電気用品安全法の省令が全面改正され、来年1月に施行されるそうですが、ポイントを教えてください。(光学部品製造業)

 電気用品安全法(電安法)は、政令で指定された電気用品が備えるべき安全性等について定めた法律です。1962年に制定された前身の電気用品取締法が複雑難解だったため、2001年にリニューアルされたものです。

 電安法が最近話題になった事例として、2012年秋、エアコンをスマートフォンと連動させて遠隔操作できる機能に関して、経済産業省の指摘を受けて当該機能が削除されたことがありました(※1)。これは、電安法8条1項の委任を受けた下位規範である「電気用品の技術上の基準を定める省令」の解釈をめぐって問題となったものです(なお、この問題は、2013年5月に同省令の解釈が通達で明確化された(※2)ことにより、解決されたといえます)。

 2013年7月、この「電気用品の技術上の基準を定める省令」が全面改正され、2014年1月より施行されます。所管官庁である経済産業省が概要を公表していますが(※3)、そのポイントを以下説明します。

仕様規定から性能規定へ

 今までの省令は、品目ごとに形状や寸法などの詳細な仕様を定める「仕様規定」となっていました。今回の改正により、電気用品が満たすべき安全性能を定めた「性能規定」となりました。

 これまでは、いかに安全性が高い製品であっても、寸法や形状等の仕様規定にしたがっていなければ、製造、輸入、販売が認められませんでした。今後は性能規定上の安全性を満たせばよいことになるので、設計の自由度が増し、迅速かつ的確な商品開発が行えるようになるとされています。

 性能規定は、安全に関する一般的要求事項5項目、危険源に対する保護に関する11項目、雑音に関する1項目、表示等に関する2項目からなります。

 具体的には、安全に関する一般的要求事項として、設計における安全機能の確保(3条)、供用期間中における安全機能の維持(4条)、使用者および使用場所を考慮した安全設計(5条)等があげられています。また、危険源に対する保護として、感電に対する保護(7条)、絶縁性能の保持(8条)、火災の危険源からの保護(9条)、火傷の防止(10条)、機械的危険源による危害の防止(11条)等。さらに雑音に関しては、放送受信等に障害を及ぼす雑音の発生防止(18条)が、表示等に関しては、安全上必要な情報および使用の注意の表示(19条)、長期使用製品安全表示制度(※4)による表示(20条)があげられています。

 今回の改正により、製品開発の自由度は高くなったといえますが、今までのような形状や寸法等の順守だけではなく、メーカー自らが安全性を保証しなければならなくなりました。開発に際しては、いっそうの注意が必要とされるでしょう。

(※1)スマホでエアコン操作 パナソニック断念の不可思議(日本経済新聞)
(※2)電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の一部改正について(経済産業省)
(※3)電気用品安全法の技術基準等を改正しました(経済産業省)
(※4)経年劣化による重大事故発生率は高くないものの、事故件数が多い製品(扇風機、エアコン、換気扇、洗濯機、ブラウン管テレビ)について、消費者等に長期使用時の注意喚起を促すための表示制度。

掲載:『戦略経営者』2013年12月号