掲載日:2019.12.09

疑問を解消!印紙税よくある質問Q&A

第1回 印紙税よくある質問Q&A(その1)

TKC税務研究所

印紙税は、「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となりますが、その文書等の内容や金額によって税額が異なり、正しく税額を判断するのが難しい場合もあります。
そこで、当コラムでは、全3回で、TKCグループに寄せられた400件の印紙税に関する問合せの中から、問合せの多い11の質問・回答をご紹介します。

TKC税務研究所

【Q1】電子メールによる領収書と印紙税

  1. 仕入先A社から、国税庁HPに記載されている「コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い」の文書回答を根拠として、「今後、領収書は紙での発行を止め、電子メールで送付するので印紙の貼付を取り止めます。」との文書が送付されてきました。
  2. 上記文書回答の(問2)の(答)1.には、「請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません。」とあります。
    これは、「コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する取扱い」だけではなく、広く他の領収書等に対しても適用され、電子メールによる領収書には印紙税が課されないと考えて良いか、お尋ねします。

【A1】

  1. 印紙税法3条1項等にいう「文書」の意義については、特別の規定が置かれておりませんので、特段の事情がない限り、その意義については通常の用法に従って解釈することになり、そして、法令上の「文書」の意義については、「文字その他の記号によって、一定の思想を表現している有形物」、「紙片等に文字その他の符号をもって何らかの思想を表示したもの」と解されていることに加え、印紙税の納付については、特別の場合(印紙税法9条~12条)を除き、印紙税に相当する金額の印紙を、当該文書の作成の時までに、当該課税文書に貼り付ける方法により納付しなければならないとされていること(同法8条1項)を考慮しますと、電子形態である領収書ファイルは、印紙税法にいう「文書」に該当しないと考えられます。
    したがって、領収書ファイルを電子メールで送信したことにより、課税物件表第17号文書の納税義務を生ずることにはならないと考えられます。
  2. 上記文書回答の「請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません。」との部分は、当該文書照会の事例の場合、送信の相手方が貸付人であることから、「貸付人に対して提出する場合」となっているものであり、課税物件に当たらないとする理由は、「実際に文書が交付されませんから」との部分にあり、したがって、上記文書回答の取扱は、領収書を電子メールで送信する場合にも妥当すると解されます。
    なお、同旨の文書回答事例として、「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」があります。
《法令等》
印紙税法基本通達44条
印紙税法基本通達49条

【Q2】注文請書の印紙税について

 A社は、建設業です。発注者からA社に注文書(発注書)が届きます。A社は、注文を受ける書面「注文請書」を発行します。
 この注文請書には、印紙税は必要ですか。当該「注文請書」は、何号文書に当たりますか。
 この場合、どのような特例措置がありますか。

【A2】

  1. ご質問の趣旨によれば、発注者から注文書(発注書)が届けられると、A社は、これに対応して「注文請書」を作成して発注者に交付するとのことです。
  2. この注文請書は、建設工事の請負契約が成立したことを証する目的で作成されるものであり、印紙税法別表第一の2号文書(請負に関する契約書)に該当します。
    なお、請負に係る契約金額については、その注文請書に具体的金額が記載されていなくても、見積書又は注文書において契約金額が記載され、契約当事者間において契約金額が明らかである場合又は契約金額の計算ができる場合には、その金額が契約金額とされますので、ご注意ください。
  3. 2号文書に関する特例措置としては、建設業法2条1項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成される契約書(建設工事請負契約書)のうち、記載された契約金額が1,000万円を超えるもので、平成9年4月1日から平成26年3月31日までの間に作成されるものについては、(1)のとおり、また、平成26年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成される建設工事請負契約書で、記載された契約金額が100万円を超えるものについては、(2)のとおり、それぞれ税額が軽減されております(租税特別措置法91条1項・3項)。

(1)

記載された契約金額
1000万円を超え5000万円以下のもの
5000万円を超え1億円以下のもの
1億円を超え5億円以下のもの
5億円を超え10億円以下のもの
10億円を超え50億円以下のもの
50億円を超えるもの

税率
1万5000円
4万5000円
8万円
18万円
36万円
54万円

(2)

