ユーザー事例
株式会社鹿児島銀行 様
“内部統制強化”を視野に税務業務の改革めざす
- システム利用範囲
- 法人税
- 地方税
- 消費税
- 電子申告
- 税効果会計
従来の課題
- 複数の計算ツールを使わざるを得なかったため、転記ミスや入力ミスに注意しなければならず、その労力たるやかなりのものがあった。
- 従来使っていたパッケージソフトには、数字の桁数不足などで使用できない別表があった。
導入の効果
- 申告書の「質の向上」と「作成期間の短縮」の2つが同時に達成できた。
- システム・コンサルタントの助言・指導で電子申告が容易に実践できた。
- 税法エキスパートチェック機能により単純ミスがなくなった。
―― 鹿児島県内の貸出金シェアの4割以上を獲得する鹿児島銀行さんは、この数年、地域貢献に力点を置いたさまざまな施策を展開しています。その一方で、税務業務の改革にも積極的に取り組んでおられ、昨年9月にはASP1000Rを導入されました。初めて行った電子申告はいかがでしたか。
竹元 法人税も消費税も去年11月の中間報告から電子申告を行うようになりましたが、今回の平成19年度の確定申告もあっけないほど簡単に終わりました。とにかくワンクリックでOKなので、「これで終わりなの?」という感じでしたね。従来までは、申告書類を郵送で提出していましたが、郵政民営化にともなって平成19年10月以降は、仮に小包郵便物で申告書などを送付する場合は、税務署に申告書が到達した日を基準にして受理されることになりました。つまり郵送では、期限後申告になる恐れが多分にあるということですね。その点、電子申告はデータ送信直後に国税の「受信通知」と地方税の「受付通知」を自動受信するので、そうしたリスクが軽減されます。それにTKCインターネット・サービスセンターが、申告データを10年間にわたって整理保存してくれるのも助かりますね。
―― システム・コンサルタントから、さまざまな支援が得られる点もASP1000Rの特徴のひとつです。
竹元 ええ。導入決定後、システム・コンサルタントのサポートで、電子申告システムの基本設定や申告書基本情報の入力などを実施しました。とりわけ電子申告システムの設定については、システム・コンサルタントによる丁寧な助言・指導のお陰で非常にスムーズに行うことができました。
「兆」の桁数にも対応
―― ASP1000Rの導入前は、どんなやり方で申告書を作成していたのですか。
竹元 スプレッドシートと市販のパッケージソフトを組み合わせていました。例えば、はじめに交際費など損金不算入の個別の調整項目をスプレッドシートで計算し、その計算結果をパッケージソフトに転記するという流れですね。当然、計算ツールが複数あるので転記ミスや入力ミスに注意しなければなりません。その労力たるやかなりのものでした。また、当行の総資産が3兆円を超えていることもあり、従来使っていたパッケージソフトには数字の桁不足などが原因で使用できない別表がありました。このため、その部分はスプレッドシートで対応せざるを得なかったわけです。
―― なるほど。ASP1000Rは15桁対応と、金融機関の利用にも耐え得るよう設計されています。
竹元 ええ。それに入力時や計算時に「税法エキスパートチェック」機能で税法上の要件チェック、関連データとの整合性チェックが自動的に行われる上、別表間の複雑な転記も完全自動化されているので単純ミスがない。これは本当に助かりました。さすが、TKC全国会という専門家集団の助言を受けて開発されたシステムだと感動しました。
―― 申告書作成の過程で特に効率化が進んだ作業というと?
竹元 いろいろありますが、ひとつは地方税です。当行は店舗数が133か所ある関係で、毎年約50の市町村ごとに税率が変わっていないかチェックしていました。が、ASP1000Rには全都道府県・全市町村の地方税率マスターが搭載されていて、簡単に地方税額が計算できるので大幅に作業効率がアップしました。また、外形標準課税の作業は煩雑な上にボリュームがあって憂鬱のタネのひとつでした。が、これも別表間の自動転記機能でスムーズに作業できるようになりましたね。複数の担当者による「分散入力」が可能になったので、全体の効率化も相当進みました。こうした点を勘案すると、作成する申告書の「質の向上」と「作成期間の短縮」という2つの目的が同時に達成できたと思っています。
人材を育成して体制整備
―― 今後の税務業務の取り組みと課題についてお聞かせください。
竹元 アメリカでは「上場企業の3分の1が税務に重大な欠陥を抱えている」と聞いていますが、日本でもいわゆる“J―SOX法”施行を機に、タックス・コンプライアンスが重要視されていくのは間違いありません。その意味では、当行としても税務業務の体制を見直す必要があると認識しています。また、ハード面では内部統制に対応しているASP1000Rをさらに活用していくつもりですが、問題はソフト面、特に人材の育成です。税務担当は高度な専門性を要求されるので、業務がどうしても属人化する傾向にあります。したがって、今後はまずTKCのオンライン運用支援サービス(税務情報やシステムのFAQ)の活用とともに、システム・コンサルタントの力もお借りして、決算部門の誰もが申告書を作れる体制整備に取り組んでいかねばなりません。さらに、当行の事業内容や文化を深く理解して、税務リスクがどこに潜んでいるか分析できる能力をスタッフに身につけさせることも必要です。つまり税務判断のできる人材の育成ですね。さらには適正納税のための体制づくりです。それにはタックス・コンプライアンスを重視しつつ会計予算担当と連携してタックス・プランニングを実施し、将来の企業価値向上に取り組んでいける人材を育成していくことも欠かせません。
名称 | 株式会社鹿児島銀行 | |
---|---|---|
創業 | 1879(明治12)年10月6日 | |
本店 | 鹿児島県鹿児島市金生町6-6 | |
預金 | 2兆7,536億円 | |
貸出金 | 2兆470億円 | |
従業員数 | 2,207名 | |
URL | http://www.kagin.co.jp/ | |
東証1部、大証1部、福証上場 |
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