ユーザー事例

株式会社トクヤマ 様

eConsoliTax・eTaxEffect導入事例

適正・迅速な連結納税業務を
システム導入で実現する

山口県周南市に本店を置くトクヤマは、①化成品部門②特殊品部門(ICT 関連製品等)③セメント部門④ライフアメニティー部門(ヘルスケア関連製品等)― の4部門を中心に事業展開する総合化学メーカーだ。経営企画本部経営管理グループの谷川聡経理担当課長、山近則昭税務チームリーダー、大谷祥太郎主任、そしてシステム・コンサルタントを務める税理士法人至誠パートナーズの岡村嘉記税理士と古屋賢明税理士に、「eConsoliTax」の導入メリットなどを聞いた。

導入メンバーの皆さん

──トクヤマグループさんと言えば、創業102年目を迎えた大手総合化学メーカーとして、地元であまりにも有名な存在です。会社の沿革についてお聞かせいただけますか。

谷川聡経理担当課長

谷川聡経理担当課長

谷川 当社は1918年に、山口県徳山町(現在の周南市)で、当時輸入品に依存していたソーダ灰の国産化を目指して設立されました。国内の化学工業の発展とともに、化成品(苛性ソーダ、塩ビ樹脂など)やセメントの事業を大きく伸ばし、その後、ICT(情報通信技術)関連製品やヘルスケア関連製品などの分野にも進出しました。

山近 社内では、化成品やセメントを「伝統事業」と呼び、「先端材料」を取り扱う特殊品やライフアメニティーを成長事業と呼んでいます。2016年5月に策定した経営方針・中期経営計画では、10年後の2025年度に「伝統事業で日本トップ」「先端材料で世界トップ」になることを目標として掲げました。

──ICT関連製品には、どのようなものがありますか。

山近則昭税務チームリーダー

山近則昭税務チームリーダー

谷川 例えば、高純度多結晶シリコンがそうです。半導体用シリコンウエハーの原料として生み出されたこの製品には、当社の高純度化技術の粋が集められていて、世界30%のシェアを持っています。他にも、高熱を発生させる産業用電子装置の放熱材料として使われる窒化アルミニウム製品があり、粉末では世界シェア75%を占めています。

山近 窒化アルミニウム粉末は、ICT関連装置の小型化や大出力化に不可欠な放熱素材で、フォトダイオードや半導体装置向けの分野で用途拡大が見込まれています。

──ヘルスケア関連製品についても教えてください。

谷川 歯科材料やメガネレンズ用フォトクロミック材料などがあります。当社の歯科材料は、米国で審美材料として高い評価を受けており、10年連続で米国歯科材料評価機関の最優秀製品に選ばれています。
 またメガネレンズ用フォトクロミック材料は、目を紫外線から保護するための調光レンズなどに使われるもので、欧米を中心に需要が高まっています。

申告書が簡単に作成できるワーキングシート形式の入力

化学をベースにした技術力の高さが最大の強み

化学をベースにした技術力の高さが最大の強み

──連結納税の対象となる子法人の数は?

山近 売上高数百億円~数億円の会社と大小ありますが、全部で25社です。

──連結納税採用の検討を始めたのはいつ頃でしたか。

山近 2017年8月からです。海外事業の失敗で2017年度に巨額の税務上の欠損金が発生することが確定したことが、その背景にありました。

──連結納税制度を採用するにあたって、不安はありませんでしたか。

山近 このタイミングで2017年12月末までに連結納税の申請手続きを間に合わせることができるのか、連結納税をはじめることで決算スケジュールにどれくらい影響するのか、誤った決算数値にならないか……等々、不安だらけでした。これらの不安を払拭するためにも、何らかのシステムを導入することが必要だと考えました。

──TKCシステムを選んだ理由をお聞かせください。

山近 インターネットで連結納税システムの専用ソフトを販売している会社を検索したところ、該当する会社が4社ありました。その中から、コスト、サポート、操作性、セキュリティー等の充実度合いを検討した結果、TKCシステムが一番だと判断しました。ある大手監査法人さんに相談した際にもTKCさんの名前を挙げられていたので、「これは間違いないだろう」と思いました。
 そこで早速、インターネットで資料請求をすると共に、営業担当の方に電話で「2018年度の申告から連結納税制度を適用することを検討している」と伝えて、すぐに打ち合わせの場を用意してもらいました。TKC全国会の税理士先生がシステム・コンサルタントになってくれるなど、手厚いサポート体制があることが決め手となり、まずはトクヤマで単体納税システム「ASP1000R」を先行導入することにしました。その後、連結納税の中間・確定申告の業務に加え、期中の四半期試算や期末試算などの決算業務にも利用できる「eConsoliTax」と「eTaxEffect」の導入を決めました。

──なるほど。

山近 「ASP1000R」と「eConsoliTax」の入力形式には親和性があります。「eConsoliTax」を円滑に導入できたのは、その基本的な仕組みをすぐに理解できたからです。

──「ワーキングシート形式」での入力はいかがでしたか。

古屋賢明税理士

古屋賢明税理士

大谷 ワーキングシート形式なら、別表の仕組みが分からない担当者でも、申告書を簡単に作成することができます。業務をスムーズに行うことができること、またグループ全体の業務を標準化できるという点では非常に優れていると思います。

