TKC全国会 中堅・大企業支援研究会(中大研)

掲載日:2019.02.04

実務に大きな影響が出る「消費税の軽減税率制度とインボイス」

第4回(最終回) 請負契約における経過措置(H31.3.31までの契約が対象!)

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 畑中 孝介

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会
税理士 畑中 孝介

2019年10月1日より、先送りされてきた消費税の10%の引上げと軽減税率が導入されることになりました。また、2019年10月1日から「区分記載請求書等保存方式」を経て、2023年10月1日にはインボイス方式である「適格請求書等保存方式」が導入されます。
当コラムでは、実務面に影響を与える課題についての対応策を講じていただくために、軽減税率とインボイス方式について解説します。

1.請負契約における経過措置の概要

 消費税法上、請負による資産の譲渡等の時期は、原則として相手方に引き渡した日もしくは役務の全部を完了した日とされています。しかし、指定日(平成31年4月1日)の前日、つまり平成31年3月31日までに契約が行われた場合には、引渡しが施行日(平成31年10月1日)以降になった場合であっても旧税率の8%が適用されることになります。また、契約後に追加工事等で契約金額が増加した場合については、全体が新税率の適用を受けるわけではなく、増額分の金額のみが新税率の適用対象となります。
 また、この経過措置の適用を受ける場合には契約の相手方に対し、旧税率の適用を受けたことを"書面(契約書や請求書等)"で通知する必要があります。

2.対象は建築契約だけではない!

 請負契約というと建築等が思い浮かびますが、それ以外にも以下のように意外に広い範囲が経過措置の対象になっています。

  1. 建築請負契約
  2. 製造請負契約
  3. 測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、立案及び監理並びに設計
  4. 映画の制作
  5. ソフトウエアの開発
  6. その他の請負に係る契約(修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、情報提供、検査・検定等の事務処理、市場調査)

 請負契約というと建築契約をイメージする方が多いと思いますが、「仕事の完成に長期間を要し、かつ、当該仕事の目的物の引渡しが一括して行われることとされているもので、契約に係る仕事の内容につき相手方の注文が付されているもの」とされていますので、対象は建築契約に限らないこととなります。
 なお、平成30年税制改正により長期割賦販売に関する措置は廃止されています。

3.リフォーム・修理・大規模修繕でも適用あり

 経過措置の取扱いは、上述の「2.対象は建築契約だけではない!」に記載の通り、建築の請負契約にとどまりません。
 住宅関連であれば、以下のものも経過措置の対象となります。

  1. リフォーム
  2. 修繕
  3. 改修工事

 自宅のリフォームやバリアフリー等の改修工事、自宅や賃貸物件の修繕・大規模修繕等の工事も同様になりますので、特に期間が長くなるような大規模修繕等では早めの計画と契約が重要になります。

4.マンション購入の場合の留意点

 一般的なマンションの分譲の場合には、請負契約ではなく資産の譲渡契約となりますので上述の経過措置の適用は受けられません。
 しかし、建売住宅やマンション等の建物の譲渡に係る契約であっても、建物の内装・外装・設備などに注文工事がある場合には、経過措置の適用対象となると思われます。特別な注文等が無い場合には請負工事ではなく、単なる完成物の引渡しとなり、経過措置が受けられないことが考えられます。

5.その他の経過措置

 消費税の経過措置は、上記以外にも旅客運賃、通信販売、資産の貸付けなどに適用されます。

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プロフィール

税理士 畑中 孝介(はたなか たかゆき)
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会 幹事
  連結納税システム普及部会会員
  新サービス開発プロジェクトリーダー
TKC企業グループ税務システム小委員会委員
TKC中央研修所税制改正プロジェクトメンバー
TKC全国会中央研修所租税法小委員会委員

著書等
  • 『Q&A 改正消費税・税率アップ・軽減税率への実務対応』(TKC出版)
  • 『平成30年度 すぐわかるよくわかる税制改正のポイント』(共著・TKC出版)
  • 『電子申告義務化への実務対応』(共著・TKC出版)
  • 『Q&A 平成30年度税制改正の留意点』(TKC出版)
  • 『Q&A IT環境に対応した国税関係書類のスキャナ保存制度』(TKC出版)
  • 『税務に強い会社は成長する!!』(大蔵財務協会)
  • <情報誌>
  • 『税務分野における電子化の今後の動向』「週刊税務通信(3525号)」
  • 「日経産業新聞」「日刊工業新聞」「旬刊・経理情報」「税務弘報」などにも執筆
システム・コンサルティング事例
ホームページURL
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