注目の判例

行政法

2020.12.08
出席停止処分取消等請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年2月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和3年2月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571168/最高裁判所大法廷 令和 2年11月25日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第417号
岩沼市議会の議員であった被上告人が、市議会から科された23日間の出席停止の懲罰(本件処分)が違憲、違法であるとして、上告人を相手に、その取消しを求めるとともに、議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例(平成20年岩沼市条例第23号)に基づき、議員報酬のうち本件処分による減額分の支払を求め、原審は、普通地方公共団体の議会の議員に対する地方自治法135条1項3号所定の出席停止の懲罰の適否は、議員報酬の減額を伴う場合には司法審査の対象となり、本件処分の取消し及び議員報酬の支払を求める訴えは適法であるとして、これを不適法とした第1審判決を取消し、本件を第1審に差し戻したため、上告人が上告した事案において、市議会の議員である被上告人に対する出席停止の懲罰である本件処分の適否は司法審査の対象となるから、本件訴えのうち、本件処分の取消しを求める部分は適法であり、議員報酬の支払を求める部分も適法であるとし、本件訴えが適法であるとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2020.07.28
求償権行使懈怠違法確認等請求及び共同訴訟参加事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和2年10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570951/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 7月14日 判決 (差戻上告審)/平成31年(行ヒ)第40号
県教育委員会(県教委)の職員らは、教員採用試験において受験者の得点を操作するなどの不正を行い、県は、これにより不合格となった受験者らに対して損害賠償金を支払ったことにつき、県の住民である上告人(一審原告)らが、被上告人(一審被告・県知事)を相手に、地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求として、本件不正に関与した当時の教育審議監であったAらに対する求償権に基づく金員の支払を請求すること等を求めた住民訴訟の差戻上告審において、Aは、F及びEと共同して故意に本件不正を行ったというのであり、これにより平成19年度試験において本来合格していたにもかかわらず不合格とされた受験者に損害を加えたものであるから、県に対し、連帯して求償債務を負うこととなり、県は、Aに対し、2877万8376円の求償権を有していたこととなるから、同金額からAによる弁済額を控除した2682万4743円の支払を求めることができるとし、原判決中、上告人らの上記請求に関する部分につき、増額した内容で変更した事例(補足意見がある)。
2020.07.07
不指定取消請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和2年9月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570926/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 6月30日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第68号
平成31年法律第2号(本件改正法)による地方税法の一部改正により、いわゆるふるさと納税として個人の道府県民税及び市町村民税に係る特例控除の対象となる寄附金について、所定の基準に適合する都道府県、市町村又は特別区として総務大臣が指定するものに対するものに限られるという制度(本件指定制度)が導入され、被上告人(国)が上記の指定の申出をした泉佐野市に対して当該指定をしない旨の決定(本件不指定)をしたことについて、上告人(泉佐野市長)が、本件不指定は違法な国の関与に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、被上告人を相手に、本件不指定の取消しを求め、原審は、泉佐野市は平成31年総務省告示第179号(本件告示)2条3号に定める基準を満たさず指定の要件を欠くとし、本件不指定は適法であるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件告示2条3号の規定のうち、本件改正規定の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分は、地方税法37条の2第2項及び314条の7第2項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であるとし、原判決を破棄し、上告人の請求を認容した事例(補足意見あり)。
