被災地の復興支援のために、ふるさと納税を行いたいと思っています。詳細を教えてください。(水産加工業)

 ふるさと納税(寄付金)とは、自分が生まれ育ったふるさとや、応援したいと考えている地方団体に寄付を行うと、その年の所得税と翌年度の個人住民税の控除が受けられる制度です。控除される額は、所得税と個人住民税を合わせて、寄付金額から2千円を引いた額となります。平成22年の寄付までは、おおむね寄付金額から5千円を引いた額が控除されることとなっていましたが、平成23年の税制改正により平成23年中に行った寄付からは、寄付金額から2千円を引いた額が控除されることとなり、より少額の寄付でも控除を受けられるようになりました。

 ただし、控除を受けられる額については上限があります。いくつか例を挙げると、給与所得者で年収500万円、配偶者を扶養している方が寄付した場合、1万円の寄付で所得税と個人住民税を合わせて8千円の控除、5万円で約3万2千円、10万円で約4万2千円となります。また、給与所得者で年収1千万円、配偶者を扶養している方が寄付した場合は、1万円の寄付で8千円の控除、5万円で4万8千円、10万円で約9万2千円の控除となります(一例であり、実際の控除額とは異なる可能性があります)。

 具体的な寄付の申し込み手続きについては、地方団体によって異なる場合がありますが、(1)寄付先の団体から申込書等を入手(2)申込書の提出および銀行振り込みや現金により寄付(3)寄付先の団体から受領証等を受け取り(4)確定申告という流れになります。手続きの詳細については、寄付をしたい地方団体にお問い合わせいただくほか、該当地方団体のホームページや広報誌等で事前にご確認ください。

 また、控除を受けるためには、寄付を行った翌年に確定申告等が必要となります。受領証などは大切に保管していただき、確定申告の際に添付してください。なお、確定申告には、自宅から申告でき便利なe-Tax(電子申告)をぜひご利用ください。詳しくは、国税庁ホームページをご覧ください。(http://www.e-tax.nta.go.jp/

受入団体・口座を確認する

 東日本大震災などの被災地の県や市町村へ、寄付金や義援金を贈りたいと考えている方も多いと思います。寄付金は地方団体に対する支援を目的とし、一方義援金は被災者に対する支援を目的としていますが、こうした被災地への寄付金や義援金をふるさと納税の制度を活用して行うことができます。この制度の活用のため、被災地方団体では、寄付金・義援金の受入口座を開設しています。総務省ホームページにその一覧を掲載していますので、ご活用ください。(http://www.soumu.go.jp/shinsai/index.html

 また、被災地方団体に直接寄付する場合のほか、日本赤十字社や中央共同募金会などに、義援金として寄付する場合にもふるさと納税として所得税と個人住民税の控除を受けられます。日本赤十字社や中央共同募金会に寄付する場合は、各団体のホームページや総務省ホームページにおいて義援金専用の口座情報を掲載していますので、ご確認ください。この場合の手続きにおいても、確定申告等が必要となりますので、振込証の控えや受領証などは大切に保管してください。

掲載:『戦略経営者』2011年11月号