注目の判例

行政法

2017.04.11
条例廃止処分取消請求事件  
「新・判例解説Watch」H29.5月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545115/青森地方裁判所 平成29年 1月27日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第5号
被告が、公の施設として本件記念館を設け、本件記念館条例において、その設置及び管理に関する事項を定めていたが、その後、本件記念館条例を廃止する条例を制定したことにつき、原告が、被告に対し、本件廃止条例制定行為の取消しを求めた事案において、本件保管覚書合意は、その内容に照らせば、P3(その地位を承継した原告)及び被告の一般的・抽象的な努力義務を定めたものに止まるものであることが明らかであって、これに基づいて具体的な権利ないし法的地位が生ずるという性質のものとはいい難く、本件保管覚書合意を基礎として本件廃止条例制定行為の処分性を認めることはできないとし、訴えを却下した事例。
2017.04.04
損害賠償等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448466/神戸地方裁判所 平成29年 2月 9日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第1195号
被告の運営する保育園の近隣に居住する原告が、園児が園庭で遊ぶ際に発する声等の騒音が受忍限度を超えているなどと主張し、被告に対し、不法行為による損害賠償を求めるとともに、人格権に基づき、保育園の敷地境界線上において保育園からの騒音が50dB(LA5)以下となるような防音設備の設置を求めた事案において、原告が保育園からの騒音により精神的・心理的不快を被っていることはうかがえるものの、原告宅で測定される保育園の園庭で遊戯する園児の声等の騒音レベルが、未だ社会生活上受忍すべき限度を超えているものとは認められず、不法行為を基礎づける程度の違法があるということはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2017.02.28
建築変更確認取消裁決取消請求事件(基本事件) 
LEX/DB25544864/東京地方裁判所 平成29年 2月 7日 決定 (第一審)/平成28年(行ウ)第192号
基本事件原告ら(被参加人及び異議申立人N社)が、東京都文京区の土地上に建築を計画しているマンションにつき、指定確認検査機関である株式会社都市居住評価センターが建築変更確認処分をしたのに対し、上記マンションの周辺住民らがその取消しを求めて審査請求をしたところ,東京都建築審査会が本件マンションの計画は東京都建築安全条例32条6号に違反するから本件処分は違法であるとして同処分を取り消す旨の裁決をしたため、基本事件被告(異議申立人東京都)に対し、本件裁決は適正手続に違反するとともに判断内容が建築基準法等の法令に違反するものであるとして、本件裁決の取消しを求めた基本事件につき、基本事件原告らとの間でマンションの一室を買い受ける旨の売買契約を締結した補助参加申出人が、基本事件について基本事件原告らを補助するために民事訴訟法42条に基づく補助参加の申出をした事案において、補助参加申出人は、民事訴訟法42条にいう「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」に当たるものというべきであるとして、補助参加申出人が基本事件原告らを補助するために基本事件に参加することを許可した事例。
2017.02.28
訴訟参加申立事件 
LEX/DB25544865/東京地方裁判所 平成29年 2月 7日 決定 (第一審)/平成28年(行ク)第315号
本案事件原告ら(相手方N社及び同S社)が、東京都文京区の土地上に建築を計画しているマンションにつき、指定確認検査機関であるT社が建築変更確認処分をしたのに対し、マンションの周辺住民らがその取消しを求めて審査請求をしたところ、東京都建築審査会がマンションの計画は東京都建築安全条例32条6号に違反するから本件処分は違法であるとして同処分を取り消す旨の裁決をしたため、本案事件被告に対し、本件裁決は適正手続に違反するとともに判断内容が建築基準法等の法令に違反するものであるとして、本件裁決の取消しを求めた本案事件につき、上記マンションの周辺住民らの一人である参加申立人が、行政事件訴訟法22条1項に基づく訴訟参加を申し立てた事案において、参加申立人は、行政事件訴訟法22条1項にいう「訴訟の結果により権利を害される第三者」に当たるものというべきであるとして、参加申立人を被参加申立人のために訴訟に参加させることとした事例。
2017.02.21
建築確認処分取消請求事件(横浜市「地下室マンション」建築確認取り消し判決) 
LEX/DB25544848/東京地方裁判所 平成28年11月29日 判決 (第一審)/平成26年(行ウ)第146号