記載された契約金額
100万円を超え200万円以下のもの
200万円を超え300万円以下のもの
300万円を超え500万円以下のもの
500万円を超え1000万円以下のもの
1000万円を超え5000万円以下のもの
5000万円を超え1億円以下のもの
1億円を超え5億円以下のもの
5億円を超え10億円以下のもの
10億円を超え50億円以下のもの
50億円を超えるもの

税率
200円
500円
1000円
5000円
1万円
3万円
6万円
16万円
32万円
48万円

《法令等》
印紙税法別表一の2号
印紙税法基本通達24条関係(7)
租税特別措置法91条

【Q3】注文書及び注文請書と印紙税

 B社は自社工場建設に当たり、建設業を営むA社に対して「工事注文書」(本件注文書)を作成交付してその建設を依頼し、A社において当該工場建設を引き受けるときは「工事請書」(本件請書)を作成交付する予定であり、本件注文書はA社において、本件請書はB社においてそれぞれ保存されます。
 そこで質問ですが、B社が作成する本件注文書に印紙を貼付する必要はないのでしょうか。なお、本件注文書には、「下記工事を基本請負契約書にもとづき注文いたしますのでお引受けの際は折り返し工事請書を提出下さい。」と記載されています。
 また、A社が注文を引き受ける際に作成する本件請書には、本件注文書にある「注文No.」及び「工事番号」が記載され、その記載された工事に係る注文を受ける旨が記載されていますが、この本件請書に印紙は必要でしょうか。
 ところで、今まで他の会社とは、工事請負書を2部作成し、両社がそれぞれ印紙を貼付して保存していました。工事注文書と工事請書に分けるのは印紙税法上や他の法律関係の上で問題はないのでしょうか。
 ご教示の程よろしくお願いします。

【A3】

  1. 印紙税法にいう「契約書」の意義等について
    印紙税法別表第一「課税物件表の適用に関する通則」5は、「第1号、第2号、第7号及び第12号から第15号において『契約書』とは、契約証書、協定書、約定書その他名称のいかんを問わず、契約(その予約を含む。以下同じ。)の成立若しくは更改又は契約の内容の変更若しくは補充の事実(以下『契約の成立等』という。)を証すべき文書をい」うと規定しております。
    ご照会は、B社を注文者、A社を請負者とする、工場建設工事に関する本件注文書及び本件請書の印紙税の課非についてですので、本件にあっては、これらの文書が上記にいう「契約の成立」を証すべき文書に当たるかを検討することになります。
  2. 本件注文書について
    (1) 契約は、一般的に、互いに対立する2個以上の意思表示の合致、すなわち、一方の申込みと、他方の承諾により成立する法律行為をいうと解されており(印紙税法基本通達第14条参照)、注文書は、一方の意思表示(申込み)を記載した文書に過ぎないことから、原則として、契約書には当たらないと解されておりますが、標題が「注文書」であっても、相手方の申込みに対する承諾であり、その文書により意思が合致する(契約が成立する。)ことになると解される場合、例えば、取引基本契約に基づいて注文を行う旨が記載されているにとどまり、別途、請書等の提出が必要である旨が示されていない場合には、上記に照らし、「2個以上の意思の合致」、すなわち、契約の成立を証すべき文書(契約書)に当たることになります。
    (2) 本件注文書については、「下記工事を基本請負契約書に基づき注文いたします」と記載されているものの、続けて、「お引受けの際は折返し工事請書をご提出下さい。」と記載されていることから、上記(1)に照らし、「契約書」(請負に関する契約書)に該当しないと考えられます。
  3. 本件請書について
    本件請書には、B社に対して、「注文No.」、「工事番号」で注文があった工事を引き受ける旨が記載されていることから、B社からの工事の注文(申込)をA社が承諾したこと(契約の成立)を証明目的とした文書と解されることになるため、本件請書は、「請負に関する契約書」(第2号文書)に該当すると考えられます。
  4. 工事請負書を工事注文書と工事請書に分けることについて
    上記2(1)のとおり、契約は、「一方の申込み」と「他方の承諾」によって成立する法律行為であり、前者にあっては「注文書」などと題する文書が、後者にあっては「注文請書」などと題する文書が、それぞれ作成されるのが一般的ですので、「工事注文書と工事請書に分けるのは印紙税法上や他の法律関係の上で(何ら)問題がない」ということになります。
《法令等》
印紙税法別表一「課税物件表の適用に関する通則5」
印紙税法基本通達14条

