法改正に則した連結納税計算を正確かつスピーディーに行う
初心者向けパソコン解説書『できるシリーズ』で知られるインプレスグループは、IT分野以外にも、「音楽」や「医療」など様々なジャンルのメディアを扱っている。さらに、各事業分野ごとの組織再編にも取り組み、分社化・子会社化を進めてきた。そうした流れのなかで導入したのが

「IT関連」以外にも様々な分野の媒体を扱う
――インプレスさんといえば、パソコン解説書『できるシリーズ』がよく知られています。
山口 『できるシリーズ』はパソコンの解説書で、これまでに3000万部以上の販売実績があります。ワープロソフトや表計算ソフトの使い方をテーマにしたものや、ホームページの作成方法などを解説したものがあります。パソコン画面等のビジュアルをふんだんに用いたオールカラーの紙面構成が特徴で、「画面で見せるパソコン解説書の元祖」といえるシリーズです。
また、『できるシリーズ』以外にも、パソコン初心者を卒業したユーザー向けの様々な書籍を取り揃えています。『インターネット白書』といった調査報告書や、情報工学関係の教科書なども出版しています。
――IT関連以外にも、様々なジャンルの出版物を扱っていますね。
山口 もともとはIT関連の出版からはじまったインプレスですが、事業の多角化の方針のもと、M&A(買収)などを通じてコンテンツの専門テーマを増やしていきました。現在は、「IT」「音楽」「デザイン」「医療」「山岳・自然」「その他」というカテゴリーのメディアを展開しています。音楽なら『ギター・マガジン』、デザインなら『MdN』(グラフィックデザイナー向けの情報誌)といったように、各専門分野の読者層を対象にした雑誌や書籍を出しています。他にも医師向けの『メディカルトリビューン』や、登山愛好者向けの『山と溪谷』などがあり、特定の分野に携わるコアなユーザーから支持を得ている媒体をいくつも持っているというのが私たちの強みといえます。
――「出版不況」ともいわれる時代ですが、そのなかでの経営戦略は…。
山口 これまでの一般コンシューマー向けのほか、「企業向け」の事業にも力を入れるようになったことがあります。その1つが属性を絞り込んだ読者向けに直接お届けする定期刊行物を発刊し、企業の広告出稿を募る「ターゲット広告事業」です。すでに昨年9月、SEやシステム運用に携わる人々を対象にした『IT Leaders』という情報誌を創刊し、読者登録した購読希望者に無料で配布しています。クライアント先にとって高い宣伝効果が期待できるのは、職種・業種など特定の属性の登録者だけに送るというスタイルをとることで、広告訴求効果が高いからです。
また、広告事業以外にも、「OEM事業」と称して、企業からの依頼に応じた各種解説書づくりのビジネスも積極的に展開しています。例えば、ある特定のパソコン機種やパッケージソフトの使用方法を解説した小冊子を受注製作するのです。ここでは、「ビジュアルでわかりやすく解説する」という『できるシリーズ』で培ったノウハウが活かされます。『できるシリーズ』と同様のデザインでオリジナルの解説書を作ってほしいという注文も割と多いんですよ。
――紙媒体だけでなく、インターネットを活用したビジネスの展開にも意欲的だとか?
