42法人の連結法人税を迅速正確に計算する仕組みを構築
イメージングの世界で革新を続けているのが「コニカミノルタグループ」だ。2008年度にはグループ全体で1兆1000億円の売上達成を目指している。そのコニカミノルタでは、グループの税務戦略の一環として、2年前に

イメージングの領域で革新的企業を目指す
――コニカミノルタホールディングスさんは、2003年8月にコニカとミノルタが経営統合して発足したわけですが、一言でいえばどういう企業グループなのでしょうか。
安藤 “イメージングの領域で感動創造を与え続ける革新的な企業”を目指している企業グループです。その中核となるのは、(1)MFP(多機能複写機)を主体とする「コニカミノルタビジネステクノロジーズ」、(2)CD/DVD用ピックアップレンズやTAC(トリアセチルセルロース)フィルムなどを手がける「コニカミノルタオプト」、(3)医療用製品・印刷用製品を主軸とする「コニカミノルタエムジー」、の3つの事業会社です。また、共通機能会社として、グループの研究開発中枢である「コニカミノルタテクノロジーセンター」と、グループ内の物流、総務、人事などのサービス提供を行う「コニカミノルタビジネスエキスパート」の2社があります。これらを含めて現在、グループ全体の企業数は約130社です。
――昨年、08年度を最終年度とするグループの中期経営計画「FORWARD08」を策定されましたが。
安藤 そのポイントは、選択と集中によって“ジャンルトップ”の製品をいかに創り上げていくかにあります。どの業界でもそうだと思いますが、常に市場で確固たる「ポジション」を取りにいかなければ、グローバルな競争に破れることになりかねません。今のように変化の激しい環境下では、未来永劫にわたって大丈夫だというような商品やサービスなどないわけです。そこで私どもではMFP、ピックアップレンズ、TACフィルムなどに経営資源を集中して、それぞれの分野でジャンルトップ獲得戦略を展開しています。例えば、MFPに関していえば、カラー中・高速機の分野で、08年にはワールドワイドで25%(台数ベース)のシェア獲得を目指しています。他方、ピックアップレンズに関しては次世代DVDも含めて世界市場で70%、TACフィルムに関しては同25%の獲得を目標にしています。因みにTACフィルムとは液晶テレビ等に使用される偏光板用保護フィルムのことです。
――直近の業績(連結べース)は。
安藤 06年度(07年3月期)のコニカミノルタグループ全体の売上高は1兆60億円、営業利益は965億円を見込んでいます。欧州を中心にカラーMFPの販売が好調だったことなどもあり、当初計画に比べ売上高は260億円増となりそうです。セグメント別ではビジネステクノロジーズが売上高6460億円、営業利益740億円、オプトが同1390億円、同220億円、エムジーが同1570億円、同100億円。FORWARD08最終年の08年度の計画は連結売上高1兆1000億円、営業利益1100億円としています。
信頼性と効率性の面で「最適システム」を選択
――2年前に
安藤 経営統合する前に、旧コニカが連結納税制度を導入しようと検討していたことがベースとしてありましたが、直接的にはグループの税務戦略の一環として『eConsoliTax』を導入しました。連結納税制度は、ご承知のように企業グループを1つの会社とみなして法人税を課す制度ですが、当社の場合は親法人・子法人合わせて42社で行っています。なぜ『eConsoliTax』を選んだのかといえば“信頼性と効率性”の面で最適なシステムだと判断したからです。背景には、連結決算の発表を早期化したいという狙いがあります。当社は3月期決算ですから、これまでは5月中頃に連結決算を発表していましたが、世の中全体の流れとして決算早期化が求められており、当社としては4月中に“子法人を含めた正確な税額を計算して公表できる体制”にしたいと考えていました。
従来、連結決算を発表する段階では簡便計算で税額を出し、法人税を申告するときに正確な税額計算を行うというのが一般的でした。が、当社では連結決算発表を早めながら、それでいて申告時と同レベルの、精度の高い税額計算を行うことを考え、そのためのツールとして最適と思ったのが『eConsoliTax』だったわけです。
経理というのは、絶対に間違いがあってはならない世界です。その点でも、
冨山恭道公認会計士
――『eConsoliTax』を導入するにあたっては、お客様が自社でサーバーを運用管理する方法と、TISC(
安藤 ASPですね。セキュリティとコストを考えると、ASPサービスの方がいいだろうと。
連結法人税、地方税、税効果のデータが連動
――連結納税の対象法人が42社となると、足並みを揃えるだけでも大変だったのでは。
安藤 ええ。連結納税制度を採用する前、各子法人は法人税を申告をするにあたり、市販の税務ソフトを使っていたところもあれば、エクセルで計算していたところもありました。バラバラだったわけです。
そこで親・子法人のシステム利用環境を整える一方、導入前に東京と大阪で、それぞれ2回ずつ子法人の経理担当者を集めて「研修会」を行いました。1回目は主に連結納税そのものに関する制度研修であり、2回目は我々の業務に落とし込んだ形でのシステム運用勉強会でした。このシステム運用勉強会は『eConsoliTax』マニュアルに基づいて、当社が冨山先生のアドバイスを参考にしながら独自に処理手順を示した表(フローチャート)を作り、主にそれを使って研修したということです。本当はマニュアルだけで十分だと思うんですが、当社の場合は決算早期化を目標として掲げているため、1社(子法人)でもおくれると困るからです。
さらに私どもではシステムを本稼働させる前に、前年度の申告データを使ってシミュレーションを行いました。どんなシステムでもそうでしょうけれど、いきなり本番というより、やはり練習を行っていた方がスムーズにいきますからね。
――『eConsoliTax』を使ってどのように連結納税業務を行っているのでしょうか。
安藤 決算時には、全連結法人の個別帰属額・地方税額、連結納税採用下での税効果を計算する必要があります。システムの〈業務メニュー〉に沿った一連の運用手順を全連結法人で、統一することによって複雑な計算を効率的に行っています。また、申告時には二重入力を避けるため、決算データを活用し正確重視の運用を行っています。
冨山会計士
安藤 連結法人税、地方税、税効果のデータが連動していて、使い勝手が非常にいいです。加えて操作面等で何かわからないことがあれば、その都度冨山先生や大西さんに聞くことができるのもありがたいですね。
ところで、親法人は自らの意思(戦略)で連結納税制度の導入を決めましたから、そのために手間と時間がかかっても文句をいう人はいませんが(笑)、子法人の担当者はしんどい思いを強いられるわけです。そこで全体のモチベーションを上げるために、例えば「連結納税を適用してグループ各社の協力があったことで、これだけタックスセーブができました」といった情報を子法人にフィードバックしています。
いずれにしろ『eConsoliTax』を導入したのを機に、今まで以上にグループ全体の税務のコンプライアンスをはかっていきたいと考えています。
名 称 | コニカミノルタ株式会社 (旧:コニカミノルタホールディングス株式会社) |
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代表者 | 太田義勝 |
業種 | 情報機器等の製造販売 |
所在地 | 東京都千代田区丸の内1-6-1 |
TEL | 03-6250-2080 |
売上高 | 1兆60億円(2007年3月期見込み) |
社員数 | 3万640名(連結ベース) |
URL | http://konicaminolta.jp |
『戦略経営者』2007年4月号より転載
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