ジョブローテーション実現し税務の組織的取り組み目指す
岩手県盛岡市に本拠を構え「地域密着」を経営理念に掲げる北日本銀行が目指すのは、地域を支え、ともに発展していく“地域との共生”。法人電子申告システム『ASP1000R』の活用法と今後の税務業務の取り組みについて、同行経営企画部の柴田克洋部長と石川晃調査役に聞いた。

肉牛や米が担保のABLで資金供給を多様化
――北日本銀行さんは「地域密着」を経営理念に掲げています。地域金融機関としてきめ細かな金融サービスを提供する一方で、どんな地域貢献活動を展開しているのでしょうか。
柴田 当行の場合、店舗の3割強が県外にあります。岩手県のみならず宮城や青森、秋田、福島といった各県のお客さまとも広く取引させていただいているわけですが、最近はこの特徴を活かしてお客さまのビジネスチャンス拡大のお手伝いをしています。平成14年からビジネス交流会を定期開催しているほか、業種を絞り込んだ商談会などいろいろなイベントを企画開催しています。この種のビジネスマッチングへの取り組みは東北の地銀でもかなり早いほうだったと思いますよ。
――業種ごとの商談会というのは?
柴田 例えば「いわて食のマッチングフェア」です。ご存知のように岩手県は新鮮な食材の供給地でもあり、県内のそうした生産者や食品加工業者と量販店などとの商談会を設けることで販売ルートの開拓を促しているわけです。当初は県と当行だけでスタートしましたが、今は他の地元金融機関も参加し、県内のマッチングイベントとしては最大級の規模になっています。
――なるほど。食材といえば、岩手名産の「前沢牛」を担保にした融資も実施しているそうですね。
柴田 ええ。商品在庫や設備を担保に融資する動産担保融資(ABL)ですね。牛だけでなくお米や蒲鉾などの担保でもご融資させていただいています。ABLを積極的に活用するのも地域経済の活性化に貢献したいからです。当行の地域貢献活動は多くが通常の金融サービスをベースにしています。
――さて、そうしたなか、北日本銀行さんは税務業務の改革にも積極的に取り組んでおられます。『ASP1000R』を導入された経緯からお教えください。
石川 導入を検討するきっかけは「決算発表の早期化」という株式市場の要請にいかに対応するかということでした。いうまでもなく税務業務は決算業務のなかでかなりの重要性を占めています。しかし、それまで当行では市販のパッケージソフトとスプレッドシートを組み合わせ、一部を手書きというやり方で、私が1人で税務業務を担当していました。
当然、処理のスピードや正確性に問題があり、このやり方では“よりタイムリーに、より早く、正確な情報を”という市場の要請に応えられないのではないかという不安がありました。加えて内部統制への対応も考えなければならなかった。この2つの問題を解決してくれるシステムはないものかと検討していたときに『ASP1000R』に出会ったわけです。とりわけ内部統制上の対応がきちっとできたシステムは、私の見た限りこのシステム以外にありませんでした。
―それは特にどんな点ですか。
石川 1つはエキスパートチェック機能です。入力時や計算時に数値や税法上の要件チェック、関連数値との整合性チェックが自動的に行われ、間違った数値を入れるとワーニングメッセージが出ますね。別表間の転記も自動化されています。従来のソフトにもそれなりのチェック機能はついていましたが、最終的には目で見てチェックしなければなりませんでした。
――チェック機能の自動化で入力ミスや転記漏れを防いでいるわけです。
石川 ええ。エキスパートチェックには本当に助けられています。
もう1つは分散入力ができる点ですね。内部統制で重要なのは作業した結果を別の担当者が検証することですが、税務業務はもともと専門性が高く属人化しやすいこともあって現実には作業した本人が自ら検証していたのが実情です。ところが『ASP1000R』の場合、基本情報の入力から電子申告まで税務業務の最適なフローが順序よくシステムメニューに組み込まれ、必要最小限のデータ入力で申告書が作成できるようになっています。だから担当者でなくても作業内容が検証できるし、他のスタッフと業務の分担もできるわけです。これは大きいですよ。内部統制を評価する部門からも、このシステムなら問題はないとお墨付きをもらっています。
いずれはスタッフ全員が税務業務をこなせる形に
――決算の早期化への対応という面ではどうなんでしょう。
石川 従来まで税務業務は、私が他の仕事にとりかかっている間はストップしたままで前に進めなかった。ところが『ASP1000R』であれば「この部分だけ先にやっておいてくれ」みたいに、限られた時間のなかで他のスタッフに作業を振り分けることができますからね。当然、それだけ作業のスピードアップがはかれます。
――申告書作成の過程で特に効率化が進んだ作業というと?
石川 いろいろありますが、ひとつは地方税ですね。以前は地方税だけでもやらなければならない作業がけっこうありましたが、このシステムは法人税と地方税が連動しているので何もしなくても大半のデータがでてきます。ずいぶん楽になりました。
――今後の税務業務の取り組みと課題についてお聞かせください。
柴田 どこの地域金融機関にも共通することですが、これからは税務業務も人材を育成して組織的に取り組んでいく必要があります。それにはジョブローテーションを行うのが近道です。同じ主計部門で税務業務を担当していなかったスタッフにも徐々にそれを経験させるわけですね。分散入力ができる『ASP1000R』を活用すれば十分可能です。さらに分担する作業を部分から全体へと少しずつ広げていき、いずれはスタッフ全員が税務業務をこなせるような状況もつくっていきたいですね。このシステムにはいろいろな可能性があります。
名称 | 株式会社北日本銀行 |
---|---|
設立 | 1942(昭和17)年2月 |
本店 | 岩手県盛岡市中央通1-6-7 |
預金 | 1兆791億円 |
貸出金 | 8247億円 |
従業員数 | 956名 |
URL | http://www.kitagin.co.jp/ |
『戦略経営者』2009年1月号より転載
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