更新日 2022.12.19

令和6年度(令和6年1月提出期限分) 償却資産申告の留意点~よくある質問Q&A~

令和6年度(令和6年1月提出期限分) 償却資産申告の留意点~よくある質問Q&A~

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TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 佃 百合

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会

税理士 佃 百合

毎年1月31日までに市区町村へ提出する償却資産申告の実務上の留意点をQA形式で解説します。

当コラムのポイント

  • 償却資産申告にあたり基礎的だけど重要な論点をまとめましたので、償却資産についての概要を掴んで頂けます。
  • 特に、国税(法人税・所得税)と異なる償却資産特有の論点について確認して頂くことが可能です。
目次

【Q1】どのような資産が償却資産の対象となりますか?

【A1】

 償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、その減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上、損金又は必要な経費に算入されるもののうち、その取得価額が少額である資産その他の政令で定める資産以外のもの(これに類する資産で法人税又は所得税を課されない方が所有されているものも含みます。)をいいます。
 たとえば、会社や個人で事業を行っている方が事業のために用いることができる構築物、機械、器具、備品等が対象となります。
 賦課期日(1月1日)現在所有している償却資産を、その年の1月31日までに、資産が所在する市区町村に申告します。

【Q2】申告の対象となる資産で注意を要するものにはどのようなものがありますか?

【A2】

 1月1日現在において、事業の用に供することができる資産が対象となります(事業の用に供している資産ではありません。)。
 次に掲げる資産も申告が必要になりますので、ご注意ください。

  • (1) 償却済資産(耐用年数が経過した資産)
  • (2) 建設仮勘定で経理されている資産(完成して事業の用に供している部分)及び簿外資産
  • (3) 遊休又は未稼働の資産
  • (4) 改良費(資本的支出:新たな資産の取得とみなし、本体とは区分して取扱います。)
  • (5) 福利厚生の用に供するもの
  • (6) 使用可能な期間が1年未満又は取得価額が20万円未満の償却資産であっても個別に減価償却しているもの
  • (7) 租税特別措置法の規定を適用し、即時償却等をしているもの

注:(6)及び(7)については、下表 <少額の減価償却資産の取扱いについて> をご参照ください。

【Q3】申告の対象とならない資産にはどのようなものがありますか?

【A3】

 次に掲げる資産は、償却資産の対象とならないので申告の必要はありません。

  • (1) 自動車税・軽自動車税の課税対象となるべきもの(実際に自動車税等が課されている必要はありません。)
    例:小型特殊自動車に分類されるフォークリフト等
  • (2) 無形固定資産
  • (3) 繰延資産
  • (4) 少額の減価償却資産のうち、【Q2】の表 <少額の減価償却資産の取扱いについて> で「対象外」となっているもの

【Q4】建物附属設備については注意が必要と聞きましたが、詳しく教えてください。

【A4】

 家屋(建物)には、電気設備、給排水設備、衛生設備、空調設備、運搬設備等の建築設備(家屋と一体となって家屋の効用を高める設備)が取り付けられていますが、固定資産税においては、それらを家屋と償却資産に区分して評価しています。

  • (1) 家屋と設備等の所有者が同じ場合
    独立した機器としての性格が強いもの、特定の生産又は業務の用に供されるもの等については、償却資産として取扱います。
    東京都主税局ホームページに「償却資産と家屋の区分表」が掲載されています。
    注:自治体によって取扱いが異なる場合があります。
  • (2) 家屋と設備等の所有者が異なる場合
    賃借人(テナント)等(家屋の所有者以外の者をいいます。)が取り付けた事業用の内装・造作及び建築設備等については、償却資産として取扱います。これらの設備は、賃借人(テナント)等が償却資産として申告します。

【Q5】年の途中で償却資産を売却・廃棄したり、償却資産が所在する市区町村を移動したりした場合はどうなりますか?

【A5】

 固定資産税は、賦課期日(1月1日)現在の所有者に対して課税されますので、1月2日以降に所有権の移転や廃棄が行われても、その年度の納税義務者や税額に変更はありません。
 また、賦課期日(1月1日)現在の資産が所在する市区町村で課税されます。
 売却・廃棄、移動があった翌年の申告で減少(移動の場合、受入れた市区町村では増加)した旨を記載した申告書を提出します。

【Q6】免税点とは何ですか。また、免税点となる課税標準額はいくらですか。

【A6】

 免税点とは、課税標準額が一定の金額未満の場合に課税しないこととされている場合の、その一定の金額をいいます。償却資産においては、課税標準額が150万円未満の場合には固定資産税を課することができないとされています。なお、課税標準額は、各資産の評価額を資産が所在する市区町村ごとに合算した額です。
 また、課税標準額の合計が150万円未満(免税点)の場合でも、償却資産申告書の提出は必要ですのでご注意ください。

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TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 佃 百合

税理士 佃 百合(つくだ ゆり)

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