注目の判例

行政法

2021.12.28
不当利得返還請求事件
LEX/DB25571864/最高裁判所第三小法廷 令和 3年12月21日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第335号
岡山市の住民である被上告人(原告・控訴人兼附帯被控訴人)が、市議会の複数の会派が平成27年度に交付を受けた政務活動費に関し、岡山市議会の各会派に対する政務活動費の交付に関する条例の定めに適合しない違法な支出がされているから、各会派はこれを不当利得として市に返還すべきであるにもかかわらず、上告人(被告・被控訴人兼附帯控訴人。岡山市長)はその返還の請求を違法に怠っているとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、上告人を相手に、各会派に対して不当利得返還を求めた住民訴訟で、原審は、印刷代の全額及び講座費用のうち一部が使途基準に適合しないとした上で、被上告人のネクスト岡山に係る請求を全部認容し、市民ネットに係る請求のうち平成27年5月以降分の政務活動費に係るものを一部認容したため、上告人が上告した事案で、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、被上告人のネクスト岡山に係る請求について認容額を一部変更し、また、市民ネットに係る請求に関する部分については、不当利得返還義務の存否等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すことを命じた。他方、本件上告のうち自由民主党岡山市議団に係る請求に関する部分については、上告受理申立てを棄却し、その余の本件上告については却下した事例(補足意見がある)。
2021.11.24
「黒い雨」被爆者健康手帳交付請求等控訴事件
LEX/DB25590503/広島高等裁判所 令和 3年 7月14日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第10号
本件申請者らが、昭和20年8月6日に広島市に原子爆弾が投下された後に発生した雨(黒い雨)に遭ったことをもって、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律1条3号の「原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」に当たると主張して、広島市長又は広島県知事に対し、同法2条1項に基づく被爆者健康手帳の各交付申請をし、また、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行令附則2条、別表第3が黒い雨降雨域全体を第一種健康診断特例区域に指定していないのは、被爆者援護法附則17条の委任の趣旨を逸脱・濫用するものであり、広島原爆が投下された際黒い雨降雨域に所在した本件申請者らについては、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行規則附則2条2項に基づく第一種健康診断受診者証の各交付申請が認められてしかるべきであると主張して、広島市長又は広島県知事に対し、上記各交付申請をしたところ、広島市長及び広島県知事が被爆者健康手帳及び第一種健康診断受診者証の各交付申請をいずれも却下したことから、控訴人・広島市らに対し、主位的に、被爆者健康手帳交付申請の各却下処分の取消しと被爆者健康手帳交付の義務付けを求め、予備的に、第一種健康診断受診者証交付申請の各却下処分の取消しと第一種健康診断受診者証交付の義務付けを求め、原審が、本件申請者らの被爆者健康手帳交付申請の各却下処分の取消し及び被爆者健康手帳交付の義務付けの各主位的請求をいずれも認容したところ、控訴人ら及び参加行政庁が控訴した事案で、被控訴人らの各主位的請求はいずれも理由があるところ、これと同旨の原判決は、本件申請者らが原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律1条3号の「原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」に該当するとの判断の根拠として402号通達を用いるなどした点で失当であるが、結論において相当であるとして、本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2021.06.29
情報不開示決定取消等請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和3年9月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571573/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 6月15日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第102号