参加人(建設会社)及び訴外甲社らが建築主となって建築する共同住宅(マンション)の建築計画について、被告(指定確認検査機関)が、建築基準法6条1項前段に定める建築確認処分を行ったところ、その近隣に居住する原告らが、本件建築計画は、建築物の高さ制限(建築基準法55条1項)や建築物の基礎の底部が良好な地盤に達することとしなければならない旨(建築基準法施行令38条3項)等を定める建築基準法等の規定に適合していないものであるから本件各建築確認処分は違法であるなどと主張して、その取消しを求めた事案において、原告らの本件変更確認処分の一部の取消請求を認容し、本件訴えのうち、本件各建築確認処分及び本件各変更確認処分1の各取消しを求める部分はいずれも却下し、原告らのその余の請求を棄却した事例。
2017.02.21
環境権等に基づく差止請求事件(第1事件、第2事件) 
「新・判例解説Watch」H29.4月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25544858/大分地方裁判所 平成28年11月11日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第29号 等
大分県由布市湯布院町の塚原地区に居住し又は旅館等の経営をする原告らが、被告会社らの太陽光発電事業計画の実施により、当該土地上にメガソーラー設備が設置されるなどすると、原告らの有する人格権(塚原地区の景観を含む自然環境を享受する権利)及び塚原地区の景観に対する景観利益並びに営業権が侵害されると主張して、被告会社らに対し、それらの権利に基づき、メガソーラー設備の設置等の開発行為等の差止めを求めた事案において、上記開発行為は景観利益を違法に侵害するもので、差止められるべき旨の原告らの主張は理由がないとし、また、原告らの営業権に基づく上記開発行為の差止請求には理由がないとし、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2017.02.21
当選無効請求事件(昨年7月参院選比例代表 「政党なし」は無効票) 
LEX/DB25544649/東京高等裁判所 平成28年11月16日 判決 (第一審)/平成28年(行ケ)第20号
平成28年7月10日施行の参議院議員通常選挙における比例代表選出議員選挙の名簿届出政党等である原告政治団体及び原告政治団体の代表かつ名簿登載者である原告Aが、原告政治団体の得票数は、無効投票として扱われた「なし」票などを有効投票とすれば、本件比例代表選挙において当選した政党のD議員の当選の基礎となった票数を上回るとして、D議員の当選を無効とすることを求めた事案において、なし票については、原告政治団体の有効投票と認めることができないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2016.12.27
地方自治法251条の7第1項の規定に基づく不作為の違法確認請求事件 
LEX/DB25448341/最高裁判所第二小法廷 平成28年12月20日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第394号
日本国とアメリカ合衆国との間で返還の合意がされた沖縄県宜野湾市所在の普天間飛行場の代替施設を同県名護市辺野古沿岸域に建設するための公有水面の埋立事業につき、沖縄防衛局が、前知事から公有水面の埋立承認を受けていたところ、被告(上告人。県知事)が本件埋立承認は違法であるとしてこれを取り消したため、原告(被上告人。国土交通大臣)が、沖縄県に対し、本件埋立承認取消しは違法であるとして、地方自治法245条の7第1項に基づき、本件埋立承認取消しの取消しを求める是正の指示をしたものの、被告が、本件埋立承認取消しを取り消さず、法定の期間内に地方自治法251条の5第1項に定める是正の指示の取消しを求める訴えの提起もしないことから、地方自治法251条の7第1項に基づき、被告が上記指示に従って本件埋立承認取消しを取り消さないことが違法であることの確認を求め、原審は、被告が、適法な指示に従わず、本件埋立承認取消しを取り消さないのは違法であるとし、原告の請求を認容したため、被告が上告した事案において、被告が上記指示に係る措置として本件埋立承認取消しを取り消さないことは違法であるとし、原告の請求を認容した原審の判断は、結論において是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2016.12.20
各航空機運航差止等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.2月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448308/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月 8日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第512号 等
