掲載日:2016.01.12
スキャナ保存制度(電子帳簿保存法)の改正
第4回 緊急追加 スマホ撮影も認められることに!~平成28年度税制改正速報

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
税理士 畑中 孝介
平成27年の税制改正により、電子帳簿保存法の一部が改正され、スキャナ保存制度の要件等が大幅に緩和されました。新制度は平成27年9月30日以後の申請から適用されます。当コラムでは、スキャナ保存制度を中心に電子帳簿保存法の改正について解説します。
平成27年度税制改正において領収書等のスキャナ保存制度は、対象範囲が拡大するとともに厳しかった要件が大幅に緩和されました。平成27年12月16日に発表されました平成28年税制改正大綱においてはさらに要件が緩和されデジカメ・スマホ等での撮影についても認められることになりました。この改正は平成28年9月30日以後の承認申請から適用される予定です。
1.平成28年度税制改正によるスキャナ保存制度の改正の概要
- ①原稿台と一体となったものに限る→廃止されスマホ・デジカメも対象となります。
- ②デジカメ・スマホ機器に関する階調要件の整備が行われます。
- ③スキャナに、デジカメ・スマホ等の機器が含まれることが明記されます。
- ④ただし、デジカメ・スマホの場合には従業員が受領後“特に速やかに”(3日以内)にタイムスタンプを付与することが必要になります(現行は“速やかに”(1週間以内))。
2.相互けん制要件及び定期検査要件についての見直し
また、適正処理要件のうち、相互けん制要件・定期検査要件も一部改正になります。
- ①デジカメ・スマホ撮影の場合には経理担当者等が記録事項の確認を行うことになります。その場合必ずしも原本を確認しなくてもいいこととされます(必要に応じ原本を確認します)。
- ②定期検査を終了するまでの原本保存については本店・支店・事務所・事業所等での保存とされます。
- ③小規模事業者については定期検査要件を税務代理人の検査でも可とされます。そのことで従業員の少ない企業においてもスキャナ保存制度の導入が可能となります(現行は受領者・経理担当者・検査担当の最低3名が必要ですが、導入後は企業の担当者+税務代理人の2名での導入が可能となります)。
出典:経済産業省「平成28年度経済産業関係税制改正について」
プロフィール
税理士 畑中孝介(はたなか たかゆき)
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会
連結納税システム普及部会会員
新サービス開発プロジェクトリーダー
TKC企業グループ税務システム小委員会委員
TKC中央研修所税制改正プロジェクトメンバー
TKC全国会中央研修所租税法小委員会委員
- 著書等
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- 『税務に強い会社は成長する!!』(大蔵財務協会)
- 『平成27年度 すぐわかるよくわかる税制改正のポイント』(共著・TKC出版)
- 『企業グループの税務戦略-グループ法人税制・連結納税制度の戦略的活用-』(TKC出版)
- 「消費税「95%ルール改正」の実務対応 」(共著・TKC出版)
「日経産業新聞」「日刊工業新聞」「旬刊・経理情報」「税務弘報」などにも執筆
- システム・コンサルティング事例
- ホームページURL
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