注目の判例

刑法

2014.08.05
詐欺、収賄、犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件(元農林水産省職員 補助金贈収賄事件)
LEX/DB25504216/東京高等裁判所 平成26年6月12日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第160号
詐欺、収賄、犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件の控訴審において、収賄の成否について、利益が供与される対象となる公務員の職務関係行為が正当なものであっても、公務員の職務の公正を疑わせるものであるから、収賄罪が成立することはいうまでもなく、また、賄賂と公務員の職務関係行為とが対価的関係に立つことを要するとしても、その対価的関係は個別の職務関係行為に対して存在する必要はなく、当該公務員の職務に関するものであれば包括的なものであっても成立するとし、懲役2年6月、執行猶予4年を言い渡した原判決を維持し、被告人の控訴を棄却した事例。
2014.08.05
危険運転致傷、道路交通法違反被告事件
LEX/DB25504232/広島高等裁判所 平成26年6月10日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第22号
被告人が、普通乗用自動車を運転して信号機による交通整理の行われている本件交差点を直進するに当たり、対面赤色信号を殊更に無視して指定最高速度を約20ないし30キロメートル上回る速度で本件交差点に進入した過失により、右方から進行してきたタクシーに自車を衝突させ、タクシー運転手に傷害を負わせた上、救護義務、報告義務を果たさなかったことにつき、原判決が、危険運転致傷罪の成立を認め、被告人を懲役8年に処したため、被告人が控訴した事案において、原判決が指摘する被告人のために酌むべき事情を踏まえ、この種事案に関する量刑の傾向等についても勘案すると、被告人を懲役8年に処した原判決の量刑は、本件犯情の悪質さ等を考え合わせてもなお、重過ぎて不当であり、これを維持することは相当ではないとして、原判決を破棄し、被告人を懲役6年に処した事例。
2014.07.29
覚せい剤取締法違反、関税法違反被告事件
LEX/DB25504185/千葉地方裁判所 平成26年6月11日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1359号
タンザニア連合共和国国籍の被告人が、覚せい剤が隠されたスーツケースを持って日本に来たものの、その目的が中古自動車の買い付けであったとして何ら不自然ではないし、密輸組織側の観点からしても、被告人に気付かれることなく覚せい剤を携帯させ、日本において確実にこれを回収することが可能であったといえる上、被告人の税関検査時の言動や捜査段階での供述は、いずれも、被告人の違法薬物に関する認識を推測させるようなものとはいい難いから、すべての証拠を検討してみても、被告人において、スーツケース内に覚せい剤が隠されていることを知らなかったという合理的疑いがあるとして、被告人に対し無罪の言渡しをした事例(裁判員裁判)。
2014.07.29
再審請求事件(弘前の武富士強盗放火殺人再審請求事件)
LEX/DB25504188/青森地方裁判所 平成26年5月26日 決定 (再審請求審)/平成25年(た)第2号
競輪にのめり込んで金融会社等から借金を重ね、その返済資金等に困窮した請求人が、従業員数や犯行後に逃走するための立地条件等から好都合であると判断した消費者金融会社の支店において、強盗を敢行して借金を返済しようと企て、同支店を下見したうえ、ガソリン95パーセントから成る混合油やライター、ねじり紙等を予め準備し、同支店において、床上に約4リットルの混合油を撒いて脅迫したうえ、現金を差し出すように要求したが、これに応じて貰えなかったことに苛立つと共に憤激の念を募らせ、ねじり紙に火を付けて更に脅したうえ、遂にそのねじり紙を、撒布した混合油の上に投げ入れて火を放ち、同支店を全焼させ、同支店内に居た従業員5名を火傷死させて殺害し、従業員4名に重度の熱傷等の傷害を負わせたという事案の再審請求審において、本件再審請求は、その主張する具体的な事実関係及び証拠関係に照らし、第1次再審請求と実質的に同一の理由によるものと認められるから、刑事訴訟法447条2項に抵触して不適法である(なお、上記各証拠は、刑事訴訟法435条6号所定の新規性や明白性がなく、本件再審請求には理由もない。)として、再審請求を棄却した事例。
2014.07.22
殺人、同未遂被告事件(名張毒ぶどう酒殺人事件第8次再審請求審決定)
LEX/DB25503892/名古屋高等裁判所 平成26年5月28日 決定 (再審請求審)/平成25年(お)第7号