東京拘置所に未決拘禁者として収容されていた上告人(原告・控訴人)が、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づき、東京矯正管区長に対し、収容中に上告人が受けた診療に関する診療録に記録されている保有個人情報(本件情報)の開示を請求したところ、同法45条1項所定の保有個人情報に当たり、開示請求の対象から除外されているとして、その全部を開示しない旨の決定(本件決定)を受けたことから、被上告人(被告・被控訴人。国)を相手に、その取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料等の支払を求めたところ、原審は、本件情報については、本件決定は適法であるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が控訴した事案で、被収容者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は、行政機関個人情報保護法45条1項所定の保有個人情報に当たらないから、同法12条1項の規定による開示請求の対象となるとして、原判決を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差戻した事例(補足意見がある)。
2021.06.15
被災者生活再建支援金支給決定取消処分取消請求本訴,不当利得返還請求反訴,不当利得返還請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和3年8月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571555/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 6月 4日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第133号
本件本訴は、上告人(宮城県から被災者生活再建支援金の支給に関する事務の委託を受けた被災者生活再建支援法人)が、本件各支援金の支給決定(本件各支給決定)を支給要件の認定の誤りを理由に取り消す旨の決定(本件各取消決定)をしたことから、被上告人(上告人から支援金の支給を受けた者又はその相続人)らが,本件各支給決定を取り消すことは許されないと主張して、上告人を相手に、本件各取消決定の取消しを求め、本件反訴は、上告人が、本件各取消決定により被上告人らが本件各支援金を保持する法律上の原因を失ったと主張して、被上告人らに対し、本件各支援金相当額の不当利得返還を求めたところ、原審は、本件各世帯が大規模半壊世帯に該当するとは認められず、本件各支給決定には違法があるとしたものの、本件各取消決定は違法であるとして、その取消しを求めた本訴請求を認容するとともに、不当利得返還を求めた反訴請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、上告人は、本件各世帯が大規模半壊世帯に該当するとの認定に誤りがあることを理由として、本件各支給決定を取り消すことができると判示し、原判決中被上告人らに関する部分(原判決主文第1項)は破棄し、本件各取消決定は適法であるから、その取消しを求めた本訴請求は理由がなく、また、本件各支援金に係る不当利得返還を求める反訴請求は理由があるとして、本訴請求を棄却するとともに反訴請求を認容した第1審判決は正当であるから,被上告人らの控訴を棄却した事例。
2021.06.08
保有個人情報不開示決定処分取消請求控訴事件
LEX/DB25569195/大阪高等裁判所 令和 3年 4月 8日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第133号
大阪刑務所収容中の控訴人が、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律13条に基づき、処分行政庁に対し、控訴人の診療情報(本件情報)の開示を請求したところ、処分行政庁から、本件情報は同法45条1項により開示請求の規定の適用が除外されている情報に該当するとして、その全部を開示しない旨の決定(本件決定)を受けたことから、本件決定は同項の解釈を誤ったものであるなどと主張して、本件決定の取消しを求め、原判決は控訴人の請求を棄却したので、控訴人が、不服であるとして、控訴した事案において、刑事施設において保有する診療情報は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律12条1項による開示請求の対象となるから、刑事施設の被収容者(又は被収容者であった者)からその開示請求がされた場合、当該診療情報の全部又は一部に同法14条所定の不開示情報があるかを検討した上でその開示の可否が検討されなければならないとし、本件情報が開示請求の対象外であることを理由としてされた本件決定は、同法45条1項の解釈適用を誤った違法があり、これを適法として控訴人の請求を棄却した原判決を取消し、控訴人の請求を認容した事例。
2021.05.25
住民訴訟による違法確認請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和3年8月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571497/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 5月14日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第238号
徳島県の住民である被上告人(原告・控訴人)が、県知事Aが管弦楽団の演奏会への出席のために公用車を使用したことは違法であり、公用車の燃料費並びに同行した秘書及び運転手の人件費に相当する額につき、県はA知事に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有するにもかかわらず、上告人(被告・被控訴人)はその行使を違法に怠っていると主張して、上告人を相手に、当該怠る事実が違法であることの確認を求めた住民訴訟で、原判決が被上告人の請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、県を統轄して、これを代表し、また、その事務を管理し及びこれを執行する県知事であるA知事が、県の事務として開催された本件演奏会に出席したことは、公務に該当するものというべきであるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の請求を棄却した第1審判決は相当であるから、上記部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例。