神奈川県内に所在し、海上自衛隊及び米海軍が使用する施設である厚木海軍飛行場の発する騒音により精神的及び身体的被害を受けていると主張して、上告人(1審被告)に対し、行政事件訴訟法に基づき、主位的には厚木基地における一定の態様による自衛隊機及び米軍機の運航の差止めを、予備的にはこれらの運航による一定の騒音を被上告人(1審原告)らの居住地に到達させないこと等を求めた事案の上告審において、1審原告らの自衛隊機に関する主位的請求(運航差止請求)は,理由がないから棄却を免れないところ,これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、1審原告らの主位的請求の認容部分は破棄し、1審原告らの自衛隊機に関する予備的請求に係る訴えは、いずれも主位的請求に係る訴えと実質的に同内容のものを当事者訴訟の形式に引き直して予備的に併合提起したものにすぎず、このような訴えを許容することは相当でないから、予備的請求に係る訴えのうち、原判決における主位的請求の認容部分と予備的併合の関係にある部分は、いずれも不適法として却下し、1審原告らのその余の請求に関する上告については、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却した事例。
2016.09.27
運賃変更命令等差止請求事件(格安タクシー規制 青森のタクシー会社 勝訴) 
LEX/DB25543399/青森地方裁判所 平成28年 7月29日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第6号
原告(タクシー事業者)が、東北運輸局長から、〔1〕本件届出運賃が本件公定幅運賃の範囲内にないことを理由として、〔ア〕特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法17条の3第1項所定の輸送施設の使用停止処分及び〔イ〕同法16条の4第3項所定の運賃変更命令を受けるおそれがあり、〔2〕さらに、同命令に違反したことを理由として、〔ア〕使用停止処分及び〔イ〕同法17条の3第1項所定のタクシー事業許可取消処分を受けるおそれがあるなどと主張して、行政事件訴訟法37条の4第1項の規定により、被告(国)に対し、本件各処分の差止めを求めた事案において、運賃変更命令の差止めを求める原告の請求を認容し、本件訴えのうちその余の請求に関する部分は、却下した事例。
2016.08.23
地位確認等請求控訴事件(参院選差し止め訴えは不適法)
LEX/DB25543116/東京高等裁判所 平成28年 6月 2日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第21号
参議院議員通常選挙の選挙人となることが予定されている原告ら(控訴人)が、参議院選挙区選出議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める公職選挙法の定めは、憲法の定める代議制民主制等に違反しているなどとして、原告らが人口に比例して配分された法律に基づいて投票をすることができる地位にあることの確認等を求めたところ、訴えが却下されたため、控訴した事案において、国会が具体的な選挙制度を決定する前に、裁判所が「平等に配分された状態」を示す具体的な選挙制度の内容等を定め、有権者がそれに基づく選挙権の行使をする権利を有することの確認をするようなことは、三権分立の趣旨に反するとし、控訴を棄却し、追加請求に係る訴えを却下した事例。
2016.08.09
請負代金等請求本訴事件(本訴事件)、違約金請求反訴事件(反訴事件)
(F15戦闘機契約解除を巡り 違約金支払い命令) 
LEX/DB25543078/東京地方裁判所 平成28年 3月18日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第24885号 等
原告(T社)が、被告(国)に対し、F-15戦闘機を母体とする偵察機を用いた偵察システムを構成する装置等を調達することを内容とする請負契約に基づきDBRP(光学・赤外線偵察ポッド)を製造して被告に納入する義務が被告の帰責事由により履行不能になったと主張して、危険負担の債権者主義に基づき、DBRPの代金の支払を求めた(本訴請求)事案と、被告が、原告に対し、上記偵察システム等契約は、原告が同意内容どおりのDBRPを製造しなかったため、原告の帰責事由によりその全部が履行不能により解除されたと主張して、違約金の支払を求めた(反訴請求)事案において、DBRPを被告に納入する義務が履行不能になったことにつき、原告に帰責事由があり、当該債務不履行を理由に、上記偵察システム等契約は解除されたとして、本訴請求を棄却し、反訴請求を認容した事例。
2016.07.26
鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求事件
LEX/DB25448064/最高裁判所第二小法廷 平成28年 7月15日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第533号