有機燐テップ製剤が混入したぶどう酒を飲んだ女性のうち5名が死亡し、12名が傷害を負った事案において死刑判決を受けた請求人が、確定判決に係る被告事件につき、刑事訴訟法435条6号所定の無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したため、再審を開始し、併せて請求人に対する刑の執行及び拘置を停止するよう求めた事案において、本件証拠は無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠をあらたに発見したときには当たらないとして、本件再審請求を棄却した事例。
2014.07.22
住居侵入、強盗殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(二戸市同僚殺人事件)
LEX/DB25504088/仙台高等裁判所 平成26年5月27日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第6号
被告人が、パチンコに興じるあまり、自動車ローン等の返済に窮したことから、職場の同僚が自宅に置いている現金等をねらい、同人(当時31歳)方に侵入したが、寝室において同人に気づかれたことから、同人に対し、持っていた包丁(刃体の長さ約16.7センチメートル)で数回突き刺す等して同人を肺損傷による失血死により死亡させて殺害した上、現金約4万6000円等を強取したところ、原審が無期懲役を言い渡したため、被告人が、原判決の量刑は、犯情に関する評価の誤り等に基づくもので重すぎて失当であるとして控訴した事案において、原判決の量刑判断の内容に明らかな誤りはなく、量刑自体も裁量の範囲を逸脱しているとは認められないなどとして、控訴を棄却した事例。
2014.07.22
住居侵入、殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
LEX/DB25504083/東京高等裁判所 平成26年5月26日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第2124号
被告人が、被害者宅に侵入し、就寝中と解される被害者を殺害したとして起訴された事案の控訴審において、被告人と被害者の妻であるAとの間に被害者殺害の意思連絡が成立したことを推認させる事実はなく、本件は被告人の単独犯行と認められ、これと同趣旨を述べる原判決に事実誤認はないとして、被告人の控訴を棄却した事例。
2014.07.22
損害賠償請求事件
LEX/DB25504094/神戸地方裁判所尼崎支部 平成26年5月15日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第529号
飲酒の影響で正常な運転が困難な状態であったPの運転する自動車が対向自動車に正面衝突し、対向車の運転者であるQが死亡した事故について、Qの相続人である原告らが、Pが運転を開始する前にPと一緒に飲酒するなどしていた被告らに対し、損害賠償を求めた事案において、被告GがR方に帰宅した際、Pは既に飲酒を開始しており、被告Gは、Pらに食事を提供したにとどまり、酒類を提供することはなかったというのであり、Pが飲酒により正常な運転ができない状態に陥ることに深く関与していたとはいえず、被告GにはPの飲酒運転を制止すべき法的義務が課される根拠となる先行行為が存在しないのであるから、上記法的義務は認められないとし、請求を棄却した事例。
2014.07.22
傷害被告事件(乳児揺さぶり無罪事件)
LEX/DB25504001/広島地方裁判所 平成26年4月21日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第878号
被告人が、長男Aに対し、その身体を両脇から抱え上げて激しく揺さぶる暴行を加え、よって、Aに完治不能の中枢神経障害後遺症を伴う急性硬膜下血腫の傷害を負わせたとして起訴された事案において、本件公訴事実記載の日時以前に、Aに慢性硬膜下血腫が生じており、それによって脳表と硬膜を結ぶ微細な血管が引っ張られ、その欠陥が自然にあるいは何らかの外部的圧力によって切れて急性硬膜下血腫を発症したというF医師の見解は否定できず、身体を激しく揺さぶる暴行がなくてもAに急性硬膜下血腫等の傷害が生じた可能性があり、間接事実を併せ考えても、被告人がAの身体を激しく揺さぶったと推認することはできないとし、無罪を言い渡した事例。
2014.07.22
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反(変更後の訴因:麻薬特例法違反、関税法違反)(認定罪名:覚せい剤取締法違反、関税法違反)被告事件
LEX/DB25503346/東京地方裁判所 平成26年3月18日 判決 (第一審)/平成24年(合わ)第220号
ルーマニア国籍の被告人が、氏名不詳者らと共謀の上、営利の目的で、関税法上の輸入してはならない貨物である覚せい剤を輸入しようとしたが、東京税関東京外郵出張所職員に発見されたため、これを遂げなかったとして起訴された事案において、被告人の輸入した郵便物の一部について、覚せい剤の営利目的輸入の共同正犯及び関税法上の輸入してはならない貨物の輸入未遂の共同正犯が成立するとして、懲役12年及び罰金600万円を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.07.15
