掲載日:2022.05.30

令和4年度税制改正のポイント

第2回 その他の改正(税制の見直しと期限延長)

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士・公認会計士 宇野元浩

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
税理士 宇野 元浩

令和4年度税制改正では、成長と分配の好循環の実現に向けて、多様なステークホルダーに配慮した経営と積極的な賃上げを促す観点から賃上げに係る税制措置が大幅に見直されました。また、スタートアップと既存企業の協働によるオープンイノベーションを更に促進するための措置が講じられました。
当コラムでは、法人課税を中心に、令和4年度税制改正の概要と主な税制改正の内容について解説します。

1.少額の減価償却資産の損金算入制度の見直しについて

(1) 制度の概要

(2) 改正の内容

 貸付けの用に供される資産については、取得等の時の損金算入が認められません。ただし、貸付が主要な事業として行われる貸付については、損金算入が可能となります。

(3) 適用期間

 貸付けの用に供される資産についての改正は、令和4年4月1日以後取得等する少額資産について適用されます。また、中小企業等の少額減価償却資産の損金算入制度については、適用期間が延長となり、令和6年3月31日までに取得等する少額資産が対象となります。

2.交際費等の損金不算入制度の延長

(1) 制度の概要

(2) 改正の内容

 適用期間が、2年間延長され令和6年3月31日まで適用されます。

3.内国法人の受取配当等に係る源泉不要制度の見直し

(1) 改正の趣旨

 会計検査院より、完全子法人株式等及び関連法人株式等に係る配当等について、受取配当等の益金不算入の適用による全額(関連法人株式等は負債利子を考慮)益金不算入となる法人の源泉徴収された税額が毎期還付となり、還付加算金が多額になること、源泉徴収義務者及び税務当局の事務負担が増大すること等の指摘を受けたことから、適切な対応が可能となる改正が行われました。

(2) 改正の内容

①対象となる法人
 一定の内国法人が対象となり、一定の内国法人には、一般社団法人、一般財団法人、人格のない社団等の法人は除かれます。
②対象となる配当等
 一定の内国法人が受ける次の1)、2)の株式等に係る配当等については、源泉徴収は不要となります。
 1)完全子法人株式等(保有割合100%)
 2)関連法人株式等(保有割合1/3超)
③適用期間
 令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用されます。

4.グループ通算制度の見直し

(1) 投資簿価修正制度の見直し

 通算グループからの子法人の離脱時において一定の要件を満たす場合には、離脱時にその通算子法人(離脱法人)の株式の離脱直前の簿価純資産価額にその資産調整勘定等対応金額を加算することができます。

(2) 離脱時の資産の時価評価制度の見直し

 通算制度からの離脱等に伴う資産の時価評価制度について、「帳簿価額1,000万円未満の営業権」が時価評価制度の対象資産とされます。

(3) 通算税効果額の取扱いの見直し

 通算税効果額から、利子税の額に相当する金額として各通算法人間で授受される金額が除外されます。

(4) 支配関係5年継続要件の見直し

 通算制度開始、加入前に各通算法人で生じた繰越欠損金については、「支配関係5年継続要件」を満たす場合には通算制度に持ち込むことができます。今回の改正で、支配関係5年継続要件のうち以下のものが見直しとなります。

  • ①5年前の日後に設立された通算親法人についての要件の判定

     他の通算法人のうちその設立の日の最も早いものとの間で要件の判定を行うこととされていたものを、他の通算法人のうち最後に支配関係を有することとなった日の最も早いものとの間で行われるものに改正。

  • ②5年前の日後に設立された通算法人に係る要件の判定

    1)通算子法人の判定において、次のものを特例の適用除外に含めます。

    • a.自己を合併法人とする適格合併で他の通算子法人の支配関係法人(通算法人を除く)を被合併法人とするもの
    • b.自己が発行済株式等を有する内国法人(通算法人を除く)で他の通算子法人の支配関係法人であるものの残余財産の確定

    2)通算グループ内の法人間の組織再編成を、特例の適用除外とされる組織再編成から除外します。

(5) 外国税額控除の見直し

 外国税額控除の進行事業年度調整措置について、一定の場合には通算法人に対して調査の結果を説明するものとし、また一定の場合には控除不足相当額又は税額控除超過額相当額にかかる固定措置を不適用とします。

5.子会社株式簿価減額特例の見直し

(1) 改正の内容

 令和2年度の税制改正により、子会社が配当を支払った後に子会社株式を譲渡して譲渡損をつくりだす租税回避スキームに一定の措置(子会社株式簿価減額特例)が設けられました。
 今回の改正では、次のような租税回避とは考えられない配当について、この特例の適用対象から除外することとなりました。

  • ①特定支配関係発生日から増加した利益剰余金の枠内での配当
  • ②子会社と設立時から継続して特定支配関係がある等一定の場合の孫会社からの配当を原資とした子会社の配当
(2) 適用期間

 令和4年4月1日以後に開始する事業年度においてうける配当から適用されます。

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プロフィール

税理士 宇野 元浩(うの もとひろ)
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
TKC中央研修所税制改正プロジェクトメンバー
TKC全国会中央研修所租税法小委員会委員
TKC企業グループ経営支援プロジェクト(Eプロジェクト)リーダ

ホームページURL
税理士法人エフ・エム・エス

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