの変化を成長機会と捉え、デジタルと脱炭素(GX)を中核とした事業を強力に推進しております。
具体的には、急拡大するAIデータセンター向けには、受配電などのトータルエネルギー供給から、AIサーバーの設置・保守・スマート保安に至るまでの総合ソリューションを提供しております。また、GX領域では、再生可能エネルギーを活用したシステムを展開するほか、レドックスフロー電池を活用した電力需給制御システムの構築や、九州電力との協働による次世代技術「全固体リチウム電池」の開発・量産化にも取り組んでいるところです。
2026年には、産学官連携による最先端の製品及び技術開発を推進する研究開発拠点として、「ひびきの研究開発センター」が竣工予定です。確かな技術力と革新的なアプローチで、これからも持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
TKCシステム導入の経緯について教えてください。
河野 当初、外部コンサル会社を入れて、電子帳簿保存法(電子取引の電子保存義務化)対応や次期会計システムの選定を行っていました。
その際、部下には「会計システムを変更するのであれば、後工程の連結決算まで見据えて検討するように」と指示しました。そうすると、単体決算と連結決算をワンパッケージ(同一システム名)で実現できるシステムであるかどうかを1つの要件としていて、TKCさんのシステムは検討対象に含めていませんでした。しかし、他社の製品を検討していったところ、非常に高額な見積になることが分かり、自社に合わないのではないかと考えるようになりました。
そこで、たまたま取引関係もあったTKCさんのシステムも見てみようということになりました。
TKCさんのシステムで印象が強かったのは、コストパフォーマンスです。
特に、電子帳簿保存法対応でコストをかけることは社内の納得感を得るのが難しかったところ、TKCさんのシステムであれば、リーズナブルに実現できそうだという期待が持てました。
また、当初、単体決算と連結決算の機能がワンパッケージになっているという要件はあったものの、いざ機能を見てみると、両方の機能が充実している製品はなかなかありませんでした。そのため、ワンパッケージにするという要件は緩和してよいのではないかという考えに変わりました。
TKCさんのシステムは単体決算と連結決算が別のシステムとはいえ、いずれもTKCさんが開発しているシステムなので、連携もスムーズにできるのではないかという期待をしました。
最初に、電子帳簿保存法対応としてインボイス・マネジャーを導入し、特段問題なく稼働に至ったため、その後FX5クラウド、FAManager、ASP1000R、eCA-DRIVERの採用も決定しました。
結果として、安かろう悪かろうではなく、きちんと期待していたものを実現することができました。

自社仕様にカスタマイズした従来の会計システムから、統合型会計情報システム(FX5クラウド)への切り替えを1年弱の導入期間で実現されました。
河野 従来の会計システムは、長年利用してきて自社開発の基幹システムと連携もしているので、自分たちにとって、使い勝手のいい部分もあったと思います。その点は、IT子会社の正興ITソリューションも積極的に支援してくれました。経営管理部とよい協力関係で進めることができたおかげで、導入作業は遅延することなく進めることができました。
基幹システムからFX5クラウドへは、仕訳の自動連携の他、取引先マスタやプロジェクトマスタも連携を継続していますし、逆にFX5クラウドの仕訳情報を基幹システムに返したりしています。

株式会社正興電機製作所
田中諒氏
田中 経費精算システムの楽楽精算等からの仕訳の中には、親会社が子会社の経費を立て替えている仕訳も含まれています。その仕訳が計上されると、親会社では経費を減額して子会社への立替金を計上し、子会社では経費と親会社への未払金を計上する仕訳が自動的に作成される仕組みになっていました。これをFX5クラウドになっても継続できるものか不安がありました。
結果としては、FX5クラウドの標準機能で実現することができました。楽楽精算からの仕訳は自動で取り込んでおり、立替金の仕訳のフラグがある仕訳がFX5クラウドに計上されると時間指定でその仕訳を切出し、各社に仕訳計上するようになっています。
TKCさんに標準機能でうまくいく方法を検討いただき、IT子会社でも時間指定でファイルを入出力したり、エラー発生時の対処法などを検討してもらいました。

FX5クラウドに変更して変わった点はありますか?
河野 会計システムの入れ替えを機に、仕訳の承認プロセスを紙から電子に変更しました。
これにより、紙の量を減らすことができました。
今までは全ての仕訳伝票帳票を印刷して、バックデータ(根拠資料)を後ろに添付して保管していました。承認者である私はそれらをめくりながら内容を確認していました。だから印刷も大量で、束ねて管理するのも時間がかかっていました。電子承認に変えたことで、紙が相当減りました。現在は承認画面を確認しながら、必要なバックデータだけを受領・確認する運用に変更したため、承認業務も効率化しました。
堀内 単に従来のシステムから新しいシステムへ移行するのではなく、現状の課題を洗い出し、それらを解決できるマスタ構成を検討しました。税務や連結などの後工程に配慮した勘定科目マスタにするため、大幅にマスタ変更をしました。不安はありましたが、会計・税務の専門家が一緒に導入してくれるという安心感がありました。
例えば、以前は営業外損益の科目を細かく分けていなかったため、決算開示の際に、一つの科目を仕訳の内容から判断して細分化する作業が発生していました。今回、科目マスタを細分化して、科目単位で開示数値が集計できるようになり、作業効率が上がりました。
FX5クラウドとExcelの親和性の良さを活かして業務の効率化につながっているようですね。

