掲載日:2022.03.22

グループ通算制度の体制構築チェックポイント

第1回 グループ通算制度体制構築のポイントの概要

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 畑中 孝介

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会
税理士 畑中 孝介

いよいよ、令和4年4月1日以後に開始する事業年度からグループ通算制度が始まります。
当コラムでは、グループ通算制度において重要になる“子会社を含めたグループ全体”の体制構築のためのポイントを整理し、6回にわたり各ポイントについて解説します。

はじめに

 いよいよ、令和4年4月1日以後に開始する事業年度からグループ通算制度が始まります。
 当コラムでは、グループ通算制度において重要になる“子会社を含めたグループ全体”の体制構築のためのポイントを整理し、6回にわたり各ポイントについて解説します。
 各会の内容は以下の通りです。
 第1回 グループ通算制度の体制構築のポイントの概要
 第2回 通算子法人の準備事項
 第3回 申請書の書き方、手続き関連
 第4回 地方税・消費税
 第5回 電子申告について(電子申告義務化の注意点)
 第6回 電子納税について

1.グループ通算制度の概要

 グループ通算制度は、単体納税をベースにしながらも、一部損益通算や税額控除などグループの要素が含まれているという特徴があります。
 大きな枠組みは連結納税制度と同じ仕組みになっていますが、申告納税は単体ベースを基本としています。修更正に関しては原則として、影響は修更正の当該法人のみに限定されており、それ以外の法人は当初申告額で固定されて影響が及ばない遮断措置が講じられています。
 また、連結納税制度と同様に、法人税はグループ通算制度の適用を受けますが、地方税や消費税は単体納税申告となりますので注意が必要です。

2.グループ全体で調整すべき項目

 グループ通算制度においても、基本的な枠組みは各社単体申告の所得の合計がグループ通算制度での所得の合計になりますが、一部の損益通算や税額控除ではグループ全体計算となる項目があります。グループ全体計算項目等で注意しないといけない点は、単体申告時では税額控除等の対象にならなかったため別表を作成していなかった場合でも、グループ通算制度では、グループ通算項目のためグループ全体で別表を作成する必要があることになり、改めて情報収集等が必要になります。例えば、研究開発税制の場合には当年度だけではなく過去3年間の売上や研究開発費のデータも必要になります。

 グループ通算制度において、グループ全体での視点が必要な主要な項目として以下の項目があげられます。

(1) グループ法人税制での全体計算項目

  • 譲渡損益調整資産
  • 受取配当等の益金不算入(グループ全体での保有割合で判定)
  • グループ内寄附金の損金不算入・益金不算入
  • 貸倒引当金のグループ内債権対象外
  • 収用等の特別控除額のグループ通算
  • 中小法人の判定
  • 外国子会社配当

(2) グループ通算制度でのグループ全体計算項目

  • 損益通算
  • 試験研究費税額控除
  • 外国税額控除
  • 租税特別措置の適用除外規定

(3) 税効果計算への影響

  • 税効果計算もグループ通算制度下での計算が必要

(4) その他

  • 電子申告の義務化(規模にかかわらずグループ全体が電子申告義務化対象になる)
  • 電子申告の義務化には勘定科目内訳明細書・財務諸表等の添付書類も含まれる
  • 加入時の時価評価
  • 加入時の欠損金の切り捨て・含み損の利用制限

 事業年度についても、連結納税制度でのみなし事業年度のように子法人は親法人の事業年度に合わせた事業年度により申告することになります。

3.スケジュール管理・対象法人の把握・決算申告レベルの把握が重要

 上記のようにグループ通算制度では単体申告をベースにしながらも、事業年度や損益通算・税額控除等においてグループ全体計算が必要になるため、グループ全体での体制構築とそのための準備が必要になります。特に全体計算が絡むため、ルールとスケジュール管理においては取りこぼす会社が無いように管理が必要です。また、税金申告のみでなく決算スケジュールの早期化という点では税効果計算のスケジュール管理が重要なポイントとなります。
 決算期が親法人と異なるようなケースでは、みなし事業年度により申告を行わなければならないため、決算期と事業年度が不一致となり事務負担が大幅に増加します。そのため、特段の事由がない場合にはグループ通算制度への移行の前に事業年度変更を行い親法人の事業年度と一致させておくべきでしょう。
 また、意外な盲点として、グループ通算制度の対象法人の把握があります。重要性の原則等で連結子会社となっていない子会社であっても、100%保有であればグループ通算制度に取り込まれますので取りこぼしの無いよう留意すべきでしょう。そのような会社は特に申告書のレベルが低い場合も散見されますので、事前に子会社の決算申告レベルの把握を行い、状況によっては事前の教育体制・サポート体制整備にも取り組む必要があります。
 次回以降、通算子法人の準備事項、加入離脱の申請書の書き方、グループ通算には取り込まれない地方税・消費税について解説します。また、グループ通算制度では、子法人を含め全社で申告書・添付書類の電子申告義務化となるため、その対応としてのグループ電子申告体制の構築、そして義務化対象ではないもののグループの納税作業の大幅な効率化につながる電子納税について解説していきます。

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プロフィール

税理士 畑中 孝介(はたなか たかゆき)
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会 幹事
  企業グループ税務システム普及部会会員
TKC企業グループ税務システム小委員会委員
TKC全国会中央研修所租税法小委員会委員

著書等
  • 『消費税インボイス制度の実務対応』(TKC出版)
  • 『令和3年度 すぐわかるよくわかる 税制改正のポイント』(TKC出版)
  • 『企業グループの税務戦略-グループ法人税制・連結納税制度の戦略的活用-』(TKC出版)
  • 『CFOのためのサブスクリプション・ビジネスの実務対応』(中央経済社)
  • 「旬刊・経理情報」「税務弘報」などにも執筆
システム・コンサルティング事例
ホームページURL

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