掲載日:2021.12.06

法定調書の電子化の実務対応

第1回 法定調書の電子申告義務の概要

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会 企業グループ税務システム普及部会会員 税理士 宮﨑純子

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会
企業グループ税務システム普及部会会員
税理士 宮﨑 純子

令和3年1月より法定調書の電子申告義務の基準が引き下げられました。これに伴い、市区町村に提出する給与支払報告書についても同様の改正が行われています。当コラムでは、法定調書の電子申告の概要及び手続方法について解説します。

 令和2年12月以前は、法定調書の提出枚数が「1,000枚以上」である場合に電子申告が必要でしたが、令和3年1月より電子申告義務の基準が「100枚以上」に改正されました。
 今回は、法定調書の電子申告義務の概要について解説します。具体的な申告の手順については「第2回 法定調書の電子申告の実務」で解説します。

1.電子申告義務の判定

(1) 提出枚数及び基準年

 法定調書の電子申告義務は、法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべきであった法定調書の枚数が「100枚以上」であるものが対象となり、e-Tax又は光ディスク等による提出が必要となります。
 例えば、令和2年1月に税務署へ提出した「給与所得の源泉徴収票」の枚数が「100枚以上」であった場合には、令和4年1月に提出する「給与所得の源泉徴収票」は、e-Tax又は光ディスク等により提出する必要があります。

(2) 法定調書の種類ごとの判定

 電子申告義務の判定は、法定調書の種類ごとの提出枚数で行います。従って、例えば、110枚の「給与所得の源泉徴収票」の提出ほかに、80枚の「報酬等の支払調書」を提出していたとしても、「報酬等の支払調書」はe-Tax又は光ディスク等による提出義務はありません。
 なお、「給与所得の源泉徴収票」はe-Taxを利用して提出し、「報酬等の支払調書」は書面で提出するなど、法定調書の種類によって異なる方法で提出することは可能です。その場合は、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の作成の際、e-Taxを利用して提出する法定調書については、提出媒体「14:電子」、書面で提出する法定調書については、提出媒体「30:書面」を選択します。

(3) 給与支払報告書の電子申告義務

 税務署へ「給与所得の源泉徴収票」の電子申告が義務付けられた年分については、市区町村に提出する「給与支払報告書」についても、eLTAX(地方税ポータルシステム)又は光ディスク等による提出が義務化されています。

2.提出方法

 e-TaxやeLTAXを利用して電子申告を行うには、電子証明書の取得や電子申告のための届出など、事前準備が必要です。詳細は、TKCコラム「電子申告義務化への実務対応 第1回 電子申告義務化への対応手順」で、電子申告の準備から実践までの手続きについて解説しています。

(1) e-Taxソフト

 e-Taxソフトをインストールすると、すべての法定調書を作成・提出することができます。e-Taxソフトを使用する場合は、「e-Taxソフトのダウンロードコーナー」よりインストールしてください。

(2) e-Taxソフト(WEB版)

 「給与所得の源泉徴収票」や「報酬等の支払調書」など以下9種類の法定調書については、e-Taxソフトをインストールすることなく、e-Taxソフト(WEB版)を利用して、帳票の作成・提出をすることができます。

【e-Taxソフト(WEB版)で作成・提出できる法定調書(及び同合計表)】

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票・特別徴収票
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(社会保険診療報酬基金用)
  • 不動産の使用料等の支払調書
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
  • 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
  • 支払調書等合計表付表(e-Tax提出分)

 法定調書の作成に当たっては、法定調書のデータを1枚ずつ入力して作成する方式(入力枚数の上限は100枚)のほか、CSVファイルを用いて法定調書を作成することもできます。※利用可能手続及びCSV作成標準フォームはこちら

(3) eLTAX(地方税ポータルシステム)

 eLTAXの「電子的提出の一元化」の機能を利用することで、市区町村に提出する給与支払報告書・公的年金等支払報告書と、国(管轄税務署)に提出する源泉徴収票のデータを同時に作成し、それぞれに送信することが可能です。

①事前準備として、e-Taxの利用者識別番号の取得や電子証明書の登録が必要となります。

②「電子的提出の一元化」は、eLTAXを利用して行うものであるため、e-Taxでは、支払報告書と源泉徴収票データの同時作成や一括送信をすることはできません。また、「電子的提出の一元化」を利用するための統一CSVレイアウトが定められていますので、e-Taxホームページで公開されているCSVファイルを利用することはできません

※統一CSVレイアウトはeLTAXホームページで公開しています。
なお、今年度は税制改正等がないため、統一CSVレイアウトの変更はありません。給与支払報告書・源泉徴収票統一CSVレイアウト(令和2年分~)

【電子的提出の一元化ができる対象帳票】

①地方税

  • 給与支払報告書(個人別明細書)
  • 給与支払報告書(総括表)
  • 公的年金等支払報告書(個人別明細書)
  • 公的年金等支払報告書(総括表)

②国税

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
  • 公的年金等の源泉徴収票
  • 公的年金等の源泉徴収票合計表
(4) CD・DVDなどの光ディスク等

 大量の法定調書を提出する場合には、e-Taxに代えて光ディスク等(CD・DVDなど)で提出することができます。光ディスク等の種類及びファイル形式については、光ディスク等の規格とレコードの内容及び記録要領について(法定調書)をご確認ください。

※ なお、義務化対象以外で光ディスク等により提出する場合には、「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書(兼)支払調書等の本店等一括提出に係る承認申請書」を、法定調書を提出しようとする日の2か月前までに所轄税務署へ提出する必要があります。

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プロフィール

税理士 宮﨑 純子(みやざき じゅんこ)
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会
企業グループ税務システム普及部会会員

ホームページURL
税理士法人土田会計事務所

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