山口 はい。今後さらなる普及が見込まれる「電子書籍」(コミック等)関連事業や、「PC」「ケータイ」「ゲーム」「車」「家電」などをテーマにした情報サイトの運営も行っています。事業の多角化をふまえ、出版以外のビジネスについては、さらに拡大を図っていく考えです。
――分社化・子会社化を進めてきたのは、事業の多角化の方針と密接な関係があるように思えます。
山口 事業単位ごとに子会社化したりM&Aを行ってきたなかで現在、インプレスグループの会社数は20社を超えました。グループ全体を統括するインプレスホールディングスを親会社にして、インプレスR&D(法人向けIT関連メディア)、インプレスジャパン(一般消費者向けIT関連メディア)、リットーミュージック(音楽関連メディア)、山と溪谷社(アウトドア関連メディア)などの子会社があります。
導入の決め手は専門家の手厚いサポート
――「連結納税制度」の採用を決めた理由は何ですか。
山口 やはり、「損益通算」が可能になることです。つまり、グループ内に黒字と赤字の会社が混在した場合、その黒字と赤字を相殺することにより、節税効果が期待できるのです。
また、組織再編成にも有効です。1つの法人で複数の事業を営む社内事業部方式の場合でも事業ごとに法人を分ける子会社分離方式の場合も、法人税額が同じになるのが連結納税ですので、事業単位ごとに組織再編やM&Aを進めているインプレスグループにとって非常に有効であると考えました。平成15年3月期の申告時から連結納税制度を採用しています。
――当初、連結納税の作業は、主に市販の表計算ソフトで対応していたと聞いています。
山口 連結納税制度を採用してからの3年間は、子法人数がまだそれほど多くなかったこともあり、計算作業や別表作成については一般的な表計算ソフトで間に合わせていました。しかし、毎年の税法改正に準拠させるために表計算シートをメンテナンスする作業が大変だったり、別表間の転記や地方税計算にミスが多発したことから、新たに連結納税システムを導入することにしました。そこで選んだのが
――システム選定のポイントは…。
山口 主に4つあります。(1)専門家(税理士・公認会計士)による専属サポートが受けられる点、(2)毎年の税制改正に確実に対応しているという開発実績、(3)「ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)処理方式」であるところ、(4)税務に不慣れな担当者でも入力しやすい画面構成の4つです。私自身、連結納税の担当者となってまだ日が浅かったということもあり、特にその4項目を重要視しました。ASP処理方式がよいのは、データ類はすべて
――はじめてシステムを用いて確定決算の処理をしたときの様子はどうでしたか。
山口 実質1ヵ月半で導入作業を終わらせなければならないというタイトなスケジュールだったため、いろいろ大変でした。でも、芦川浩士税理士や
芦川浩士税理士 日曜日の朝に山口さんから「もう大丈夫です。今日はゆっくり休んでください」という電話をもらい、ホッとしたのを覚えています。
内部統制の面で役立つ「アクセスログ」管理機能
――連結納税申告書を作成するまでの業務フローを教えてください。
山口 まず3月の時点で別表5を中心に期首残高を固めます。その後、4月中旬以降に「連結納税RP」(レポーティングパッケージ)と「地方税RP」の画面から法人税と地方税の計算に必要な当期データを入力し、税額計算をします。そうすると連結納税申告書のほか、地方税申告書などが作成されます。
――作業を行うなかで親会社として特に注意している点は…。
山口 連結納税業務を担当するもう1人のスタッフとダブルチェックを行うなどして、入力データに不備がないか等を確認するのに気を配っています。なかでも多数の明細書が必要になる「外形標準課税」に関連した入力データは、念入りにチェックするようにしています。
――『eConsoliTax』を活用するなかで、特に「使い勝手がよい」と感じた機能といえば?
山口 税額計算後の各種データの情報をCSV形式で切り出せる機能は助かっています。監査対応のための資料づくりに重宝しています。それと、アクセスログの管理(操作履歴管理)の機能も有り難い。誰が、いつ、どのような処理をしたかを過去に遡って調べられるため、内部統制の面でも役立ちます。
――今後、連結納税の業務をしっかり行うためには何が必要と考えていますか。
山口 私たち親法人の担当者はもちろんですが、子法人担当者のスキルアップも欠かせませんね。いずれにしても、事業単位ごとに子会社化し、それぞれに一定の権限を持たせたほうが、スピーディな事業展開ができる。その体制を維持するうえでも、連結納税の処理を今後も確実に行っていきたいと思います。
名称 | 株式会社Impress Professional Works (株式会社インプレスホールディングス) |
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代表者 | 関本彰大 |
所在地 | 東京都千代田区三番町20 |
TEL | 03-5275-9011 |
売上高 | 190億7405万円(連結売上高) |
社員数 | 56名 |
URL | http://www.impressholdings.com/ |
『戦略経営者』2009年1月号より転載
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