掲載日:2019.12.23

疑問を解消!印紙税よくある質問Q&A

第3回(最終回) 印紙税よくある質問Q&A(その3)

TKC税務研究所

印紙税は、「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となりますが、その文書等の内容や金額によって税額が異なり、正しく税額を判断するのが難しい場合もあります。
そこで、当コラムでは、全3回で、TKCグループに寄せられた400件の印紙税に関する問合せの中から、問合せの多い11の質問・回答をご紹介します。

TKC税務研究所

【Q9】立替金を含む売上代金の領収書の印紙税

 当社は、自動車の車検を含む修理工場です。車検時に預かる重量税・自賠責保険・手数料等については、文書内で区分してあっても、課税金額に含めなければいけませんでしょうか。
 また、この預り部分を含めて記載した明細書に‘領収済’という印を押しただけのものを領収書代わりにお客に渡していますが、この場合でも課税文書に該当するのでしょうか。

【A9】

  1. 車検を含む自動車修理業者が発行する領収証に貼付する印紙についてのお尋ねです。
    まず、収受する金額の明細を表示した書面に「領収済み」の印を押して相手方に交付するということですが、このようなものも、当事者間で金銭の受領事実を証するものであるため、17号文書(金銭の受取書)として課税の対象となります(印紙税基本通達別表1第17号文書1参照)。
  2. 次に、当該文書には、修理代金(あるいは代行手数料など名目を問いません)として受け取る代金額の記載があると考えられ、これについては、17号文書の1の「売上代金に係る金銭の受取書」として課税文書となります。
    また、当該文書には、自動車重量税・自賠責保険料・支払手数料のような売上代金以外の預り金又は立替金として受け取る金額の記載があると考えられ、この部分の記載は、本来ならば、第17号文書の2(売上代金以外の受取書)になるところです。
    ところが、印紙税法別表第1「課税物件表の適用に関する通則」の4のハの(一)によれば、税率の適用については、「当該受取書の記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額に区分することができるときは、売上代金に係る金額を当該受取書の記載金額とする」と定めています。
    したがって、売上代金に係る金額に基づいて税額を判定することになります。
    なお、この取扱いは、税率の適用に関するものであって、免税点の判定に関するものではありません。したがって、免税点5万円未満であるかどうかは、当該文書に記載された受取金額によって判定します(印紙税基本通達34条)。
  3. 以上の取扱いは、明細において売上代金に係る金額とその他の金額に明確に区分することができる場合の取扱いですから、例えば、これらを一括して「修理代金等」の名目で受領するときは、その受領金額全体で税率判定されますから、ご注意ください。
《法令等》
印紙税法別表一通則
印紙税法別表一第17号
印紙税法基本通達34条
「消費税法の改正等に伴う印紙税の取扱いについて」通達

【Q10】営業に関しない受取書(非課税文書)について

  1. 質問事項
    印紙税法別表第一の第17号文書については、営業に関しない受取書は非課税とされています。ここでいう営業についてですが、印紙税法基本通達の第17号文書関係の25および26においてその例示が記述されています。
    これを見ると、等という語がありますが、士業や師業の個人事業者は、すべて該当すると解釈して良いのでしょうか。それともここに記載されていない士業や師業については、課税文書になるのでしょうか。
    例えば歯科技工を業とする個人営業の技工士についてはどうなりますか。
  2. 問題点
    なぜこれらの事業者が「営業に関しない」という扱いになるのでしょうか。

