花粉症による生産性の低下を防ぐため、社員に花粉症対策を徹底させようと考えています。最新の対策を含め、効果的な予防法を教えてください。(システム開発業)

 花粉症で涙、鼻水・鼻づまり、頭痛などの症状がひどくなると、集中力がそがれ、業務に支障を来しかねません。経営者は、健康経営の観点からも、社員の花粉症対策に努めることが求められるでしょう。

 予測ではスギ花粉は2月下旬から飛散し、飛散量は平年並みとのこと。花粉症の対策は、花粉を排除する防御と、アレルギーとしての花粉症に負けない体づくりに分けて考えるとよいでしょう。花粉が飛散し始める前から対策することで症状の重症化を防げます。

 花粉防御の基本はマスクですが、コロナ禍の今、マスク装着は常識となりました。花粉症の人は人前でマスクをしやすくなったわけですが、弊害もあります。そもそもマスクを長時間着ける生活は、息苦しいし、肌荒れも起こします。加えて花粉症の人の場合、目の下あたりのかゆみが悪化するリスクがあります。一般的なマスクは、肌との間にすき間ができます。そこから花粉が侵入し、目の下あたりにたまるため、この部分にかゆみが起こりやすくなるのです。一方、花粉症用マスクは肌に密着し、花粉の侵入を防ぐようにつくられているので利用をお勧めします。

 コロナ対策として空気清浄機はオフィスに必需品ですが、花粉対策の観点からも同様です。また、窓を開けて換気することも求められますが、そうすると花粉が室内に侵入します。花粉は日中に飛散し、早朝や夜間は飛びません。また、風が強い日は飛散量が多くなります。こういったことを踏まえ、換気に取り組んでください。

 外出時には、できれば花粉用のメガネを使用し、帰宅時には、家に入る前にコートやスーツなどをはたいて花粉を払い、室内に持ち込まないようにしたいもの。自室にも空気清浄機を備えるとよいでしょう。

食生活にも注意を

 次に花粉症に負けない体づくりですが、食生活では、食べすぎやお酒の飲みすぎは炎症を引き起こし、症状を悪化させます。暴飲暴食は花粉症の人の敵です。

 肉は炎症を起こすので、食べすぎないほうが無難です。一方、魚は炎症を抑えます。油については、オメガ3系脂肪酸は炎症を抑え、動物の脂肪酸やリノール酸は炎症を引き起こします。

 アレルギー対策や免疫強化は腸が決め手といわれます。腸内細菌のバランスを保ち、アレルギーを防ぐための基本は食物繊維です。食物繊維は植物性食品に含まれます。食事は、日本型の食事を基本にするとよいでしょう。

 乳酸菌食品を摂取するのもよいですが、それよりも乳酸菌産生物質のサプリを勧める医師もいます。その他には、ビタミンDが注目されています。ポリフェノールも人気ですが、茶葉を抽出したサプリがよいとの情報もあります。

 漢方薬も症状軽減に効果がありますが、体質によって合う合わないがあるので、専門家に相談して服用しましょう。 

 ストレスや睡眠不足は花粉症の症状を悪化させる原因になります。

 鼻づまりには、ごま油、亜麻仁油や馬油を点鼻するとよいでしょう。専用のアロマクリームも市販されています。鼻うがいも効果的です。市販のキットを使うと、痛くないし安全にできます。

 ツボ療法では、頬骨の下を押すと鼻づまりに即効性があります。

掲載:『戦略経営者』2022年2月号