ユーザー事例

株式会社寺岡精工 様

FAManager導入事例

グループ会社の固定資産管理システムに『FAManager』を採用

左から 安池係長/加藤係長/塩澤アーキテクト/畑中税理士

「寺岡式敏感自動バネ秤」を皮切りに、世界発、業界初の製品を数多く世に送り出している株式会社寺岡精工。7つの子会社の固定資産管理業務をシェアードサービス化し、グループ全体の業務効率化と子会社の正確な損益把握に成功した。その要因についてビジネスサービス部アカウンティングサービス課の塩澤 俊アーキテクト、安池 真司係長、加藤 英明係長、そしてシステム・コンサルタントの畑中 孝介税理士(ビジネス・ブレイン税理士事務所)に話を聞いた。

シェアードサービスの展開に向けてシステムを見直し

──TKCシステム導入のきっかけは?

安池 当社では2016年からグループ会社に対するシェアードサービスの検討を始めました。そして、その対応の一つとして、グループ会社の固定資産管理を、全7社共通で行えるシステムを探していました。

塩澤 俊アーキテクト

塩澤 俊 アーキテクト

塩澤 それまで固定資産の管理は各子会社がばらばらで行なっていました。スプレッドシート(Excel)で管理している子会社もありましたし、資産数が少ない子会社は紙で管理していました。システムを利用している子会社もありました。そのため、グループ全体として統一した管理はできていませんでした。こうした状況を改善するため、固定資産管理システムの見直しを検討することにしました。

安池 システムの選定については三つのポイントがありました。一つ目はシェアードサービスでの活用を前提としているため「クラウドで各子会社を統一システムで管理できること」。二つ目は、以前に利用していたシステムではできなかった「会計と税務の償却費の計算結果をそれぞれで保持・確認できること」、そして三つ目が「これらを実現するコストパフォーマンス」でした。

塩澤 複数のシステムを比較検討した結果、二つ目の選定ポイントである償却費の計算方法を複数持てるシステムが他社になかったことが決め手となり、『FAManager』の導入を決定しました。すでに導入済みであったTKCの法人電子申告システム『ASP1000R』を効果的に活用しており、そちらにデータが連携できることも評価のポイントでした。

スムーズに導入が完了し、シェアードサービスが無事スタート

──システム導入は問題なく進みましたか?

塩澤 『FAManager』は約3~4か月で導入を行ないました。比較的スムーズに導入ができたと思います。

加藤 英明 係長

加藤 英明 係長

加藤 私は『FAManager』を導入しているさなかに入社し、固定資産管理を主に担当しています。もともとTKC会員事務所向けの固定資産システム(『税法基準による法人用減価償却システム(TPS1000-K3)』)を使った経験があり、入力方法や画面構成などが似ているため、システムの操作で戸惑うことはありませんでした。
 導入の段階では、システムへの入力方法や、資産除去債務の処理、自分たちが試算した残高と一致しない内容などについてシステム・コンサルタントの畑中(孝介)先生に質問・相談しました。迅速にご回答いただき、問題なく導入が進みました。
 グループ全体では7,000以上の対象資産があり、日々変化があった資産を『FAManager』に登録しています。5月と11月に各事業部・子会社にリストを送って、実際に実物を確認しながら、毎年1月の申告に向けて準備をしています。システムには、当社の要望を満たした機能が搭載されており、導入後も問題なく稼働しています。

畑中税理士 親会社の資産規模や子会社の管理方法がばらばらの状態だったことを考えるとシステムの稼働までは早かったと思います。『FAManager』の導入では、各フェーズで整理しなければならない課題やシステムの処理における課題を着実に解決できたので、スケジュールどおりに進みました。

──システム導入の効果は?

安池 真司係長

安池 真司 係長

安池 『FAManager』の導入により、予定通りシェアードサービスをスタートできました。子会社の担当者は、固定資産管理だけでなく経理や総務も兼務していることが多く、業務の負担が大きくなっていました。親会社がシェアードサービスとしてサポートすることで、子会社の負担を減らせる体制に移行できたと思います。

グループ全体の業務効率化に貢献

加藤 『FAManager』によって、親会社の固定資産管理も効率化されました。以前使っていたシステムでは資産除去債務など一部入力できないデータがあり、別途スプレッドシート(Excel)等で管理する必要がありました。『FAManager』ではそれらのデータも一元的に管理ができるようになっています。
 また、以前のシステムでも、別表十六の出力はできたのですが、減損に関するデータなど、全てのデータが管理されていなかったため、手直しの必要がありました。『FAManager』ならデータが一元管理されているので、手直しの必要がなく、別表が正確に作成されて、楽になりました。

安池 子会社からは、手書きだった償却資産申告の資料を印刷できるようになったことが評価されました。申告用フォーマットで印刷できるだけでも転記・手書きミスの防止になり、作業も効率化できました。今後は子会社の償却資産の電子申告も行なえるようにして、さらなる効率化を目指していきます。
 また、『FAManager』は子会社の経営状況の把握にも貢献しています。今まで子会社の月次決算は概算で償却費を計上していたのですが、すべて実績で計上できるようになりました。そのおかげで各子会社の月次の損益が正確に把握できるようになり、グループの業績管理に役立っています。