2021.03.23
生活保護基準引下げ処分取消等請求事件(甲事件、乙事件)
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和3年5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25568796/大阪地方裁判所 令和 3年 2月22日 判決 (第一審)/平成26年(行ウ)第288号 等
大阪府内に居住して生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けている原告ら(ただし、原告X1、原告X2及び原告X3については、その夫が生活扶助の支給を受けている。)が、生活保護法の委任に基づいて厚生労働大臣が定めた「生活保護法による保護の基準」(保護基準)の数次の改定により、所轄の福祉事務所長らからそれぞれ生活扶助の支給額を減額する旨の保護変更決定(本件各決定)を受けたため、保護基準の上記改定は憲法25条、生活保護法8条等に違反する違憲、違法なものであるとして、〔1〕原告X1,原告X2及び原告X3を除く原告らにおいて、被告ら(ただし、被告国を除く。)を相手に、本件各決定の取消しを求めるとともに、〔2〕被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求めた事案で、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続に過誤、欠落があり、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるから、本件改定は、生活保護法3条、8条2項の規定に違反し、違法であるとして、原告らのうち原告X1、原告X2及び原告X3を除く者の本件各決定の取消請求については認容し、原告らのその余の請求(国家賠償請求)については棄却した事例。
2021.03.16
不当利得返還請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和3年5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571330/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 3月 2日 判決 (上告審)/令和2年(受)第763号
被上告人(原告・被控訴人。栃木県)が、上告人(被告・控訴人。国)から、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律にいう補助金を交付された後に、上告人から、補助金により取得した財産の処分価格に係る補助金相当額である金員の納付命令を受け、同額の金員を上告人に支払ったが、本件納付命令は無効であるから、上告人は、本件返納により法律上の原因なく金員を利得し、被上告人は同額の損失を被ったと主張して、上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、金員の返還及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、第1審は被上告人の請求を認容したため、上告人が控訴し、控訴審は第1審判決は相当であるとして本件控訴を棄却したため、上告人が上告した事案で、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律22条に基づくものとしてされた財産の処分の承認が同法7条3項による本件交付決定条件に基づいてされたものとして適法であるとし、控訴審判決を破棄し、被上告人の請求は理由がないから、第1審判決を取消し、同請求を棄却した事例(補足意見がある)。
2021.02.16
損害賠償請求事件
LEX/DB25568415/札幌地方裁判所 令和 2年11月27日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第1913号
北海道内の漁業者である原告らが、被告国及び被告北海道は漁業者への法的措置を講じず、漫然と漁業者の自主管理に委ねた結果、第3管理期間において上限を大幅に超過する漁獲を招き、もって第4管理期間以降のくろまぐろ漁が事実上できなくなったなどと主張して、被告国及び被告北海道に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告国及び被告北海道の公権力の行使につき、国家賠償法1条1項の適用上違法があるとの原告らの主張は、いずれも理由がないとして、請求をいずれも棄却した事例。
2021.02.02
裁決取消等請求事件
LEX/DB25571251/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 1月22日 判決 (上告審)/令和1年(行ヒ)第393号