【Q4】継続的取引の基本契約書の印紙税

 別紙の「傭車(外注)契約書」と「業務代行基本規約書」についての印紙税法の取扱いを教えてください。
 当社の運送業務を代行してもらう業者との間で、「傭車(外注)契約書」に業者の押印をもらい、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)として収入印紙4千円を貼って、原本は当社に保管し、コピーを業者に渡しております。それと同時に「業務代行基本規約書」も、業者に渡し保管してもらうよう指示しております。業務代行基本規約書には収入印紙を貼っておりません。
 このような場合、業務代行基本規約書も課税文書(第7号文書)として収入印紙の対象となってくるのでしょうか。
 仮に、課税文書になるならば、当社が保管している傭車(外注)契約書と業務代行基本規約書とを一緒に袋とじにして割印を押印しておき、この文書一式をコピーし、業者に渡し保管をしてもらう、といった方法でもよろしいのでしょうか。
 また、その割印は、相手の業者の印鑑を押さず、当社の印鑑のみでも良いのでしょうか。

【A4】

  1. 「業務代行基本規約書」は、貨物運送事業を行うA社が特定の独立した事業者(「業務代行事業主」と表現されている)との間で締結した運送業務の委託に関する契約書であって、委託する業務の内容がA社の行う運送業務であること、その業務に従事する作業員は輸送業務の経験者であるべきこと、作業員に対する教育訓練は業務代行事業主の責任で行うこと、業務委託の報酬は(単価)は別途定めること、その支払は毎月末仕切りで翌々月10日払いであって、業務代行事業主の銀行預金口座への振込の方法によること、契約期間は、必要の都度協議して定めること、作業員の教育期間中の待遇として日当の単価を定めていること、車両事故や荷物事故による損害金を定めていることなどを内容としています。
    この契約書は、運送業務の委託に関する契約の基本的事項を定めるものであって、印紙税法上の7号文書《継続的取引の基本契約書》の要件を充たすものと考えます。
    次に、傭車(外注)契約書は、A社と業務代行事業主との間で、業務代行基本規約書を前提として、具体的に月間取引量(金額)を定め、取引開始日、仕切日、支払方法として(1)小切手(現金)、(2)振込、(3)手形の金額ないし構成比(パーセント)を約定し、取引銀行の口座を特定する記載があり、これも印紙税法上の7号文書《継続的取引の基本契約書》の要件を充たすものと考えます。
  2. この二つの文書は、それぞれ独立して7号文書《継続的取引の基本契約書》の要件を充たしていますから、それぞれに印紙を貼付する必要がありますが、この二つの文書が同じ時期に作成され、形式上も一の文書として袋とじにして割印を押印するなどの措置が講じられていれば、一の文書として取り扱われます(印紙税法基本通達5条参照)。
    ただし、日時を異にして作成された文書は、たとえ袋とじにしている場合であっても、原則に立ち返って、2個の文書として課税の対象となります。
  3. 一の文書における割り印については、ご質問の趣旨によれば、A社の文書としてのみ作成するということですから、A社の印鑑だけで割り印をしても差し支えないものと考えます。
    なお、契約の相手方(業務代行事業主)にコピーを渡すということですが、それが当事者間において証明の用をなさない、単なるコピーであれば課税文書にはなりませんが、例えば、これにA社が謄本である旨の証明を加えたり、あるいは正本との間で契印(割り印)を押すなどの行為がある場合には、課税文書となりますから、ご注意ください。
《法令等》
印紙税法4条
印紙税法別表第一の7号
印紙税法基本通達5条
注1:
当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2:
当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
注3:
当Q&Aの著作権は株式会社TKCに帰属します。当Q&Aのデータを改編、複製、転載、変更、翻訳、再配布することを禁止します。

この連載の記事一覧へ

免責事項

  1. 当コラムは、コラム執筆時点で公となっている情報に基づいて作成しています。
  2. 当コラムには執筆者の私見も含まれており、完全性・正確性・相当性等について、執筆者、株式会社TKC、TKC全国会は一切の責任を負いません。また、利用者が被ったいかなる損害についても一切の責任を負いません。
  3. 当コラムに掲載されている内容や画像などの無断転載を禁止します。
会計・税制の改正情報をいち早くお知らせします!メールマガジン配信申込みはこちら