鳴門競艇従事員共済会から鳴門競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、鳴門市が平成22年7月に共済会に対して補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為であるなどとして、市の住民である上告人らが、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、被上告人市長を相手に、当時の市長の職にあった者に対する損害賠償請求をすることを求めるとともに、被上告人市公営企業管理者企業局長を相手に、当時の市の企業局長及び企業局次長の各職にあった者らに対する損害賠償請求、当時の市企業局競艇企画管理課長の職にあった者に対する賠償命令並びに共済会に対する不当利得返還請求をすることを、それぞれ求めた住民訴訟で、原判決は、離職せん別金が退職金としての性格を有し、本件補助金の交付が実質的に臨時従事員に対する退職金支給としての性格を有していることは否定できないが、臨時従事員の就労の実態が常勤職員に準じる継続的なものであり、退職手当を受領するだけの実質が存在すること等からすれば、本件補助金の交付が給与法定主義の趣旨に反し、これを潜脱するものとはいえず、本件補助金の交付に地方自治法232条の2の定める公益上の必要性があるとの判断が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものであるとは認められないから、本件補助金の交付が違法であるということはできないとし、上告人らの請求を棄却したため、上告人らが上告した事案において、職権による検討で、原判決のうち請求を棄却すべきものとした部分には明らかな法令の違反があるとし、当該部分につき、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、上記請求に係る訴えを却下し、A、B、C及びDの各損害賠償責任の有無並びに共済会の不当利得返還債務の有無につき更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2016.07.26
鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求事件
LEX/DB25448065/最高裁判所第二小法廷 平成28年 7月15日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第472号
鳴門競艇従事員共済会から鳴門競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、鳴門市が平成23年11月から同24年6月にかけて共済会に対して補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為であるなどとして、市の住民である上告人らが、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、被上告人市長を相手に、当時の市長の職にあった者に対する損害賠償請求をすることを求めるとともに、被上告人市公営企業管理者企業局長を相手に、当時の市の企業局長の職にあった者に対する損害賠償請求及び共済会に対する不当利得返還請求をすることを、それぞれ求めた住民訴訟で、原審は、「鳴門市モーターボート競走事業に従事する臨時従事員の給与の種類及び基準に関する条例」の制定経過も踏まえた上で、同条例附則2項及び改正条例附則2項の定めを解釈すれば、平成25年3月26日までに支払われた臨時従事員の退職手当について、鳴門市モーターボート競走事業に従事する臨時従事員の給与の種類及び基準に関する条例12条が遡及的に適用されることは明らかであり、離職せん別金は、市から臨時従事員に直接支払われるものではないが、上記条例の立法趣旨が離職せん別金の支給につき条例上の根拠を明確にする点にあることは、上記条例の制定経過からみて明らかであり、本件補助金を介して支払われた実質的な退職手当としての性格を有する離職せん別金についても、同条は適用され、また、上記条例は、地方公営企業法38条4項にいう「給与の種類及び基準」を定めたものということができるとして、本件補助金を介して支払われた離職せん別金には遡って同項にいう条例の定めがあったことになり、本件補助金の交付は適法であるとし、上告人らの請求(Aによる予算の調製を違法な財務会計上の行為として同人に対し損害賠償請求をすることを求めた請求を除く。)をいずれも棄却したため、上告人らが上告した事案において、原審の判断には明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人らの請求を棄却した部分は破棄し、A及びEの各損害賠償責任の有無並びに共済会の不当利得返還債務の有無につき審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2016.07.05
不当利得返還等請求行為請求事件 
LEX/DB25448026/最高裁判所第三小法廷 平成28年 6月28日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第562号