【A10】

  1. 印紙税法別表第一の第17号文書《金銭・有価証券の受取書》に係る印紙税についてのお尋ねです。
  2. 印紙税法別表第一の第17号においては、営業に関しない受取書は非課税とされています。
    同号にいう「営業」とは、商法にいう「商人」概念に類似するものと考えられており、単刀直入にいうと、営利を目的として商行為を反復継続的に行う者をいうことになります。したがって、営利を目的としない師業及び士業は、「営業」に該当しないこととされています。
    ここに師業とは、印紙税法基本通達第17号文書関係の25によれば、医師、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、保健師、助産師、看護師、あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、獣医師等をいうことになります。
    また、士業とは、同通達第17号文書関係の26によれば、弁護士、弁理士、公認会計士、経理士、司法書士、行政書士、税理士、中小企業診断士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士、設計士、海事代理士、技術士、社会保険労務士等をいうことになります。
    これらの師業及び士業は、公益的な事業であって営利を目的としないものであるため、印紙税の負担を求めないこととしたものと考えられます。
  3. 通達の上では、「等」と表現されているように、その全てが網羅されているわけではなく、例えば、「薬剤師」は営業に当たらないものと解されます。しかし、薬剤師の業務は、医師の処方箋に従って薬を調剤することを業務としており、その処方箋による調剤の販売に係る金銭の受取書は非課税とされています。しかし、世間には、調剤薬局の名の下に、市販薬、医薬部外品、衛生材料を販売する業者も多く見受けられます。このような市販薬等の販売に係る金銭の受取書は課税対象とされます。
    なお、「師」や「士」の名称がついていても、調理師、理容師などは、営業に該当します。
  4. ご質問の「歯科技工士」は、上記通達に掲げられておりますし、歯科医師の指示書に従って歯科医療用の充てん物、補てつ物、矯正装置を加工作成するもの(歯科技工士法第18条)であり、営業に関しないものとして取り扱われます。
《法令等》
印紙税法別表第一の17号
印紙税法基本通達17号文書関係の25
印紙税法基本通達17号文書関係の26
歯科技工士法18条

【Q11】領収書の印紙税について

 いす通販会社で、お客様が領収書希望のときには、領収書を発行しています。その際、クレジット決済の時には収入印紙は貼らないのですが、銀行振込みで入金頂いたときには、5万円以上の場合には、200円の収入印紙を貼っております。
 最近、その事務員の人がインターネットで「お客様が銀行振込みの際の領収書には印紙は不要」という記事を見かけたというので、確認のため質問させていただきます。
 また、他社のインターネット注文で見かけるのですが、「領収書は発行しておりません。金融機関の振込み控えをもって領収書とさせていただきます。」さらに、領収書がほしいときは、印紙代を客に負担させる。「お客様に収入印紙代金をご負担いただくこととなりますので、予めご了承をお願いいたします。」このようなことも許されるのでしょうか。

