更新日 2019.09.30

さあ始めよう!電子申告 ー義務化に備えてー

第2回 電子申告の実務-電子証明書を取得しよう-

  • twitter
  • Facebook
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会 連結納税システム普及部会会員 税理士 宮﨑純子

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会
連結納税システム普及部会会員
税理士 宮﨑 純子

2020年4月1日以後開始する事業年度から、大法人は法人税・消費税・地方税の電子申告が義務化されます。当コラムでは、電子申告義務化に備えて事前準備から電子申告までの実務を全6回で解説いたします。

※令和元年9月10日現在国税庁・地方税共同機構HPで公表されている情報をもとに記載しています。

 電子申告を行うためには、まずは電子証明書を取得する必要があります。電子証明書は、電子申告の際「印鑑」の役割をするものです。今回は、電子証明書の種類及び取得方法について解説します。

1.電子証明書の種類

 電子申告で使用できる電子証明書の種類は、以下のとおりです。

 国税e-Taxで使用できる電子証明書

 地方税eLTaxで使用できる電子証明書

 これらのうち、よく使われている電子証明書は、「商業登記に基づく電子認証制度の電子証明書(商業登記電子証明書)」と「個人番号(マイナンバー)カード」です。

(1) 商業登記に基づく電子認証制度の電子証明書(商業登記電子証明書)

 商業登記に基づく電子認証制度は、登記所が管理する登記情報に基づき、法人の代表者に電子証明書を発行する制度であり、発行機関は、法務省 商業登記認証局です。有効期間は、3か月から27か月までの間で選択することができ、有効期間に応じた発行手数料を納付する必要があります。

この電子証明書は電子ファイル形式で発行されるため、ICカードリーダライタは不要です。

(2) 個人番号(マイナンバー)カード

 マイナンバーカードの発行機関は、地方公共団体情報システム機構であり、発行手続きは市区町村で行います。マイナンバーカードの有効期間は発行から10回目の誕生日までですが、電子証明書の有効期間は発行から5回目の誕生日まで(更新可能)です。発行手数料は、当面は無料とされています。マイナンバーカードの電子証明書を使用するには、ICカードリーダライタが必要です。

2.電子証明書の取得方法

 最も多くの企業に使用されている「商業登記に基づく電子認証制度の電子証明書(商業登記電子証明書)」の取得方法は以下のとおりです。後述しますが、電子証明書の取得は、Web手続きだけでは完結できず、登記所へ申請書などを持参又は郵送する必要があります。

(1) 電子証明書を取得するための専用ソフトウェアのインストール

 まず、電子証明書の発行申請をするために必要なファイルを作成するため、専用ソフトウェアをパソコンにインストールします。

 法務省が提供する専用ソフトウェア「商業登記電子認証ソフト」は、 ダウンロードページ から無償でダウンロードすることができます。

(2) 電子証明書発行申請に必要なファイルの作成

 電子証明書の発行申請には、「鍵ペアファイル及び証明書発行申請ファイル」を作成する必要があります。「商業登記電子認証ソフト」に必要事項を入力した後、下図の赤枠のボタンをクリックすると、電子証明書の取得に必要なファイル(鍵ペアファイル及び証明書発行申請ファイル、発行申請書・委任状ファイル)が作成されます。

(3) 電子証明書の発行申請

 法人の本店又は主たる事務所の所轄登記所に、電子証明書の発行申請を行います。
 ①管轄登記所に届け出た印鑑を押印した電子証明書発行申請書(手数料分の収入印紙又は登記印紙を貼り付けたもの)及び②証明書発行申請ファイル(CD、DVD又はUSBメモリに格納したもの)を提出するとともに③代表者本人を確認するための法務局印鑑カードを提示します。郵送により申請する場合は、切手を貼付した返信用封筒を併せて送付してください。

 管轄登記所で電子証明書の発行手続が完了すると、電子証明書のシリアル番号が記載された「電子証明書発行確認票」が交付されますので、受領して内容を確認します。

(4) 電子証明書の取得

 電子証明書の発行手続が完了すると、「商業登記電子認証ソフト」に、鍵ペアファイルの指定、鍵ペアファイルのパスワード、シリアル番号などを入力して、電子証明書を取得(ダウンロード)できます。シリアル番号は、管轄登記所から交付された「電子証明書発行確認票」に記載されています。

3.ICカードリーダライタの準備

 ICカードリーダライタとは、ICカードに記録された電子情報を読むための機器です。電子証明書がICカード形式の場合には、ICカードリーダライタを購入する必要があります。商業登記電子証明書の場合には、購入不要です。

(1) ICカードリーダライタの購入

 マイナンバーカードを使用する場合には、公的個人認証サービスに対応した機器が必要となりますので、購入の際は「 マイナンバーカードに対応したICカードリーダライタの一覧表 」をご確認ください。
 その他のICカード形式の電子証明書を使用する場合には、専用機器の購入申し込みが必要となるなど手続きが異なりますので、各発行機関のホームページでご確認ください。

(2) パソコン環境設定

 ICカードリーダライタを利用するには、パソコンに専用ドライバを登録する必要があります。ICカードリーダライタに付属のCD-ROMやICカードリーダライタメーカーのホームページなどから、最新バージョンのドライバをインストールしてください。
 また、電子署名を行うには、使用するパソコンに電子証明書用のソフトウェアの登録が必要です。登録方法は、各電子証明書に添付の導入手順書などをご確認ください。
マイナンバーカードの電子証明書を使用する場合には 、利用者クライアントソフト をダウンロード・インストールしてください。

  • twitter
  • Facebook

この連載の記事

テーマ

プロフィール

この執筆者の記事一覧へ

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 TKC企業グループ税務システム普及部会会員 税理士 宮﨑純子

税理士 宮﨑 純子(みやざき じゅんこ)

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
TKC企業グループ税務システム普及部会会員

ホームページURL
税理士法人土田会計事務所

免責事項

  1. 当コラムは、コラム執筆時点で公となっている情報に基づいて作成しています。
  2. 当コラムには執筆者の私見も含まれており、完全性・正確性・相当性等について、執筆者、株式会社TKC、TKC全国会は一切の責任を負いません。また、利用者が被ったいかなる損害についても一切の責任を負いません。
  3. 当コラムに掲載されている内容や画像などの無断転載を禁止します。