業務上過失傷害被告事件
LEX/DB25446487/札幌地方裁判所 平成26年5月15日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第670号
スクーバダイビングのガイドダイバーとしてダイビング客の引率業務に従事していた被告人が、初級者ダイバーの動静注視を怠り、パニック状態に陥った同人を溺水させ、後遺障害を伴う低酸素脳症、急性肺水腫等の傷害を負わせたとして、業務上過失傷害罪で起訴された事案において、検察官の立証は、予見可能性、注意義務、結果回避可能性ないし因果関係のいずれの面においても不十分であるから、被告人には本件傷害について過失があったとは認められないとして、被告人に対し無罪を言い渡した事例。
2014.07.15
現住建造物等放火、電汽車往来危険、非現住建造物等放火被告事件
LEX/DB25503818/福岡高等裁判所 平成26年3月20日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第486号
判示第1の犯行(現住建造物等放火)は、苛立つ気持ちを鎮めたいなどという自分勝手な動機で、人が寝静まった深夜に他人の住居に放火して居住者や周辺住民の生命、身体等に重大な脅威を与えたというもので、大変危険な犯行であり、4棟の建物を全焼させた上、居住者1名を焼死させ、もう1名には重傷を負わせたという結果はあまりに重大であって、同種の事案の中でも相当に悪質な部類に属するとし、そのほか、被告人は、判示第1の犯行に続いて判示第2、第3の犯行(非現住建造物等放火、電汽車往来危険)に及び、重大な公共の危険や財産的被害を発生させているとして、被告人を懲役17年に処した原判決につき、被告人が控訴した事案において、被告人が軽度精神遅滞の障害を有していること、被告人が事実を認めて反省していることなど、被告人のために酌むべき事情を考慮し、その他、所論が指摘する諸点を逐一検討しても、被告人を懲役17年に処した原判決の量刑は、やむを得ないものであって、これが重過ぎて不当であるとはいえないとして、控訴を棄却した事例。
2014.07.01
民事再生法違反、会社法違反、電磁的公正証書原本不実記録・同供用被告事件
LEX/DB25503880/東京地方裁判所 平成26年4月30日 判決 (第一審)/平成22年(特わ)第1519号
商業手形の割引業務、資金の貸付業務等を目的とするA社の代表取締役社長兼会長であった被告人が、東京地方裁判所が、A社につき民事再生開始の決定をなし、同決定が確定したところ、A社からB社に対して譲渡されたA社が保有している簿価418億4583万1026円の不動産担保貸付債権について、民事再生手続当における否認権行使を免れるため、東京法務局の登記官に対し、前記債権を譲渡した事実もないのに、A社従業員をして内容虚偽の債権譲渡登記を申請させ、前記登記官をして、債権譲渡登記簿の原本として用いられる電磁的記録にその旨不実の記録をさせ、前記不実の記録を公正証書の原本としての用に供させた事案において、本件登記の申請が被告人の指示に基づくものであることが認められるとして、電磁的公正証書原本不実記録及び同供用罪については懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡し、民事再生法違反及び会社法違反については無罪を言い渡した事例。
2014.07.01
業務上過失致死傷被告事件
LEX/DB25503829/大阪高等裁判所 平成26年4月23日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第398号
被告人は、明石市に所在する歩道橋上で平成13年7月21日に発生して死者11人及び負傷者183人を出した事故に係る業務上過失致死傷被疑事件について、不起訴処分を受けたが、検察審査会において起訴相当の議決を受け、公訴提起をされ、原判決が、公訴時効が完成しているから、被告人を免訴すべきであるとして、被告人に対し、免訴を言い渡したので、これに対し、指定弁護士が控訴をした事案において、原判決は正当であるとして、控訴を棄却した事例。
2014.07.01
公職選挙法違反被告事件
LEX/DB25503797/東京地方裁判所 平成26年4月18日 判決 (第一審)/平成25年(特わ)第1703号
徳洲会グループによる組織的な選挙運動者の買収について、被告人(徳洲会グループの関連法人の経営企画室長)が、買収に付随して発出される文書の作成を容易にしたという公職選挙法違反の幇助の(共謀の成立を認めることはできないとした)事案において、正犯者らの犯行は、理事長であるAが中心となり、徳洲会グループの職員約600名に選挙区内で公示日前後にわたる違法な選挙運動をさせ、その報酬として、約1億5500万円相当の金銭及び財産上の利益を供与したというものであり、報酬が支払われた選挙運動員の数、供与された金銭等の額、いずれをみても他に類を見ない大規模なもので選挙の公正を害するものであったところ、被告人は、これらを認識した上で、本件買収等に伴って発出される平成24年版読後破棄文書の作成を容易にしたものであって、犯情は良くないが、幇助の程度は、平成24年版読後破棄文書の中でも事務的手続について相談に応じたに止まり、本件買収等自体を容易にした程度は大きくないとして、被告人を罰金25万円に処し、公民権停止の期間を3年に短縮するとした事例。