京都府内に主たる事務所を有する特定非営利活動法人である被上告人が、平成14年度から同18年度までの間に、府が京都府議会の4会派に対し、会派運営費として補助金を交付したことは違法であるから、上記各会派は府に対して上記補助金に相当する金員を不当利得として返還すべきであるのに、上告人はその返還請求を違法に怠っているなどとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、上告人に対し、上記各会派に対して上記不当利得の返還請求をすべきこと等を求めたところ、原審は、被上告人の請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、会派運営費について、地方自治法100条旧12項の「調査研究に資するため必要な経費」以外の経費を対象とするものであるか否か、また、仮にそのように認められる場合に地方自治法232条の2に定める「公益上必要がある場合」の要件を満たすものであるか否かについて判断することなく、会派に対する補助金の交付であることをもって直ちにこれを同法100条旧12項及び232条の2に反し違法であるとした原審の判断には法令の違反があるとし、原判決のうち上告人敗訴部分を破棄し、同部分につき原審に差し戻した事例。
2016.07.05
不当利得返還等を求める住民訴訟事件 
LEX/DB25448022/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月27日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第321号
大洲市が大洲市土地開発公社との間で土地の売買契約を締結し、これに基づき市長が売買代金の支出命令をしたところ、市の住民である被上告人(1審原告)らが、上記売買契約の締結及び上記支出命令が違法であるなどとして、市の執行機関である上告人(1審被告。大洲市長)を相手に、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、上記売買契約の締結及び上記支出命令をした当時の前市長の相続人らに対して不法行為に基づく損害賠償の請求をすること等を求めた住民訴訟で、原判決が、売買契約のうち隣接地に係る部分に財務会計法規上の違法はないとする一方で、同契約のうち土地に係る部分につき、前市長の相続人らに対する損害賠償の請求を求めた被上告人らの請求を一部認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、上記公社との間で本件売買契約を締結した前市長の判断は、その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法ではなく、前市長は、市に対して損害賠償責任を負わないとし、これと異なる原判決は法令の違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、同部分に関する被上告人らの請求はいずれも理由がなく、同部分につき第1審判決を取消し、同請求をいずれも棄却した事例。
2016.06.28
県営路木ダム事業に係る公金支出差止等請求控訴、同附帯控訴事件 
「新・判例解説Watch」H28.8下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542900/福岡高等裁判所 平成28年 4月25日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第17号 等
熊本県の住民である原告(被控訴人)らが、治水及び利水の必要を欠くなど路木川河川総合開発事業路木ダム建設事業は違法であり、同事業に係る契約の締結又は債務その他の義務の負担行為並びに公金の支出も違法であると主張して、熊本県の執行機関である被告(控訴人)に対し、〔1〕地方自治法242条の2第1項1号に基づき上記支出等の差止めを求めるとともに、〔2〕同法242条の2第1項4号本文に基づき、熊本県知事は本件支出等をしてはならない財務会計法規上の義務を負っていたにもかかわらずこれを怠って上記事業を継続し、その結果、平成20年4月1日から同25年11月20日までの間に上記事業に係る事業費として計19億9037万0293円を支出させ、同額相当の損害を熊本県に被らせたとして県知事に対し損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟で、原判決は、上記差止請求のうち、原審の口頭弁論の終結日である平成25年11月20日までに終了した上記支出等の差止めを求める部分を不適法として却下し、判決確定時までに支払義務が生じた公金の支出を除く部分の差止めを認め、損害賠償請求を含むその余の請求をいずれも棄却したため、被告が上記差止請求の敗訴部分を不服として控訴し、他方、原告らが原判決中の敗訴部分のうち上記損害賠償請求に係る部分を不服として附帯控訴した事案において、原告らの請求のうち、当審の審判対象である判決確定後の事業支出に係る上記差止請求は訴えの利益を欠くから不適法であり却下を免れないとし、また、上記損害賠償請求は理由がないので棄却すべきであり、これと一部異なる原判決は失当であるとして、被告の本件控訴に基づき原判決中被告の敗訴部分を取り消し、他方、原告らの本件附帯控訴をいずれも棄却した事例。
2016.05.24
原爆症認定義務付等請求控訴事件
LEX/DB25542386/大阪高等裁判所 平成28年 2月25日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第102号
