入組1ヵ月の若手職員に申告業務を担当させる
この数年、立て続けに進めた新規出店をすべて成功裏に展開している千葉県木更津市の君津信用組合。各店舗の業績は既存店を上回る勢いで伸びているという。法人電子申告システム『ASP1000R』の活用法と今後の申告業務の取り組みについて、同組合総務部の鈴木悟部長と平柳利一課長に聞いた。

県内金融機関初の「ドライブスルー型ATM」
――この数年、営業店の新規出店を続けてきましたが、すべてうまくいっているそうですね。
鈴木 ええ。市原市の五井ローンセンター、木更津市の東太田支店、それと君津市の子安支店ですね。お陰さまで、どこも非常にいい業績で推移しています。営業地域が重なっていた地元の木更津信用金庫が千葉信用金庫と合併したり、JAの店舗の統廃合が続いていたこともあり、市場開拓に追い風が吹いていました。お客さまも、それまでいつも利用してきた店舗が突然なくなって不便に感じていましたからね。非常に喜んでいただきました。
――近々もう1店出す計画もあるそうですが。
鈴木 計画としてはあるのですが、いま再検討している最中です。なにしろこのご時世ですから、慎重にいこうということです。それに人材の問題もある。これまで新店舗を出店する際は既存店から人を抜いて配置していましたが、さすがに人材の補充が追いついていない。それも含め慎重に検討しているところです。
――それにしても、このガラスカーテンウオールの本店ビルは周囲でも一際目立ちます。ビルの前にはドライブスルー型のATMがあり、これも初めて見ました。
鈴木 千葉県の金融機関では恐らく最初のケースだと思います。必ずしも私どものお客さまでなくとも、他行のカードを持ったお客さまがご利用になれば、それもご縁だろうということで設置しています。
――なるほど。組織全体になにか進取の気性のようなものを感じますね。昨年3月には『ASP1000R』を導入されました。
平柳 ええ。きっかけは電子申告でした。金融機関という責任ある立場にある以上、電子申告はやはり積極的に推進しなければなりません。それと私自身が申告業務を担当するにあたって、数値が相互に関連する申告書を手作業で作成することに不安がありました。そのうえ税制改正が毎年あり、その対応だけでも大変です。後任に担当を代わるときのことを考えても、なんらかのシステムを導入しなければならないと考えていました。
鈴木 実は私も申告業務を一時担当し、あの複雑で職人的能力が求められる作業に難渋した経験があります。それで業務を改善するうまい方法はないかと考えはじめていた矢先に、当組合の役員をしていただいている宮沢輝男税理士から『ASP1000R』を紹介されたわけです。
平柳 金融機関といっても信用組合はほかとはちょっと毛色が違います。だから最初に宮沢先生にシステムをご紹介いただいたときも恐らく対応できないだろうと思っていました。ところがすでに利用している信組があるというし、実際に前期のデータを入力してオンラインテスト処理してみると、ぴったり合いました。
それとデータ入力時に税法上の要件チェックや関連するデータとの相互チェックを自動的に行い、間違った数値を入れるとワーニングメッセージの出る機能がありますね。「所得税額が収入金額の15%未満です。ご確認ください」といったメッセージです。「税法エキスパートチェック機能」といったでしょうか。あの機能の存在を知って最終的に導入を決断しました。入力ミスや、ケアレスミスを確実に防止できるので、とにかく安心できます。
――システムコンサルタントの宮沢税理士からは導入時にどんなサポートがありましたか。
平柳 ほんとうに熱心に教えていただいて、最後まで頼りっぱなしでした。税理士さんから直接いろいろな形でサポートが受けられるのも、このシステムのいいところですね。
――特に重宝している機能は?
平柳 機能的には非常に満足しています。特に入力画面が体感的で分かりやすい点が良いですね。また、転記ミスの不安も解消されました。
鈴木 以前はここを直せば、あっちも直さなくちゃいけないと、まるでモグラ叩きでした。
平柳 ところが『ASP1000R』は別表間でデータが完全連動しているので、モグラ叩きのようにあっちもこっちもということがないし、二重入力も排除できる。その極めつけが地方税です。法人税の計算結果が地方税の計算に完全連動しているので、あらためて地方税の申告書をつくろうと意識しなくても大半ができあがってしまう。しかも全都道府県・全市町村の税率マスターが搭載されていますからね。
最初は手間がかかっても独り立ちは十分可能
――今後の申告業務で何か計画していることはありますか。
平柳 今現在、私1人でこの業務を行っていますが、もう1人担当者を育てようと思っています。入ってまだ1ヵ月の職員ですが、前回のサポートで宮沢先生にもご協力いただき作業全体の流れをとりあえずイメージ的につかんでもらったので、事前準備的なことをすでにやらせています。
――まったく経験のない方のようですが、できますか?
鈴木 意味はわからなくていいから、この頁にこのデータを入れなさいというように、今は作業的なことをさせながらシステムに慣れさせているところです。
平柳 もちろん私がその都度口を出さなければいけませんが、すぐに独り立ちできると思っています。手書きでやってきたときには考えられなかったことですが、『ASP1000R』の導入で分業が可能になったということですね。
鈴木 要するにポイント、ポイントで指導をしながら入力させて、最終的に平柳がチェックを入れて申告書を完成させようというわけです。
平柳 近い将来には複数の女性職員にカテゴリーごとに分散入力させることも考えています。それが可能になれば短期勝負のこの業務も余裕で対応できるようになりますからね。
名称 | 君津信用組合 |
---|---|
設立 | 1962(昭和37)年5月 |
本店 | 千葉県木更津市潮見3-3 |
預金 | 1044億円 |
貸出金 | 645億円 |
職員数 | 161名 |
URL | http://kimishin.jp/ |
『戦略経営者』2009年5月号より転載
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