更新日 2011.04.21

災害時の開示

第15回 国税庁の「災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ」

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公認会計士 中田 清穂TKCシステム・コンサルタント
公認会計士 中田 清穂

災害による決算発表や報告書の期限延長に関する解説や、決算短信や有価証券報告書での記載事例を解説します。

 国税庁は4月8日「災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税」の取扱を公表しました。

 記載されている内容をまとめると下図のようになります。

 国税庁が公表している文書「災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ」は、Q&A形式ですが、少しわかりにくく感じられる方も多いかと思い、理解しやすいように一部表現や説明する順番を変えて、表形式にまとめました。当コラム下部にある、【国税庁 災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ】からダウンロードし、ご確認ください。

 おおむね、今回の東日本大震災による災害に相当程度配慮しつつ、税制の法体系の中で原則を逸脱しない内容になっています。

 ただ、「10.自社製品等の被災者に対する提供」の「②自社製品等の範囲(他社製品を仕入れた場合)」に損金算入を認めた根拠として、「企業のイメージアップなど実質的に宣伝的効果を生じさせ、広告宣伝費に準ずる側面があること」としている部分には、少なからず違和感を覚えました。

 企業は被災地に広告宣伝目的で自社製品を提供しているわけではないと感じるからです。結果的には、損金算入ができるので、税務対応としては問題ないでしょう。まずは、皆様の会社で今回の震災に関連して、上図の大きな項目で該当する項目があるかどうか確認して、該当する項目については、詳細な内容をご確認する流れで利用していただくと良いと思います。

【連結決算における留意点】
  1. 災害見舞金や売掛金の免除などを行う「取引先」が、連結対象子会社に該当する場合で、その金額に重要性がある場合には、連結消去手続きが必要になると思われます。
    イレギュラーな取引なので、失念しないように注意していただきたいと思います。
  2. 災害見舞金や低利又は無利息による融資などを行う「取引先」が、連結対象子会社に該当する場合にも、寄付金としては取り扱われないので、連結納税やグループ法人税の際に、寄付金に関する手続きを行わないように注意していただきたいと思います。

【国税庁 災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ】

また、国税庁の文書「災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ」へのリンクはこちらからです。根拠法令が明示されています。

本文は有限会社ナレッジネットワーク社ホームページの『カレントトピックス(災害時の開示)』に掲載された記事の転載となります。

筆者紹介

公認会計士 中田清穂 (なかた せいほ)
TKC全国会中堅・大企業支援研究会 顧問
TKC連結会計システム研究会・専門委員

著書
『内部統制のための連結決算業務プロセスの文書化』(中央経済社)
『連結経営管理の実務』(中央経済社)
『SE・営業担当者のための わかった気になるIFRS』(中央経済社)

ホームページURL
有限会社ナレッジネットワーク http://www.knowledge-nw.co.jp/

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