公開日 2013.02.18

消費税増税に向けた実務対応

第1回 消費税法改正の概要と趣旨

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税理士 畑中 孝介TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
税理士 畑中 孝介
「社会保障と税の一体改革」の一環として消費税の増税法案が成立しました。消費税増税に際してはさまざまな経過措置を理解することが必要になります。このコラムでは経過措置を中心に、95%ルールへの影響、そして増税で一層高まる税務リスク・税務コンプライアンスの取り組みなどとの関連について解説していきます。

 消費税率の引上げについては、「社会保障と税の一体改革」の一環として行われており、平成24年8月10日に「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」(以下「消費税法改正法」とします)が成立し、平成24年8月22日に公布されました。
 それにより、消費税率(含む地方消費税率)は平成26年4月1日に8%に、平成27年10月1日に10%へと引上げられます。

1.「消費税法改正法」の概要

  1. 消費税について(第2条、第3条)
    • 平成26年4月1日消費税率を8%に引上げ(うち国税分6.3%地方消費税分1.7%)
    • 平成27年10月1日消費税率を10%に引上げ(うち国税分7.8%地方消費税分2.2%)
    • 消費税の使途の明確化(年金・医療・介護・少子化)
    • 課税の適正化(事業者免税点制度の見直し、中間申告制度の見直し)
  2. 附則について

     消費税率の引上げにあたっては、経済状況を好転させることが条件とされています。そのため、平成23年度から平成32年度まで平均名目経済成長率で3%程度かつ実質経済成長率で2%程度を目指した施策を実施することとされており、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとされています。

2.消費税引上げにあたって必要となる対応項目

 まだ具体的な政省令・通達等は公布されておりませんが、消費税改正法附則に記載された内容及び平成9年に行われた消費税率の3%から5%への引上げ時の情報等も参考にすると、今後消費税率引上げまでに必要な対応については主に以下のとおりとなると思われます。

  1. 各種の経過措置への対応 → 契約の前倒しや見直しなど。
    • 工事請負契約、リース、長期割賦販売、電気・ガス・水道
    • 旅客運賃、売上対価の返還、貸倒れなど
  2. 価格の付け替え(店内値札、ホームページ、カタログ、パンフレットなど)
  3. 販管・会計等、関連するシステムのバージョンアップ
  4. 売掛金・買掛金の税率別管理
  5. 棚卸資産の税率別管理
  6. 軽減税率への対応
  7. 資金繰り・連鎖倒産対策
  8. 消費税95%ルールへの対応
  9. 駆け込み需要の取り込みと反動減への対応策

3.消費増税での今後の検討課題

 「平成25年度税制改正大綱」(自由民主党 公明党)においては、増税前の駆け込み需要とその反動の軽減措置として住宅ローン減税等の拡充・車体課税の見直しとともに軽減税率への対応や消費税の転嫁対策についても触れられており今後の検討課題とされています。

  1. 住宅取得等に係わる措置
    • 所得税・住民税の住宅ローン減税の期間延長と控除額の拡充
    • ローン控除だけでなく自己資金での住宅取得やリフォームを行った場合の減税措置についても拡充
  2. 車体課税の見直し
    • 自動車取得税については、消費税率8%の段階ではエコカー減税の拡充、消費税率10%の段階で廃止
    • 自動車重量税については消費税率8%の段階での燃費性能に応じた軽減(平成26年度税制改正で具体策検討)
  3. 軽減税率導入への方向性

     消費税増税にあたっては軽減税率の導入が検討されましたが、企業への事務負担や軽減税率品目の絞り込みなどが間に合わず、消費税率10%引上げ時に軽減税率導入を目指すこととされました。今後協議すべき課題としては「対象、品目・軽減する消費税率・財源の確保・インボイス制度など区分経理のための制度の整備・中小事業者等の事務負担増加、免税事業者が課税選択を余儀なくされる問題への理解・その他」などとされています。

  4. 価格転嫁対策

     今回の税率引上げは、二度にわたる消費税率の引上げが予定されており、下請法の適用対象となっていない分野も含め、転嫁拒否、実質的な値引き強制等が行われないようにすることや、円滑かつ適正な転嫁を確保するための独占禁止法及び下請法の特例に関する法制上の措置を図ることとされています。

第2回以降では経過措置等具体的な問題について解説していきます。

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TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 畑中 孝介

税理士 畑中 孝介(はたなか たかゆき)

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会 幹事
  企業グループ税務システム普及部会会員
TKC企業グループ税務システム小委員会委員
TKC全国会中央研修所租税法小委員会委員

略歴
ビジネス・ブレイン税理士事務所所長、株式会社ビジネス・ブレイン代表取締役CEO
大手・上場企業の連結納税コンサルティング業務や組織再編アドバイザー業務を行う。上場企業から中小企業・ベンチャー企業・ファンドまで幅広い企業の税務会計顧問業務に従事。TKC企業グループ税務システムの専門委員、中堅・大企業支援研究会幹事等に就任。
著書等
  • 『消費税インボイス制度の実務対応』(TKC出版)
  • 『令和4年度 すぐわかるよくわかる 税制改正のポイント』(TKC出版)
  • 『企業グループの税務戦略-グループ法人税制・連結納税制度の戦略的活用-』(TKC出版)
  • 『CFOのためのサブスクリプション・ビジネスの実務対応』(中央経済社)
  • 「旬刊・経理情報」「税務弘報」などにも執筆
システム・コンサルティング事例
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ビジネス・ブレイン税理士事務所

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