株式会社正興電機製作所
堀内達也主任
堀内 FX5クラウド内のデータをExcelに持ってくることができる関数があったり、Excelで作成した仕訳をFX5クラウドにアップロードすることができます。ExcelとFX5クラウドの間で、双方向にデータをやり取りできる点が便利です。
従来の会計システムでもExcelで作成した仕訳を読み込む機能はあったのですが、FX5クラウドの場合は、FX5クラウド内の最新のマスタを自動でExcelに持ってくることができ、Excel側でマスタを個別にメンテナンスする必要がないため、より使いやすくなりました。
Excelからアップロードした仕訳には、元のExcelがFX5側の仕訳伝票に自動的に添付されるため、他の人が計上した仕訳であっても、そのExcelをコピーして再利用することができる点が便利です。毎月似た仕訳も多いので、部内全体での仕訳計上が効率化できています。仕訳入力のほとんどをExcelで行う運用に変更したことが、大幅な効率化につながっています。
そして、月次決算や四半期決算時にとても役に立っているのが、マネジメントレポート設計ツールによる帳表作成です。手で転記して作表する作業を減らすことができました。
これは、最初に機能を聞いた段階で便利だと感じ、使い込まないといけないと感じた機能でした。そのため、まずは、私の方でベーシックな帳表を作成し、あとは各人の業務に合わせてアレンジしてもらうようにしました。
河野 ただ、最初は堀内と田中が先頭に立っても、新しいことに部員がついてこなかったので、不安は大きかったと思います。それでも、各人の課題や意見を聞きながら、頻繁に勉強会を開催したりして意識改革を目指した結果、各人が成功体験を重ねることができ、自然と利用が広がったと思います。
決算開示が早いので、これまでも連結決算はだいぶ効率的に行われていたと思いますが、連結会計システム(eCA-DRIVER)も導入効果があったようですね。※インタビュー直前の第2四半期決算短信は2026年7月24日提出
河野 我々は、取締役会の日程が決まっているので、それに合わせて決算を終わらせなければなりません。
決算開示日が早めなことは認識しているのですが、監査法人の協力もあって、早期開示が実現できています。
それに加えて、連結会計システムの使い方を変えてさらなる効率化ができました。

システム・コンサルタント
伊藤伸浩公認会計士・税理士
伊藤 決算開示は経理部門だけではなく色々な部署がかかわっていて、他の部署の都合にも合わせないといけないですし、早期開示はなかなか難しいと思います。その調整機能を河野参与をはじめ、経営管理部のみなさんがしっかりされているから実現できているのではないかという印象を受けました。
田中 従来の連結会計システムでは、連結キャッシュ・フロー計算書(以下、連結CF)をExcelで作成していましたが、 eCA-DRIVERの導入を機にシステム化できました。特に情報の集計や入力に手間のかかる固定資産の増減明細は、FAManagerからeCA-DRIVERへ連携することができ、効率化に繋がりました。
また、試算表と内部取引データはFX5クラウドから集計し、eCA-DRIVERへ全社一括で読み込むことができるようになったので、連結パッケージの入力作業が減少し、連結修正仕訳の自動生成までスムーズに行えるようになりました。
それに加え、従来できていなかった開始仕訳の自動化も実現できました。
従来は、連結CF作成や、開示の際に勘定科目を細分化する作業があったこともボトルネックの1つだったので、試算表科目を細かくするように変更したことも役に立っています。
河野 2026年7月、コーポレートガバナンス・コードの改訂版が公表されて、株主総会開催日の3週間以上前の有価証券報告書の提出が望ましいと言われています。有価証券報告書を提出するだけならできると思いますが、社内向けのレクチャーも含めて考えると、そんなに簡単な話ではないと考えており、対策を現在検討中です。
固定資産管理システム(FAManager)の導入により、理想的な1インプット・3アウトプットができるようになったそうですね。
河野 固定資産台帳から減価償却仕訳を作成できることはもちろんですが、今回のシステム導入を機に、別表16や償却資産申告についても手作業での調整なしに、作成できるようになりました。
どうしても固定資産台帳には、過去の登録経緯を確認できないものもありました。
今回、FAManagerへの移行に際して、そうした資産の登録内容や経緯を確認し、インプットである固定資産台帳をもとにして、アウトプットである仕訳・別表16・償却資産申告がすべて繋がるという理想的な運用ができるようになりました。
田中 その中でも特に効果があったのが、償却資産申告です。従来は紙で提出していたものをTKCシステムを活用した電子申告に変更しました。
当社は12月決算企業であるため、1月は本決算業務も行いつつ、償却資産申告もしなければならず、特に負担が大きいので、償却資産申告の効率化は、業務上の負担だけでなく、精神的な負担の軽減にもつながりました。
河野 今後については、新リース会計基準の適用が始まるため、現在、影響分析をしています。FAManagerでの機能利用についても検討していきます。
当初は、一連のシステム導入に、税務申告システムは対象にしていなかったそうですが、法人電子申告システム(ASP1000R)を利用してみていかがでしょうか。
河野 自分が業務を引き継いだ時は別の法人税申告システムを使っていたのですが、一度経験して、使い勝手やバックアップのことを考えると今回の一連のシステム切り替えの対象に含めておきたいという気持ちになりました。
最初はシステム操作に不慣れだったため、ASP1000Rで申告書を作る際、あさくら税理士法人様へ度々質問しました。