2020.07.07
国民健康保険税処分取消請求事件
LEX/DB25570920/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 6月26日 判決 (上告審)/令和1年(行ヒ)第252号
加須市長が、国民健康保険税及びその延滞金の滞納処分として、上告人の預金払戻請求権を差し押さえ(本件差押処分)、取り立てた金銭を上記国民健康保険税等に係る債権に配当する旨の処分(本件配当処分)をしたことについて、上告人が、上記債権は時効消滅していたなどと主張して、被上告人を相手に、本件配当処分の一部(上告人が延滞金として納付義務を認めている額を超える部分)等の取消しを求めるとともに、当該部分に相当する額の金員の支払を求めた上告審において、被相続人に対して既に納付又は納入の告知がされた地方団体の徴収金につき、納期限等を定めてその納付等を求める旨の相続人に対する通知は、これに係る地方税の徴収権について、地方税法18条の2第1項1号に基づく消滅時効の中断の効力を有しないとし、上告人による配当処分の取消請求を棄却し、金員の支払請求に係る訴えを却下した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中、配当処分の取消請求及び金員の支払請求に関する部分を破棄し、被上告人の控訴を棄却し、上記部分の上告人の各請求については認容し、上告人のその余の請求に関する上告を棄却した事例。
2020.06.23
殺人未遂被告事件
LEX/DB25565685/横浜地方裁判所 令和 2年 3月12日 判決 (第一審)/令和1年(わ)第632号
被告人は、寿司店に勤務していたが、同僚のVと折り合いが悪く、同店厨房内において、V(当時21歳)から苦情を言われて顔面を殴打されたことに立腹し、Vに対し、その左上腕部を柳刃包丁(刃体の長さ約27cm)で1回突き刺して貫通させるなどし、Vに全治不明の左上腕橈骨神経損傷を伴う左上腕背側部貫通創、全治約1か月間を要する左側胸腹部刺創等の傷害を負わせ、懲役9年の求刑がされた事案で、被告人に殺意を認めるには合理的な疑いが残るといわざるを得ず、傷害罪が成立する限度で認定したうえで、傷害罪1件の事案の中で、態様は悪く、結果は重大であって、被害者に後遺症が残っていることを踏まえると、犯行に至る経緯、動機に酌むべき事情があることを考慮しても、なお重いというべきであり、被告人について刑の執行を猶予するのが相当な事案であるとは認められないとして、懲役3年に処した事例(裁判員裁判)。
2020.04.07
地方自治法251条の5に基づく違法な国の関与(裁決)の取消請求事件
LEX/DB25570827/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 3月26日 判決 (上告審)/令和1年(行ヒ)第367号
沖縄防衛局は、沖縄県宜野湾市所在の普天間飛行場の代替施設を同県名護市辺野古沿岸域に設置するための公有水面の埋立てにつき同県知事から公有水面埋立法42条1項の承認(本件埋立承認)を受けていたが、事後に判明した事情等を理由として本件埋立承認が取り消されたことから、これを不服として被上告人に対し行政不服審査法に基づく審査請求をしたところ、被上告人は、本件埋立承認取消しを取り消す旨の裁決をしたことで、上告人が、本件裁決は違法な「国の関与」に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、被上告人を相手に、本件裁決の取消しを求めた上告審において、本件本件埋立承認取消しについて、これと別異に解すべき理由は見当たらず、本件埋立承認取消しにつき、国の機関である沖縄防衛局がその「固有の資格」において相手方となったものということはできないとし、本件埋立承認取消しは沖縄防衛局が行政不服審査法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となった処分とはいえないとした原審の判断は、是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2020.03.03
原爆症認定申請却下処分取消等請求事件
LEX/DB25570733/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 2月25日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第215号
長崎市に投下された原子爆弾の被爆者である被上告人(原告・控訴人)が、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく認定(原爆症認定)の申請をしたところ、厚生労働大臣からこれを却下する旨の処分(本件処分)を受けたため、上告人(被告・被控訴人)国を相手に、その取消し等を求め、被上告人が申請疾病である慢性甲状腺炎に対して投薬治療等を伴わない経過観察を受けていることをもって要医療性が認められるか否かが争点となった事案の上告審で、本件処分に係る申請において申請疾病とされた被上告人の慢性甲状腺炎につき、要医療性が認められるとはいえないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中、被上告人に関する部分を破棄し、被上告人による本件処分の取消請求を棄却した第1審判決は正当であり、上記の部分につき被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見がある)。
