令和7年度 法人税申告書の様式改正

令和7年度 法人税申告書の様式改正

更新日 2025.12.18

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TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 小山勝

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税理士 小山 勝

令和7年度税制改正に伴い、令和7年4月1日以後に終了する事業年度から、法人税申告書様式が改正されたものがあります。その中からいくつかをとりあげて、確認していきます。

当コラムのポイント

  • 令和7年度の税制改正においては、新しい制度の創設や既存制度の見直しが行われました。
  • この税制改正と関連して、法人税申告書の様式が追加・改正されました。
目次

 令和7年4月14日に官報で公布された「法人税法施行規則の一部を改正する省令」を受けて、令和7年の法人税申告書の様式が改正されました。原則として、企業においては、令和7年4月1日以後に終了する事業年度から、これら改正後の様式を使用していくことになります。そこで、いくつか主要な改正点を確認していきましょう。

1.令和7年度で様式が改正された法人税申告書

 様式が新設又は改正された法人税の申告書別表は以下の表のとおりです(※印は、新設された別表です)。

 令和7年度の税制改正と関連して、法人税申告書の別表4、別表6(6)、別表6(24)、別表16(4)などの様式が改正されました。また、別表10(5)などの様式が新設されました。

 なお、国税庁のホームページでは、今回の改正省令に対応した各種別表がPDFファイルで公表されています。必要に応じてご利用ください。

2.令和7年度の様式での主要な改正点

 ここからは、令和7年度で様式改正された法人税申告書の別表のうち、主要なものを確認していきましょう。

※改正された欄には赤枠、記載要領の追加があった欄には緑枠をつけています。

別表4:所得の金額の計算に関する明細書

別表6(6):法人税の額から控除される特別控除額に関する明細書

別表6(24):給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書

別表10(5):特許権等の譲渡等による所得の特別控除に関する明細書

別表16(4):旧国外リース期間定額法若しくは旧リース期間定額法又はリース期間定額法若しくは経過リース期間定額法による償却額の計算に関する明細書

別表17(3):添付対象外国関係会社の名称等に関する明細書

(1) 別表4:所得の金額の計算に関する明細書
様式改正の概要・背景

 令和7年度税制改正により、法人税申告書の別表4では、加算・減算項目の一部が見直され、新しい欄が追加されました。主には、新設されたイノベーションボックス税制の適用に伴う減算欄(所得控除額)が設けられました。

(2) 別表6(6):法人税の額から控除される特別控除額に関する明細書
様式改正の概要・背景

 令和7年度において、中小企業経営強化税制や事業適応設備を取得した場合等の法人税額の特別控除などの税制優遇措置が改正されたことを受けて、特別控除制度の名称や他の別表への参照欄の番号などが見直されました。

(3) 別表6(24):給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書
様式改正の概要・背景

 令和6年度の様式では、令和6年3月31日以前に開始した事業年度の場合と、令和6年4月1日以後に開始する事業年度の場合とで、それぞれ区別して設けられた記載欄がありました。令和7年度の様式では、それらの区別が無くなりました。

(4) 別表10(5):特許権等の譲渡等による所得の特別控除に関する明細書
様式改正の概要・背景

 令和7年度税制改正で新設されたイノベーションボックス税制の適用を受けるときに作成する別表10(5)等が新設されました。
 経過措置(※)に関する記載欄があるので、該当する場合は記載が必要です。

(※)特定特許権等のいずれかに直接関連する研究開発費が令和7年3月31日以前開始事業年度において生じている場合

(5) 別表16(4):旧国外リース期間定額法若しくは旧リース期間定額法又はリース期間定額法若しくは経過リース期間定額法による償却額の計算に関する明細書
様式改正の概要・背景

 新リース会計基準等を踏まえ、令和7年度税制改正においてリース期間定額法の見直しがされました。この見直しに伴って経過措置が設けられたことにより、別表の名称や記載欄の文言が一部見直されました。

 なお、経過措置の適用を受けようとする場合は、その事業年度に係る確定申告書の提出期限までに、一定の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

(6) 別表17(3):添付対象外国関係会社の名称等に関する明細書
様式改正の概要・背景

 令和7年度税制改正において外国子会社合算税制等が見直され、申告書に添付等することとされている外国関係会社に関する書類の範囲から、次の2つが除外されました。

  • 株主資本等変動計算書及び損益金の処分に関する計算書
  • 貸借対照表及び損益計算書に係る勘定科目内訳明細書

 これを受けて別表17(3)の記載要領が変更され、令和7年4月1日以後に開始する事業年度である場合は、添付書類の欄からこれらの書類名を消すこととされました。

3.まとめ

 令和7年度においては、法人税の申告書別表の様式は、昨年度からそれほど大きな変更はありません。そのため、企業の経理担当者におかれましては、基本的には昨年度とほとんど変わりなく実務を進められるものと思われます。
 ただ、新設されたイノベーションボックス税制の適用を受ける場合は、別表10(5)など新たな様式の別表の作成が必要です。適用を受ける場合は、国税庁の記載の手引きや市販されている書籍を参照したり、あるいは、税理士などの専門家に相談するなどして、誤りなく作成するようにしましょう。

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TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 小山勝

税理士 小山 勝(こやま まさる)

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
TKC企業グループ税務システム普及部会会員
TKC全国会 システム委員会 FXクラウド(固定資産)小委員会会員

略歴
2011年9月まで株式会社TKC勤務を経て、現在、税理士法人青山アカウンティングファームに勤務。株式会社TKCでのシステム設計・営業経験を活かし、上場企業から中小企業までの税務顧問業務、会計・税務申告システムの導入・運用コンサルティング等に従事。
主要著書
ホームページURL
税理士法人 青山アカウンティングファーム

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