ユーザー事例

株式会社安川電機 様(導入システム eConsoliTax/eTaxEffect)

連結納税実践で効率化に挑む世界有数のメカトロニクス企業

株式会社安川電機

産業用ロボットなど、メカトロニクス技術で世界を席巻する安川電機。その技術オリエンテッドな社風は、100年超の歴史のなかでさまざまな革新を生み出してきた。そんな同社が、2年前に連結納税を採用。情報収集のクラウド化と電子申告までの一気通貫体制を構築しつつある。経理部の平山雅之会計グループ長、上田倫也単体決算・税務チームリーダー、加藤知博課長補佐に話を聞いた。

──「メカトロニクス」という言葉は安川電機さんの造語だそうですね。驚きました。

平山雅之会計グループ長

平山雅之会計グループ長

平山 1960年代後半、取引先の機械・装置(メカニズム)とわれわれの電気工学(エレクトロニクス)を融合させて、当時としては革新的な数々の技術開発を行った当社の手法を自ら表現したものです。当時は画期的なものでしたが、いまでは、国内外で普通に使われる一般用語になりました。

──世界でもトップクラスの製品をいくつもお持ちですね。

平山 とくに産業用ロボット『MOTOMAN』(累計30万台)とインバーター(同1000万台超)、ACサーボモーター(同1000万台超)は、当社の主力商品です。ちなみに、産業用ロボットは、国内の自動車メーカーが主な取引先で、アーク溶接を得意としています。制御機器であるサーボモーターやインバーターはセグメントとしては「モーションコントロール事業」のなかに分類されており、こちらの方がむしろ当社の基礎技術を培ってきた基幹事業といえ、規模的にはロボット事業を上回っています。

──各事業分野が相互関連しているわけですね。

平山 当社はそもそもモーターで創業、発展してきた会社で、たとえばインバーターはモーターの回転数をコントロールする装置であり、身近なところではエスカレーターやエレベーターに使用されています。また、サーボモーターは、サーボ機構(物体の位置や方位、姿勢などを、目標値に追従させるための制御系)の駆動部に用いられる電動機で、基本的には工作機械に組み込まれるものであり、もちろんこれは、ロボットの動きを左右する重要な装置になります。

──海外での売り上げが年々伸びています。

平山 現在、欧米や中国などビジネス拠点が29カ所、生産拠点が10カ所。ロボットについては日系自動車メーカーへの海外工場への供給が多いので、日本企業の設備投資意欲が高まると、当社の業績も連動して良くなります。ただ、米国などではラインメーカーを通して、現地メーカーにもかなり広く当社の製品が使われています。

──なぜ、世界でも有数のメカトロニクス企業に成長できたのでしょうか。

ロボット

平山 まず、1915年の創業以来「技術立社」を社是としてきたこと、それから「顧客第一」「品質本位」「メカトロニクス」「方針管理(経営方針に基づき、計画を定め、それらを効率的に達成するために、組織全体の協力の下に行われる活動)」そして「グローカル(地球規模の視野で考え、地域視点で行動する考え方)な展開」を着実に推進してきた結果だと思います。

──「2025年ビジョン」という長期計画を打ち出しておられます。

平山 その実現に向け、2016年から「DASH25」という3年計画をスタートしました。サーボモーターやロボットというコア事業の基盤の拡大・用途開発をはじめ、風車用コンバータの開発、太陽光発電の効率化を実現するインバーター、蓄電技術の開発、船舶動力の効率的な稼働システムなど、今後はより環境にやさしいクリーンパワーや省エネシステムの分野に新たな可能性を求めていきます。

期待以上に充実したコンサルティング体制

──連結納税制度を導入された理由は?

上田倫也チームリーダー

上田倫也チームリーダー

上田 欠損金の持込要件の緩和等を受け2012年に検討チームをつくり、導入の可否を話し合いました。結果、当時25社あった子会社(現在は21社)の一部の(繰り越し)欠損金をグループで早期に解消できるとの判断に達し、導入を決定しました。翌年の13年に会計グループ内に税務チームを独立して体制を整え、14年から本格導入しました。

──最初からパッケージソフトを導入するつもりだったのですか。

上田 自前でシステムを作ることもいったんは検討しましたが、税制改正対応や費用対効果を鑑み、外部のソフトを導入するという意見に落ち着きました。

──なぜTKCの『eConsoliTax』だったのでしょう。

上田 一番の理由は、『eConsoliTax』は、大企業・中堅企業など、他社に比べて導入実績が圧倒的に多いという事実で、信頼性が高いと判断しました。

平山 信頼感という意味では、子会社の一部にTKCさんの『FX5』(統合型会計情報システム)が導入されており、なじみがあったということも大きかったと思いますよ。

──実際に導入されてみていかがでしたか。

加藤知博課長補佐

加藤知博課長補佐

加藤 電子申告までの一気通貫が実現し、国税や地方税をクリックひとつで申告できるようになったのも大きいと思います。特に地方税については、従来は、毎年のように変更される各地方自治体の税率を確認しながら計算し、押印、封入、郵送作業を行っていました。しかし、『eConsoliTax』では、常に最新の税率マスターが搭載されているので、何もしなくても自動計算されます。これはすごいことで、他社にはない特徴だと思います。

──今回、コンサルティング業務をTKCに委託頂きましたが、どのような経緯だったのでしょうか。

上田 14年の導入1年目は、親法人で子法人の入力チェックする業務を行い、これが多大な業務負荷を生じていました。その中で、2年目の15年は税務調査が行われたため、修正申告等の業務が追加される見込みであること、また、人員減によるチーム再編が行われたことにより、リソースが減少したことに対応する必要がありました。その中で、1年目・2年目と入力相談会をお願いしていた岩崎(博信)会計さんに子法人の入力チェックをお願いすることとなりました。

──コンサルティング体制はいかがだったでしょうか。

上田 岩崎会計さんのコンサルティングは期待以上でした。約2カ月かけて、子会社が入力した内容をいったん岩崎会計さんで確認してもらい、あらかじめ作成いただいた約100のチェック項目を共有しながら、入力状況を確認・支援していただきました。費用対効果を考えても、この体制はしばらく続けてもいいかなと思っています。

加藤 その通りで初年度はほかの業務にも影響が及び、本当に大変でした。2年目はそれが解消され、他の業務にリソースを割くことが出来ました。

──連結納税導入による効果は?

上田 当初見込んだ通り、欠損金の早期解消や外国税額控除の切捨ての減少などの効果がありました。また、親法人から子法人へ税務知識の共有や業務フォローを行ったことにより、安川グループ全体として税務のレベルアップが図れたように思います。

──今後はいかがでしょう。

平山 TKCさんとの関係でいえば『eTaxEffect』(税効果会計システム)も使わせていただいていますし、税効果業務と申告業務の連動性を高めて、より業務の効率化を図っていきたいと考えています。また、外部へのアウトソーシングも検討しておりますので、岩崎会計さんとの関係も含め、今後も何かと頼りにさせていただければと思っています。

会社概要
名称 株式会社安川電機 株式会社安川電機
創立 1915年
所在地 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2-1
売上高 4,112億円(2016年3月期連結)
社員数 約1万4,000名
URL https://www.yaskawa.co.jp/

『戦略経営者』2016年10月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2016年10月現在のものです。
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