被上告人が、上告人を相手に、いずれも知事を上告人の代表者として、(1)本件裁決は権限のない者がした違法なものであるとして、本件裁決の取消しを求め(請求1)、(2)本件知事不作為は違法であるなどとして、その違法の確認を求め(請求2)及び知事が本件審査請求を認容する裁決をすることの義務付けを求め(請求3)、(3)本件管理者不作為を理由として、国家賠償法1条1項に基づく慰謝料の支払を求め(請求4)、原審は、第1審判決を取消して本件を第1審に差し戻したため、上告人が上告した事案で、本件訴えのうち請求1及び請求4に係る部分は、被告の代表者を誤って提起された訴えが不適法であり、その不備はもはや補正することができないとし、また、本件訴えのうち請求2及び請求3に係る部分は、誤った行政庁に宛てて審査請求書を提出することによりされた審査請求に係る不作為の違法確認の訴え及び義務付けの訴えが不適法であり、その不備を補正することができないとし、これと異なる原審の判断には、明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、本件訴えを不適法として却下した第1審判決は是認できるとして、被上告人の控訴を棄却した事例。
2020.12.08
出席停止処分取消等請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年2月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和3年2月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571168/最高裁判所大法廷 令和 2年11月25日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第417号
岩沼市議会の議員であった被上告人が、市議会から科された23日間の出席停止の懲罰(本件処分)が違憲、違法であるとして、上告人を相手に、その取消しを求めるとともに、議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例(平成20年岩沼市条例第23号)に基づき、議員報酬のうち本件処分による減額分の支払を求め、原審は、普通地方公共団体の議会の議員に対する地方自治法135条1項3号所定の出席停止の懲罰の適否は、議員報酬の減額を伴う場合には司法審査の対象となり、本件処分の取消し及び議員報酬の支払を求める訴えは適法であるとして、これを不適法とした第1審判決を取消し、本件を第1審に差し戻したため、上告人が上告した事案において、市議会の議員である被上告人に対する出席停止の懲罰である本件処分の適否は司法審査の対象となるから、本件訴えのうち、本件処分の取消しを求める部分は適法であり、議員報酬の支払を求める部分も適法であるとし、本件訴えが適法であるとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2020.07.28
求償権行使懈怠違法確認等請求及び共同訴訟参加事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和2年10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570951/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 7月14日 判決 (差戻上告審)/平成31年(行ヒ)第40号
県教育委員会(県教委)の職員らは、教員採用試験において受験者の得点を操作するなどの不正を行い、県は、これにより不合格となった受験者らに対して損害賠償金を支払ったことにつき、県の住民である上告人(一審原告)らが、被上告人(一審被告・県知事)を相手に、地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求として、本件不正に関与した当時の教育審議監であったAらに対する求償権に基づく金員の支払を請求すること等を求めた住民訴訟の差戻上告審において、Aは、F及びEと共同して故意に本件不正を行ったというのであり、これにより平成19年度試験において本来合格していたにもかかわらず不合格とされた受験者に損害を加えたものであるから、県に対し、連帯して求償債務を負うこととなり、県は、Aに対し、2877万8376円の求償権を有していたこととなるから、同金額からAによる弁済額を控除した2682万4743円の支払を求めることができるとし、原判決中、上告人らの上記請求に関する部分につき、増額した内容で変更した事例(補足意見がある)。
2020.07.07
不指定取消請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和2年9月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570926/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 6月30日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第68号
平成31年法律第2号(本件改正法)による地方税法の一部改正により、いわゆるふるさと納税として個人の道府県民税及び市町村民税に係る特例控除の対象となる寄附金について、所定の基準に適合する都道府県、市町村又は特別区として総務大臣が指定するものに対するものに限られるという制度(本件指定制度)が導入され、被上告人(国)が上記の指定の申出をした泉佐野市に対して当該指定をしない旨の決定(本件不指定)をしたことについて、上告人(泉佐野市長)が、本件不指定は違法な国の関与に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、被上告人を相手に、本件不指定の取消しを求め、原審は、泉佐野市は平成31年総務省告示第179号(本件告示)2条3号に定める基準を満たさず指定の要件を欠くとし、本件不指定は適法であるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件告示2条3号の規定のうち、本件改正規定の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分は、地方税法37条の2第2項及び314条の7第2項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であるとし、原判決を破棄し、上告人の請求を認容した事例(補足意見あり)。