電子申告はもはや当たり前に

──電子申告についても、TKCシステムをご利用いただいています。

塩澤 法人税・地方税の電子申告は『ASP1000R』で5年以上前から取り組んでいます。
 当社は12月決算であり、決算業務と償却資産申告業務が重なるため非常に大変でした。今回『FAManager』を導入したことで、償却資産の申告業務がさらに効率化できました。
 また、『FAManager』と『ASP1000R』は、別表十六が連動されます。このため、別表間の数字をチェックする必要がなくなりました。『ASP1000R』の導入・運用によって、申告書の作成から電子申告までの業務は、従来の工数の半分以下になりました。それ以来電子申告に関して特別な準備はしておらず、もはや当たり前となっています。
 そこに、別表十六の連動が可能になりましたので、さらに効率化が進んだと思います。

システム導入時に税制の活用を指南

畑中 孝介 税理士

畑中 孝介 税理士

畑中税理士 寺岡精工さんに対しては、最初は連結会計システム『eCA-DRIVER』のシステム・コンサルタントとして、海外の子会社を含めたシステム導入を支援しました。それが終わったときに、税務システムも見直したいという依頼を受け、『ASP1000R』の導入も支援しました。
 『ASP1000R』の導入時は、寺岡精工さんが資本金を減資していたため中小企業に分類される企業規模になっており、試験研究費の地方税の優遇措置が受けられることが判明しました。これは些細なことですが、その他にも『ASP1000R』の導入によって、いろいろな課題が見つかり、一つずつ対処していきました。
 その後、別途、申告書レビューをご依頼いただくこともあり、レビューとともに、『ASP1000R』にどう入力するか、システム運用のアドバイスも含めて支援しました。

安池 税制の活用は、自分たちでは気づけていないご指摘だったので大変助かりました。会社に大きな動きがあったときは私たちだけで全ての税制に対応するのは難しいです。ご指摘を受けて正しく申告をすることができました。

畑中税理士 多くの企業で、システムを導入し、本番の申告を迎えるときや、子会社の申告支援に手が回らない時は、適正な申告ができるか不安を抱えていらっしゃいます。そのため、申告書レビューの相談をよくいただきます。申告書レビューは、申告書を提出いただいて、チェックリストに基づき、指摘事項を整理していきます。その際、確認すべき数字や間違いやすい処理をお知らせするとともに、『ASP1000R』でどのように修正すべきかお伝えするようにしています。実際のシステム画面を見ながら、修正方法をお伝えすることも少なくありません。同じミスが起きないようにすることが大切なので、来年から準備すべき項目についてもお伝えするようにしています。

組織再編やM&Aに関連したアドバイスを実施

畑中税理士 その後も、組織再編やM&Aなど通常の税務処理とは異なる処理が発生した時に、相談を頂いて、税務面の課題についてコンサルティングをさせていただきました。
 例えば、親会社が子会社を吸収合併して100%子会社になる場合の処理、自己株式の買い取りに関わる処理、適格合併に関わる処理など、それらの税務上の注意点と別表の処理についてアドバイスしました。われわれにとっては日常的に扱う税務処理ですが、普通の会社であれば経験する機会が1回あるかないかというような税務処理もあります。通常の税務処理ではない事象は、現場にそのノウハウがない場合は多々ありますので、そんな時は気軽にご相談いただけるとありがたいです。

安池 毎年同じような申告なら問題はありませんが、会社の事業拡大に伴う組織再編や普段取り扱わない税務処理が出てくると、処理に不安を感じますので、気軽に相談させていただいています。

気軽に相談できる関係性を目指して

──システム・コンサルタントとTKCのサポートはいかがでしたか?

安池 『FAManager』導入では、資産除去債務やリース資産の処理など、迷ったらご相談してきました。その都度、畑中先生とTKCの社員の方に、マニュアルにそって丁寧に回答・アドバイスしていただきました。子会社にもスムーズに情報を展開し、導入を進めることができました。迅速な対応で、非常に良いサポートだったと思います。
 急な相談も快く受けていただけるので、うれしく思っています。畑中先生には、いままで通りのサポートをぜひ継続していただきたいです。

加藤 TKCシステムには、私たちが必要としていた機能が搭載されており、非常に満足しています。また私個人としては、税理士がサポートに入っていただいているので、専門的なやりとりも含めて会話がスムーズで、業務が適正に進んでいる安心感があります。専門的な話がすぐに伝わるので心強いです。

塩澤 やはり税理士に支援いただけるというのは安心感があります。別表の書き方や、会計処理の確認、『ASP1000R』へのデータの入力方法など、ちょっとした疑問も専門家に聞けるので助かっています。税理士によるサポートがあるのとないのとではかなり違うのではないかと思います。

畑中税理士 今後も、気軽にご相談いただける関係性を継続していければと思います。企業の成長・発展に伴い急な税務対応が求められる場面は必ず出てくると思います。そうしたときに、気軽に相談できる相手がいることで皆さんも安心だと思います。
 われわれも専門家としてしっかりアドバイスできるように、中小企業の税制から中堅・大企業の税制までトータルに精通していかなければなりません。そして、実務家として現場に寄り添ったサポートができるよう努めていきたいと思います。

会社概要
名称 株式会社寺岡精工 株式会社寺岡精工
創立 1934(昭和9)年11月
設立 1947(昭和22)年7月
所在地 東京都大田区久が原5-13-12
従業員規模 3,707名(2019年12月31日現在)
URL https://www.teraokaseiko.com/
掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2020年9月現在のものです。
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