古屋税理士 ワーキングシート形式の入力は、計算に必要な項目のみを入力すれば、それが各項目に連動していきます。別表形式による入力に比べて、格段に少ない入力で済むため、各申告書の計算・転記等のミスの防止につながります。また、計算処理のエキスパートチェック機能により内容に不備があると、ワーニングメッセージが表示され、エラーの内容と対処方法が明示されるため、各子法人の担当者の方にも安心してシステムをご利用いただけます。

連結納税対象子法人の担当者を集めて、TKCシステムの操作方法に関する説明会を実施されたとか。

大谷 はい。説明会では、単にシステムの操作方法だけを説明するのではなく、前年度のデータを実際に入力してもらいました。つまり「身体に覚え込ませる研修」をしたわけですが、これにより各担当者の習熟度が一気に向上しました。ただ、当該説明で入力したデータは単体納税時のものだったため、連結納税においてどう入力すればよいかについては、子法人の担当者から質問を受ける都度、電話やメールで丁寧にサポートすることを心掛けました。

岡村嘉記税理士

岡村嘉記税理士

──はじめての連結納税は順調にいきましたか。

大谷 連結納税の初回本稼働がうまくいくかどうかが、TKCシステムにかかっていたので、操作方法などの不明点があれば、小さなことでも気になればTKCさんやシステム・コンサルタントの至誠パートナーズさんに確認しました。さらに、そこで教えてもらった内容をもとに、当社独自のマニュアルやチェックリストを作成することもしました。その甲斐もあり、当初想定していたよりもスムーズに進みました。

岡村税理士 連結納税をうまく行うためのポイントは、グループ全体で足並みをそろえることにあります。トクヤマさんの場合、「連結納税制度の理解→システムの入力作業のチェックおよびフィードバック→マニュアル・チェックリストの作成」といった過程を経て、それを実現されていました。トクヤマさんの連結納税導入がスムーズに行われた要因はそこにあったと思います。

申告の“電子化” により作業時間を大幅に削減

──連結納税の採用にあわせてグループ全社で電子申告を開始したのは、どのような考えから?

山近 2年後の2020年4月から大法人の電子申告が義務化されることを踏まえ、連結納税のスタート時から「eConsoliTax」と連動して使える電子申告システム「e-TAX連結納税」を導入して、電子申告まで一気通貫で行えるようにした方がよいと判断しました。また「地方税の申告手続きの効率化を図れること」も、主な理由の一つでした。

──電子申告のための準備は大変でしたか。

大谷祥太郎主任

大谷祥太郎主任

山近 簡単にはいかない点もありました。例えば、電子証明書の利用期間を1年にするのか、3カ月にするのか子法人ごとにまちまちとなってしまいました。また、電子申告を行うためには代表者の電子証明書が必要になりますが、子法人の代表者交代の時期が6月後半となったため、法務局での登録が6月中に間に合わずに、結局申告が7月にずれ込んでしまった子法人もありました。

──電子申告を実際に行ってみての感想をお聞かせください。

大谷 申告業務がグループ全体でおよそ60時間も削減できたのは大きなメリットでした。特に、地方税の申告について削減効果が大きかったです。地方税の納付先は親法人のトクヤマだけで県・市あわせて20以上あります。従来は、それぞれに紙で申告書を郵送する必要があっため、非常に手間が掛かっていました。

──TKCとシステム・コンサルタント(税理士法人至誠パートナーズ)のサポート内容はどうですか。

大谷 TKCさんについては、システム上の不明点について迅速に調査・回答してくださるなど、さまざまな支援をしていただきました。また、至誠パートナーズさんについても、システムの説明会で分かりやすい解説をしていただき、本当に助かりました。テスト入力のチェックに関しても、かなり細かいところまで目を光らせてくださいました。

岡村税理士 検証結果報告では、検証および報告書の作成を副所長の古屋(賢明・税理士)と監査チームリーダーの中胡(祐一)が担当し、相互間でチェックをした後、私が総合的にチェックする「ダブルチェック体制」を敷きました。

中胡祐一さん

中胡祐一さん

──皆さんが所属する経営管理グループでは今後、どんな取り組みをされていくのでしょうか。

谷川 ①IOT・AI技術導入による業務効率化②BSに現れない財産である「人」の育成・輩出③営業キャッシュ・フローの最大化── の3点について、しっかり取り組んでいきたいと考えています。

──TKCやシステム・コンサルタントに期待することはありますか。

山近 業務効率がもっと良くなるように、システムのさらなるレベルアップをお願いしたいですね。

岡村税理士 今後は、電子申告義務化に伴いTKCシステムの機能がますます強化され、財務諸表等も電子申告に添付することが可能となります。さらに業務の効率化が実現できるよう、ご支援してまいります。

会社概要
名称 株式会社トクヤマ
設立 1918年2月
所在地 山口県周南市御影町1-1
売上高 3,160億円(2020年3月期)
社員数 5,679名(連結、2020年3月末現在)
URL https://www.tokuyama.co.jp/
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