2020.03.03
原爆症認定申請却下処分取消等請求事件 
LEX/DB25570734/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 2月25日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第191号
広島市に投下された原子爆弾の被爆者である被上告人(第1審原告)が、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく認定(原爆症認定)の申請をしたところ、厚生労働大臣からこれを却下する旨の処分(本件処分)を受けたため、上告人(第1審被告)国を相手に、その取消し等を求め、被上告人が申請疾病である放射線白内障に対してカリーユニ点眼液の処方を伴う経過観察を受けていることをもって要医療性が認められるか否かが争点となった事案の上告審で、本件処分に係る申請において申請疾病とされた被上告人の放射線白内障につき、要医療性が認められるとはいえないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中上告人敗訴部分は破棄し、同部分につき第1審判決を取消し、同部分の被上告人の請求を棄却した事例。
2019.12.17
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570514/神戸地方裁判所 令和 1年10月 8日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第1051号
兵庫県三木市内に住所を有する住民である原告らが、三木市長等倫理条例4条1項に基づき当時の被告市長Eに審査請求をしたところ、Eが、同条例4条2項に反して、直ちに審査請求書及び添付書類の写しを三木倫理審査会に提出してその審査を求めず、これらの書類を審査請求者代表者の原告Aに返却したことが、国家賠償法上違法であり、これにより原告らが精神的苦痛を被ったと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めた事案において、Eは、原告らに対し、直ちに本件各書類について市長等倫理条例に施行規則3条に基づく形式的審査を行い、形式的要件を満たしている場合には、直ちに本件各書類を倫理審査会に提出して、審査を請求すべき職務上の法的義務を負っていたがこれに違反したと示し、Eが本件各書類を受け付けず、本件返却を行った過程には看過しがたい過誤があったなどとして、原告らの請求をそれぞれ一部認容した事例。
2019.11.05
鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求事件
LEX/DB25570506/最高裁判所第一小法廷 令和 1年10月17日 判決 (差戻上告審)/平成29年(行ヒ)第423号
競艇従事員共済会から競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、市が平成22年7月に共済会に対して補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為であるなどとして、市の住民である被上告人(控訴人・原告)らが、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、上告人(被控訴人・被告)市長を相手に、当時の市長の職に在った者に対して損害賠償請求をすることを求めるとともに、上告人(被控訴人・被告)鳴門市公営企業管理者企業局長を相手に、当時の市の企業局長及び企業局次長の各職に在った者らに対して損害賠償請求をすること等を、それぞれ求めた住民訴訟で、原審は、上告人市長を相手に当時の市長であったBに対して損害賠償請求をすることを求めた請求並びに上告人管理者を相手に当時の企業局長であったC及び当時の企業局次長であったAに対して損害賠償請求をすることを求めた被上告人の各請求につき、いずれも認容したため、上告人らが上告した事案において、原判決中、上告人市長に対する請求に関する部分は破棄を免れず、当該部分に関する被上告人らの請求を棄却した第1審判決は正当であるから、当該部分につき、被上告人らの控訴を棄却し、また、原判決中、上告人管理者に対する請求に関する部分のうち、怠る事実に係る相手方に対するものとしてAに対して損害賠償請求をすることを求めた請求を認容した部分は破棄し、当該部分に関する被上告人らの請求を棄却した第1審判決は正当であるから、当該部分につき、被上告人らの控訴を棄却し、被上告人らが、上告人管理者を相手に当該職員に対するものとしてAに対して損害賠償請求をすることを求めた請求に係る訴えは不適法であるから、当該請求を棄却した第1審判決を取消し、上記訴えを却下し、これに対し、上告人管理者を相手にCに対して損害賠償請求をすることを求めた請求を認容した原審の判断は是認することができ、同上告人の上告を棄却し、その余の請求に関する上告は、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却した事例(補足意見がある)。