2020.07.07
国民健康保険税処分取消請求事件
LEX/DB25570920/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 6月26日 判決 (上告審)/令和1年(行ヒ)第252号
加須市長が、国民健康保険税及びその延滞金の滞納処分として、上告人の預金払戻請求権を差し押さえ(本件差押処分)、取り立てた金銭を上記国民健康保険税等に係る債権に配当する旨の処分(本件配当処分)をしたことについて、上告人が、上記債権は時効消滅していたなどと主張して、被上告人を相手に、本件配当処分の一部(上告人が延滞金として納付義務を認めている額を超える部分)等の取消しを求めるとともに、当該部分に相当する額の金員の支払を求めた上告審において、被相続人に対して既に納付又は納入の告知がされた地方団体の徴収金につき、納期限等を定めてその納付等を求める旨の相続人に対する通知は、これに係る地方税の徴収権について、地方税法18条の2第1項1号に基づく消滅時効の中断の効力を有しないとし、上告人による配当処分の取消請求を棄却し、金員の支払請求に係る訴えを却下した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中、配当処分の取消請求及び金員の支払請求に関する部分を破棄し、被上告人の控訴を棄却し、上記部分の上告人の各請求については認容し、上告人のその余の請求に関する上告を棄却した事例。
2020.06.23
殺人未遂被告事件
LEX/DB25565685/横浜地方裁判所 令和 2年 3月12日 判決 (第一審)/令和1年(わ)第632号
被告人は、寿司店に勤務していたが、同僚のVと折り合いが悪く、同店厨房内において、V(当時21歳)から苦情を言われて顔面を殴打されたことに立腹し、Vに対し、その左上腕部を柳刃包丁(刃体の長さ約27cm)で1回突き刺して貫通させるなどし、Vに全治不明の左上腕橈骨神経損傷を伴う左上腕背側部貫通創、全治約1か月間を要する左側胸腹部刺創等の傷害を負わせ、懲役9年の求刑がされた事案で、被告人に殺意を認めるには合理的な疑いが残るといわざるを得ず、傷害罪が成立する限度で認定したうえで、傷害罪1件の事案の中で、態様は悪く、結果は重大であって、被害者に後遺症が残っていることを踏まえると、犯行に至る経緯、動機に酌むべき事情があることを考慮しても、なお重いというべきであり、被告人について刑の執行を猶予するのが相当な事案であるとは認められないとして、懲役3年に処した事例(裁判員裁判)。
2020.04.07
地方自治法251条の5に基づく違法な国の関与(裁決)の取消請求事件
LEX/DB25570827/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 3月26日 判決 (上告審)/令和1年(行ヒ)第367号
沖縄防衛局は、沖縄県宜野湾市所在の普天間飛行場の代替施設を同県名護市辺野古沿岸域に設置するための公有水面の埋立てにつき同県知事から公有水面埋立法42条1項の承認(本件埋立承認)を受けていたが、事後に判明した事情等を理由として本件埋立承認が取り消されたことから、これを不服として被上告人に対し行政不服審査法に基づく審査請求をしたところ、被上告人は、本件埋立承認取消しを取り消す旨の裁決をしたことで、上告人が、本件裁決は違法な「国の関与」に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、被上告人を相手に、本件裁決の取消しを求めた上告審において、本件本件埋立承認取消しについて、これと別異に解すべき理由は見当たらず、本件埋立承認取消しにつき、国の機関である沖縄防衛局がその「固有の資格」において相手方となったものということはできないとし、本件埋立承認取消しは沖縄防衛局が行政不服審査法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となった処分とはいえないとした原審の判断は、是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2020.03.03
原爆症認定申請却下処分取消等請求事件
LEX/DB25570733/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 2月25日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第215号