被爆者援護法1条所定の被爆者である亡P2(原審係属中の平成23年7月15日に死亡し、亡P2の妻である被控訴人P3並びに亡P2と被控訴人P3との間の子である被控訴人P18(長女)及び被控訴人P19(長男)が亡P2の有する一切の権利義務を共同相続し、亡P2の訴訟手続を受継)が、平成20年3月6日に被爆者援護法11条1項の規定による認定の申請(本件P2申請)をしたところ、厚生労働大臣が平成22年8月26日付けで本件P2申請を却下する旨の処分をしたことから,亡P2が控訴人(国)に対し、本件P2却下処分の違法を主張して、本件P2却下処分の取消し及び本件P2申請に係る原爆症認定の義務付けを求めるとともに、本件P2却下処分が国家賠償法上違法であり、これにより亡P2が精神的苦痛を受けた旨主張して、300万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、被控訴人らの請求のうち、本件P2却下処分の取消請求及び本件P2申請に係る原爆症認定義務付け請求を認容し、その余の請求を棄却したため、控訴人が自己の敗訴部分を不服として控訴した事案(原審では、亡P1訴訟承継人原審第2事件原告P4の控訴人に対する第2事件に係る訴えが第1事件と併合審理され、原判決で第2事件についても判断が示されたが、亡P1訴訟承継人原審第2事件原告P4及び控訴人がいずれも控訴ないし附帯控訴しなかったため、原判決中、第2事件に関する部分は確定)において、被控訴人の訴えのうち、本件P2申請に係る原爆症認定の義務付けを求める部分は不適法であり、本件P2却下処分取消請求は理由がないところ、これと結論を異にする原判決主文第2項及び第3項は失当であるとし、原判決主文第2項及び第3項を取消して、被控訴人らの訴えのうち、本件P2申請に係る原爆症認定の義務付けを求める部分を却下し、被控訴人らのその余の請求を棄却した事例。
2016.05.17
損害賠償請求控訴事件(緑のオーナー訴訟 控訴審) 
「新・判例解説Watch」H28.6上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542349/大阪高等裁判所 平成28年 2月29日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第3086号
国有林野に成育している樹木の共有持分を国以外の者に譲渡し、その費用負担者から持分の対価及び当該樹木について国が行う保育及び管理(育林)に要する費用の一部の支払を受け、育林による収益を国と費用負担者が分収するという分収育林制度(緑のオーナー制度)に関し、被告と分収育林契約を締結した費用負担者又はその承継人である原告らが、被告に対し、被告の担当者の違法な勧誘によって分収育林契約を締結し、払込額に相当する損害を被ったとして、主位的に国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権に基づき、予備的に不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求権に基づき、各「損害額元本」及び「弁護士費用」の賠償並びに損害額元本に対する「確定遅延損害金」及び遅延損害金の支払を求め、原審が、原告らの請求を一部認容・一部棄却、原告らの請求を全部棄却したため、原告ら及び被告の双方が控訴をした事案において、原判決は、一部異なる限度で相当ではないとし、(1)「認容額一覧表1」及び「認容額一覧表2」の各「原告氏名」欄記載の原告らの控訴に基づき、原判決主文1、2項中同原告らに関する部分を変更し、(2)被告の控訴に基づき、一部原告らに関する被告敗訴部分を取消し、同原告らの請求を棄却し、(3)被告の控訴に基づき、原告亡P4訴訟承継人P5(原告番号54)に関する部分を変更し、(4)その余の原告らの控訴及び被告のその余の控訴を棄却した事例。
2016.03.22
個人情報一部不開示決定処分取消等請求事件 
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LEX/DB25447829/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月10日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第221号
被上告人が、京都府個人情報保護条例に基づき、実施機関である京都府警察本部長(処分行政庁)に対し、被上告人の子が建物から転落して死亡した件について京都府警察田辺警察署において作成又は取得した書類等一式に記録されている自己の個人情報の開示請求をしたところ、処分行政庁から、その一部を開示する旨の決定を受けたため、上告人を相手に、当該処分のうち各不開示部分の取消しを求めるとともに、当該各不開示部分に係る個人情報の開示決定の義務付けを求めた事案の上告審において、本件取消しの訴えが出訴期間を経過した後に提起されたことにつき行政事件訴訟法14条1項ただし書の「正当な理由」があるということはできないとし、原判決を破棄し、本件取消しの訴え及び本件義務付けの訴えはいずれも不適法であって、これらを却下した第1審判決は正当であるから、被上告人の控訴を棄却した事例。