【A11】

  1. ご質問は、通信販売を行う事業者が、顧客から銀行振込みの方法で販売代金を受領した場合に、領収書を発行しているという前提で、その領収書に印紙税が課税されるかというものです。
    ところが、インターネット等の情報(記事)等から、「銀行振込みの際の領収書」という表現が用いられたために、性質・作成者の異なる三つの文書について、これを区別しないまま、議論が混線した状態で受け取られているようです。
    ここで、三つの文書というのは、(1) 顧客が銀行において現金をもって振込送金する場合に作成される、その銀行が作成者である「振込金受取書」、(2) 顧客が銀行において自己の預金口座から資金を払い戻して振込送金する場合に作成される、「預金払戻請求書・預金口座振替による振込受付書(兼振込手数料受取書)」、(3) 通信販売を行う事業者が、顧客から銀行振込みの方法で販売代金を受領した場合に発行する「領収書」のことです。
    このような混線の生じている原因は、具体的な文書を前提としていないために、質問者と回答者がそれぞれ異なった文書の形式をイメージしていることにあります。
    また、銀行振込みの場合に銀行に支払う手数料の観念が欠落しています。
    さらに、金融機関によって異なる形式の文書が作成されることがあることも考慮しておく必要があります。ここでは、標準的なものとして上記の3類型を前提として回答することとします。
  2. 上記(1)の「振込金受取書」について
    この場合の「振込金受取書」には、例えば、振込金額100,000円と振込手数料630円というような記載があります。
    印紙税法別表第一の17号の定義欄の1のロのかっこ書では、振込金の受取書は、17号の1文書《売上代金に係る金銭の受取書》の範囲から除外されています。この部分の記載は、17号の2文書《売上代金以外の金銭の受取書》に該当します。
    他方、振込手数料は、銀行の収益ですから、その受取書は、17号の1文書に該当します。
    このことから、この文書は、17号の1文書と17号の2文書の双方に該当することになりますが、このような場合、その税率の適用については、印紙税法別表第1課税物件表の適用に関する通則の4のハの(一)により、売上代金に係る金額を当該文書の記載金額とすることとされています。この場合の税率の適用上の記載金額は、630円です。
    なお、記載金額が5万円未満の非課税文書に該当するかどうかは、合計金額100,630円で判定しますので、本件文書は、100万円以下のもので印紙税額は200円となります。
  3. 上記(2)の「預金払戻請求書・預金口座振替による振込受付書(兼振込手数料受取書)」について
    この文書には、振替金額100,000円と振込手数料630円というような記載があります。
    この文書には、100,000円を顧客の預金口座から通信販売業者の預金口座に振り替える委任事務手続を受け付けた事実を証する部分があり、この部分は不課税です。
    また、振込手数料630円の受領事実を証する部分は、17号の1文書に該当します。
    ただし、その記載金額630円は、5万円未満ですから、非課税です。
  4. 上記(3)の通信販売業者が発行する「領収書」について
    (1)この文書は、通信販売業者が売上代金100,000円を受け取った事実を証するものとして顧客に交付する文書です。
    この文書は、17号の1文書の要件を備えています。
    本件文書は、100万円以下のもので印紙税額は200円となります。
    (2)印紙税法3条1項は、課税文書の「作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。」と規定しており、この規定の適用に関し、国税に関する法律において、銀行振込みに係る領収書の作成者を除外する旨の特別の規定は定められておりません。したがって、銀行振込による領収の事実を証するために作成される文書であっても、同項が適用され、その作成者は所定の納税義務を負うことになります。
  5. 印紙税の顧客負担について
    次に、ご質問は、インターネット等の情報(記事)等から、印紙税を顧客の負担とすることができるかを尋ねておられます。
    印紙税は、当該文書(領収書)の上に印紙を貼付することによって納付する税です。したがって、領収書に正しく印紙が貼付されていれば納税は完結し、その印紙が何人の負担によって購入されたかについてまで税法が介入することはありません。
    印紙税の納税義務については、上記のように領収書の作成者が納税義務を負うことに定められています。もっとも、商品の販売は経済取引ですから、印紙税の負担を顧客の負担とすることも、顧客が納得する限りは差し支えありません。
    しかし、民法486条は、「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。」と規定しています。
    したがって、通信販売事業者は、印紙税の負担がかかることを理由に受取証書の交付を拒むことはできません。かえって、顧客の側から受取証書を交付しないのならば代金を支払わないという抗弁が出されると、困るのは通信販売事業者の方ではないでしょうか。
    顧客が銀行振込みの方法で支払ってくれることによって、通信販売事業者は代金回収の手間や費用を免れているのであり、銀行振込みを促すために、振込手数料は通信販売事業者の負担として振込金額から差し引いてもよいとする事業者も多数みられるところです。
  6. 最後に、ご質問の趣旨からはずれるかも知れませんが、例外的に印紙税を申告納付する場合には、第三者納付の制度も認められています。
    すなわち、国税通則法41条1項(第三者の納付及びその代位)において、「国税は、これを納付すべき者のために第三者が納付することができる。」と定められていますので、作成者以外の者が印紙税を負担することも許されます。
《法令等》
印紙税法3条1項
印紙税法別表1の17号
印紙税法別表1課税物件表の適用に関する通則の4のハの(一)
国税通則法41条1項
民法486条
注1:
当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2:
当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
注3:
当Q&Aの著作権は株式会社TKCに帰属します。当Q&Aのデータを改編、複製、転載、変更、翻訳、再配布することを禁止します。

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