システム・コンサルタント
時津勝弘税理士
時津 ASP1000Rは申告書にワープロ打ちする入力とは異なり、入力方法が独特なところがあるので、最初は不安なところがあったと思いますが、そのあたりのご理解をいただけるようなサポートを心掛けました。
河野 慣れてくると、各別表間が繋がって連動している安心感もありますし、クラウドによるデータ保全の安心感もあります。
また、作成して申告するだけではなく、納付を電子納付に変えることができました。毎年、県と市合わせて40か所ぐらいある納付書を銀行に持って行くということをやめられただけでも相当効率化できました。銀行の担当者からしても相当楽になっていると思います。
堀内 法人税申告にあたって入力が必要になる項目は、FX5クラウドで補助科目などで管理しておき、マネジメントレポート設計ツールで集計できるようにしています。摘要を見て人の判断で集計していた属人的な作業をやめることができました。
消費税申告も、従来の会計システムよりFX5クラウドの課税設定は税区分や金額など誤った計上を防ぐマスタ設定ができる印象です。日々の伝票入力で精度高く入力できているので、FX5クラウドで集計された課税区分別残高の情報をそのまま活用して、消費税申告書を作成しており、ほとんど手作業が入らないで済むようになりました。
一連の導入プロジェクトを終えて、皆様から最後に一言よろしくお願いします。
田中 関係者で意見を出し合って業務を改善することができ、効率化につながって、自分たちも自分の時間をだいぶ使えるようになり、とても感謝しています。ありがとうございました。
堀内 あさくら税理士法人様とTKC様にもご尽力いただいて、非常に満足できるものができたと思っています。
私も楽しく導入作業を行うことができ、いいものを作れたと記憶しております。ありがとうございました。
河野 自分が管理職になった10年ほど前は残業時間が年間360時間を超える人が何人かいましたが、昨年は1人もいなくなりました。週1回の定時退社も実現でき、夜遅くまで仕事をしている部署という印象もだいぶ薄まったかなと思います。
システム導入開始からあっという間にここまで来たかなっていう印象ですね。もちろん大変なところもありましたが、終始楽しみながらできたというのは、私も同じ感想です。
最初に全体的な進め方の希望を伝えたことを堀内・田中がきちんと実現して、自分たちのシステムだと誇れるものになったのがよかったと思います。ありがとうございました。
時津 インボイス・マネジャーに始まり、いろんなシステムの導入をお手伝いさせていただきましたが、それぞれの業務が繋がっていることを考えながら導入に携わることができたなというふうに思っております。ありがとうございました。
伊藤 皆様のご協力があってだと思うのですが、スムーズに進んだ要因としては、インボイス・マネジャーを一番最初に導入したことが良かったのではないかなと考えております。制度的なタイミングがあり、一番最初になったと思うのですが、まずはシンプルな業務システムから導入し、関係者が噛み合った状態で、それ以降のシステム導入に入れたきっかけづくりになったように感じました。皆さんが楽しく進めることができたというのが一番良かったのかなと思います。ありがとうございました。
※株式会社正興電機製作所 2026年竣工予定 ひびきの研究開発センター 完成イメージ図

会社概要
株式会社正興電機製作所
- 設立
- 1921年
- 本社所在地
- 福岡県福岡市博多区東光2丁目7番25号
- 売上高
- 313億円(2025年12月期、連結)
- 従業員数
- 971名 (2025年12月末、連結)
- グループ会社
- 9社(国内5社、海外4社)
- URL
- https://www.seiko-denki.co.jp/

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