2014.07.01
証拠隠滅、虚偽有印公文書作成、同行使被告事件
LEX/DB25503728/大阪高等裁判所 平成26年3月26日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第256号
警察官であった被告人が、原動機付自転車で走行中のAに対し職務質問をして交番に同行を求め、あらかじめ準備した虚偽の内容を記載した記録紙を用いるなどしてAの呼気中から所定量のアルコールが検知されたかのように装い、虚偽の公文書を作成するとともに証拠を偽造し、Aを酒気帯び運転の罪に陥れたとして、虚偽有印公文書作成・同行使等で起訴された事案の控訴審において、被告人が飲酒検知気を作動させていなかったと認めるには合理的な疑いが残るとして、一審判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2014.06.24
強盗殺人、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
LEX/DB25503663/さいたま地方裁判所 平成26年3月28日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1153号等
被告人は、被害者が所有していた多額の現金を強取するために、親密な交際をしていた被害者に対し、その腹部等を2回にわたり刃物で突き刺して殺害した上、1400万円相当の現金を強取したとの強盗殺人と、強取した現金の一部を両替させたとの犯罪収益等の処分を仮装した事案において、強盗殺人の犯行態様は強固な殺意に基づく残忍で非道なものであること、被害者は何の落ち度もなく突然絶命したこと、財産的損害も多額であること、遺族が厳しい処罰感情を有していること、公判廷で不自然な弁解に終始しており自責の念は無いことなどを考慮し、被告人に対し、無期懲役を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.06.10
嘱託殺人被告事件
LEX/DB25446413/函館地方裁判所 平成26年4月30日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第145号
被告人が、妻である被害者の真意に基づく依頼がないのに、それがあるものと思い込み、その首を両手で絞め、更に電気コードをその首に巻いて締め付けて、同人を頸部圧迫により窒息死させて殺害したという嘱託殺人の事案において、被告人の本件犯行が、重症うつ病という精神障害に起因する思考狭窄の影響を受けた心神耗弱の状態で行われたものであることを考慮しても、本件は、嘱託殺人の事案の中でも重い部類に位置づけられる事案というべきであるから、心神耗弱による減軽をした刑期の中では上限に近い刑が相当であるとして、被告人を懲役3年に処した事例。
2014.06.10
覚せい剤取締法違反、関税法違反被告事件
LEX/DB25503359/東京高等裁判所 平成26年3月24日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第443号
被告人が、氏名不詳者と共謀の上、営利の目的で、カナダ所在の空港において、覚せい剤を隠し入れたスーツケースを航空機に積み込ませ、覚せい剤の本邦への輸入を行うとともに、覚せい剤を携帯しているにもかかわらず、その事実を申告しないまま旅具検査場を通過して輸入しようとしたが、税関職員に発見されたため、これを遂げることができなかったとして起訴され、無罪が言い渡されたため、検察官が控訴した事案において、原審で取り調べた証拠によっても、被告人の弁解を不自然不合理であるとして排斥できないとした原判決の判断は、論理則、経験則等に照らし不合理なものであり、その判断を是認することはできず、被告人に覚せい剤を含む違法薬物ではないかとの認識があったものと認めることができるとし、原判決を破棄し、懲役11年及び罰金600万円を言い渡した事例。
2014.06.03
詐欺被告事件
LEX/DB25503287/京都地方裁判所 平成26年3月25日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第860号
被告人は、暴力団準構成員として活動をしていたところ、そのことを秘して、反社会的勢力に該当しない旨を確約する内容の重要事項説明書や契約書に署名押印するなどして、マンションの一室の売買契約を成立させ、これを詐取したとして、詐欺により起訴された事案において、被害結果は軽視できないものの、被告人には前科が無く、既に1年半以上身柄を拘束されていることなどを考慮し、被告人に対し、懲役2年、執行猶予4年間を言い渡した事例。