長崎市に投下された原子爆弾の被爆者である被上告人(原告・控訴人)が、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく認定(原爆症認定)の申請をしたところ、厚生労働大臣からこれを却下する旨の処分(本件処分)を受けたため、上告人(被告・被控訴人)国を相手に、その取消し等を求め、被上告人が申請疾病である慢性甲状腺炎に対して投薬治療等を伴わない経過観察を受けていることをもって要医療性が認められるか否かが争点となった事案の上告審で、本件処分に係る申請において申請疾病とされた被上告人の慢性甲状腺炎につき、要医療性が認められるとはいえないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中、被上告人に関する部分を破棄し、被上告人による本件処分の取消請求を棄却した第1審判決は正当であり、上記の部分につき被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見がある)。
2020.03.03
原爆症認定申請却下処分取消等請求事件 
LEX/DB25570734/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 2月25日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第191号
広島市に投下された原子爆弾の被爆者である被上告人(第1審原告)が、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく認定(原爆症認定)の申請をしたところ、厚生労働大臣からこれを却下する旨の処分(本件処分)を受けたため、上告人(第1審被告)国を相手に、その取消し等を求め、被上告人が申請疾病である放射線白内障に対してカリーユニ点眼液の処方を伴う経過観察を受けていることをもって要医療性が認められるか否かが争点となった事案の上告審で、本件処分に係る申請において申請疾病とされた被上告人の放射線白内障につき、要医療性が認められるとはいえないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中上告人敗訴部分は破棄し、同部分につき第1審判決を取消し、同部分の被上告人の請求を棄却した事例。
2019.12.17
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570514/神戸地方裁判所 令和 1年10月 8日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第1051号
兵庫県三木市内に住所を有する住民である原告らが、三木市長等倫理条例4条1項に基づき当時の被告市長Eに審査請求をしたところ、Eが、同条例4条2項に反して、直ちに審査請求書及び添付書類の写しを三木倫理審査会に提出してその審査を求めず、これらの書類を審査請求者代表者の原告Aに返却したことが、国家賠償法上違法であり、これにより原告らが精神的苦痛を被ったと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めた事案において、Eは、原告らに対し、直ちに本件各書類について市長等倫理条例に施行規則3条に基づく形式的審査を行い、形式的要件を満たしている場合には、直ちに本件各書類を倫理審査会に提出して、審査を請求すべき職務上の法的義務を負っていたがこれに違反したと示し、Eが本件各書類を受け付けず、本件返却を行った過程には看過しがたい過誤があったなどとして、原告らの請求をそれぞれ一部認容した事例。
2019.11.05
鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求事件
LEX/DB25570506/最高裁判所第一小法廷 令和 1年10月17日 判決 (差戻上告審)/平成29年(行ヒ)第423号
競艇従事員共済会から競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、市が平成22年7月に共済会に対して補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為であるなどとして、市の住民である被上告人(控訴人・原告)らが、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、上告人(被控訴人・被告)市長を相手に、当時の市長の職に在った者に対して損害賠償請求をすることを求めるとともに、上告人(被控訴人・被告)鳴門市公営企業管理者企業局長を相手に、当時の市の企業局長及び企業局次長の各職に在った者らに対して損害賠償請求をすること等を、それぞれ求めた住民訴訟で、原審は、上告人市長を相手に当時の市長であったBに対して損害賠償請求をすることを求めた請求並びに上告人管理者を相手に当時の企業局長であったC及び当時の企業局次長であったAに対して損害賠償請求をすることを求めた被上告人の各請求につき、いずれも認容したため、上告人らが上告した事案において、原判決中、上告人市長に対する請求に関する部分は破棄を免れず、当該部分に関する被上告人らの請求を棄却した第1審判決は正当であるから、当該部分につき、被上告人らの控訴を棄却し、また、原判決中、上告人管理者に対する請求に関する部分のうち、怠る事実に係る相手方に対するものとしてAに対して損害賠償請求をすることを求めた請求を認容した部分は破棄し、当該部分に関する被上告人らの請求を棄却した第1審判決は正当であるから、当該部分につき、被上告人らの控訴を棄却し、被上告人らが、上告人管理者を相手に当該職員に対するものとしてAに対して損害賠償請求をすることを求めた請求に係る訴えは不適法であるから、当該請求を棄却した第1審判決を取消し、上記訴えを却下し、これに対し、上告人管理者を相手にCに対して損害賠償請求をすることを求めた請求を認容した原審の判断は是認することができ、同上告人の上告を棄却し、その余の請求に関する上告は、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却した事例(補足意見がある)。