2019.08.06
使用料請求事件
LEX/DB25570359/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 7月18日 判決 (上告審)/平成30年(受)第533号 等
被上告人が、上告人ら及び選定者Aの本件排水により被上告人の本件水路に係る排他的管理権が侵害され、被上告人の定める基準により計算される使用料相当額の利得が上告人ら及び選定者Aに生ずるとともに同額の損失が被上告人に生じたと主張して、上告人らに対し、上告人ら及び選定者Aに対する不当利得返還請求権に基づき、当該使用料相当額及び遅延損害金の支払を求めた事案の上告審において、公水使用権は、公共用物である公水の上に存する権利であることに鑑み、その使用目的を満たすために必要な限度の流水を使用し得る権利にすぎないと解され、当該使用目的を満たすために必要な限度を超えて他人による流水の使用を排斥する権限を含むものではないとし、本件水路に被上告人が河川法23条の許可に基づいて取水した水が流れていることから、被上告人が第三者に対し本件水路への排水を禁止することができるとし、上告人ら及び選定者Aの本件排水により本件水路の流水についての被上告人の排他的管理権が侵害されたとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、原審各判決中、上告人ら敗訴部分を破棄し、被上告人の上告人らに対する請求を棄却した第1審判決は相当であり、上記部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見あり)。
2019.07.30
土地明渡等請求本訴、所有権移転登記手続請求反訴事件
LEX/DB25570358/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 7月18日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1563号
本件本訴は、上告人が、本件土地を公園の敷地として占有する被上告人に対し、本件土地につき上告人が所有権を有することの確認並びに所有権に基づく本件土地の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求め、原審が、上告人の本訴請求のうち本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求に係る部分を棄却したため、上告人が上告した事案において、都市計画区域内にある公園について、湖南市地域ふれあい公園条例に基づく公告がされたことをもって、都市公園法2条の2に基づく公告がされたということはできないとし、都市公園法2条の2に基づく公告がされていない本件公園が同法に基づいて設置された都市公園に当たるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、上告人の本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求が権利濫用に当たるか否か等について、更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2019.07.02
障害基礎年金支給停止処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 10月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570262/大阪地方裁判所 平成31年 4月11日 判決 (第一審)/平成29年(行ウ)第220号
(1)原告ら8名が、いずれも、1型糖尿病にり患し、国民年金法30条2項による委任を受けた国民年金法施行令別表の定める障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあるとして障害基礎年金の裁定を受けてこれを受給していたが、厚生労働大臣から、国民年金法36条2項本文の規定に基づく障害基礎年金の支給停止処分を受けたため、本件各支給停止処分は、〔1〕行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠くとともに、〔2〕国民年金法36条2項本文所定の事由を欠くから、違法であると主張して、その取消しを求めた事案(第220号、第223号ないし229号事件)と、(2)原告Iが、原告ら8名と同様に、1型糖尿病にり患し、障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあるとして障害基礎年金の裁定を受けてこれを受給していたところ、厚生労働大臣から、支給停止処分を受け、その後、厚生労働大臣に対し、国民年金法施行規則35条1項本文に基づき、支給停止の解除の申請をしたが、支給停止を解除しない旨の処分を受けたため、本件不解除処分は、〔1〕行手法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠くとともに、〔2〕支給停止事由を欠くから,違法であると主張して、その取消し及び行政事件訴訟法3条6項2号に基づき支給停止を解除する処分をすべき旨を命ずること(同号所定の義務付け)を求めた事案(第230号事件)で、(1)原告ら8名の請求は、障害基礎年金の支給を停止する旨の各処分をいずれも取り消し、請求を認容し、(2)本件不解除処分の取消しを求めた原告Iの請求は、障害基礎年金の支給停止を解除しない旨の処分を取消し、請求を認容した事例。
2019.03.12
河川占用許可等取消請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 5月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25561534/広島地方裁判所 平成30年 9月19日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第14号 等
国土交通省の中国地方整備局長がK社に対してした、〔1〕平成26年12月12日付けの、広島市の河岸(本件土地)における船上食事施設(本件施設)の設置に係る河川法24条に基づく土地の占用許可処分(旧占用許可処分)及び河川法26条1項に基づく工作物の新築許可処分の取消しを、〔2〕平成29年3月31日付けの、〔1〕と同様の土地占用許可処分(新占用許可処分)の取消しを、被告(国)に対し、それぞれ求めた事案において、原告Z1、同Z2、同Z3、同Z4、同Z5、同Z6、同Z7、同Z8、同Z9、同Z10、同Z11、同Z12及び同Z13の訴え並びに原告Z14、同Z15、同Z16、同Z17、同Z18及び同Z19の訴えのうち本件旧占用許可処分及び本件新築許可処分の取消しを求める部分については、不適法であるのでいずれも却下し、原告Z14、同Z15、同Z16、同Z17、同Z18及び同Z19の訴えのうち本件新占用許可処分の取消請求については、棄却した事例。
2019.02.26
損害賠償請求事件 
LEX/DB25570025/最高裁判所第一小法廷 平成31年 2月14日 判決 (上告審)/平成30年(受)第69号
上告人(被控訴人・被告。名張市)の市議会議員である被上告人(控訴人・原告)が、上告人に対し、名張市議会運営委員会が被上告人に対する厳重注意処分の決定(本件措置)をし、市議会議長がこれを公表したことにより、被上告人の名誉が毀損されたとして、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求め、原審は、第1審判決を取消し、被上告人の請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、本件措置は議会の内部規律の問題にとどまるものであるから、その適否については議会の自律的な判断を尊重すべきであり、本件措置等が違法な公権力の行使に当たるものということはできないとし、本件措置等が国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできず、上告人は、被上告人に対し、国家賠償責任を負わないというべきであるとして、上告人の国家賠償責任を肯定した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、これと同旨の第1審判決は結論において是認することができるから、被上告人の控訴を棄却した事例。
2019.02.19
旧庁舎解体等公金支出等差止請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野・環境法分野 5月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449920/盛岡地方裁判所 平成31年 1月17日 判決 (第一審)/平成30年(行ウ)第8号
岩手県上閉伊郡大槌町の住民である原告らが、大槌町旧役場庁舎(一部)の解体工事に関して、同解体工事に係る請負契約に地方財政法8条の趣旨に反して無効事由等があるから、又は、解体工事に係る公金の支出の決定過程に地方自治法218条に反する事由があるから、大槌町長である被告において上記公金を支出することは違法であると主張して、被告に対し、地方自治法242条の2第1項1号に基づき、上記解体工事の執行の差止めと上記公金の支出の差止めをそれぞれ求めた住民訴訟の事案において、本件解体工事は、本件請負契約に基づいて工事業者が行う物理的破壊行為、すなわち、財務会計行為に係る相手方が行う事実行為にすぎないから、地方自治法242条の2第1項1号が対象とする行為ではないとして、原告らの訴えのうち、大槌町旧役場庁舎の解体工事の執行の差止めを求める部分をいずれも棄却し、原告らのその余の請求をいずれも棄却した事例。
2019.01.29
建築確認取消請求事件
LEX/DB25561910/東京地方裁判所 平成30年12月21日 判決 (第一審)/平成30年(行ウ)第75号
建築基準法77条の21第1項の指定確認検査機関である被告は,有限会社T社(本件会社)に対し、〔1〕平成28年8月10日付けで,新築しようとする本件建築計画について、同法6条の2第1項に基づく確認の処分(建築確認処分)をし、〔2〕平成29年2月20日付けで、本件建築計画について、同項に基づく確認の処分(本件変更処分)をした。本件は、本件建物の近隣の住戸に居住し、又はこれを所有若しくは共有する原告らが、本件建物の敷地となるべき本件土地が建築基準法43条及び東京都建築安全条例10条の3が規定する敷地等と道路との関係を満たしておらず、上記の法令の規定に違反しているから、本件変更処分は違法にされたものであるなどとして、本件変更処分の取消しを求めた事案で、本件変更処分は、本件建築計画が建築基準関係規定である建築基準法43条の規定する要件を満たさない建築物の計画であることを看過してされた違法な処分であって、同法6条の2第1項の要件を満たさないから、その余の点について判断するまでもなく、取消しを免れないと判示し、原告らの請求を認容した事例。
2019.01.22
建築変更確認取消裁決取消請求控訴事件
LEX/DB25561882/東京高等裁判所 平成30年12月19日 判決 (控訴審)/平成30年(行コ)第199号
控訴人(原告)らが建築主となって建築する共同住宅(本件マンション)の建築計画について、指定確認検査機関である株式会社都市居住評価センター(原処分庁)が建築基準法6条1項前段に定める建築確認処分(原処分)をし、その後、同項後段に定める建築計画変更確認処分(本件処分)をし、被控訴人参加人を含む本件マンションの周辺住民(審査請求人ら)が本件処分の取消しを求めて審査請求をしたところ(26建審・請第1号審査請求事件)、東京都建築審査会(裁決行政庁)が、本件マンションの建築計画には条例違反の違法があるなどとして本件処分を取り消す旨の裁決(本件裁決)をしたことにより、控訴人らが本件裁決は違法であると主張して、被控訴人(被告。東京都)に対し、本件裁決の取消しを求め、原審が、控訴人らの請求を棄却したため、控訴人らが控訴した事案で、控訴人らの請求は理由がないから棄却するのが相当であると判断し、本件控訴を棄却した事例。
2019.01.08
生活保護変更決定取消等請求事件 
LEX/DB25449866/最高裁判所第三小法廷 平成30年12月18日 判決 (上告審)/平成29年(行ヒ)第292号
生活保護法に基づく保護を受けていた被上告人が、同一世帯の構成員である長男の勤労収入について同法61条所定の届出をせずに不正に保護を受けたことを理由として、門真市長から権限の委任を受けた門真市福祉事務所長から、同法78条に基づき、勤労収入に係る額(源泉徴収に係る所得税の額を控除した後のもの)等を徴収する旨の費用徴収額決定を受けるなどしたため、上告人を相手に、その取消し等を求めた上告審の事案において、被上告人は、同一世帯の構成員である長男の勤労収入についての適正な届出をせずに不正に保護を受けたのであるから、門真市福祉事務所長が、本件徴収額決定に係る徴収額の算定に当たり、本件基礎控除額に相当する額を控除しなかったことが違法であるということはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、他に本件徴収額決定のうち本件基礎控除額に相当する額を徴収する部分を違法とすべき事情は見当たらず、同部分は適法というべきであるから、同部分に係る取消請求は棄却し、これと異なる原判決主文第1項を変更した事例。
2018.11.27
神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
LEX/DB25449809/最高裁判所第二小法廷 平成30年11月16日 判決 (上告審)/平成29年(行ヒ)第404号
神奈川県の住民である被上告人(被控訴人・原告)が、県議会の会派であるB(本件会派)が平成23年度から同25年度まで(本件各年度)に交付を受けた政務調査費及び政務活動費に関し、収支報告書に支出として記載されたものの一部は実際には支出されていないから、本件会派はこれを不当利得として県に返還すべきであるにもかかわらず、上告人はその返還請求を違法に怠っているとして、地方自治法242条の2第1項3号に基づき、上告人(控訴人・被告。県知事)を相手として、上告人が本件会派に対する不当利得返還請求権の行使を怠ることが違法であることの確認を求めた住民訴訟で、被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案で、神奈川県議会政務活動費の交付等に関する条例に基づいて交付された政務活動費等について、その収支報告書上の支出の一部が実際には存在しないものであっても、当該年度において、収支報告書上の支出の総額から実際には存在しないもの及び使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務活動費等の交付額を下回ることとならない場合には、当該政務活動費等の交付を受けた会派又は議員は、県に対する不当利得返還義務を負わないものとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、被上告人の請求を棄却した事例。